本記事では「エチオピアの水問題」について考察します。
結論から伝えると、いまだにエチオピアでは子どもが水汲みをしていたり、不衛生な水で命を落としたりしています。
それでもエチオピア自身も、日本や世界の国々でも水問題と向き合い、対策を講じています。
わたしたち一人ひとりにできることまで解説しますので、最後まで読んで環境問題への理解を深めましょう。
エチオピアが抱える水問題の現状とは
あなたはエチオピアが抱える水問題を知っていますか。
エチオピアの水問題は、われわれ恵まれた日本人から想像もできないほど深刻です。
たとえば、下記のような現状があります。
・水汲みが子どもの時間を奪う
・不衛生な環境により下痢症や脱水症状に
今でこそ、日本や他国からの支援を受け、少しずつ水道設備が普及しつつあります。
しかし、いまだに水問題の解決には至らず、苦しんでいる地域住民は少なくありません。
まずは、エチオピアが抱える水問題の現状を把握しましょう。
水汲みが子どもの時間を奪う
エチオピアでは、毎日何時間も家族のために水汲みを繰り返す子どもたちがいます。
先進国のように井戸があったり、蛇口がひねれば水が出る水道設備だったりを備えていません。
子どもたちは、自分の体と時間を使って、川や池から水を汲んでいるのです。
実際、ユニセフのページには、エチオピアで水汲み仕事を担う少女のエピソードが公開されています。
“朝早くから夕方近くまで、炎天下の砂漠を一日中歩いて家族のために水を汲むアイシャ。それでも手に入るのは、1人あたりわずか5リットル未満の茶色い水だけです。近くに井戸ができれば、アイシャの人生は変わります。”
引用元:ユニセフ
水汲みの時間がなければ、年相応の勉強や趣味、友人と遊ぶことができるはずです。
水道設備の有無は、人生における自由度に関係しているとわかります。
不衛生な環境により下痢症や脱水症状に
仮に、川や池から水は入手できるとしても、彼らは高度な浄水設備を持ちません。
そのため、不衛生な泥水をすすり、結果下痢症や感染症を引き起こしています。
また、それが嫌でも飲まなければアフリカの気候に耐えきれず、脱水症状を避けられません。
こちらもユニセフによると、不衛生な環境によって「毎日800人」の乳幼児が命を落としているといいます。
“浄水処理をしないまま飲むと、抵抗力の弱い子どもたちはたちまち下痢を起こしてしまいます。汚れた水を主原因とする下痢で命を落とす乳幼児は、年間30万人、毎日800人以上にものぼっています。”
引用:ユニセフ
苦労した手に入れた水が、命を落とすことに繋がっているのです。
健康を維持するために、安心安全な水を飲むことは、生活上不可欠だといえます。
アフリカ全体が抱える水問題の現状とは
そもそも、水問題というのはエチオピアに限った話ではありません。
アフリカ全体で見ても、たくさんの国や地域がまともな水を確保できずにいます。
その原因は「自然によるもの」と「人為的なもの」の2つにわかれます。
ここでは、それぞれの原因について詳しく解説しましょう。
アフリカの水が不衛生で汚い原因
アフリカの飲料水が不衛生で汚い原因は、至ってシンプルです。
それは、ほとんどの国が高度な水道設備を持たないからです。
アフリカでは、水道設備を設置する技術も資金力も人材もありません。
そのため、先進国頼りなのは避けられないのです。
浄化処理をしていない池や川、野ざらしの井戸には、不純物が大量に含まれています。
泥や細菌、動物の糞尿などを含んだ危険な水が、飲用に不適なのは当たり前です。
アフリカ全体の発展を底上げするのは、そう簡単ではないでしょう。
現実問題、アフリカの水問題を解決するには、やはり先進国からの支援が頼みの綱になります。
上流国と下流国の既得権益
アフリカでは、ナイル川の取水量を巡って、上流国と下流国が既得権益争いを起こしています。
まだ世界大戦が勃発していた頃、流域国同士で結ばれた協定が残っており、いまだに効力を発揮しています。
実際、2021年になってエチオピアがナイル川上流に巨大ダムを建設すると発表したところ、下流国のエジプトとスーダンに猛反発されました。
降雨の少ないアフリカにおいて、ナイル川を主要な水源とできるかどうかは、国の存続にも影響します。
エチオピアのダム建設が実現すれば、アフリカ全体で見ると新たな水問題が生まれるかもしれません。
エチオピアの水問題に対する取り組み
次は、エチオピアの水問題に対する取り組みを紹介します。
エチオピア自身や日本・世界は、どういった形で解決に臨んでいるのか知りましょう。
エチオピア自身の取り組み
エチオピアでは、2011年から「大エチオピア・ルネサンスダム」と呼ばれる巨大ダムをナイル川に建設し始め、すでに完成して実用化されています。
しかし残念ながら、無制限に貯水できるわけではありません。
下流国のエジプト・スーダンの両国から法的拘束力を持つ協定を盾に、反対されているからです。
現在では、下流国の深刻な影響が出ないよう貯水量や計画を考えています。
そのため降水量さえ見込めれば、水不足に陥る可能性は低いと見られます。
日本や世界の取り組み
日本や世界各国からは、水道設備を提供することで支援しています。
特に、ユニセフや特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパンが中心となって活動しています。
同団体らの支援により、エチオピアの多くの村々や学校、保健センターに給水所が設備されました。
ユニセフいわく、給水所の設置により、大きく衛生環境が改善されたとのことです。
“給水所ができた地域では、下痢や病気の症例が減り、手洗いなどの衛生習慣が根づき、何より子どもたちが目に見えて元気になってきています。”
引用:ユニセフ
エチオピアの水問題に対して私たちができること
最後に、エチオピアの水問題に対して私たちができることを考えてみます。
私たち一人ひとりの意識次第で、できることばかりです。
恵まれた日本人だからこそ、どれか一つでも挑戦してみましょう。
まずは環境問題に興味関心を向ける
まずは、環境問題について興味関心を向けましょう。
政府や団体の方針は、国民の声を参考にしています。
わたしたちが環境問題について興味を持ち、SNSやブログ、口頭で発信するだけでも世間の風潮は変化していくのです。
日頃からアンテナを張って、環境問題への意識を強めましょう。
そうすれば、自分ひとりでも貢献できる機会や活躍場所が見えてくるはずです。
募金やクラウドファンディングで支援する
可能であれば、募金やクラウドファンディングで支援することも検討してみるのも良いでしょう。
いまや個人が支援するのは簡単に実現できます。
何十万、何百万の規模でなくても、コンビニの募金箱やネットの支援窓口に入金するだけで、支援したと言えます。
もちろん、お金を使うので無理のない範囲で挑戦すべきです。
それでも、個人の力が集まれば大きな金額になり、手押しポンプや給水施設の設備まで実現できます。
ユニセフ募金は「税額控除の対象」になり、約40%が所得税額から控除されます。
お金に余裕がある人は、節税目的で社会貢献するという選択も検討してみてはいかがでしょうか。
ユニセフ・非営利団体の活動に参加する
もしアフリカの環境問題に対して積極的に関わりたいのなら、ユニセフや非営利団体の活動に参加することも可能です。
もちろん参加する条件は簡単ではありませんし、経済的な問題や環境的な問題もあるでしょう。
そういった面を見れば、誰もが取れるような選択ではありません。
それでも熱い気持ちがあるなら、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ユニセフや特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパンでは、職員を採用しています。
小さな意識でエチオピアの水問題は救われる
最後に本記事のポイントをおさらいしましょう。
・エチオピアでは、いまだに水汲みが子どもの時間を奪い、不衛生な環境により下痢症や脱水症状に陥るような問題を抱えている
・エチオピアは巨大ダムの建設により、十分な水量の確保を目指しているが、下流国の反対により貯水量や計画が制限されている
・わたしたちにできることは、環境問題についてアンテナを張り、日頃からSNSや口頭で発信しつつ、余裕があれば募金やクラウドファンディングで支援もできる
わたしたちの小さな意識で、エチオピアの水問題は解決に向かいます。
本記事を最後まで読まれた方、それだけでも環境問題への意識が高まっている証拠です。
自分のできる範囲で、日本のみならず世界中の環境問題と向き合っていきましょう。