公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダー問題の解決策はある?実施されている事例を紹介

ジェンダー問題の解決策はある?実施されている事例を紹介

性別による不平等は長年、世界共通の重要課題として注目されてきました。近年、この問題に対して政府や企業が具体的な解決策を実施し、着実な成果を上げています。SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられる中、世界各国では女性の社会進出促進と性別格差の解消に向けた政策が次々と打ち出されています。今回は、先進的な取り組みを行う海外事例と、日本の現状と課題解決への道筋について詳しく紹介します。

世界の先進的なジェンダー問題解決事例

ジェンダー問題は、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」として掲げられるように、世界的な重要課題として位置づけられています。特に女性の社会参画を促進し、性別による格差を解消する方向へ、各国の政策も大きく転換してきています。ここでは、ヨーロッパを中心とした革新的なジェンダー問題解決への取り組みを紹介します。

アイスランド:世界初の法的賃金格差規制

男女間の賃金格差は、世界中でジェンダー問題の象徴的な課題として認識されています。ジェンダーギャップ指数で長年上位を維持するアイスランドは、2018年に世界で初めて性別による賃金格差を法的に禁止する画期的な法律を施行しました。

この法律では、従業員25名以上の組織に対して、男女が同一賃金を受け取っていることを証明する書類の提出を義務づけています。証明できない場合には罰金が科される厳格な制度となっており、雇用における性別格差を禁止する従来の法律とは一線を画す、実効性の高い取り組みとして世界から注目されています。

ニューヨーク州:男性トイレへのおむつ交換台設置義務化

育児は女性だけが担うものではないという認識が世界的に広まる中、アメリカのニューヨーク州では2019年、男性トイレにもおむつ交換台を最低1台設置することを義務づける法律を施行しました。

対象となるのは、新築や改修される映画館、レストラン、公園などの公共建物です。従来、おむつ交換台は女性トイレのみに設置されることが多く、男性が育児参加する際の物理的な障壁となっていました。この取り組みは、「育児は女性の役割」という固定的な性別役割分担意識を変革する具体的なアイデアとして、各地に広がりを見せています。

クオータ制:企業や政治の意思決定への女性参画促進

クオータ制とは、政治や企業などの社会的組織において、特定の属性(性別、人種、宗教など)を持つ者を一定数割り当てることで、少数派が不利益を被らないよう配慮する制度です。

この制度の先駆者はノルウェーで、1978年に法律を制定し、公的機関における男女比率の明確化を実現しました。現在では100を超える国・地域でクオータ制が導入されています。ドイツでは、女性に割り当てられたポストが空席になった際、男性が代替するのではなく、空席のままにする厳格な運用も行っています。このような取り組みにより、政治や企業運営に女性の視点を確実に反映させる仕組みが構築されています。

フィンランド:男女それぞれの有給育児休暇制度

育児休暇制度は多くの国で整備されていますが、実際の男性取得率は依然として低い状況が続いています。この課題に対し、フィンランドでは2021年から両親それぞれに約7か月間の有給育児休暇を取得できる新制度を導入しました。

両親合わせて約14か月間の育児休暇が可能となり、シングルマザーやシングルファーザーは両親分の育児休暇を取得できます。また、妊婦には1か月の有給出産休暇も設けられています。

この制度を推進したのは、当時首相を務めていたサンナ・マリン氏です。34歳の若さで首相に就任したマリン氏は女性のキャリアアップについて積極的に取り組み、ヨーロッパ各国でも両親それぞれの育児休暇延長制度が採用されるきっかけを作りました。

教育環境の改善:女子生徒の学習機会拡大

伝統的な慣習が強く残る地域では、女子生徒の学習環境が十分に整備されていない場所が数多く存在します。進学への意欲があっても、女子トイレがないなどの施設面の課題により学校に通いづらくなり、結果的に教育を諦めざるを得ない女子生徒が後を絶ちません。

アフリカのモザンビーク共和国では、中等教育の就学率が低い地域を中心に、女子トイレの整備をはじめとした女子生徒が安心して通学できる施設の充実に力を入れています。このような基本的なインフラ整備が、女性の教育機会拡大において重要な役割を果たしています。

また、ASEAN諸国では将来の発展を見据え、女性の工学系教員育成に積極的に取り組んでいます。ASEAN工学系高等教育ネットワークを構築し、加盟大学が連携して女性教員の育成や研究環境の整備を支援する体制を整えています。

女性起業家への支援強化

世界的に見ても、起業する人の大多数を男性が占めている現状があります。アフリカのエチオピアでは、2025年までの貧困脱却と工業発展を目標に掲げ、零細企業への積極的な支援を表明しています。

しかし、エチオピアの金融機関は資金不足の問題を抱えており、倒産リスクの高い零細企業、特に女性起業家への融資には消極的な状況が続いていました。この課題解決のため、エチオピア政府は世界銀行などの国際機関と協力し、女性の社会的地位向上と事業成長を促進する女性起業家支援事業を展開しています。

日本のジェンダー問題解決への取り組み

日本は2024年のジェンダーギャップ指数で146か国中118位となり、前年の125位から7つ順位を上げましたが、依然としてG7諸国の中で最下位という状況が続いています。このような現状を踏まえ、日本政府はジェンダー問題の解決に向けた取り組みを積極的に推進しています。

女性活躍推進法の整備と効果

日本では、女性の能力を最大限に活用し、社会に活力をもたらすことを目的として、2016年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)が施行されました。

この法律は、女性の個性と能力が十分に発揮される豊かで活力ある社会の実現を目指すものです。単に女性の職業参画を促進するだけでなく、男女の人権を尊重し、少子高齢化や急速な経済変動に対応できる持続可能な社会の構築を目的として制定されています。

具体的には、女性の積極的な登用・採用や、雇用形態の転換を促進する取り組みの指針を示しています。また、常時雇用する労働者が301人以上の大企業に対しては、女性が活躍できる職場環境を整備するための行動計画の策定と、女性の活躍に関する数値目標の公表を義務づけています。

この法的後押しにより、企業や団体が女性の働き方改革を重要な経営課題として位置づける流れが加速し、実際に多くの組織で具体的な改善策が実施されています。

また、2022年4月の法改正により、従来は常時雇用する労働者301人以上の企業に限られていた取り組み義務の対象が、101人以上の事業主に拡大されました。さらに、常時雇用の従業員数が301人以上の企業については、2022年7月から「男女の賃金格差」の把握・公表が義務化されています。

これらの法改正により、より多くの企業がジェンダー平等の推進に取り組む体制が整備され、実質的な改善が期待されています。

ジェンダー問題解決に向けて私たちができること

日常生活を送る中で、私たちは無意識のうちに「女性だから」「男性だから」という固定的な性別観(ジェンダーバイアス)を持ち、知らず知らずのうちにジェンダーに基づく差別に関わってしまうことがあります。

特に教育現場では、男女別の名簿作成や進路指導における無意識のバイアスなど、様々な場面でジェンダー問題が潜んでいます。このような状況を改善するためには、まず私たち一人一人がジェンダー問題に関心を持つことから始めることが重要です。

意識的にジェンダー問題について考えてみると、生活の様々な場面で性別による格差や偏見を発見することができます。長年の慣習に根ざした問題であるため、すぐに解決することは困難かもしれませんが、関心を持ち続けることで、従来とは異なる視点から物事を捉えられるようになります。

さらに、具体的な行動として、ジェンダー問題に取り組むNGOやNPOへの寄付や協力も可能です。国際NGOプラン・インターナショナルや認定NPO法人国連ウィメン日本協会、NPO法人ジェンダーイコールなど、ジェンダー課題の解決に取り組む多くの支援団体が活動しており、単発寄付や継続的な定額寄付を通じて支援することができます。

今、世界中で注目されているジェンダー問題について、ぜひ積極的に考え、行動してみてください。

まとめ

ジェンダー問題の解決に向けて、ヨーロッパをはじめとする多くの国々では、政治制度や企業文化の変革、育児支援の拡充、女性の社会的地位向上のための具体的な取り組みが既に始まっています。アイスランドの法的賃金格差規制やニューヨーク州の男性トイレおむつ台設置義務化など、「育児は女性が担うべき」という固定観念を払拭する革新的なアイデアも次々と登場しています。

日本においても、女性活躍推進法の改正により対象企業が拡大され、男女の賃金格差公表義務化など、より実効性の高い施策が推進されています。これからの持続可能で豊かな社会を築くためには、女性の能力と視点を最大限に活用することが不可欠です。

ジェンダー問題は私たちの身近なところにも数多く存在しています。一人一人が関心を持ち、意識を変えることで、ジェンダー平等の実現に向けた確実な一歩を踏み出すことができるでしょう。


参照元

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
MIRASUS

MIRASUS編集部。地球と人に優しい未来をつくるサステナビリティな事例をご紹介。誰にでもわかりやすくSDGsに関する情報は発信していきます。

  1. 炭素隔離(カーボンシークエスト)とは?地球温暖化対策の基本をわかりやすく解説

  2. コンシューマー・コンシャスネスとは?意識的な消費行動をわかりやすく解説

  3. 気候関連リスクとは?企業が知るべき種類と対策をわかりやすく解説

RELATED

PAGE TOP