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結婚が女性の社会進出に与える影響を考えてみよう

1986年に男女雇用機会均等法が施行されて30年以上が経過しました。
出産と育児というライフイベントをサポートするための補助は多く広まっていますが、果たして女性だけが理不尽に社会進出の機会を失わされているのは、出産と育児だけでしょうか?

本記事では、内閣府の調査結果をもとに「結婚前後」での女性の就労状況の変化について特集します。

「女性の社会進出」とは何か?

「女性の社会進出」とは何か?

女性の社会進出の定義は1つではありません。
言論界・政治・研究者に女性がいること、企業の役員となり企業の意思決定に女性が寄与していること、労働力人口・賃金・就業形態について男女差がないこと、などが挙げられます。

本記事では、結婚前後における女性の就労状況の違いについて紐解いていくことで、結婚が女性の社会進出に与える影響を考えていきます。

結婚前後で就労状況に男女差が生まれている?

結婚前後で就労状況に男女差が生まれている?

女性の「離職理由」のうち、結婚が占める割合は?

厚生労働省の調査によると、令和2年に「転職・入職した理由が結婚」だという女性の割合は、全体の2.3%でした。
2.3%は少ない数字に感じるかもしれませんが「出産・育児が理由」の女性は1.4%で「介護・看護が理由」の女性は0.8%です。
ライフイベントの中でも大きい数字と言えるでしょう。

また、結婚を理由に転職・入職した男性の割合はたったの0.4%で、男女の差が大きいです。(ちなみに「出産・育児」は0.5%、「介護・看護」は1.1%。)

他のライフイベントによる離職(出産・育児・介護・看護)との比較

2005年頃と比較すると、令和2年の結婚、出産・育児、介護・看護を理由とする離職はすべて、離職理由に占める割合を減らしています。

それぞれの減少率に着目すると、出産育児が64%と最大で、次に介護看護が56%。
結婚の減少率が一番低く、45%に留まりました。
出産休暇と育児休暇が整った企業が増えたことと、介護に関する特別休暇も広がりを見せたことがこの数字に反映されていると考えられます。

しかしながら、ここ20年で結婚による離職を減らすための取り組みはあまり見られません。
今後、改善案が出てくることが期待されます。

結婚のタイミングで転職した理由

結婚を機に転職をした女性にその理由を聞いてみると、1位が「結婚をしたから」で66.7%、次が「人間関係のため」が26%でした。
「家族が転勤したから」が2.8%を占めることも興味深いです。
配偶者が働く場所によって転勤せざるを得ないことを意味しています。

これはいわゆる、女性特有の結婚後の「理不尽な転職」の中の一種と言えるのではないでしょうか。
初めから全国転勤可能な職種であれば転職の必要はないかもしれませんが、そうでない限り、別居婚(単身赴任)をするか転職・離職するかを選ばなくてはなりません。
キャリアアップできるなら良いですが、勤務地を絞られた状態で転職活動をしなくてはならないため、給与の減少または非正規雇用への転職の可能性もあります。

これは確実に、女性の社会進出において痛手です。
配偶者都合で何度も転職していては、企業の役員になることも難しくなるでしょう。

結婚で仕事を辞めて専業主婦になる選択

結婚で仕事を辞めて専業主婦になる選択

専業主婦になりたい女性の割合は?

結婚を理由に離職することが、悪いことだとは一概には言えません。
もともと専業主婦になることを希望する女性もいるでしょう。

2015年に国立社会保障・人口問題研究所が取りまとめた結果によると、結婚する前に将来専業主婦になることを理想としている女性はおよそ18%います。
希望通り、専業主婦になった女性もいることは間違いありません。

専業主婦になりたくなかったのに、離職した理由は?

しかしながら、希望していなかったにも関わらず結婚後に離職を余儀なくされた女性が多数いるということを見逃すわけにはいきません。
これは配偶者からの希望とも限りません。
1997年は21%の男性が配偶者に専業主婦になることを希望していましたが、2015年では10%に減少しています。

以前に比べ、結婚後、出産後も離職せずに仕事を続けることを配偶者に希望している男性も多いことがわかります。
ではなぜ、希望していないのに離職したのでしょうか?

在宅ワークの普及は特効薬となりうるか?

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、リモートワークの加速が進んだ企業は多いです。
このリモートワークが、「結婚に伴う引越し等で今までの職場を離れざるを得ない」という理由で転職・離職する女性たちを救うことになるでしょうか。

出勤をする必要がほとんどない仕事であれば、配偶者に合わせて転居したのちも出張ベースで仕事を続けることもできるかもしれません。
終身雇用が当たり前である世の中からは変化しつつありますが、一つの会社で長く勤めた方が役員への登用の可能性が高いのもまた事実です。

女性が活躍しやすい世の中になっていくため、在宅ワークは追い風になるでしょう。

まとめ

まとめ

これまで、結婚が女性の社会進出に及ぼす影響について紹介してきました。
育児・介護とほぼ同じ割合の女性が、結婚によって退職・離職を余儀なくされていますがその対策はあまり普及していません。

本人も配偶者も望んでいないにも関わらず、結婚をきっかけに転職・離職をしてしまうことは明らかに女性の社会進出の妨げになっています。
4人に1人が結婚後に正規雇用を辞めてしまっていることは、記憶に新しいです。

結婚のため続けることができない仕事が、リモートワークの普及により継続できるようになるかもしれません。
リモートワークの更なる普及と、適用範囲の拡大に期待します。

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