地球温暖化対策として、各国で温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みが加速しています。
もちろん、日本でも例外ではありません。
特に、クリーンエネルギーの導入に関して力を入れており、企業だけではなく個人でも取り組めるようにと整備されたのが「クリーンエネルギー自動車の導入事業費補助金」です。
よく耳にするようになった言葉ですが、詳細を知らない方も少なくありません。
こちらの記事では、クリーンエネルギー自動車の導入事業費補助金について詳しく解説します。
クリーンエネルギーの概要については下記の記事をご覧ください。
クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金とは
クリーンエネルギー自動車の導入事業費補助金の正式名称は、「災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」です。
まずは、この補助金について概要は対象となる車について解説していきます。
クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金の概要
クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金が導入されたのは、令和2年度の第三次補正予算です。
温室効果ガスの排出量削減だけではなく、東日本大震災から続く地震や豪雨、台風などがきっかけとなっています。
日本は災害の多い国であり、その都度ライフラインの寸断が起こり、日々の暮らしに影響を与える事態が後を絶ちません。
水道やガスは、備蓄や携帯コンロ等で対応できなくはありませんが、電気については復旧を待つばかりというケースも多いでしょう。
昨今は、充放電設備や外部給電機を導入して、こうした問題を解決する家庭も見られます。
これらの設備は、再生可能エネルギーを日常的に活用することもでい、CO2削減にも大いに役立つでしょう。
クリーンエネルギー自動車の導入事業費補助金では、グリーン社会の実現を進めることを目的としています。
電気自動車や燃料電池自動車等の導入拡大に加えて、日常生活、非常時のどちらでも活用できる充放電設備や外部給電機の普及、再生エネルギー電力を使用したゼロカーボンのライフスタイルを普及促進させることも掲げているのが特徴です。
参照元:令和2年度第3次補正予算案に「災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」等が盛り込まれました|経済産業省
対象について
クリーンエネルギー自動車導入事業補助金は、電気自動車やプラグインハイブリッド車、クリーンディーゼル自動車を購入する際の費用を対象とするほか、充放電設備や外部給電器の購入費もしくは工事費の一部が対象となっています。
ただし、どちらかの購入ではなく、対象となる自動車と電気設備を同時に購入する必要があり、さらに企業には対応していません。
その理由としてあげられるのが、日常的に再生可能エネルギーを活用することを目的とするのではなく、災害時の電力として利用してもらうのが目的となっている点です。
また、補助対象となる期間も定められており、自動車については、2020年12月21日から新車新規登録もしくは新車新規検査届出を行なったものに限ります。
電気設備についても、2020年12月21以降に発注または購入した設備が対象であり、それ以前のものは対象とならないので注意が必要です。
要件について
クリーンエネルギー自動車導入事業補助金を受けるためには、車両や設備の活用状況等に関するモニタリング調査事業に協力することや、災害時にもサポートをする必要があります。
モニタリング調査事業は毎年1回程度実施され、電気自動車や充放電設備などを活用した地域防災への実態調査等にモニター参加するのが要件です。
こうした調査を通して、実際個人家庭に導入された電気自動車や電気設備が、どの程度の貢献度があるかを測ることができます。
クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金が適応される車とは
クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金が適応される車は、電気自動車やプラグインハイブリッド車、クリーンディーゼル自動車の3種類です。
それぞれの特徴について紐解いていきましょう。
電気自動車(EV)
100%電気の力で走行する車のことを電気自動車と言います。
そのため、エンジンは搭載されていません。
つまり、走行時の二酸化炭素排出量はゼロということになります。
また、電力はバッテリーに蓄電され、モーターを使って駆動することから、振動や騒音が少ないのも特徴です。
再生可能エネルギーから充電することができれば、まさしく究極のエコカーとなります。
プラグインハイブリッド自動車(PHV)
大容量バッテリーを搭載した上で、電気自動車の性能を高めたハイブリッドカーのことをプラグインハイブリッド自動車と言います。
外部充電機能が加わり、これまでのハイブリッドカーよりも、電気だけで走れる距離が大幅に長くなりました。
エンジンも搭載しているため、万が一バッテリー残量が少なくなればエンジンを稼働して走行できるので、遠出する際でも安心して使えます。
クリーンディーゼル自動車(CDV)
ディーゼルエンジンを搭載した車が、クリーンディーゼル自動車です。
ディーゼルエンジンは、軽油を燃料としています。
もともとディーゼルエンジンは、ガソリンよりも燃費が良く、維持費が抑えられることから重宝されていました。
しかし、不完全燃焼が起こりやすいといったデメリットがあり、大気汚染ガスや窒素酸化物についての問題も否めません。
2003年にはディーゼル車規制条例が制定され、基準を満たしていないディーゼル車は走行禁止となりました。
そこで、誕生したのが、クリーンディーゼル車です。
粒子状物質や窒素酸化物の排出量が少なく、環境保護に配慮した次世代自動車として注目されています。
参照元:「自動車NOx・PM法の車種規制について」|国土交通省・環境省
クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金の注意点
賢く活用することで、金銭的にも環境にもいいクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金ですが、車を購入する前に確認しておきたい注意点があります。
より効果的に補助金を活用するためにも、一つずつ把握しておきましょう。
処分期限期間について
クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金の交付を受けた対象車は、4年もしくは3年間保有しなければなりません。
万が一、期間中に処分するようなことがあれば、所定の手続きをした上で、補助金の一部を返す必要があります。
さらに、返納が完了するまでは、次の対象車への補助金は交付されないので要注意です。
ただし、天災や過失のない事故によって走行不能となった場合は、この限りではありません。
クリーンエネルギー自動車特有の費用
クリーンエネルギー自動車は、維持費がリーズナブルであるものの、ガソリン車にはかからないコストが発生する可能性があります。
例えば、クリーンディーゼル車の場合、一部の車種では「アドブルー(尿素水)」を補填しなければなりません。
アドブルーを補填することで、ディーゼル車特有のススを浄化します。
また、電気自動車やプラグインハイブリッド車の中には、専用の充電設備を設置しなければならないタイプもあるので、購入前には注意が必要です。
まとめ
クリーンエネルギーの導入は、日本だけではなく地球規模で欠かせない取り組みです。
電気自動車や燃料電池自動車、そして充放電設備の導入が、各家庭で進めば、ゼロカーボンのライフスタイルの確率も夢ではありません。
また、こうしたアイテムは、この先ますます進化していくでしょう。
しかし、まだまだコストが高く、一般家庭では手の届かないものとされているのも現状です。
そこで、政府が取り入れたクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金をうまく活用すると、地球環境に優しい自動車を金銭的にも優しい価格で手に入れることができます。
こうした補助金は、頻繁に更新されており、さらに増える可能性もあるでしょう。
日頃から補助金に関する動きに注目しながら、効果的に活用してゼロカーボンライフを目指しましょう。