SDGsを学ぶ方におすすめのTwitterアカウントをご紹介するVol.2として、この記事を全面的に書き直しました。Twitterは2023年7月に「X」へ名前が変わりましたが、今もTwitterの呼び名で探している方がいるため、この記事では「X(旧Twitter)」と書きます。SDGsは、2015年に国連で採択された、2030年までに達成をめざす17のゴールと169のターゲットのことです。定義はここまでにして、本題に入ります。知りたいのは、日々更新されるSDGsの情報をXでどう追えば、迷わず学べるかという点です。
前回のVol.2では個人の発信者を4つ紹介しました。今回はその見方を整理し直したうえで、国連・外務省・環境省の公式アカウントと、フォローする相手を選ぶときの基準を加えています。
SDGsの認知は8割超、達成は道半ば|2025年のデータで見る「いま」
SDGsという言葉は、すでに広く知られています。クロス・マーケティングが2025年6月4日から6日に、全国47都道府県の18〜69歳の男女3,000人へインターネットで行った調査では、SDGsの認知率は83%でした。ここでの認知率は、「名称も内容も知っている」と「名称は聞いたことがある」の合計です。2022年から横ばいが続き、同社は「4年連続横ばい」と報告しています。
一方で、達成の状況は順調とは言えません。国連が2025年7月に公表した「持続可能な開発目標(SDGs)報告2025」では、世界の傾向データで評価できた139のターゲットのうち、2030年に向けて順調なものは18%でした。中程度の進捗があるものを合わせても35%にとどまります。日本については、国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)の「Sustainable Development Report 2025」で、167カ国中19位と評価されています。
言葉の認知が頭打ちになっている一方で、数字は毎年更新され、論点も入れ替わっていきます。だからこそ、一度学んで終わりにせず、新しい情報を継続して受け取る手段が要ります。Xは、公的機関や団体が発表の直後に短く告知することが多い場です。ただし、誰をフォローするかで受け取る情報の質は大きく変わります。
Vol.2で紹介した個人アカウント4つ|入り口が違えば学べることも変わる
前回紹介した個人の発信者は、SDGsの入り口がそれぞれ違いました。以下の内容は紹介した時点のものです。現在の投稿内容や運用状況は、各プロフィールでご確認ください。ここでは4人の名前を挙げながら、入り口の違いを「型」として見ていきます。
宇宙への関心から環境を考える発信
ayami~宇宙&SDGs~さんは、宇宙物理学者を志して大学で物理を専攻した経歴をもち、星空と自然を後世に残したいという思いからSDGsを学び始めた方です。世界各地で天体観測をするなかで、ウユニ塩湖の景観が観光地化による環境汚染で危ぶまれていると知り、行動を考えるようになったと紹介されていました。プラスチックごみやポイ捨ての問題を、具体的なニュースにつなげて伝える発信です。
SDGs検定の学びを暮らしに重ねる発信
フリーアナウンサーの松永安奈さんは、元NHKアナウンサーで、SDGs検定の資格を取得して暮らしへの取り入れ方を模索している、と紹介されていました。再利用素材のスニーカーやシリコン製のストローなど、身につけるものや日用品の選び方が見える発信です。防災や、アナウンサーの仕事に関わる投稿も混ざります。資格の勉強をしている人には、学びを暮らしに結びつける参考になります。
ブランドの開発と日々の暮らしを行き来する発信
Ikuko Kawasakiさんは、メンズスキンケアブランドZIGEN株式会社の取締役です。成分や容器まで環境への配慮を意識した商品づくりを手がける立場から、無農薬での野菜の自家栽培といった日々の暮らしまで発信していると紹介されていました。仕事と暮らしの両方が見えるので、エシカルな選択を日常にどう落とし込むかをイメージしやすいのが特徴です。
山歩きとセルフケアから地球を見る発信
白壁彩さんは、大学病院の看護師や地域の保健師を経て、セルフケアの相談や、YouTubeでの山歩きの発信を行っている方です。ベランダでの家庭菜園やコンポストを楽しむなど、地球環境と向き合う日常が、山の風景写真とともに紹介されていました。健康や心のケアという切り口からSDGsに近づきたい人に向いています。
この4つの型に共通するのは、SDGs全体を網羅的に語るのではなく、自分の好きなことや仕事から入っている点です。自分の関心に近い入り口の発信者を選ぶと、投稿を読み続けやすくなります。
公式アカウントを起点にする|国連・外務省・環境省の使い分け
個人の発信は読みやすい反面、情報の正確さは発信者次第です。そこで、まず軸になる公式アカウントを2〜3つ決めておくと、あとから個人アカウントを足したときに内容を見比べやすくなります。ここでは、公式サイトで運用が確認できたアカウントを紹介します。
国連広報センター(UNIC Tokyo)|国連の動きを日本語で
国連広報センターのアカウントは@UNIC_Tokyoです。国連の活動を日本語で伝える広報事務所で、公式サイトにはSDGsや気候変動と国連の取り組みを解説するページもあります。世界全体の進捗や、国連事務総長のメッセージなど、国際的な動きを日本語で追いたいときの起点になります。
外務省|日本政府の対外的な取り組み
外務省の代表アカウントは@MofaJapan_jpです。外務省のSNS一覧には、ODA(政府開発援助)など担当部署ごとのアカウントも並んでいます。日本が国際社会でSDGsにどう関わっているかを知りたいときは、この一覧から担当部署のアカウントを探すと、発信の入り口が見つかります。一覧は更新されるため、フォローする前に最新の掲載内容を確認してください。
環境省と「デコ活」|暮らしに近い環境施策
環境省の公式アカウントは@Kankyo_Jpnで、各種施策の情報を随時発信しています。暮らしの脱炭素を促す「デコ活」には専用の@KankyoDecokatsuがあり、地球温暖化対策課の脱炭素ライフスタイル推進室が運用しています。省エネや移動、住まいなど、日常の選択に結びつく情報を探している方は、このアカウントが近道です。
環境省の地域アカウント|現場の写真が流れてくる
環境省の公式SNS等一覧には、本省以外のアカウントも載っています。たとえば、佐渡自然保護官事務所は野生のトキの最新情報を、阿蘇くじゅう国立公園の管理事務所は登山道の整備や外来種の駆除といった管理の取り組みを発信しています。政策の文章だけではわかりにくい、自然保護の現場の様子が写真つきで届きます。ゴール14や15のような生物多様性の話を、身近なものとして感じるきっかけになります。
フォローする相手の選び方|4つの基準
フォロー先を決めるときは、フォロワー数や見た目の分かりやすさより、次の4つの基準を確かめると失敗しにくくなります。個人でも団体でも使えます。
一次情報へのリンクがあるか
数字や制度に触れる投稿に、国連・省庁・企業の公式資料へのリンクが付いているかを見ます。リンクがあれば、元の資料に当たって、投稿の要約が正しいか自分で確かめられます。リンクのない数字が続くアカウントは、保存する前に一度ほかの情報源と照らし合わせるほうが安心です。
立場と利害が示されているか
企業の関係者や、商品を扱う人がSDGsを発信することは珍しくありません。それ自体は問題ではなく、取り組みを知る貴重な機会にもなります。ただ、読み手としては、発信者の立場が分かるかを確かめると、投稿を冷静に受け取れます。プロフィールで所属や仕事が明記されているアカウントは、情報の位置づけが分かりやすくなります。
数字に出典と日付があるか
SDGs関連の数字は、調査の対象や時期によって変わります。出典と年が添えられている投稿は、あとで見返したときに古い情報かどうかを判断できます。「世界の○割」といった数字だけが流れてくるときは、いつの、誰の調査かを確かめる習慣をつけておくと役立ちます。
扱うテーマの幅と偏りは自分に合っているか
17のゴール全体を扱うアカウントもあれば、環境や教育など一つの分野に絞ったアカウントもあります。最初は幅広いアカウントを1〜2つ、次に関心の強い分野を扱うアカウントを足す順番が、情報の偏りを抑えるうえで現実的です。自分の関心に合わない分野ばかり流れてくると、続けにくくなります。
流れてくる情報の落とし穴|同じ報告書でも数字が二通りで流れる
フォローしただけで「SDGsを学べた」とは言えません。タイムラインに流れる情報は、発信者が切り取った一部です。ここでは、誤解が生まれやすいポイントを3つ挙げます。
同じ報告書でも「18%」と「35%」が別々に流れる
先ほどの国連報告書を例にします。報告書には、順調なターゲットが18%、順調または中程度の進捗を合わせると35%という、二つの数字が載っています。メディアの記事や投稿によって、片方だけが大きく取り上げられることがあります。どちらも同じ報告書から出た数字で、矛盾はありません。ただ、18%だけを読むと「ほとんど進んでいない」、35%を読むと「3分の1は進んでいる」と、受ける印象が変わります。
感情を強く動かす投稿ほど元の資料を確認する
強い言葉で危機を訴える投稿や、逆に「もう大丈夫」と安心させる投稿は、広く共有されやすい傾向があります。共有される理由は内容の正しさとは別です。心が動いたときほど、一度立ち止まって、元の資料やほかの発信者の見解を見比べてみてください。
リストやミュートで偏りを調整する
Xには、フォローした相手を分けて見られるリスト機能があります。公式アカウント用のリストと、個人の発信者用のリストを分けておくと、あとで情報を見比べやすくなります。関心の薄い話題が増えてきたときは、無理に追い続けず、ミュートを使うのも一つの方法です。
フォローで終わらせない|今日から始める使い方
情報を受け取るだけで終わると、学びが行動に結びつきません。次の手順で、受け取ったものを日常につなげてみてください。
- 公式アカウントを2〜3つ選んでフォローし、専用のリストにまとめる
- 関心に近い個人アカウントを1〜2つ足し、立場と出典の書き方を確かめる
- 気になった数字や制度は、元の資料のリンクを開いて、出典と年を確認する
- 週に一度、リストを見返して、行動に移せそうな話題を一つだけ書き留める
行動は大きなものでなくて構いません。たとえば、環境省の「デコ活」の発信から、家の中で変えられる習慣を一つ選ぶ。国連の発信から、気になったゴールを一つ調べてみる。そうした小さな選択が、情報を受け取るだけの状態から、自分で考える学びに変えてくれます。
はじめに、フォローするのは公式アカウント1つで十分です。読み続けられそうかを確かめながら、少しずつ広げていってください。
まとめ
SDGsの認知率は2025年の調査で83%と高い水準にある一方、国連の報告では、順調に進んでいるターゲットは限られています。言葉は広まったものの、数字は動き続けているため、新しい情報を継続して受け取ることが学びの土台になります。Xは、その入り口として使いやすい場です。
フォローする相手は、公式アカウントを軸にしつつ、自分の関心に近い個人の発信者を足していく形が現実的です。選ぶときは、一次情報へのリンク、発信者の立場、数字の出典と日付、テーマの偏りを確かめましょう。Vol.2で紹介した4つの個人アカウントのように、入り口が違えば見える景色も変わります。同じ報告書でも数字の見せ方で印象が変わることを知っておくと、情報に振り回されにくくなります。
- SDGsの認知率は83%で横ばい、達成状況は評価できたターゲットの18%が順調にとどまる
- 国連広報センター・外務省・環境省の公式アカウントを軸に据える
- 一次情報へのリンク・発信者の立場・出典と日付・テーマの偏りの4点で相手を選ぶ
- 同じ報告書でも数字が二通りで流れる点に気をつけ、元の資料に戻る
- まずは公式アカウントを1つフォローし、気になった話題を一つだけ書き留める
参考文献
- クロス・マーケティング「SDGsに関する調査(2025年)」(2025年)
- 国連「The Sustainable Development Goals Report 2025」(2025年)
- SDSN「Sustainable Development Report 2025 日本のプロファイル」(2025年)
- 環境省「公式SNS等一覧」
- 外務省「公式SNS等一覧」
- 国連広報センター「公式サイト」

