公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
陸の豊かさも守ろう

森林破壊の現状を知ろう、私たちができる対策とは?|2026年の最新データと暮らしの選び方

森林破壊の現状は、数字だけを見ると「悪化している」とも「改善している」とも読めます。国連食糧農業機関(FAO)の最新の評価では、世界の森林減少の勢いは1990年代より弱まりました。それでも熱帯を中心に、森林が農地や牧場に変えられたり、火災で失われたりする状況は続いています。

森林破壊とは、森林が農地や放牧地、開発用地などに転用されたり、伐採や火災によって失われたりして、森林でなくなってしまうことを指します。この記事では、定義の確認はここまでにして、いま何が起きているのか、日本に暮らす私たちの買い物とどうつながるのか、そして何から変えればよいのかを、2025年から2026年に公表されたデータをもとに整理します。

この記事で学べること

  • 世界の森林が2024年と2025年にどう変化したか、最新データでわかる
  • 日本の森林は増えているのに、海外の森林と無関係とはいえない理由がわかる
  • EUの規制やクリーンウッド法など、世界と日本の対策の現在地がわかる
  • 認証マークの見方など、暮らしの中で選べる具体的な行動と、誤解されやすい点がわかる

森林破壊の現状|最新データで見る世界の動き

森林の状況は、調べる機関や定義によって数字が変わります。FAOの「世界森林資源評価」は国ごとの報告をもとに森林全体の増減を見る統計で、世界資源研究所(WRI)が運営する「グローバル・フォレスト・ウォッチ」は衛星画像から樹木が失われた面積を年ごとに追う観測です。性質の違う二つを並べて見ると、現状が立体的に見えてきます。

世界の森林は約41億ha、減る勢いは弱まっている

FAOが2025年10月に公表した「世界森林資源評価2025」によると、世界の森林は約41.4億haで、地球の陸地の32%を占めています。農地などへの転用による森林減少は、2015年から2025年の平均で年1,090万haでした。

一方で、植林や森林の自然な拡大が年678万haあり、差し引きの純減は年412万haです。1990年代には純減が年1,070万haだったため、減少のペースは大きく鈍っています。ただしFAOは、森林が圧力にさらされている状況は変わらないとも指摘しており、改善と警戒が同時に成り立っている状態といえます。

2024年は熱帯の原生林が記録的に失われた

2025年5月に公表された2024年のデータは、厳しい内容でした。WRIによると、2024年に失われた熱帯の原生林は670万haで、サッカー場に換算すると1分間に18面積分にあたります。

特徴的なのは、原因の変化です。熱帯の原生林消失のうち、火災が占める割合は初めて農業を上回り、ほぼ50%に達しました。これまでの平均は約20%です。国別ではブラジルが全体の42%を占め、その損失の66%が火災によるものでした。ボリビアも前年から200%増え、150万haの原生林を失っています。この火災で排出された温室効果ガスは41億トンとされ、2023年の世界の航空による排出量の4倍超に相当すると報告されています。

2025年は大きく減ったが、喜ぶのはまだ早い

2026年4月29日に公表された2025年のデータでは、状況が変わりました。ブラジルの報道機関アジェンシア・ブラジルが伝えたグローバル・フォレスト・ウォッチの報告では、世界の熱帯の原生林消失は約430万haで、2024年より35%減っています。ブラジルの消失は160万haで、前年比42%の減少でした。

ただし、この減少は火災が少なかったことに助けられた面があり、報告でも国ごとの進み方には差があるとされています。2024年の記録的な消失が異常気象と重なって起きたことを考えると、気象条件が厳しい年に同じことが起こりうる状況は解消されていません。

日本の森林は増えているのに、海外の森林と無関係ではない理由

森林破壊というと遠い熱帯の話に聞こえますが、日本の森林や木材の使い方も、世界の森林とつながっています。ここでは、日本の森林の現状と、私たちが気づきにくい形で海外の森林に頼っている点を見ていきます。

日本の森林は国土の約3分の2、木は育っている

林野庁の「森林・林業白書」によると、日本の森林面積は約2,502万haで、国土の約3分の2を占めます。この面積は長く大きく変わっていません。戦後に植えられた人工林が育ち、使える大きさの木が増えている一方で、その木が十分に使われていないことが長年の課題でした。

木材自給率は、かつて2割を下回る水準まで落ち込みましたが、近年は4割を超え、2024年は42.5%でした。国内の主伐による木材の供給も、10年前と比べて2倍近くに増えています。国産材の利用は、確実に前へ進んでいます。

残りの需要は輸入材と輸入製品がまかなっている

自給率が42.5%ということは、残りの木材需要は輸入に頼っているということです。建築用の木材だけでなく、紙の原料となるチップやパルプ、家具、包装材など、私たちが手にする木製品や紙製品の多くに、海外の森林が関わっています。

輸入の中には、違法に伐採された木材が混ざるリスクもあります。英国の研究機関チャタムハウスの2022年の報告では、調査した37か国の2018年のデータで、違法伐採に由来する木材が世界の輸出の少なくとも4%(約4,000万立方メートル)、金額で約3%(約70億ドル)を占めると推計されています。自分が買った一枚の紙や一本の柱が、どこで育った木なのかを確認する仕組みづくりが、いま日本でも進められています。

森林破壊が起きる主な原因|農地転換・伐採・火災

森林が失われる理由は、大きく三つに分けられます。どれも単独ではなく、気候変動や経済の動きと絡み合って進むため、原因ごとに対策の打ち手が変わります。

農地や牧場への転換

熱帯での森林減少の大きな要因とされてきたのが、牛の放牧地、大豆などの飼料作物、パーム油、コーヒー、カカオ、ゴムといった作物の農地への転換です。EUが森林破壊防止の規制で対象に選んだ品目も、牛、カカオ、コーヒー、パーム油、ゴム、大豆、木材の7つで、森林破壊との結びつきが強い商品とみなされています。

人口の増加で食料が必要になるだけでなく、肉や乳製品の需要が増えると、家畜のための飼料作物も増やす必要が出てきます。そのため、食の選び方が森林に影響する側面があります。

過剰な伐採と違法伐採

紙や木材の需要が増えれば、伐採の圧力も高まります。法令で認められた量や樹種を超えた伐採、許可を受けずに行われる伐採は違法伐採と呼ばれ、森林の管理を難しくします。正当な対価が支払われないまま安く流通し、適切に管理された木材との価格競争を歪める問題もあります。

森林火災と気候変動の悪循環

2024年のデータが示したとおり、火災はすでに熱帯の原生林消失の主な原因の一つです。たばこや焚き火の不始末のほか、森林を切り開くための野焼きが延焼することもあります。

そこへ気温の上昇と乾燥が重なると、火は広がりやすくなります。森林が燃えると大量の二酸化炭素が出て、温暖化がさらに進むという悪循環が起こります。

森林破壊が進むと何が起きるのか

森林は木材を生み出すだけの場所ではありません。気候、生き物、水、そして私たちの食卓や暮らしを下支えしています。失われたときの影響を、三つの面から確認します。

気候への影響

森林は、成長の過程で二酸化炭素を吸収し、幹や根、土壌にためています。森林が燃えたり伐採されたりすると、その炭素が大気中に放出されます。2024年の火災による排出が41億トンと報告されたように、森林の損失は気候変動を加速させる側にも回ります。

生き物と生態系への影響

熱帯林は、陸上の多くの生き物の生息地です。森林が分断されたり消えたりすると、木の実を食べる鳥や動物が餌を失い、それを食べる生き物にも影響が連鎖していきます。

生態系が崩れると、私たち自身の暮らしにも波及します。生物多様性の損失が暮らしに及ぼす影響や2030年に向けた国際目標については、次の記事が参考になります。

水と食料への影響

森林は雨水をたくわえてゆっくり川へ流し、水質を保つ役割も担っています。森林が失われると、土砂災害や洪水のリスクが高まるほか、水源の確保が難しくなる地域も出てきます。

また、気候が不安定になれば、農作物の収穫量も安定しません。森林破壊は、遠い国の問題にとどまらず、食料の価格や供給という形で、私たちの暮らしにも返ってくる可能性があります。

世界と日本で進む対策の現在地

森林を守る仕組みは、ここ数年で大きく動いています。国際的な資金の仕組み、貿易のルール、日本の法律の三つに分けて、現在の状況をまとめます。

世界の動き|貿易ルールと資金の仕組み

EUは、森林破壊に結びついた商品を市場に出せないようにする「EU森林破壊防止規則(EUDR)」を定めています。適用開始は延期され、大企業には2026年12月30日から、小規模・零細企業には2027年6月30日までの猶予があります。2025年の改正では、川下の事業者やトレーダーの義務が簡素化され、小規模事業者向けには簡易申告も導入されました。

EUに製品を輸出する日本企業も、原産地まで遡って確認できる体制づくりを求められています。貿易のルールが変われば、店頭に並ぶ商品の作られ方も変わります。

もう一つの動きが、2025年11月にブラジルのベレンで発足が発表された「熱帯林永久基金(TFFF)」です。国連ニュースによると、森林を守っている国に、1haあたり年4ドルを、衛星による監視で確認した成果に応じて支払う仕組みで、対象は74か国、年間の支払いは最大40億ドル規模になる見込みです。支払いの20%は、先住民族を含む地域の人びとに回ることになっています。森林を伐るより残した方が価値を生む状態をつくる試みとして注目されています。

世界の取り組みの全体像は、次の記事で詳しく紹介しています。

日本の動き|クリーンウッド法の強化

日本では、違法に伐採された木材を扱わないための「クリーンウッド法」が2017年に施行され、2025年4月1日に改正法が施行されました。改正により、国内で最初に木材を取り扱う川上や水際の事業者に、原材料の情報を集めて、違法伐採された木材ではない可能性が高いかを確認することが義務づけられました。

自主的な登録制度である「登録木材関連事業者」も広がっており、林野庁の白書によると2026年3月末時点で816事業者が登録しています。政府機関が木材製品を調達する際に合法性が証明されたものを求める「グリーン購入法」と合わせて、国内に入ってくる木材の合法性を確かめる仕組みが厚くなってきました。

衛星データを使った伐採状況の把握や、日本の治山技術の海外への提供など、国際協力の取り組みについては、次の記事でまとめています。

私たちにできる対策|買う・食べる・使うで選ぶ

制度や国際基金のように大きな仕組みがある一方で、店頭で何を選ぶかは、私たちの手に残された判断です。ここでは、暮らしの中で森林に関わる三つの場面と、誤解されやすい点を整理します。

買うとき|認証マークを探す

紙製品や木製品を買うときは、森林認証のマークがあるかを確かめる方法があります。森林認証は、適切に管理された森林から出た木材であることを、独立した第三者機関が認める制度で、国際的な「FSC認証」と、日本発の「SGEC認証」(国際的な認証制度PEFCと相互承認)などがあります。

林野庁の白書によると、2025年12月時点で、日本国内のFSC認証林は約43万ha、SGEC認証林は約221万haで、あわせて日本の森林面積の約10%です。欧州と比べると割合はまだ低いものの、SGECは緩やかに広がっています。これから年末にかけて、カレンダーや手帳、年賀状、ギフトの包装紙などを選ぶ機会が増えます。そのときに、パッケージやラベルの認証マークを見るところから始められます。

食べるとき|食品ロスと肉・乳製品の量を見直す

農地転換の圧力を和らげるには、食べ物の選び方も関わってきます。食べられるのに捨てられる食品を減らせば、その分だけ生産量を増やす必要が少なくなります。

また、肉や乳製品には、飼料作物のための広い農地が必要です。たとえば週に一度、肉や乳製品を使わない食事の日をつくるだけでも、需要を少しずつ変えていく一歩になります。無理なく続けられる頻度を、自分で決めることが大切です。

使うとき|長く使い、森に負担をかけない

紙や木材を長く使うことも、伐採の圧力を下げます。マイ箸やマイカトラリーを持つ、再生紙やリサイクルされた製品を選ぶ、使わなくなった衣類や雑貨を手放すときに回収やリユースに回すといった行動が、使い捨てを減らします。

山や森林へ出かける秋の行楽シーズンには、ごみを持ち帰り、火の取り扱いに気をつけることも、森林火災を防ぐ身近な行動です。電気や水の無駄づかいを減らすことは、長い目で見て気候変動の抑制にもつながります。

誤解されやすい点|「木を使わない」が正解とは限らない

森林を守るために、木材や紙を使わないほうがよいと考える人もいますが、そうとは限りません。日本では戦後に植えられた人工林が成熟期を迎えており、適切に伐って使い、再び植えて育てるという循環が、森林の健全な維持にも必要とされています。国産材を選ぶことが、国内の森林の手入れを支える面もあります。

一方で、認証マークがあれば完璧というわけでもなく、制度の運用や審査の厳しさには、認証ごとに違いがあります。「国産だから安心」「認証があるから万全」と思い込まず、複数の手がかりを組み合わせて選ぶ視点が役に立ちます。

まとめ

世界の森林は約41.4億haあり、FAOの評価では減少の勢いは1990年代より弱まっています。しかし、2024年には火災の影響で熱帯の原生林が670万ha失われ、2025年は約430万haへ減ったものの、気象条件しだいで再び悪化しうる状況が続いています。

日本は国内の森林を保ちつつ、木材の半分以上を輸入に頼っています。EUの規制、熱帯林永久基金、日本のクリーンウッド法の強化と、仕組みづくりは進んでいますが、最後に商品を選ぶのは私たちです。認証マークを探す、食品ロスを減らす、長く使うといった小さな選択が、森林を守る需要をつくっていきます。

まず1つだけ試すなら、次に紙製品や木製品を買うとき、パッケージにFSCやSGECなどの認証マークがあるかを見てみてください。

  • 世界の森林減少は1990年代より鈍っているが、2024年は火災で熱帯の原生林消失が記録的になり、2025年は減少した
  • 日本の森林は約2,502万haで保たれ、木材自給率は2024年に42.5%、残りは輸入に頼っている
  • EUDR、熱帯林永久基金、改正クリーンウッド法など、貿易と資金の両面で対策が進んでいる
  • 認証マークの確認、食品ロス削減、長く使うことが、暮らしの中でできる行動になる
  • 国産材や認証があれば万全とは限らず、複数の手がかりで選ぶことが大切

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事

会社員とのパラレルキャリアを経て、独立。 執筆ジャンルは主に、SDGs、旅行、ファッション。現在、複数のメディアで記事を掲載。 SDGsに関心を持ったきっかけは、ハワイへの語学留学中、日本のSDGsに関する取り組みの遅れを感じたこと。 より多くの人に、環境への取り組みを知ってほしいと思い、2021年6月より「MIRASUS」にて執筆を開始。

  1. 土壌汚染とは?健康を脅かす土壌汚染の対策としてできることを考えよう

  2. SDGsを採択した”国連加盟国”とはどこ?国ごとの達成状況も解説

  3. 世界のヴィーガン人口の割合は約3%|日本の食品業界の変化と続けやすい始め方

RELATED

PAGE TOP