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SDGs

中国の砂漠化の問題からその原因や影響について考えよう

SDGsの17目標の15番目には、「陸の豊かさも守ろう」が掲げられています。
陸の豊かさの1つとして、砂漠化への対処も重要です。

砂漠というと、日本ではあまり縁がないように思いますが、隣の中国では深刻な問題となっています。
日本に春先に飛来する黄砂も砂漠化の影響です。
すでに中国は、国土の約30%弱は砂漠化しているといわれています。

今回は、中国の砂漠化の原因や影響について考えてみましょう。

砂漠化とは

砂漠化とは

砂漠化とは、もともと植生があった土地が植物の育たない土地になってしまうことです。

「砂漠」というと、タクラマカン砂漠のように砂の大地を想像するかもしれません。

しかし、砂漠化における「砂漠」とは「植物の生育や農業に適さない土地」を意味します。
作物が実らない土地=砂漠なのです。

世界の地表面積のうち約41%は、砂漠もしくは砂漠化の影響を受けやすい乾燥地域です。

主にアフリカのサヘルや南部、中央アジア、南米等に広く分布しています。
ここで暮らす人々は世界人口の35%にのぼり、うち1~6%の人々(約2,000万人~1億2千万人超)は、すでに砂漠化された地域に住まざるを得ない状況です。

乾燥地の定期は、乾燥度指数(=年降水量/蒸発散位)によって表わされます。
乾燥度指数が0.65よりも小さくなる気候になる乾燥地は、主に以下の4つに大別されます。

・極乾燥地域:乾燥度指数が0.05未満 サハラ砂漠やタクラマカン砂漠のような砂漠地帯。人間が住むことは不可能。
・乾燥地域:乾燥度指数が0.05~0.2 草原もあり牧畜は可能だが、地下水は気候変動の影響を受けやすい。
・半乾燥地域:乾燥度指数が0.2~0.5 草原地帯 降水量の変動を受けやすい。
・乾燥半湿潤地域:乾燥度指数が0.5~0.65 草だけでなく乾燥した森林もみられる森林もみられる。

このように砂漠化は、すでに砂漠となっている土地だけの問題ではありません。
乾燥地域~乾燥反湿潤地域が本当の砂漠となってしまう前に食い止める必要があります。

砂漠化の原因

砂漠化の原因とは

どうして土地は砂漠化するのでしょうか。
砂漠化の原因は、主に2つあります。

・気候的要因:干ばつなど地球的規模での気候変動によるもの
・人為的要因:森林の伐採、過放牧、過耕作、過かんがいなど、人間活動によって砂漠化を進めてしまうもの

人為的な要因による砂漠化は、もともと少ない人口であったところが急激に人口が増加し都市化することによって引き起こされています。
人が増えれば、その分燃料や食料が必要です。

また、成長が遅い森林を燃料や建物、製紙のために伐採しました。
森林に生えていた草は、木陰で生育できる種類ですから直射日光に耐えられません。

結果として草の量も減少。
植樹しても、木が育つスピードが伐採に追いついていないため回復には何十年もかかります。

また、家畜の増加で草原の草を食べ尽くしてしまい、放牧ができなくなったり、もともとやせた土地で無理をして作物を連作した結果、何も生えなくなったり、無理やり灌漑(かんがい)を行ったために塩分を含んだ地下水が土壌に浸食してしまい、結果的に耕作不可になるなど、土地を酷使したために砂漠化したという例は世界中で見られます。

中国の砂漠化

中国の砂漠化

それでは、中国の砂漠化の現状と課題について見ていきましょう。

広大な乾燥地を含む中国の国土

中国では、砂漠化が深刻な環境問題となっています。
中国の面積は日本の国土の約 25 倍、約 960 万 km2という広さ。
寒帯から熱帯まで多様な自然環境が存在しています。

乾燥地帯も広大です。
乾燥度合いによって、以下のように分類できます。

・極乾燥地域:新疆ウイグル自治区、甘粛省、青海省 タクラマカン砂漠もここ。
・乾燥地域:新疆ウイグル自治区、内蒙古自治区、甘粛省、青海省。
・半乾燥地域:乾燥地域の西側と東側にわかれて分布。西側では新疆ウイグル自治区の天山山脈の南と北に広がる地域。東側では黄河の中流域から東北方向にモンゴル国境まで。
・乾燥半湿潤地域:黄河の中下流域から東北方向。北京や天津も含まれる。

中国の砂漠化の現状

砂漠化は、中国では荒漠化と呼ばれ、最も重大な環境問題の一つとして捉えられています。

中国では「中国荒漠化和沙化状况広報」というレポートを提出し、砂漠化の現状を把握しています。
2014年現在ですでに261.16万 km2・国土面積の約27%に相当する広さが砂漠化していると報告されているのです。

中国の砂漠化の原因

中国の砂漠化における大きな原因の一つは、日本にも黄砂をもたらす「風」です。
「風食」と言われます。
強い風によって、土砂が運ばれ表層の肥沃な土が奪われることで、そこに生えていた植物の根が露出。
水を蓄えられないので枯れてしまいます。

さらに、運ばれた土砂も家や農地を覆ってしまい、風が吹く度に土砂が積もるので植物が生えなくなってしまうのです。

もう一つの原因は「水食」です。
土にはしみこんできた水をため込む保水力があります。

しかし雨と川の水の勢いで土がどんどん流され、層が薄くなってしまい、ひどい場合には岩肌がむき出しになると、その土地では水を蓄えることはできなくなって砂漠化するものです。

特に黄砂沿岸の黄土地域では、この影響が深刻でした。

ここまで砂漠化が広がった原因としては、人口の増加による土地の酷使の他に、国の政策の失敗もあげられます。
現場の自然環境を無視した工業化により、砂漠化がもたらされるものです。

たとえば、中国内陸部の奥深くに位置する内モンゴル自治区。
ここにはゴビ砂漠、オルドス砂漠など広大な砂漠が広がっています。

遊牧民は、その環境に適した生活を送っていましたが、政策でそこを耕地として開発した結果、緑の保全をほとんどしない疎放な農耕と、草を食べ尽くすほどの家畜の過放牧の繰り返しとなり、植物が生えなくなってしまったのです。

砂漠化とともに貧困も生み出しました。

黄砂の問題点

砂漠化の影響は、毎年ひどくなる黄砂として日本にも害をあたえています。
黄砂はゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などの土壌や鉱物粒子が、強風によって巻き上げられ、偏西風に乗って日本にも飛来します。

中国の上空を通過中に汚染物質を取り込み、PM2.5など人体に有害なものであるのは周知の通り。
砂漠が広がることによって、より多くの黄砂が日本に飛んでくるのです。

黄砂によって、作物の被害や、家畜への影響、さらには黄砂粒子を核とする雲の発生により降水にも影響を及ぼしています。
海洋に降り注いだ黄砂は海洋生物への影響もあると考えられており、その被害は甚大です。

中国の砂漠化への対処とその問題点

中国でも、砂漠化を放置していたわけではありません。
砂漠化をもたらす主要因とされる過放牧、過開墾、過伐採を禁止し、草原や森林を保護したり、積極的な植林を通じて植生の回復を進めています。

現在、中国の森林面積は増加傾向にあるのも事実です。
しかし、森林が増加すると今度は水の消費が増えます。
木は、やみくもに植えれば良いわけではないのです。

黄河流域では、大規模なプロジェクトにより植林が行われましたが、その結果流量が減り、農業生産の木を十分に育てることができなくなってきています。

SDGsにおける砂漠化への対処

SDGsにおける砂漠化への対処

SDGsでは、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」のなかで「 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」と、砂漠化への対処が盛り込まれました。

ターゲットとして「2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。」ことが求められています。

砂漠化した土地を回復すること新たな砂漠を作り出さないこと、この2つが「砂漠化への対処」となるものです。
日本でも、ODAによる中国内陸部の砂漠を緑化するプロジェクトや、中国の砂漠化への対処も行っています。

砂漠というと、日本では遠い国の出来事のように感じるかもしれません。
しかし、地球の環境はつながっています。

砂漠化を招く気候変動は、私たちの生活が原因となっておこるものです。
自分たちの生活を見直し、温暖化ガスの排出を抑えるように一人一人が取り組むことが、砂漠化を招く気候変動の防止となります。

環境に対する知識を身につけ、できることから実践することで、ひいては砂漠化防止への取り組みともなるのです。

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