普段、買い物をするときに何を意識して食材を手に取りますか?
最近では、食べるものに関して「安全・安心志向」の人も増えたことで、地産地消がさらに注目されています。
また、SDGs(Sustainable Development Goals)の浸透とともに、地産地消に取り組んでいる企業や自治体が増えています。
この記事では、地産地消に取り組んでいる企業と自治体の事例をご紹介します。
地産地消とは?
農林水産省によると、地産地消とは「地域で生産されたものをその地域で消費する」ことを指します。
地産地消の取り組みは、「地域で生産されたものをその地域で消費する」以外に、地産地消の取り組みを通じて、農業者と消費者の距離を近くすることも重要視されています。
取り組み内容は主に、直売所や量販店での地元農産物の販売だけでなく、学校給食や福祉施設、観光施設、外食関係で地元農産物が利用されています。
地産地消のメリット
地産地消に取り組むことで、消費者は新鮮な野菜などを安価で購入することができます。
また、生産者の「顔が見える」という点で、安心して口にすることができます。
また、生産者は消費者と距離が近く直接販売をすることで、消費者のニーズを汲み取り、効率的に生産することができます。
配送にかかる経済的なコスト(燃料など)の削減により収益アップが期待できます。
さらに、スーパーなどでは売れない、不揃い品や規格外商品の販売も可能となります。
地産地消による農産物の消費は、地域の農業を応援することになり、地域全体の活性化にもつながります。
続いて、地産地消とSDGsがどのような関係にあるのが紹介します。
地産地消とSDGsの関係
SDGs (Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))とは、2015年に国連サミットで採択された目標です。
加盟国193カ国が協力し合い、2030年までに達成するために掲げた国際目標です。
「誰一人のこさない」ことを原則とし、経済・社会・環境を軸に、17の目標と169のターゲットで構成されています。
地産地消は17の目標の中で、
目標8 働きがいも経済成長も
目標12 作る責任 つかう責任
目標13 気候変動に具体的な対策を
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
と関わりがあり、地産地消を推進することでSDGsの目標の達成に貢献につながります。
企業の地産地消の取り組み事例
地域の活性化のために地産地消の取り組んでいる企業の事例をご紹介します。
【福島県】株式会社おくや
「株式会社おくや」は、農業者と連携し2010年に「会津豆倶楽部」を発足し、会津の産業を活性化する取り組みを行っています。
会津地方は1980年代まで落花生を栽培し、すべてを関東圏に出荷していたため、地元では使用されていませんでした。
落花生が地元で使用されていなかったことを知った豆菓子の卸事業をしていた㈱おくやは、国産の落花生を使用するため、「会津の落花生」の栽培を復活させました。
落花生を加工し、付加価値を付けたことで「会津の落花生」の産地化が進んでいます。
当時の会津豆倶楽部のメンバーは20名でしたが、現在は80名に増加し、栽培面積が2haから20haと10倍になっています。
商品開発を地元企業と行い、開発商品の製造を地元で作ることで、会津の特産品として地域全体で産業に貢献しています。
参照元:株式会社 おくや
【栃木県】株式会社長谷川農場
長谷川農場では、700頭の足利マール牛のほかに、麦や米・アスパラガスや玉ねぎを作っている農場です。
地元ではワイン用に絞ったブドウの大量の果皮や種(マール)の処分が課題となっており、それを長谷川農場で乳酸発酵させて牛の餌にしたところ、牛肉の質が良くなりました。
そこで地元のワイナリーからマールを仕入れ、堆肥をワイナリーに還元するという循環型農業をはじめました。
また、地元生産者から主に牛の餌である稲藁を仕入れ、堆肥を畑に還元する取り組みを行うことで、地域全体を巻き込んだ事業展開をおこなっています。
循環型農業の取り組みをきっかけに、「とちぎ霜降高原牛」や「日光高原牛」から「足利マール牛」と改名し、地元のオリジナルブランド牛として販売し、地元の人にも食べてもらえるよう商品開発や販売をしています。
参照元:株式会社 長谷川農場
【石川県】株式会社 森山ナポリ
2021年1月にオープンした「gourmet STORE(グルメストア)」は、SDGsに取り組む食品販売店で、石川県内の企業間で連携をして地産地消に取り組んでいる会社です。
農福連携として、株式会社 愛昴が運営する就労継続支援B型事業部「米ライフ」と連携し、地元産のメンマやジンジャーシロップを販売しています。
メンマは地元農家の竹林で採れた地元産のたけのこで、規格外商品を使って、就労支援施設で手作りされています。
また、地元ブランド「加賀れんこん」を生産・販売を行っている「どろんこファーム」が規格外品を使った「加賀れんこんちっぷ」の販売をしています。
商品は小ロット生産で品質にこだわり、一般には流通しない地域に根付いた取り組みをおこなっています。
参照元:
・農福連携の推進|農林水産省
・gourmet STORE
【静岡県】浜松新電力
浜松新電力では、政令指定都市として初の地域新電力として誕生し、「再生可能エネルギー」により電力の地産地消をおこなっています。
浜松市は全国でも日照時間が長く、また雪が降らない温暖な気候条件であることから、太陽光発電の設備導入件数が全国でトップを誇ります。
また、市内2カ所の清掃工場では、ゴミを燃やしたときの熱で蒸気を起こし発電するバイオマス発電もおこなっています。
そのバイオマス電力を浜松新電力が買い取り、市へ供給しています。
太陽光発電やバイオマス発電によって市内で生まれた電気は、市内すべての公立中学校や地域の公共施設、企業などに送られます。
多くの学校には、太陽光パネルが設置されており、発電量がわかるモニターによって、電力の生産を身近に感じることができます。
モニターによって「見える化」することで、学校での環境教育につなげています。
自治体の地産地消の取り組み事例
続いて、自治体が取り組んでいる事例をご紹介します。
【愛媛県今治市】学校給食での地産地消
今治市では、手作りにこだわった給食が作られています。
主な農産物は今治産の米と今治市産の小麦で作った給食用パン、今治市産の大豆で作った豆腐、野菜や果物は今治市産のものを多く使用できるので、栄養士たちは旬のものをつかったメニュー作りをしています。
豆腐は外国産と比べると少し高く、その差額を市が補填しています。
また、コスト面で導入が難しかった魚は、地元の各漁協の協力により使用量が増え始めています。
年に2回、天然のマダイが市内の小中学生に振る舞う取り組みが実施されています。
市全体で地産地消への取り組みに協力しています。
参照元:学校給食での地産地消|今治市
【山口県】JA山口 農産物直売所 FAM’Sキッチンいわくに
過疎や高齢化が問題となっていた岩国市では、独自の集出荷システムで農産物や加工品の出荷が実現し、生産者の収益が増えています。
流通がシステム化されたことで、地域の希少な生産物が消費者に提供できるようになったことで、岩国市街からの来店者が増え、「FAM’Sキッチンいわくに」は売り上げを伸ばしています。
また、出荷者は登録制にしたことで商品管理がスムーズになりました。
さらに、商品に貼り付けるラベルにバーコードとして出荷者IDを記載することで、クレーム対応も円滑になっています。
店舗では自分専用の棚に陳列やPOP作成をし、その結果が売り上げとして現れることで出荷者のモチベーションにつながっています。
成果が見えることで、出荷者の増加と品ぞろえの良さにも効果がでています。
また、「FAM’Sキッチンいわくに」は、野菜ソムリエを講師に招いた料理教室や手芸教室などのイベントも開催し、生産者と消費者の交流の場となり地域の活性化として使われています。
参照元:農産物直売所 FAM’Sキッチンいわくに|JA山口県
まとめ
地産地消に取り組んでいる企業と自治体をご紹介しました。
静岡県のように農作物だけでなく、再生可能エネルギーという新しい形での地産地消の取り組みもはじまっています。
新鮮な野菜を購入できるだけでなく、地域や農業の活性化につながる地産地消。
住んでいる地域でどんな取り組みがおこなわれているのを知っていますか?
興味を持たれた方は、一度調べてみましょう。地元の新たな発見につながるかもしれません。