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地方創生とは?日本の地方が直面する課題と「地方創生2.0」への新たな道筋

地方創生とは?日本の地方が直面する課題とその解決への道筋

日本の人口は、
2025年1月1日時点で1億2433万人となり、前年から55万4485人(0.44%)減少しています。2009年をピークに16年連続の減少
が続いています。特に地方では若者や女性の流出が深刻で、このまま放置すれば医療・交通などの公共サービスが維持できなくなる地域が相次ぐ恐れがあります。こうした危機を乗り越えるために、いま改めて注目されているのが「地方創生」という取り組みです。この記事では、地方創生の基本的な意味から直面する課題、そして2025年6月に政府が打ち出した新たな方向性「地方創生2.0」まで、わかりやすく解説します。

地方創生とは何か

地方創生とは、人口減少や経済の停滞が進む地方を再生し、地域の特性を活かした持続可能な社会をつくり上げる取り組みです。具体的には、地方の人口を維持・増加させ、地域経済を活性化し、地域の魅力を高めることを目指します。

単なる経済的な成功だけを目指すのではなく、地域が将来にわたって自立して発展し続けられる環境を整えることも、地方創生の重要な目的です。地域の資源や文化を活かした産業の育成、コミュニティの強化、若者や女性にとって魅力的な職場環境の創出などが、その中核をなしています。

地方が直面する3つの課題

1. 人口の減少

総務省統計局が2025年4月14日に公表した人口推計によると、日本の総人口は1億2380万2千人で前年に比べ55万人(-0.44%)の減少となり、14年連続で減少しています。日本人人口は1億2029万6千人で前年に比べ89万8千人(-0.74%)の減少となり、13年連続で減少幅が拡大しています。

さらに、
日本総研が2025年12月23日に発表した分析によると、2025年の出生数は全国で前年同期比3.2%減少しており、大都市を除く地域では3.7%とさらに高い減少率が続いています。
人口が減ることで、バスや鉄道・病院など地方の公共サービスが維持しにくくなり、地域そのものの持続性が問われています。

2. 少子高齢化の進行

2024年10月1日現在、65歳以上人口は3624万3千人で総人口に占める割合は29.3%と過去最高となっています。一方、15歳未満人口は1383万人で割合は11.2%と過去最低を記録しました。

生産年齢人口が減り続けると税収が落ち込み、地方の財政基盤はさらに弱くなります。高齢者の増加に伴う社会保障費の増大との板挟みも、地方自治体が抱える深刻な課題です。

3. 若者・女性の流出と労働力不足

大和総研が2024年8月20日に公表した分析によると、地方創生の取り組み開始から10年を経た時点で、都市圏に属さない小規模自治体の8割弱は人口減少に歯止めがかからず、その多くが「消滅可能性都市」と重なる状況にあります。
内閣官房が2025年6月13日に閣議決定した「地方創生2.0基本構想」の本文でも、若年層の女性が地元を離れる決断をした理由として「やりたい仕事がない」「結婚・出産の圧力が息苦しい」といった声が紹介されています。若年女性の地方からの人口流出に歯止めをかけるためには、地方の強みを活かしつつ、若い世代の意識の変化を直視した対応が必要だとされています。

地方創生の歴史と法制度

まち・ひと・しごと創生本部は2014年(平成26年)9月3日の閣議決定により設置され、同年11月28日にまち・ひと・しごと創生法が公布・施行したことにより、12月2日からは内閣に設置される法定の組織となりました。
まち・ひと・しごと創生法は、急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことを目的としています。

この法律のもとで第1期・第2期の総合戦略が展開されてきましたが、地方の人口減少に歯止めをかけるという目標は達成できていないという評価が広がっています。こうした反省を踏まえ、2025年に「地方創生2.0」という新たな枠組みが打ち出されました。

「地方創生2.0」|2025年6月に閣議決定された新方針

2025年6月13日に閣議決定された「地方創生2.0基本構想」では、「当面は人口・生産年齢人口が減少するという事態を正面から受け止めた上で」という考え方が強調されています。2014年策定の第1期総合戦略では人口減少そのものを食い止める視点が前面に出ていたことを踏まえると、前提となる認識の大きな転換といえます。
石破総理はとりまとめ会議での議論を踏まえ、「当面の人口減少を正面から受け止めた上で、官民連携を強化していくことを前面に打ち出し、令和の日本列島改造を進めていく」と述べました。新方針の柱には「稼ぐ力を高め、付加価値創出型の新しい地方経済の創生(地方イノベーション創生構想)」と「人や企業の地方分散」が掲げられています。
国は2025年中に新たな総合戦略を策定するとしており、本基本構想は今後10年間を対象として策定されています。

地方創生2.0の主な施策の方向性

若者・女性にも選ばれる地域づくり

地域社会のアンコンシャス・バイアスなどの意識変革や魅力ある職場づくりにより、若者や女性が地方に残りたい、東京圏から地方に戻りたいと思える地域をつくることが重要な柱となっています。また、多様な食や伝統産業、自然環境や文化芸術の豊かさといった各地域のポテンシャルを活かして高付加価値化することも方針に盛り込まれています。

デジタル・AIを活用した地方活性化

人口減少が続く事態を正面から受け止め、社会・経済が機能するための適応策も講じる方針です。AI・デジタルなどの新技術を活用し、ドローン配送などにより地方における社会課題の解決を図り、誰もが豊かに暮らせる社会の実現を目指すとしています。

交通空白の解消

「交通空白解消に向けた取組方針2025」に基づき、2025年度から2027年度を集中対策期間として、日本版ライドシェアの普及や民間技術の活用、自動運転の普及・拡大など、地域交通のリ・デザインを全面展開するとしています。

地方創生とSDGsのつながり

地方創生とSDGs(持続可能な開発目標)は、深く結びついています。SDGsの「目標11:住み続けられるまちづくりを」はまさに地方創生の目指す姿と重なりますし、「目標8:働きがいも経済成長も」や「目標10:人や国の不平等をなくそう」も、地方での雇用創出や都市と地方の格差是正を通じて達成に近づけることができます。

政府はSDGsの理念を地方創生に取り込む取り組みとして「SDGs未来都市」制度を設けており、地域の特性に応じた経済・社会・環境の三側面を統合した持続可能なまちづくりの先進事例を積み上げています。

地方創生の残された課題

「地方創生2.0基本構想」の本文でも指摘されているように、これまでの地方創生では子育て支援や移住促進が中心となり、地方公共団体間での人口の奪い合いにつながったという反省点が挙げられています。また、人口減少の中でも機能し得る地域社会や産業構造の再構築に向けた本格的な取り組みが後回しにされてきたのではないかという認識が示されています。
大和総研の分析では、都市圏外の小規模自治体でも、地域資源に恵まれ的を射た戦略を構築できた地域では、所得水準を保ち人口減少にある程度の歯止めをかけた例もあるとしています。観光で集客し、地域資源に紐づけた新商品をストーリーやライフスタイルと抱き合わせて販売する戦略が、所得向上につながると考えられています。

一時的な補助金頼みではなく、地域が自走できる産業や雇用の仕組みを地元の人々が主体となってつくることが、持続可能な地方創生の鍵といえます。

私たちにできること

地方創生は、国や自治体だけが取り組む課題ではありません。たとえば、地方の特産品を意識的に購入すること、ふるさと納税を通じて関心のある地域を応援すること、農村や地方都市への旅行・移住・二地域居住を検討することなど、個人レベルでも地域とのつながりを築く選択肢はたくさんあります。

また、地方創生に取り組む企業やNPOのプロジェクトに関心を持ち、SNSなどで情報を発信することも、地域の魅力を広げる力になります。日本の地方が抱える課題を「他人事」にせず、自分なりの関わり方を探してみることが、持続可能なまちづくりへの第一歩となるでしょう。

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