ブラジルのアマゾンを中心とした森林破壊は、世界中の大きな問題となっています。
ほとんどが人為的な原因が元で起こっており、植物や動物が生きるエリアを脅かしているのが現状です。
加えて、温暖化などに代表される地球環境の悪化もあり、ますます森林破壊は進行しているといっても過言ではありません。
こちらの記事では、アマゾンにおける森林破壊の実情を知るとともに、対策方法にも触れていきます。
個人でできる対策もあるので、要チェックです。
アマゾンにおける森林破壊の現状
ブラジルのアマゾンでは、年々森林破壊が進んでいます。
しかし、この森林破壊はここ近年に始まったことではありません。
20世紀前半から熱帯地域の開発途上国で爆発的に増えた人口が大きな要因となり、人口を養うための土壌を作ることで森林が減少し始めたと言われています。
そのほかにも、アマゾンの森林破壊が進んだ原因は様々にあるのが実情です。
一つずつ紐解いていきましょう。
ブラジルの道路建設から始まった森林破壊
1940年代に、ブラジルではアマゾン開発計画がスタートしています。
これは、ブラジル政府による計画で「西への更新」とも呼ばれている本格的な開発を行うための計画です。
これまで手をつけられていなかったエリアへの侵入とも言える事態でした。
そして、1960年代以降になると、アマゾンを縦断もしくは横断する道路が続々と建設されます。
これを皮切りに、アマゾン開発は本格化したと同時に森林破壊も凄まじい勢いで進みました。
まずは、木材伐採業者により、道路に沿って生えていたマホガニーやイペーなどの木が切り出されます。
これらの木材は、商業価値があるため一番初めに伐採されました。
そして、価値のない木々はなぎ倒して焼き払い森林は裸地になります。
森林だった跡地には広大な放牧地が広がり、肉牛が飼育されているのが現状です。
大豆栽培もアマゾンの森林破壊の要因
1990年代になっても、森林破壊は止まることがありません。
ブラジルが次に目をつけたのが、輸出用の大豆栽培でした。
そのため、大規模な農業開発地が必要となりアマゾンの森林は、広大な大豆畑になりました。
法律ではアマゾン地域において、農場面積の8割は森林として残さなければならないとされていますが、ほとんど守られていないのが現状です。
また森林破壊の要因には、巨大水力発電所の建設や金鉱山を開発するような国家プロジェクトも挙げられます。
森林火災による破壊
急速な経済発展による森林破壊の一方で、森林火災が起因した森林破壊も進んでいます。
例えば、2019年にオーストラリアで起こった森林破壊は約半年も燃え続けており、その被害の広さは容易に想像できるでしょう。
アマゾンも例外ではなく、ブラジルを中心としたエリアで森林火災は頻繁に発生しています。
2019年8月にも約一ヶ月程度の間で、4,000件近くの森林破壊が起こっているほどです。
この森林火災は熱帯雨林に限ったことではなく、大湿地帯や草原地帯でも起こっています。
大規模に森林を失ったブラジルのアマゾン
ブラジルのアマゾンでは、人為的な開発や破壊行為のほか森林火災によって、そもそもあった森林の約15%ものエリアを失ったと言われています。
森林破壊に続いて大きな問題となっているのが、急速な乾燥化です。
つまり、豊かな水を育むはずのアマゾンが砂漠化してしまう可能性があり、懸念材料として対策が急がれています。
特に水資源が枯渇してしまうと、農業にも大打撃を与えてしまうでしょう。
森林破壊はなぜ問題なのか?
森林は、二酸化炭素を吸収する役割もあります。
そして酸素に変えて大気に放出するため、森林破壊が進むと二酸化炭素が増加して温室効果ガスが増え、ますます気候変動に影響を与えるでしょう。
さらに、豪雨の際には森林があることで、ある程度水が抑えられます。
しかし、森林破壊が進むと洪水になりやすく、さらには全体的な水の循環サイクルが壊れてしまうのも否めません。
また、森林破壊は土壌の栄養分も流してしまい、荒れた土地が広がる要因にもなると言われています。
地球における全ての生態系を守るためにも、森林はなくてはならない存在です。
世界における森林破壊の対策
アマゾンの森林破壊は、世界的に見ても大変な問題となっています。
そのため、世界各国で対策する動きが高まっており、様々な取り組みがなされています。
世界における森林破壊の対策について、紹介していきましょう。
世界的合意について
1992年に開催されたUNCED(国連環境開発会議)。
いわゆる地球サミットと呼ばれる会議では、森林破壊を地球規模の課題としました。
その中で森林原則声明が採択され、事実上初の世界的合意となっています。
この森林原則声明とは、「全ての種類の森林経営、保全及び持続可能な開発に関する世界的合意のために法的拘束力のない権威ある原則声明」であり、アマゾンエリアの持続可能な開発が急がれるでしょう。
SDCsの目標15
持続可能な開発目標として掲げられるSDGsですが、森林破壊に対する目標もあります。
それが、目標15に掲げられた「陸の豊かさを守る」です。
国はもちろん、企業や個人においても、森林の限りある資源を過剰に伐採しないように努めていかなければなりません。
これは発展途上国だけの話ではなく、日本を含む先進国においても取り組むべき内容です。
森林破壊を抑制するために私たちにできること
森林破壊に対して、個人レベルでもできることがたくさんあります。
例えば、FSC認証マークがついた製品を選ぶことも一つでしょう。
FSCとは、国際的な森林認証制度を運営する機関で、森林の保全と持続可能に利用していくことに対する考え方や、環境意識が高まったことから発足ました。
そのため、FSC認証マークがついていれば、国際的な認証を受けている証であり、森林破壊抑制にも繋がります。
そのほか、紙コップの使用を控えたりマイ箸を持参するなどの行動も、小さなことに感じますが非常に大切です。
また、植林に参加したり寄付を通じて支援することも良いでしょう。
まずは森林破壊への意識を持つことで、抑制するための大きな波が広がります。
まとめ
森林破壊は、ブラジルのアマゾンに限った問題ではありません。
日本でも、過剰な森林開発が原因となった土砂崩れや洪水が起こっているのが実情です。
特に、街に暮らしていると森林のありがたさを感じることが少ないのは否めません。
しかし、森や山があることで、私たちの暮らしは豊かに守られているのは紛れもない事実です。
ほんの少しの行動が、森林を破壊することにもつながります。
また、意識を少し向けるだけで、森林破壊を抑えることにも繋がるでしょう。