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世界を繋ぐインターネットの普及率について国別・日本における推移を解説

インターネットの普及率は、国や地域ごとの生活水準・教育機会・災害対応力を左右する重要な指標です。日本では総務省の調査によって長年の推移が公表されており、世界全体で見ると国別の普及率には今なお大きな開きがあります。この記事では、国別のインターネット普及率の現状と、日本国内での推移を整理したうえで、普及率という数字だけでは見えてこない「情報格差」の実態と、日本の自治体・企業が進める対策までを取り上げます。

この記事で学べること

  • 世界の国・地域別に見たインターネット普及率の現状と格差の傾向
  • 日本のインターネット普及率が2006年からどう推移してきたか
  • 年代によって利用率・利用目的が大きく異なる「情報格差」の実態
  • 普及率が上がっても解消しきれない課題と、その誤解されやすいポイント
  • 日本の自治体・通信企業が進めるデジタル格差解消の具体的な取り組み

インターネット普及率とは|世界と日本の数字をまず押さえる

インターネット普及率とは、人口に対してインターネットを利用している人の割合を示す指標です。回線の有無だけでなく、スマートフォンやモバイル回線経由の利用も含めて算出されるのが一般的で、国連関連機関である国際電気通信連合(ITU)や各国政府の統計調査によって毎年公表されています。

世界全体で見た普及率のおおまかな水準

ITUの推計によると、2023年時点で世界人口のおよそ7割弱にあたる人がインターネットを利用していると報告されています。裏を返せば、今なお世界人口の3割以上にあたる人々がインターネットに接続できていない状況が続いているということです。

日本の普及率の位置づけ

一方、日本は個人のインターネット利用率が8割台半ばで推移しており、世界的に見れば普及が進んだ国のひとつに数えられます。ただし、後述するように「利用率が高い」ことと「情報格差がない」ことはイコールではありません。まずは世界の状況から詳しく見ていきます。

世界のインターネット普及率|国・地域で広がる格差の実態

インターネット普及率を国別に見ると、所得水準や通信インフラの整備状況によって大きな差があることが分かります。

高所得国と新興国の差

北欧諸国や中東の湾岸諸国など、通信インフラへの投資が進んだ国では普及率が99%前後に達しているとされ、ほぼ全国民がインターネットにアクセスできる環境が整っています。一方で、人口増加が続くインドのように、経済成長が期待される国であっても普及率が世界平均を下回る水準にとどまっているケースも報告されています。こうした国では携帯電話回線を使ったモバイルインターネットの普及が先行しており、固定回線の整備を飛び越える形でネット利用が広がっている点も特徴です。

アフリカなど新興国地域での急速な拡大

ITUの地域別データでは、アフリカ地域の普及率は世界の中で最も低い水準にとどまっているとされていますが、モバイル回線の整備が進んだことで利用者数は他地域よりも速いペースで増加していると報告されています。スマートフォン1台あれば銀行口座を持たなくても決済ができるモバイルマネーの普及とあわせて、インターネットが経済活動の基盤になりつつある地域も出てきています。

このように、世界のインターネット普及率は年々底上げされているものの、国・地域による差は依然として大きく、単純な「先進国か途上国か」という区分だけでは捉えきれない多様な状況が生まれています。

日本のインターネット普及率の推移|総務省データで見る変化

日本国内のインターネット普及率は、総務省が毎年実施する通信利用動向調査によって長期的な推移を追うことができます。

全体の利用率はどう変化してきたか

総務省の調査によると、日本国内の個人インターネット利用率は2006年時点で72.6%でした。その後は年を追うごとに上昇し、2018年には79.8%まで到達しています。さらに直近の調査では8割台半ばまで上昇したと公表されており、日本では成人人口の大半がインターネットを利用できる環境が整っていると言えます。ただし、この「全体の平均値」だけを見ていると、後述する年代間の差を見落としてしまう点には注意が必要です。

利用端末はパソコンからスマートフォンへ

利用端末の内訳を見ると、2018年時点でスマートフォン経由の利用が59.5%、パソコン経由の利用が48.2%となっており、より持ち運びしやすい端末での利用が広がっていることが分かります。その後もスマートフォンを主な接続手段とする傾向は続いているとされ、外出先や移動中でも情報にアクセスできる環境が一般的になりました。この変化は便利さをもたらす一方で、後述する年代・世代による利用目的の違いをより際立たせる要因にもなっています。

世代間で異なる「情報格差」|利用率だけでは見えない実態

日本のインターネット普及率は全体として高い水準にありますが、年代別に分解すると景色が変わります。

総務省の調査では、13歳から59歳までの層はインターネット利用率が90%を超える一方、60代は70%台、70代は40%台にとどまるという結果が示されていました。その後の調査では高齢層の利用率も上昇傾向にあると報告されていますが、若年層とのあいだに一定の差が残っている状況は変わっていません。この差は、単に「使っているか、使っていないか」という有無の問題だけでなく、災害情報や行政手続きのオンライン化が進む中で、情報へのアクセス手段そのものが年代によって分かれてしまうという課題につながります。

さらに見過ごされがちなのが、同じ「インターネットを利用している」人同士でも、利用目的に大きな差がある点です。若い世代は動画コンテンツやオンラインゲーム、SNSでの情報収集を中心に使う傾向が強く、ニュースサイトを直接訪れる頻度は相対的に低いとされています。逆に60代以上ではニュース閲覧の利用は多いものの、動画コンテンツやSNSの利用頻度は低い傾向が見られます。つまり、利用率という数字が同じであっても、得ている情報の種類や量には差が生まれ得るということです。「普及率が上がれば情報格差はなくなる」というのは誤解であり、利用目的の違いにも目を向ける必要があります。

なぜ情報格差が問題になるのか|誤解されやすいポイントとリスク

インターネットの普及率に差があること自体よりも、そこから派生する情報格差が具体的にどのような問題を引き起こすのかを整理しておく必要があります。

情報格差が生む代表的なリスクとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 地震や津波など災害発生時に、避難情報の入手が遅れるリスク
  • 行政サービスや制度変更など、社会の変化に対応できないリスク
  • ITリテラシー不足によって詐欺や犯罪に巻き込まれるリスク
  • 情報の受発信手段の違いから生まれる孤立感や疎外感

例えば、沿岸部に住む人にとって、リアルタイムで津波警報や避難指示を受け取れるかどうかは命に関わる問題です。スマートフォンでの通知や自治体の防災アプリを使いこなせるかどうかで、情報を得られるタイミングに差が生まれてしまいます。

ここで誤解されやすいのは、「情報格差は発展途上国だけの問題」という捉え方です。世界的に見れば普及率が高い水準にある日本国内でも、年代や利用目的の違いによって同様の構造の格差が生まれています。国別の普及率という大きな視点と、国内の世代間格差という身近な視点の両方を持つことが、この問題を正しく理解する第一歩になります。

日本の自治体・企業に見る格差解消の取り組み

情報格差を縮めるための取り組みは、国・自治体・企業それぞれのレベルで進められています。

通信キャリアやNPOによるデジタル活用支援

総務省は、高齢者などデジタル機器の利用に不慣れな人を対象に、スマートフォンの基本操作やオンライン手続きの使い方を学べる講習会を全国で実施する事業を進めています。この取り組みには携帯電話大手各社や地域のNPO法人などが講師として参加しており、公民館や携帯ショップの店頭といった身近な場所で学べる機会が広がっています。単に端末を配るだけでなく、使い方そのものをサポートする体制づくりが重視されている点が特徴です。

自治体による公共エリアへの通信環境整備

多くの自治体では、庁舎や図書館、公民館といった公共施設に無料の公衆無線LANやタブレット端末を設置し、自宅にインターネット環境がない住民でも情報にアクセスできる仕組みづくりを進めています。加えて、家電製品や見守り機器にインターネット接続機能を組み込む「IoT(Internet of Things)」の活用も広がっており、スマートフォンの操作が難しい高齢者でも、機器を通じて自然に情報や安否確認の仕組みにつながれる事例が増えています。

こうした取り組みは、インターネットを「使える人だけのもの」にせず、年代や環境を問わず情報にアクセスできる社会を目指す動きだと言えます。

私たちが今日からできること

普及率や制度の話は大きなテーマに見えますが、個人レベルでできることも少なくありません。国別のデータや世代間の差を知ったうえで、次に大切なのは「自分の身の回りで何ができるか」を具体的に考えることです。

家族や身近な人に向けてできること

身近に高齢の家族がいる場合は、スマートフォンの設定を一緒に確認したり、自治体の防災アプリや緊急速報の通知をオンにしておくだけでも、災害時に情報が届くタイミングは大きく変わります。操作を代わりにやってあげるのではなく、一緒に画面を見ながら手順を確認することで、次からは自分で通知を管理できるようになります。

自分自身の情報の偏りを見直す

自分自身についても、利用しているサービスがニュースや動画、SNSなど特定の情報源に偏っていないか、たまに見直してみることが情報格差を自分事として捉える第一歩になります。同じ年代・同じ利用時間であっても、情報源が偏っていれば得られる情報の幅は狭くなります。まずは家族や身近な人のスマートフォンの通知設定を一緒に見直すことから、試してみてください。

まとめ

世界のインターネット普及率は、モバイル回線の整備が進んだ新興国を中心に年々底上げされてきましたが、国・地域による差は今も残っています。日本国内でも個人の利用率自体は高い水準を維持している一方で、年代による利用率・利用目的の違いから生まれる情報格差は解消しきれていないのが実情です。

普及率という数字だけを見て「情報格差は解決した」と判断してしまうと、実際に困っている人の存在を見落としてしまいます。国別のデータで世界的な立ち位置を知ることと、身近な世代間の差に目を向けることの両方が、この問題を理解するうえで欠かせません。自治体や通信キャリアによる支援の輪も広がっていますが、家庭や職場といった身近な場所での気配りも、情報格差を縮める力になります。

  • 世界のインターネット普及率は国・地域によって大きな差があり、依然として3割以上が未接続とされる
  • 日本の個人インターネット利用率は2006年の72.6%から上昇を続け、直近では8割台半ばに達したと公表されている
  • 年代別では60代以降の利用率が相対的に低く、利用目的にも世代間で違いが見られる
  • 普及率の上昇だけでは情報格差は解消されないため、利用目的や支援体制にも目を向ける必要がある
  • 自治体の講習会や公共施設への端末設置など、日本国内でも格差解消に向けた取り組みが進んでいる

参考文献

  • 記事を書いたライター
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