グローカルとは、「グローバル(Global)」と「ローカル(local)」からできた造語です。
「グローカル事業」「グローカル人材」などといったフレーズで使われることが多く、世界基準で物事を考えながらも、地域に根ざした取り組みを行うことを指します。
近年ますます注目される“グローカル”な取り組み。
本記事では、その背景と企業や学校など身近な場所での具体的な事例について詳しくご紹介します。
グローカルが注目される背景
グローカルが注目される背景には何があるのでしょうか?
令和元年、経済産業省は「グローカル成長戦略」を打ち出しています。
その内容は、
「日本の産業全体の多様性を推進する中で、地方や中小企業の成長は欠かせません。国際化を促しながらも地方経済を回していく“グローカル成長”こそが、今の日本に求められる戦略だ」
と訴えられています。
また、グローカル成長を達成するためには、“グローカル人材”の存在が欠かせません。
グローカル人材とは、グローバルに物事を考える視点を活かし、地域経済や社会に貢献する人材のことです。
例えば、グローバル企業を地域に誘致したり、逆に地域の企業をグローバル進出させたりと、世界と日本の架け橋としてその能力を発揮します。
こうしたグローカル人材の育成もますます重要になっており、官民協働でさまざまな取り組みがされています。
グローカルを推進する取り組み
ここでは、企業や学校でのグローカル推進に向けた取り組みをご紹介します。
事例①:企業の取り組み
世界中で愛されるハンバーガーチェーンのマクドナルド。
マクドナルドはアメリカで発祥後、1971年には日本1号店となる銀座三越デパートをオープンするなど、各国に海外進出をしています。
これだけであれば純粋なグローバル化と言えますが、マクドナルドのオリジナリティは地域に密着した独自の商品を多数開発している点にあります。
例えば、日本上陸後は日本人の好みに合わせた「てりやきマックバーガー」や「マックポーク」など、ローカルメニューを販売。
日本以外の国でも、トルコではケバブ風のハンバーガーや、ドイツではソーセージをメインに据えた「ソーセージ・バーガー」など、多種多様なラインナップを展開しています。
こうしたローカル化により、あらゆる国で「ハンバーガーと言えばマクドナルド」という絶対的な立ち位置を獲得しているのです。
マクドナルドの事例は、グローバル企業が地域に根ざしたブランディングや商品開発を行っている良い事例と言えるでしょう。
参照元:TapTrip|世界のマクドナルドのご当地メニューが食べてみたい!
事例②:学校の取り組み
文部科学省は「地域との協働による高等学校教育改革の推進」を掲げ、グローカル人材の育成に向けた教育改革を推進しています。
具体的には、高等学校が自治体・高等教育機関・産業界等と協働し、地域課題の解決等の探究的な学びを目指します。
「グローカル型」として指定4校(福島県立 ふたば未来学園中学校・高等学校、山梨県立 甲府第一高等学校、兵庫県立 兵庫高等学校、島根県立 隠岐島前高等学校)を設けています。
カリキュラムは学校によって異なりますが、学生が主体となってワークショップなどを実施し、学内外にアウトプットをしていくケースが中心です。
海外での発表や討論会、自治体や企業への提案などの貴重な経験を通じて、将来グローカルに活躍できる人材を育成します。
参照元:地域との協働による高等学校教育改革の推進|文部科学省HP
事例③:独立行政法人の取り組み
JICA(独立行政法人国際協力機構)のボランティア事業として「JICA海外協力隊グローカルプログラム(派遣前型)」を実施しています。
このプログラムは、青年海外協力隊として海外派遣される前に、自治体等が実施する地域活性化や地方創生等の取り組みにOJTとして参加するもの。
事前に日本国内の地域活性化について考える機会を持つことで、海外での協力活動においても有益な実務経験や知見を得られるほか、帰国後の活動にも活かすことができるメリットがあります。
実際の参加者からは「課題発見能力、課題解決能力が鍛えられる」「地方創生について考えるきっかけになった」などの感想が寄せられており、グローカル人材の育成につながっていることが伺えます。
参照元:JICA海外協力隊グローカルプログラム(派遣前型)~国内の地域活性化にも貢献したい方のための派遣前実習制度~|JICA海外協力隊HP
時代は「グローバル」から「グローカル」へ
グローバル展開に力を入れる企業や、グローバル人材を育成する学校など、これまで「グローバル」に着目した取り組みが主でした。
しかし、日本がこれからも成長を続けるためには、地方や中小企業といったローカルな視点を持ち合わせることが重要になっています。
身の回りの「グローカル」な取り組みに注目し、興味のあるものがあれば、ぜひ積極的に参画してみましょう!