世界中で深刻な現象をもたらしている干ばつといえば、アジアやアフリカをイメージする人も多いでしょう。
しかし、オーストラリアでも干ばつは度々起きており、ここ近年も干ばつによる様々な被害を被っています。
干ばつによって広がる影響は、思いがけないところにも達しているのが現状です。
こちらの記事では、オーストラリアの干ばつについて、原因や影響を解説していきます。
そもそも干ばつとは何か
日本に暮らしていると、さほど影響を受けることがない干ばつ。
世界では、多くの国が悩まされている自然現象の一つです。
干ばつとは、数ヶ月から数年にわたる長い間、連続して雨が降らない状態をいい、場合によっては深刻な水不足に繋がります。
実は、干ばつは3つの種類に分けられ、人為的な原因も否めません。
続いては、干ばつの種類や原因について探っていきます。
干ばつの種類
まず1つ目として、異常気象が干ばつの原因だと言われています。
例えば、温暖化や大気の循環が長期にわたって異常な状態になると起こりやすいでしょう。
また、2つ目の原因としてあげられるのが人為的なもので、不適切な土壌管理や農耕技術によって土壌が弱まることで起こります。
そして3つ目に、河川に流れる水の量や湖水面の低下など、水文学的な側面が原因となる干ばつも起こり得るでしょう。
干ばつの特徴
干ばつは、自然災害の中でも特殊なものだと言われています。
例えば、台風や豪雨などとは異なり、発生に長い時間を費やす点が挙げられるでしょう。
そのため、影響する期間が非常に長いと行った難点があり、終わりを見定めるのも困難です。
また、その他の自然災害より、影響する規模が広範囲に渡るのも特徴だといえます。
オーストラリアの干ばつについて
オーストラリアで起こる気象災害のうち、洪水に次いで多いのが干ばつです。
ここ近年では、2019年の降水量がかなり少なく、2020年にかけて小麦や菜種の生産量が非常に少なくなりました。
干ばつの規模で見ると、これまでにオーストラリアで起こった干ばつより大きくなっていると言われています。
これには、地球温暖化が大きく影響しているだろうと見られているのが現状です。
オーストラリアの干ばつの歴史
オーストラリアの干ばつは、今に始まったことではありません。
実は、20世紀だけで見ても、計6回を超える干ばつに見舞われています。
例えば、20世紀の最大の干ばつと言われるのが1982-1983年に起きた被害です。
1年に渡り起こった干ばつは、熱帯低気圧がオーストラリア南部に来たことで終わりました。
また、2000年に入ってからも干ばつは続きます。
2002-2003年に起きたのがオーストラリア全域の干ばつです。
2006年にも降水量が少なく、気温は1950年以来歴代2位の暑さを記録しています。
オースラリアの干ばつ被害について
オーストラリアの干ばつ被害は、農作物や放牧に大きな被害を及ぼしました。
例えば、オーストラリア特産の小麦は、干ばつにおいて発育が悪くなり、出荷ができなくなります。
また、牧草も育たないため、たくさん放牧された動物たちにも影響が及ぶでしょう。
さらに、長い干ばつで砂塵嵐が吹き荒れ、林野火災も深刻です。
場合によっては、火災による死者が出るほどの被害が広がっています。
海外にも広がる被害
オーストラリアの干ばつは、オーストラリア以外の国にも大きな影響があります。
オーストラリア産の小麦は、たくさんの国に輸出をされているため、オーストラリアで不作となると一気に困る国が増えるでしょう。
輸入国の一つであるインドネシアでは、2019年の干ばつで、オーストラリア産の小麦が不足し、急遽アルゼンチンや黒海周辺からの輸入を増加させました。
しかし、オーストラリア産の小麦と性質が異なり、消費者からは人気が伸びなかったと言います。
干ばつの後は洪水の恐れあり
オーストラリアでは、干ばつがあまりにも長期的に続くと、続いて洪水の恐れがあると警戒しています。
実際、2019年の1~2月には、北東部にあるクイーンズランド州で、大洪水が起こりました。
これも、大干ばつの後に起きた豪雨によるものです。
干ばつが起こると、土壌が露出してしまいます。
さらに、森林火災によって草原も消失するため、洪水のリスクが高まり、土砂崩れの危険性もあるでしょう。
オーストラリアでの干ばつ対策
度重なる干ばつもあり、オーストラリアのクイーンズランド州では、DCAPプロジェクトを実施しています
DCAPプロジェクトとは、干ばつと気候適応プログラムの略称で、放牧や園芸産業を支援する取り組みです。
クイーンズランド農業連盟(QFF)もパートナーシップを組んでおり、作物や園芸産業に合わせた、保険商品を開発するために話し合いを進めています。
そのほかの、オーストラリアにおける干ばつの取り組みを見ていきましょう。
温室効果ガス排出ゼロに向けたオーストラリアの取り組み
オーストラリアでは、低排出技術の開発を目指した活動を行なっており、中でも水素を使ったエネルギーはオーストラリア国内だけではなく、様々な国から注目を浴びています。
2030年までには、温室効果ガスの排出量を26~28%削減するという目標も定めており、できれば2050年までには排出を実質ゼロにしたいという見解もあるほどです。
オーストラリアエネルギー評議会もこの目標を支持しており、オーストラリア内の小売最大手と名高いウールワースやコールズでは、事業で使う電力を2025年までに全て再生可能エネルギーにするという目標を立てています。
水素産業の確立
干ばつが続くオーストラリアにおいて、産業も深刻な悩みとなっています。
特に、小麦や菜種などの農作物や、羊毛や食肉のための放牧に影響が出ることから、他の産業の確立として水素産業が注目を浴びています。
オーストラリアでは、世界的な水素大国を目指すという目標のもと、「国際水素戦略」を2019年に策定しました。
まとめ
オーストラリアの干ばつが深刻化すると、日本にも多大な影響が及ぶことは否めません。
例えば、スーパーで見かけるオーストラリア産の食肉や小麦粉など、日本でもオーストラリアの産業に支えられているためです。
そして、干ばつはオーストラリアやアジア、アフリカだけの問題ではありません。
日本では、直接的な影響がないように思えますが、温暖化が進むとアジア各国のような干ばつが日本にも起こる可能性もゼロではないでしょう。
今の段階から、CO2削減問題に取り組んだり世界の干ばつ地域へのサポートを手がけるなどの動きをする必要があります。
個人では何もできないと思いがちですが、募金をしたり意識を向けたりするだけでも大きく世界は変わるでしょう。
小さな一歩から、より暮らしやすい社会へと進めていきたいものです。