「エシカル」という言葉をご存知でしょうか?
何となく環境に優しそうなイメージは抱きつつも、「具体的にどんな行動を指しているの?」「オーガニックとは何が違うの?」といった疑問もあるかもしれませんね。
日本では、まだまだ多くの人にとって聞きなじみのない言葉ですが、環境先進国ニュージランドでは、驚くほど自然に「エシカル」な生活が根付いています。
今回は、ニュージーランドでの取り組みなどを取り上げながら、エシカルについての理解を深められるよう詳しく解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください!
そもそも「エシカル」って何だろう?
エシカル(ethical)とは、直訳すると「倫理的な」という意味になります。
道徳的な、良心的な、と言い換えると分かりやすくなりますが、要は法律などで決められていることではないけれど、多くの人が社会的な模範であると考えることです。
エシカル消費とは?
「エシカル消費」とは、環境や社会のことを考慮して作られたものを購入したり消費したりすることを言います。
エシカル消費は、環境問題に関する文脈で使われることも多いため、環境に優しい製造方法で作られた製品をイメージされる方も多いのではないでしょうか?
もちろん、環境に優しい製品を購入することはエシカル消費の代表例ですが、社会的な文脈のエシカル消費も忘れてはなりません。
児童労働などの社会問題に配慮して生産された製品や、地域活動を応援するような地産地消品・伝統工芸品なども立派なエシカル消費と言えるのです。
エシカルとオーガニックの違い
最近は街中でオーガニックな食材や衣類などを見かけることが増えました。
エシカルと似た印象のある「オーガニック」ですが、両者の違いを説明できるでしょうか?
実は、エシカルとオーガニックは似て非なる概念です。
オーガニックは「有機的な」と訳されることが多く、化学物質を使わずに自然由来の成分を使用することを意味します。
よって、消費者(人)にとってのメリットが強調されていると言えるでしょう。
一方、エシカルは前述の通り、人に対してはもちろんですが、環境や社会にとっても優しい製品を指しているので、より広範な意味を持ちます。
SDGsとの関わり
エシカルな生活や消費は、SDGsの達成にも大きく寄与します。
私たちは日々さまざまな消費活動をしながら生活をしていますが、それらがいつ・どのように・誰が生産したものなのかを考える機会は少ないかもしれません。
しかし、現代の大量生産・大量消費の裏には、環境破壊や強制労働などの歪みが生まれています。
その結果、気候変動や人権問題などが世界的な課題になっているのです。
近年注目されているSDGsにおいても、「つくる責任、つかう責任」「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」など、私たちの消費活動をエシカルなものに変えることで、改善につなげていけるSDGsの目標が多々あります。
エシカルな行動変革は、SDGs達成への大きな一歩なのです。
エシカル先進国ニュージーランド
エシカルの基本を押さえたところで、本題に移っていきましょう。
日本と同じ海に囲まれた島国であり、雄大な自然を有するニュージランド。
英語圏であることも相まって、留学や移住先としても非常に人気の高い国です。
そんなニュージーランド、実はエシカル先進国としても有名であることをご存知でしょうか?
なぜニュージーランドはエシカルな取り組みに注力しているのか、その背景を解説します。
背景①:環境保全への意識の高さ
ニュージーランドは自然豊かな島国であり、先住民族の文化も影響して自然を大切にする国民性が根付いています。
実際、希少な動植物を守る運動から、再生可能エネルギーの普及まで、さまざまな分野において、国を挙げて先進的な研究や取り組みが行われています。
ニュージーランドの先進的な環境政策を参考にする国も非常に多くあります。
こうした国全体の環境意識の高さから、より人々の生活に身近なエシカル消費が浸透しやすいという背景があると言えるでしょう。
背景②:若者の消費行動の変化
ニュージーランドでは、近年「ジェネレーションY」と呼ばれる世代の消費行動に変化が起きています。
「ジェネレーションY」とは、以下のような属性を持つ人々を指します。
・独身、もしくは小さい子持ちの若い家族
・都会住み
・フルタイムで働いている
「ニュージーランドのオーガニックマーケットレポート」によると、ジェネレーションYは、消費行動において「価格」「価値」「健康」を最も重視しており、これらのバランスを総合的に判断する傾向があることが明らかになりました。
こうした若い世代が中心となって、環境に優しい製品への関心や、省エネ・地産地消の意識の高まりを背景に、製品のエシカル度を重視する傾向が強まっているのです。
参照元:キーワードは「ジェネレーションY」若い世代の消費行動がニュージーランドのオーガニックマーケットを動かす|ORGANIC PRESS
ニュージーランドで見つかるエシカル
ニュージーランドでは、人々の生活の至るところでエシカルな考え方が根付いています。
具体的な取り組みや製品などをご紹介しましょう。
エシカルな「食」
ニュージーランドの首都ウェリントンには、1918年創業の老舗スーパーマーケット「Moore Wilson’s(ムーア・ウィルソンズ)」があります。
ここでは、生鮮食品はウェリントン近郊で採れたものを、嗜好品は小規模でも特徴のあるブランドを積極的に扱っています。
生産地と生産者が潤い、環境にも優しく消費者も喜ぶ。
そんな、全てがwinwinになるエシカルな取り組みです。
参照元:世界でいちばん美しい小路を訪ねて~ニュージーランドの首都・ウエリントンで“エシカル”の楽しさを知る|Risvel
エシカルな「衣服」
日本のセレクトショップなどでも取り扱いのある「Kowtow(コウトウ)」。
ウェリントン生まれのオーガニック・コットンを活かしたレディースブランドです。
Kowtowでは、素材調達からとことんこだわっており、インド支社を通じて100%フェアトレードで仕入れた素材を使用しています。
なんと、金属のファスナーやプラスチックのボタンなどのパーツも一切使わないという徹底ぶりには驚きです。
シンプルなデザインながらも、上質な仕立てと肌に優しい触り心地。
サステナブルファッションの魅力を存分に感じることができます。
参照元:エシカルなものづくりの最先端都市はニュージーランドの首都ウエリントン|CREA
エシカルな「コスメ」
ニュージーランドには、エシカルコスメブランドが数多く存在します。
日本でも「Cosme Kitchen」などで見かけたことがある方もいるのではないでしょうか?
例えば、世界20カ国以上で販売をしている「Trilogy(トリロジー)」。
ニュージーランドの姉妹サラ・ギブスとキャサリン・ド・グルードが立ち上げたスキンケアブランドです。
トリロジーは製品価値へのこだわりはもちろん、社会的責任を果たすことも非常に重要と捉えています。
幼稚園の募金活動に寄付する製品や、野生動物の生息環境保護、国内外における女性の社会地位向上のための支援など、地域社会への取り組みも積極的に行なっています。
3年前からは「So they can」と呼ばれる貧困脱却を目指した持続可能なビジネス支援を実施。
ケニアとタンザニアに資金援助を行なっています。
こうした支援を通じて採取されたひまわりオイルが、トリロジーの製品にも使われているのだそうです。
まとめ
近年、SDGsを軸とした環境への取り組みが加速している中、「エシカル」についても注目が集まっています。
今回は、エシカル先進国であるニュージーランドでの取り組みを具体的にご紹介しました。
実際の事例を見る中で、エシカルは、環境だけでなく、人に優しく社会に優しい消費活動であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
日本ではまだ「エシカル」という言葉自体、誰もが知っているレベルには至れていないのかもしれません。
しかし、本記事を読んでくださったことをきっかけに、少しでもエシカルについて興味を持っていただき、エシカルな製品を買ってみるなどのアクションにつなげていただけたら幸いです。