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食品ロスの削減に向けたコンビニ大手4社の取り組みとは?値引き・AI発注・リサイクルを比べて分かる違い

食品ロスの削減に向けたコンビニ大手4社の取り組みとは?

食品ロスの削減に向けたコンビニ大手4社(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ)の取り組みは、ここ数年で「値引きの見せ方」と「AIによる発注」を軸に大きく変わりました。食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。10月は食品ロス削減月間にあたり、普段使いのコンビニで何が行われているかを知るには良い時期です。この記事では、4社の最新の動きを公式情報から比べ、私たちが買い物でできることまで整理します。

この記事で学べること

  • 日本の食品ロスの最新推計と、コンビニがどこに関わっているか
  • 4社共通の「てまえどり」と、各社が独自に進める値引き・AI発注・リサイクルの違い
  • 値引きシールの商品を選ぶときの疑問と誤解
  • 今日からコンビニで実践できる買い方の工夫

日本の食品ロスの現状とコンビニの立ち位置

コンビニの取り組みを見る前に、日本全体の食品ロスがどこまで減ったのかを確認します。数字を知っておくと、各社の施策が全体のどこに効いているのかが見えやすくなります。

最新の推計は年間約461万トン

環境省が2026年6月30日に公表した推計によると、令和6年度(2024年度)の食品ロスは約461万トンでした。内訳は、事業活動から出る事業系が約237万トン、家庭から出る家庭系が約224万トンです。前年度の令和5年度は464万トンだったので、3万トンの減少にとどまっています。

注目したいのは、家庭系が減った一方で事業系は前年度の231万トンから増えている点です。つまり、事業者側の取り組みが引き続き大きな課題になっています。コンビニはこの事業系のうち、食品小売業の一角を占める存在です。

食品ロスの種類や全体像をあらためて確認したい方は、次の記事も参考になります。

2030年に向けた国の目標

国は食品ロス削減の目標として、2030年度までに家庭系を2000年度比で半減させ、事業系を2000年度比で60%削減することを掲げています。環境省の発表では、家庭系については早期の達成を目指すとされています。

事業系の目標は、製造、卸売、小売、外食のすべてが取り組んではじめて達成できるものです。コンビニ各社が2030年や2050年の目標を自社で設定しているのも、この国の流れと重なっています。

コンビニで食品ロスが生まれやすい理由

コンビニでは、おにぎりや弁当、サンドイッチなどのフレッシュフードが、いつ来店しても買えるように常に棚に並んでいます。品ぞろえを切らさないことは便利さの土台ですが、売れ残りの余地を残すことにもつながります。

さらに、店舗数が非常に多いため、1店舗あたりの廃棄が少量でも、合計すると大きな量になります。だからこそ4社は、発注の精度を上げることと、売り切る工夫をすることの両方を進めてきました。

4社共通の取り組み「てまえどり」とは

4社が足並みをそろえて進めてきたのが「てまえどり」です。食品ロスの話では必ず出てくる言葉ですが、始まった経緯と正しい使い方を整理しておきます。

2021年6月に消費者庁などと連携して始まった

消費者庁によると、てまえどりは2021年6月1日に、消費者庁が農林水産省、環境省、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会と連携して始めた取り組みです。小売店舗が消費者に対し、商品棚の手前にある商品を選ぶよう呼びかけます。セブン-イレブン、ファミリーマート、ミニストップ、ローソンの4社が、商品棚に掲示する啓発物を使って実施しました。

棚の奥には賞味期限や消費期限が長い商品が並べられていることが多く、手前の商品は期限が先に来るものです。手前の商品から売れていけば、期限切れで廃棄される商品が減ります。

「手前から取る」が当てはまる場面

てまえどりは、すぐに食べる商品を買うときの呼びかけです。買ってすぐに食べるおにぎりや、その日のうちに食べるお弁当であれば、手前の商品で十分です。

一方、家に持ち帰って数日置く飲料やお菓子、日持ちのする食品は、期限の余裕があるほうが使いやすい場合もあります。自分がいつ食べるのかを基準に選ぶことが、てまえどりを無理なく続けるコツです。

国の動きと民間の動きが重なっている

てまえどりのような消費者への呼びかけは、国の制度とも関わっています。食品ロス削減推進法の内容と、私たちにできることは次の記事で詳しく整理しています。

コンビニ大手4社の取り組みを比べる

ここからは、4社が独自に進めている取り組みを、各社の公式情報にもとづいて見ていきます。同じ食品ロス削減でも、重点の置き方が少しずつ違います。

セブン-イレブン|値下げ販売「エコだ値」とリサイクル

セブン-イレブンは、2024年5月から全国の店舗で、おにぎりやサンドイッチなどのフレッシュフードを対象に、販売期限が近い商品の値下げ販売「エコだ値」を始めました。この取り組みは、消費者庁と環境省が実施する令和6年度食品ロス削減推進表彰で「消費者庁長官賞」を受けています。

それ以前にも、販売期限が近づいた商品を買うとnanacoポイントが付与される「エシカルプロジェクト」を行っていました。ポイントでの還元から、価格そのものを下げる方式へと、お客様にとって分かりやすい形に進んできたといえます。

あわせて、製造工程の改善でオリジナルのデイリー商品の消費期限を延ばしたり、納品期限のルールを見直したりしています。食品廃棄物のリサイクル率は2022年度の51.6%から、2024年度は60.8%へと上がりました。長期の目標は、2050年までに食品廃棄物量を2013年比で75%削減することです。

ローソン|AI発注と、寄付につながる「FOOD GOOD SMILE」

ローソンは、AIを使った発注支援と値引きの仕組みに力を入れています。公式発表によると、AIが発注を提案する「AI.CO」を2024年7月までに全国の店舗へ導入しました。消費期限が近づいた商品には、AIが推奨する値引き額を示した黄色い値引きシールが貼られます。

2025年8月5日には、約14,000店(ローソンストア100を除く)で食品ロス削減プログラム「FOOD GOOD SMILE」を始めました。値引きシールが貼られたおにぎりを1個買うごとに1円分のお米を購入し、全国社会福祉法人経営者協議会を通じて福祉施設へ寄付する仕組みです。2026年6月9日から8月31日には、食事の支援が必要な子どもたちに「ローソンのおにぎり」を届ける第3弾も行われました。

食品ロスの削減と、食を必要とする人への支援を結びつけている点が特徴です。食品を必要とする人へつなぐ活動に関心がある方は、フードバンクのボランティアについての次の記事も参考になります。

ローソンの長期目標は、2018年対比で2030年に50%、2050年に100%の削減です。このほか、消費期限が近づいた商品を半額などで販売するフードシェアリングサービスの導入も公式に発表しています。対象の店舗や時期はローソン公式サイトで確認してください。

ファミリーマート|「涙目シール」で値下げ商品を選びやすく

ファミリーマートの特徴は、値下げシールの「見せ方」を工夫したことです。値下げ販売のシールに「たすけてください」というメッセージと涙目のキャラクターを載せた「ファミマのエコ割(涙目シール)」を、2024年10月に実証実験として始め、2025年3月に全国展開しました。

同社の発表によると、2025年4月から9月の検証で、廃棄量は前年同月比で約5%減りました。全店舗で実施した場合は年間約3,000トンの食品ロス削減につながると試算されています。値下げ商品を手に取ることへの心理的なハードルを下げる狙いがあります。

2025年10月22日には、このシールのデザインをフリー素材として無償で提供すると発表しました。長期目標は「ファミマecoビジョン2050」で、2018年対比で2030年に50%、2050年に80%の削減です。

ミニストップ|値下げ販売とリサイクルを長く続けてきた

ミニストップは、値下げ販売による発生抑制を、公式サイトによると9割の店舗で行っています。2025年8月には値下げシールのデザインを刷新し、おにぎりやサンドイッチだけでなく、乳製品や袋入りスイーツなど幅広い商品を対象にしています。

リサイクルにも早くから取り組んできました。販売期限が切れた弁当などを家畜の飼料にする取り組みを2004年から始め、現在は地域によって飼料化、堆肥化、バイオガス化を使い分けています。ファストフードの調理で出る使用済みの油は、創業した1980年から、ほぼ100%を家畜飼料や石けん、インクにリサイクルしているとされています。

目標は、2030年までに店舗で発生する食品ロスを2015年度比で50%削減することです。

4社の取り組みから見える3つの傾向

4社の動きを並べると、細かな違いの奥に共通する流れが見えてきます。

値引きを「見える化」して選びやすくしている

セブン-イレブンの「エコだ値」、ローソンの黄色い値引きシール、ファミリーマートの涙目シール、ミニストップの刷新したシールは、いずれも「この商品は値下げされています」と一目で伝える工夫です。以前は店頭で値引きがほとんど見られなかったため、各社が売り切るための入口を大きく広げたことになります。

ちなみに、コンビニの値引き販売をめぐっては、2009年に公正取引委員会がセブン-イレブン・ジャパンに排除措置命令を出した経緯があります。加盟店が見切り販売を行うことを制限していたことが問題とされました。この十数年で、値引きは当たり前の選択肢になりました。

AIなどの技術で、作りすぎと売り逃しの両方を減らそうとしている

ローソンの「AI.CO」のように、天気や店舗ごとの売れ方を踏まえて発注を提案する仕組みは、作りすぎによる廃棄を減らす役割を担います。また、製造工程の改善で消費期限を延ばす取り組みは、同じ商品でも売り切る時間を長くします。廃棄する量を減らすだけでなく、売れ残りの余地そのものを小さくする方向です。

売れ残りを資源に変える仕組みを併用している

それでも出てしまう廃棄は、飼料、堆肥、バイオガスなどに回されています。セブン-イレブンのリサイクル率の上昇や、ミニストップの飼料化・堆肥化・バイオガス化の使い分けは、その表れです。ただし、リサイクルは廃棄物を資源にする手段であって、そもそも出さないことの代わりにはなりません。国の考え方でも、まず発生を抑えることが優先されます。

値引き商品をめぐる疑問と誤解

値引きシールが増えると、買う側にも「本当に大丈夫なのか」「自分が買うと何が変わるのか」といった疑問が生まれます。よくある疑問を整理します。

値引き商品は傷んでいる商品なのか

コンビニで値引きされる商品は、品質が劣化したものとは限りません。販売できる期限と、食べられる期限は別に決められています。多くの商品では、販売期限が消費期限や賞味期限より前に設定されているため、値引きの時点でも、期限までに時間が残っていることが一般的です。

ただし、買った後に食べられる期間は商品によって違います。パッケージに書かれた消費期限や賞味期限を確認し、その日のうちに食べ切れるかどうかを基準に選んでください。

値引き商品を買うと、実際に何が変わるのか

値引きシールの商品を買うと、その商品は廃棄されずに食べられます。ファミリーマートの検証では、涙目シールなどの施策で廃棄量が前年同月比約5%減ったと報告されています。1個ずつの積み重ねが数字に表れる取り組みです。

ローソンの「FOOD GOOD SMILE」のように、購入が福祉施設への寄付につながる仕組みもあります。ただし、寄付の対象となる商品や期間は限られるため、参加するときは店頭の表示や公式サイトで条件を確認してください。

「値引きがあるから多めに買う」は逆効果になる

値引き商品を選ぶことは良い行動ですが、安いからといって食べ切れない量を買ってしまうと、家庭で捨てることになり、食品ロスが家の中に移るだけです。家庭系の食品ロスは今も約224万トンあります。値引きは、自分が食べる分を買うときの選択肢として使うのが基本です。

今日からできるコンビニでの買い方

最後に、日常のコンビニで実践しやすい行動を並べます。どれも特別な準備は要りません。

買う前に冷蔵庫の中身を思い出す

コンビニに寄る前に、家の食材や、すでに買ってあるものを思い出します。家に食材があるのに追加で買うと、どちらかが余りやすくなります。迷ったときは、食べる予定の分だけ買うと決めておきます。

すぐ食べるなら手前から、値引きシールも選択肢に

その場やその日のうちに食べる商品は、てまえどりで手前から取ります。値引きシールの付いた商品があれば、今日食べる予定のものとして選んでみてください。

日持ちする商品は、使い方に合わせて選ぶ

冷凍の野菜や、少人数で食べ切れるサイズのパウチ惣菜など、小分けで使える商品は、家庭での食べ残しを減らす助けになります。自分の暮らしに合う量を選ぶことが、結果として食品ロスを減らします。

まとめ

日本の食品ロスは令和6年度も約461万トンあり、事業系は前年度より増えています。コンビニ大手4社は、2021年6月から共通の呼びかけ「てまえどり」を続けつつ、セブン-イレブンのエコだ値、ローソンのAI発注と寄付つきプログラム、ファミリーマートの涙目シール、ミニストップの値下げとリサイクルというように、それぞれ得意な方法で廃棄を減らそうとしています。共通するのは、値引きを分かりやすく見せること、技術で作りすぎを減らすこと、出てしまった廃棄を資源に変えることの3つです。

ただし、お店の努力だけで食品ロスはなくなりません。買う側が、食べる予定の量を考えて選び、値引き商品を無理なく取り入れることが、取り組みを成果につなげます。値引きだからと買いすぎないことも、同じくらい大切です。

次にコンビニへ行くときは、まず「すぐ食べるものは手前から取る」ことだけ試してみてください。

  • 令和6年度の食品ロスは約461万トンで、事業系は約237万トンと前年度より増えた
  • てまえどりは2021年6月に消費者庁などと4社が連携して始めた共通の呼びかけ
  • 各社は値下げの見える化、AIなどの技術、リサイクルを組み合わせて廃棄を減らしている
  • 値引き商品は食べ切れる量だけ選び、買いすぎないことが家庭での食品ロスを防ぐ

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
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