現在40を超える大学で活動し、団体所属の学生数は500名を超える一般社団法人STUDY FOR TWO。全国の大学生から教科書の寄付を受け、それを再販売して出た利益から途上国支援を行なっている当団体について、学生代表で埼玉大学4年生の土井さんと、学生副代表で大阪大学4年生の中筋さんのお二人に、MIRASUS編集部がお話を伺いました。
「STUDY FOR TWO」設立の経緯
―団体の設立年、設立目的、立ち上げの経緯を教えてください。
設立は2010年4月です。勉強がしたくてもできない途上国の子どもたちと高い教科書代に悩まされる大学生に対して、「両者の課題を同時に解決できる仕組みを作りたい」という想いから、当時早稲田大学の学生であった石橋孝太郎によって団体は設立されました。
設立から10年を超えた段階で、支援先であるラオス・バングラデシュ・ネパール・タンザニアへの累計寄付金額は3000万円を突破し、次は年間寄付額1000万円を目指しています。
「教育で人生が、世界が、未来が変わる。」を社会的使命とし、現在では北海道から長崎まで、全国40以上の大学で500人以上の学生が活動しています。
下記のYouTubeにもSTUDY FOR TWO設立秘話を載せていますので、ぜひご覧ください。
―団体のビジョン・ミッションを教えてください。
活動理念として下記の2つを掲げています。
- 勉強したいと願うすべての子どもたちが勉強できる世界に
- FOR ME, FOR TWO のボランティアが身近になる世界に
団体設立者の石橋がラオスでボランティア活動をした際、勉強できない子どもたちが多いことを目の当たりにしました。その経験から、教科書の高さと勉強できない子どもたちの問題を結びつけて、団体を設立しました。
また、ボランティア活動には自己犠牲が伴うイメージがありますが、私たちの活動はWin-Winの関係を目指しています。教科書を半額で買える大学生と、それによって勉強できる子どもたちの双方に幸運を届ける活動をしています。
教育格差がなくなり、世界の子どもたち誰もが平等に教育を受けられる世界を目指し、そして、ボランティアというものが誰でももっと身近に感じられるようにしていきたいと思います。
具体的な活動内容
―現在の主な活動を教えてください。
STUDY FOR TWOの活動は、「回収」「販売」「支援」の3つから成り立っています。
「回収」では、大学生から使い終えた教科書を寄付していただきます。大学ごとに活動を行っており、学期末に期間限定で露店を出したり、学内に回収ボックスを設置したりして、教科書の寄付を募っています。
「販売」では、寄付していただいた教科書を、大学生に向けて基本的には定価の半額の値段で安価に再販売いたします。そして、「支援」として利益の80%以上を途上国の子どもたちへの教育支援に充てています。
―現在のメンバー数と組織構成を教えてください。
全国40以上の大学に、約500名のメンバーが所属しています。組織構成としては、各支部と事務局に分かれています。大学ごとに支部があり、自分たちの支部の回収販売で成果を上げるために活動をしています。
事務局は団体全体の方向性を決定する機関です。団体全体の規模を広げたり、メンバー1人1人が活動しやすい環境づくりを目指しています。
―支部立ち上げの流れと支部を立てる際の判断軸を教えてください。
基本的には、その大学の学生からホームページや公式SNSで連絡を受け、支部設立チームが対応します。活動の方法やメンバーの集め方、顧問の先生の選び方、口座の開設方法など、必要な情報を新しい支部に伝える流れになっています。
やはり学生数の多い総合大学は団体としてもぜひ支部を立ち上げたいとなりますし、また特定の学問に特化した大学では、同じ教科書や教材を生徒が再利用しやすいため、活動がスムーズに行えると考えています。
―活動を行う中でのやりがいや、反対に大変なことを教えてください。
やりがいは、メンバーひとりひとりが自身の関心を織り交ぜながら、数字としての成果を上げることができることです。団体内でのすべての行動は長期的な寄付金向上のためのものであり、その手段として各々が得意なこと、やりたいと思うことを実践できます。大変なことは、メンバーの入れ替わりが避けられないことです。長期目標を掲げても、それが達成される頃には自分が団体にかかわることができないため、難しさを感じます。
―他団体と違う何かユニークな特徴があれば教えてください。
大学生にとって身近な教科書を使って、国際協力ができること、またボランティアとして、成果を追求しているところです。
また、私たちの活動は途上国を救い、絶対的貧困の問題を解決するのはもちろんですが、日本の大学生における教育格差の問題も教科書を通して支援できるという点で、相対的貧困の解決にも取り組んでいます。絶対的貧困と相対的貧困、その両面にアプローチできるのは私たちの一つの特徴と言えると思います。
今後の展望
―今後の活動予定や方針などありましたら教えてください。
まずは今の取り組みをさらに強化して、年間寄付額1000万円の達成を目指していきます。
また最近、ホームページ経由で社会人の方からのお問い合わせが増えてきました。多くの社会人の方が大学生の活動を応援したいと感じて下さっていることをとても実感します。社会人とのつながりをどう作るか考えた結果、オフィスや店舗に教科書の回収ボックスを設置し、集めた教科書をオンラインで販売するというアイデアが浮かび、今どうやって実現できるかを検討しています。また、クラウドファンディングなどの方法で、途上国の支援を行っている大学生を支援できる仕組み作りも考えています。
―大学や企業、自治体や地域の方など外部との関わりは何かありますか?
大学側から公認をいただき、学内で活動している支部が多いです。外部とのかかわりとしては、消費者庁の消費者白書、毎日新聞様、水戸経済新聞様からの取材、寄付金送付先であるRoom to Read様のSNSでの活動紹介などがあげられます。
―最後にどのような学生にSTUDY FOR TWOに入ってもらいたいですか?
私たちは途上国の教育支援を行っている団体なので、まずは教育格差や貧困問題に関心を持つ学生に参加してほしいと考えています。また、ボランティアでありながらきちんと成果も追求していきますので、精力的に新しいことに挑戦したいという向上心を持った学生がこの団体で活躍できると思っています。
誰かのためになれるチャンスというのがたくさん転がっている環境ですので、ぜひ興味がある方はご連絡お待ちしています。
―今回はお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
▼ 今回活動をご紹介した一般社団法人STUDY FOR TWOのホームページはこちら
https://studyfortwo.org/