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すべての人々がすべての場所で、清潔な水と衛生を利用できる世界|国際NGOウォーターエイドの取り組み

世界では約10人に1人が清潔な水を利用できない状況です。世界の水と衛生の課題を解決するためウォーターエイドは活動しています。今回はウォーターエイドの活動をご紹介します。

ウォーターエイドとは?

WaterAid/ Mani Karmacharya

 

ウォーターエイドは1981年にイギリスで設立された、水と衛生分野に特化した国際NGOです。2023年現在、世界34か国に拠点を設け、アジア、アフリカ、中南米など26か国で水と衛生に関する活動を展開。各国の貧困層や取り残されがちな人々が清潔な水、適切なトイレを利用し、正しい衛生習慣を実践できるように、現地に最も適した解決策を実行しています。

ウォーターエイドのビジョンは、「すべての人がすべての場所で、清潔な水と衛生設備を利用し、衛生習慣を実践できる世界」を実現すること。

2013年にビジョンの達成を加速するため、日本法人であるウォーターエイドジャパンが設立。2014年12月には東京都より認定NPO法人として認定を受けました。

2015年に国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)のゴール6「安全な水とトイレを世界中に」の実現に向けた活動を行っています。

世界の水・トイレ・衛生習慣の問題

WaterAid/ Anindito Mukherjee

 

日本では蛇口をひねれば当然のように清潔な水を得ることができ、衛生的なトイレが設置されています。しかし世界では、水にまつわる課題を抱えている人が多くいます。問題を詳しく見ていきましょう。

世界では約10人に1人が清潔な水を利用できない状況にあります。特に都市から離れた場所やスラム、紛争や災害が発生した地域ではインフラが整わず水へのアクセスが困難です。また水くみに長時間を費やし、学校や仕事に行く時間が削られ、貧困から抜け出せない悪循環が生じてしまいます。不衛生な水による病気も問題になっています。

トイレ

世界のおよそ5人に1人が適切なトイレを利用できない環境で暮らしており、なかには余儀なく野外排せつをしている人たちがいます。野外排せつは複数の問題を引き起こします。1つ目に水源を汚してしまうことです。清潔な水を手に入れるのが難しくなります。2つ目に人通りのない時間や場所を選んで用を足しに行くため、女性が襲われたり、ケガをしたりする可能性があることです。

すべての人がすべての場所で、衛生的に排せつ物が隔離され、尊厳とプライバシーの保たれたトイレを利用する権利があります。

衛生習慣

給水設備やトイレが整備されても、衛生習慣が根付いていない地域では、水を媒介した病気がすぐに広がってしまいます。また、月経衛生に関する誤った認識が広がっていると女性や女の子たちは月経期間中、学校や仕事に行けなかったり、不衛生な環境で過ごさなくてはならなかったりすることもあります。

ウォーターエイドの活動の特徴

WaterAid/ Vlad Sokhin 

 

ウォーターエイドは、コミュニティに寄り添い、すべての人が清潔な水と適切なトイレを利用でき、衛生的な環境で暮らすことができるように活動しています。ウォーターエイドの活動の特徴は次の通りです。

問題の根本的な原因を探ること

清潔な水を利用できない原因は、水不足だけが問題ではありません。設備の故障や破損、または適切な給水サービスの管理が行われていないことも考えられます。

住民参加のプロジェクトの推進

住民が調査や計画策定の段階から関わり、適切な給水設備や設置場所を決めます。地域で部品が調達可能で、住民たちが修理できるのも重要です。

政府・自治体の能力向上の支援

地元の政府や自治体が、設備の場所や稼働状態の情報さえ持っていないことも。政府や自治体の能力向上を重視し、人材育成にも積極的に取り組んでいます。

“しくみ”全体の強化

清潔な水を提供するための全体的なシステムの維持・強化を重視しています。関係者の話し合いの場の設置、ガイドラインの作成支援、調査結果や技術資料の公開・提供を行っています。

加えて、ウォーターエイドが重視するのはアドボカシー(政府や自治体への働きかけ)です。ウォーターエイドは、活動する国の自治体・地方政府や中央政府、さらには国際社会に対して、水と衛生の問題を解決することが多くの人々の健康と生活の向上につながることを示し、水と衛生問題を重要な議題として取り上げるように働きかけています。

活動事例:インド

WaterAid/ Ranita Roy

 

ウォーターエイドは、1984年からインドで活動し、清潔な水やトイレの供給、衛生習慣の普及を行ってきました。現在は13州で現地政府や住民主導で水と衛生問題の解決できるよう支援しています。

例えば、村の水と衛生の課題を理解し、改善策を立案・実行する「村水衛生委員会」の訓練を行い、持続可能で安定した水供給体制の確立を支援。水道料金の徴収、修理工や水質検査担当者の育成、古い井戸の修復、雨水活用設備の設置なども行っています。

さらに誰もが利用可能なトイレの普及や衛生習慣の強化に向けて、家庭訪問や路上での演劇、村の自助グループ(女性グループ等)へのトレーニングを実施。また、母子保健センターでは、誰もが使いやすい給水設備、トイレ、手洗い設備を設置したり、手洗いや月経に関する衛生行動を啓発する場となるように職員対象のトレーニングを実施したりしています。

まとめ

ウォーターエイドの活動は寄付で支えられています。今までたくさんの支援によって2,810万人に清潔な水を、2,880万人に適切なトイレを届けてきました。しかし、「すべての人々がすべての場所で、清潔な水と衛生を利用できる世界」はまだ実現できていません。

ウォーターエイドに寄付すると、次のような支援につながります。

  • 10,000円の寄付でネパールに手押しポンプ1基を設置
  • 5,000円の寄付でマダガスカルに家庭用トイレ2基設置
  • 毎月2,000円のご寄付1年間で10人の人が清潔な水を使えるように

SDGsゴール6「安全な水とトイレを世界中に」の実現に向けて、ウォーターエイドの活動に注目し、応援していきましょう。寄付については、ウォーターエイドのホームページをご覧ください。

  • 記事を書いたライター
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エシカルライター。南米エクアドルで女性の自立支援を行うNGOへ訪問し、現地の女性たちとの交流をきっかけにフェアトレードを仕事にすると決意。帰国後フェアトレード商品を扱うアパレル雑貨店で勤務し、店長を経験する。店舗でできることの限界を感じ、ライターに転身。「エシカル消費を広める。」をモットーに活動中。

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