「SDGs家電」という言葉を家電量販店やチラシで見かけたことはないでしょうか。省エネ性能が高く、電気代も抑えられる家電のことを指す呼び方で、買い替えるだけで少ない資源を大切に使うという行動につながります。ただし「本当に省エネになるのか」「何を基準に選べばよいのか」という疑問を持つ人は少なくありません。この記事では、SDGs家電が省エネに役立つ仕組みと、選び方・おすすめ商品3選、購入以外の選択肢までを具体的に解説します。
SDGs家電とは|省エネ家電と呼ばれる理由
SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年の国連サミットで採択された、2030年までに達成を目指す世界共通の目標です。17のゴールと169のターゲットが定められており、その中の目標12「つくる責任つかう責任」は限りある資源を無駄にせず大切に使う社会の実現を、目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」は誰もが手頃な価格でクリーンなエネルギーを使える社会の実現を掲げています。
「SDGs家電」は法律や規格で定められた正式な分類名ではなく、こうした目標の実現につながる省エネ性能の高い家電製品を指す呼び方として使われています。従来品よりも少ない電力で同等以上の性能を発揮できることが、SDGs家電と呼ばれる最大の理由です。
LED照明や太陽光発電はなぜSDGs家電なのか
LED電球は白熱電球や蛍光灯に比べて消費電力が少なく、寿命も長いため、交換の手間や廃棄物の削減にもつながります。太陽光パネルは自然エネルギーを利用した発電設備であり、家庭で使う電力の一部を化石燃料に頼らずまかなえる点が評価されています。どちらも目標7の「クリーンなエネルギー」に直結する製品です。
ヒートポンプ式の家電やインバーター制御の家電
エアコンや給湯器、洗濯乾燥機などに使われるヒートポンプ技術は、空気中の熱を利用することで少ない電力で温度調整ができる仕組みです。またインバーター制御によって運転の強弱をきめ細かく調整できる家電は、常にフルパワーで稼働する旧来型の家電よりも無駄な電力消費を抑えられるとされています。こうした技術が搭載された製品も、広い意味でのSDGs家電に含まれます。
今、省エネ家電への買い替えが注目される背景
数年前から国内の電気料金は燃料価格の変動を受けて上下を繰り返しており、家庭のエネルギーコストに対する関心はかつてより高まっています。使用する電力量そのものを減らせる省エネ家電は、家計への影響を和らげる手段としても注目されています。
日本では家電の省エネ性能を底上げする仕組みとして、経済産業省が主導する「トップランナー制度」があります。これはエアコンや冷蔵庫、テレビなど品目ごとに、その時点で最も省エネ性能が優れた製品を基準に将来の目標基準値を設定し、メーカー各社に達成を求める制度です。この制度により、同じ価格帯・容量帯の家電であっても、発売時期が新しいものほど省エネ性能が高くなる傾向があります。
家庭で使うエネルギーのうち、冷蔵庫やエアコン、照明といった家電製品が占める割合は小さくありません。1つ1つの家電を省エネ性能の高いものに置き換えていくことは、個人でも取り組める現実的な行動といえます。特に購入から10年前後が経過した家電は、最新モデルとの省エネ性能の差が大きくなりやすいため、買い替えを検討する目安になります。
SDGs家電の選び方|統一省エネラベルとカタログの読み解き方
家電量販店には数多くのSDGs家電・省エネ家電が並んでおり、どれを選べばよいか迷ってしまう人も多いはずです。専門知識がなくても比較しやすい指標を知っておくと、選ぶハードルはぐっと下がります。
統一省エネラベルの星の数と省エネ達成率をチェックする
「統一省エネラベル」は、国が定めた基準をもとに家電の省エネ性能を星の数で示した表示です。星は最大5つで評価され、数が多いほど省エネ性能が高い製品となります。ラベルにはあわせて、その製品の省エネ基準達成率(同じ区分の製品に求められる基準値に対する達成度合い)や、年間の目安消費電力量、1年間使用した場合のおおよその電気料金の目安も記載されています。エアコンの場合はAPF(通年エネルギー消費効率)という指標も併記され、数値が大きいほど少ない電力で効率よく冷暖房ができる製品です。買い替えを検討する際は、星の数だけでなく達成率や目安電気料金も合わせて確認すると、実際の負担感がイメージしやすくなります。
年間目安電気料金で「本体価格の差」を判断する
省エネ性能の高い家電は本体価格がやや高めに設定されていることも珍しくありません。しかし年間の目安電気料金を旧モデルと比較すると、数年単位で使い続けた場合のトータルコストで逆転するケースがあります。本体価格だけで判断せず、使用年数を掛け合わせたランニングコストで比較する視点を持つことが、後悔しない選び方につながります。
買い替えのタイミングの目安を知る
家電の省エネ性能は年々改善が進んでいるため、購入から10年前後が経過している場合は、最新モデルとの性能差を一度確認してみる価値があります。特にエアコンや冷蔵庫のように稼働時間が長い家電ほど、買い替えによる省エネ効果を実感しやすい傾向があります。
メーカーの実践例に見るSDGs家電|パナソニック・シャープ・日立
省エネ家電の開発は、各メーカーがそれぞれの技術を活かして取り組んでいる分野でもあります。複数のメーカーの取り組みを知っておくと、商品選びの際の判断材料が増えます。
パナソニックの自動節電機能「エコナビ」
パナソニックは冷蔵庫やエアコンなど複数の家電に、使用状況やセンサー情報をもとに自動で運転を調整する「エコナビ」機能を搭載しています。使わない時間帯や人がいない状況を検知して運転を抑えることで、常に一定の電力で稼働させるよりも無駄な消費電力を減らせる仕組みです。利用者が特別な操作をしなくても省エネにつながる点は、日常に取り入れやすい工夫だといえます。
シャープのAirestシリーズとヘルシオ
シャープのエアコン「Airest(エアレスト)」シリーズは、エアコン本体に空気清浄機能を組み合わせ、本体内部へのホコリの侵入を抑える設計になっています。内部にホコリがたまると風の通りが悪くなり、余分な電力を消費しやすくなるため、清潔さを保つこと自体が省エネにつながるという発想の製品です。また過熱水蒸気を使う電子レンジ「ヘルシオ」シリーズは、食材ごとに異なる火の通り方を一度の調理でまとめて仕上げられる点が特長で、調理時間の短縮を通じてエネルギー消費を抑える工夫がされています。シャープは自社サイトで、こうした製品開発を含む環境・社会への取り組みをSDGsの枠組みと関連づけて説明しています。
日立の家電事業における省エネへの姿勢
日立グローバルライフソリューションズをはじめとする家電メーカー各社は、製品の省エネ性能向上に加えて、製造工程での資源利用の見直しやリサイクルのしやすさといった観点からも、持続可能な社会づくりに関わる取り組みを進めています。1社の製品だけに注目するのではなく、複数メーカーの取り組みを比較しながら、自分の暮らし方に合った製品を選ぶ視点が大切です。家電メーカーに限らず、企業全体がどのようにSDGsへ取り組んでいるかを知っておくと、製品選びの視野がさらに広がります。
SDGs家電のおすすめ商品3選|タイプ別の選び方
ここでは、日常生活で使用頻度の高い3つの家電カテゴリーについて、省エネの観点でどのようなタイプを選べばよいかを紹介します。型番や価格は発売時期によって変動するため、購入時は最新のカタログや価格比較サイトで最新情報を確認してください。
冷蔵庫|自動で無駄な運転を減らすタイプを選ぶ
冷蔵庫は24時間稼働し続ける家電のため、省エネ性能の差が電気料金に表れやすい製品です。パナソニックのエコナビのように、開閉頻度や周囲の温度をセンサーで検知し、自動で運転を調整する機能を持つモデルは、常に一定出力で稼働させるタイプよりも無駄な消費電力を抑えやすいとされています。容量だけでなく、こうした自動調整機能の有無も比較のポイントになります。
エアコン|清潔性能と省エネ性能を両立するタイプを選ぶ
エアコンを選ぶ際は、冷暖房能力の畳数目安に加えて、APFの数値を確認することをおすすめします。またシャープのAirestのように、内部の清潔さを保つ機能を備えたモデルは、フィルターの目詰まりによる余分な電力消費を防ぎやすく、長く使ってもパフォーマンスが落ちにくい点がメリットです。
電子レンジ・オーブン|調理の効率化で省エネにつなげるタイプを選ぶ
シャープのヘルシオのように、複数の食材を一度に効率よく調理できる機能を持つ電子レンジ・オーブンは、加熱時間の短縮を通じて電力消費を抑えられます。献立提案やスマートフォン連携などの機能は、料理の手間を減らすだけでなく、余分な加熱や作り直しを防ぐことにもつながり、結果的に省エネにも役立ちます。
購入以外の選択肢|レンタル・リユースという方法
「省エネ性能の高い家電は魅力的だが、買い替えの初期費用がハードルになる」と感じる人も多いはずです。そうした場合は、購入以外の選択肢を検討してみる価値があります。
レンティオ株式会社が運営する家電レンタルサービス「Rentio」は、冷蔵庫や掃除機、季節家電などをレンタルできるサービスです。気に入った製品はそのまま購入することもでき、返却された製品はメンテナンスのうえ別の利用者へと循環させる仕組みを取っています。購入を前提とせず、必要な期間だけ製品を使うという消費のあり方は、目標12が掲げる「持続可能な消費」の実践例のひとつといえます。
こうしたサービスは「まだ製品を試したことがない」「引っ越しなど短期間だけ必要」というニーズにも合っています。レンタルやリユースは、新品を購入することだけがSDGsへの貢献ではないと気づかせてくれる選択肢です。すでに使っている家電を無理に手放す必要はなく、まずは次に買い替えるタイミングでレンタルという方法を検討してみるだけでも、行動の幅が広がります。日常の暮らし方を少しずつ見直したい人は、家電以外の分野での省エネ・節約の工夫もあわせて参考にしてみてください。

SDGs家電によくある誤解|「値段が高いから無理」は本当か
SDGs家電について調べていると、いくつか誤解しやすいポイントに出会います。ここで整理しておきましょう。
「本体価格が高い=手が届かない」とは限らない
省エネ性能の高いモデルは初期費用がやや高く見えることがありますが、年間の目安電気料金や使用年数を踏まえると、長期的には従来品よりも負担が軽くなるケースがあります。本体価格だけで比較するのではなく、統一省エネラベルに記載された目安電気料金を参考に、数年単位のトータルコストで考えることが大切です。
「SDGs家電」は公的な認証マークではない
「SDGs家電」という呼び方は広く使われていますが、法律や国際機関が定めた正式な認証制度ではありません。実際に確認すべきなのは、統一省エネラベルの星の数や省エネ基準達成率といった、国の制度に基づく具体的な数値です。呼び方のイメージだけで判断せず、ラベルやカタログの数値を確認する習慣を持つと、根拠のある選び方ができます。
新品を買うことだけがゴールではない
SDGsが目指すのは「持続可能な消費と生産」であり、必ずしも新しい省エネ家電を次々と購入することを求めているわけではありません。今使っている家電を長く大切に使うこと、必要な分だけレンタルで済ませること、寿命が来た製品を適切にリサイクルに出すことも、同じ目標に沿った行動です。省エネ家電への買い替えは選択肢のひとつであり、自分の暮らし方に合った方法を選ぶ視点が欠かせません。
まとめ
SDGs家電は、法律で定められた特別な製品というより、省エネ性能の高さによって持続可能な消費と生産、そしてクリーンなエネルギーの利用という2つの目標に近づける家電の総称です。統一省エネラベルの星の数や省エネ基準達成率、年間の目安電気料金といった具体的な数値を確認しながら選べば、暮らし方や予算に合った製品を見つけやすくなります。
パナソニックのエコナビやシャープのAirest・ヘルシオのように、メーカー各社は日常の使い勝手を落とさずに省エネを実現する工夫を重ねています。購入が難しい場合は、レンタルやリユースといった選択肢も含めて検討することで、無理のない範囲でSDGsの目標に近づくことができます。まずは今使っている家電の使用年数を確認し、次の買い替えのタイミングで統一省エネラベルをチェックするところから始めてみてください。
- SDGs家電は省エネ性能の高さによって目標7・目標12の実現に近づける家電の総称
- 統一省エネラベルの星の数と省エネ基準達成率で客観的に比較できる
- 本体価格だけでなく年間の目安電気料金を含めたトータルコストで判断する
- 複数メーカーの省エネ技術を比較してから購入するのがおすすめ
- 購入が難しい場合はレンタル・リユースも持続可能な消費の選択肢になる



