「Rikkyo Pride」は、2019年に設立した立教大学のLGBTQ+を中心にジェンダーを扱うサークルです。LGBTQ+の当事者以外に、アライ(英語のallyが語源。LGBTQ+の方々を支援する人たちの総称)の方も集まるサークルで、ジェンダーに関する問題について自由にお話をしています。
立教大学3年生の斉藤さんに、活動内容をはじめ、設立背景、団体のビジョンとミッション、今後の活動方針などを、MIRASUS編集部がお話を聞きました。
「Rikkyo Pride」設立の経緯
―団体の設立年、設立目的を教えてください。
設立年は2019年です。LGBTQ+当事者やアライの方、ジェンダーに関心のある方が自由に話せる場所を作るという目的のもと、設立しました。
2020年から2021年はコロナ禍の影響で、オンラインでの活動がメインでしたが、2022年から対面の活動を再開し、現在に至ります。
―団体のビジョン・ミッションを教えてください。
ミッションは、立教大学内にLGBTQ+当事者の居場所を作ること、ジェンダーについて自由に話をすることができるコミュニティを作ることです。
性別二元論や異性愛が前提の会話など、当事者がサークルやゼミなどで居場所を作ることが難しい場合もあります。当団体は、当事者のみならずアライの方々も含めて、ジェンダーに関心のある人達が自由に話せる場所を提供しています。
また、LGBTQ+以外のジェンダー問題についても話し合える場を設けています。
具体的な活動内容
―現在の主な活動を教えてください。
大学の中で行う活動と、大学の外で行う活動を実施しています。
2023年に行った大学の中で行う活動は、ジェンダーに関する話や議論する場として、12:30〜13:20のランチ会と19:00〜21:00の放課後会というものを行いました。活動頻度はメンバーのニーズに合わせて変えますが、2023年の8月末から12月末の秋学期はランチ会を月に一回、放課後会を週に一度の頻度で行いました。
2023年6月に「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」が成立してから、世間ではトランスジェンダーだけが注目されているように思いますが、当団体では同性愛など広いテーマで話しています。
新入生が入った時は、高校の延長線上として制服の問題や、同性愛などについてディスカッションをしました。その他には、日常生活の中でジェンダーに関するモヤっとした出来事、気づきを話す会もあります。
―大学の外で行う活動について教えてください。
学外活動では、2023年4月にLGBTQ+に関するイベント「東京レインボープライド」にメンバー20人ほどで参加しました。
ここでは、パレードやステージを見て、応援してくれる人の存在を実感できました。また、メンバーで、浅草・江ノ島・横浜など首都圏の観光地に行き、親交を深めました。
―現在のメンバー数と組織構成を教えてください。
メンバー数は立教大学の学生40名ほどです。その中からおよそ3、4名程度でサークルの運営を行なっております。40名の中には、LGBTQ+の方はもちろん、当事者でなくてもジェンダー問題に関心を持った方が所属しています。
団体活動の特徴とは?
―他団体と違う何かユニークな特徴があれば教えてください。
学籍番号の正確な申告と、大学の在籍確認ができれば、サークルの活動において本名以外の「通称名」を使えるようにしていることです。個人を尊重して、LGBTQ+の当事者かどうか公開するかは自由です。写真撮影やSNSの投稿に関して、厳格なプライバシールールがあるのも特徴だと思います。
―活動のやりがいと大変な部分を教えてください。
まず、様々な経験を持ったメンバーの話で、ここでしか得られない知見を得られることです。メンバー皆から話を聞いて、関わり合いが当事者の心の支えになったり、1人で悩まずに話し合うことで、普段抱えている気持ちが楽になったりすることは、当事者にとってのやりがいになると思います。
サークルを運営する中では、「Rikkyo Prideに入ってよかった」という声をもらった時や、メンバー同士が仲良くなった時にやりがいを感じます。サークルやゼミで作るのが難しいつながりだからこそ、場所を提供できることに喜びがあります。
大変なことは、多様性への配慮です。LGBTQ+の当事者はそれぞれで価値観や考え方が違います。そのため、どうすればメンバーが嫌な思いをせず活動に参加できるかを工夫するのが大変です。また、運営する中で「Rikkyo Pride」を含めたLGBTQ+をテーマにしたサークルが発展途上だと感じています。
―発展途上だと思う理由を教えてください。
まず、部員数が少ないことです。他サークルの話を聞いても10人から20人ほどと聞きます。団体が長続きしない原因だと思います。
次に、メンバーの集まりが悪くなりがちだということです。スポーツや音楽のサークルであれば、大会や演奏会など、イベントという目標がありますが、「Rikkyo Pride」は話すことが目的なところがあるので、活動に参加しなくても大きな影響がないことが理由に考えられます。これは、「Rikkyo Pride」に限らない課題だと思います。
また、立教大学を含む大学全体でLGBTQ+を扱うサークルが発展途上であり、他大学とのつながりを持つことが難しいことがあります。立教でも他の大学でもLGBTQ+を扱うサークルができてもなくなってしまうことが多く、そのことからなかなか他大学とのつながりが難しいことが挙げられます。
―団体に入ってからの学びや気づきなどがあれば教えてください。
ジェンダー問題について、LGBTQ+の当事者やアライの方以外と話す機会が無いので、蚊帳の外にいる方々の意見を聞く貴重さに気づきました。
―団体に加入するのはどんな入会理由が多いですか?
LGBTQ+の当事者同士で交流したいと思って入る方や、アライの方が当事者との交流を通じて新しい視点を得たいと考えて入会する方がいます。
ただし、私はLGBTQ+の当事者だからと言って、当団体に入る必要は無いと思っています。情報交換ができて便利だと思いますが、LGBTQ+当事者でも大学でつながりは持つ必要がないという考えもあると思っております。
―最後に、今後の活動方針について教えてください。
これからも「LGBTQ+当事者やアライの方、ジェンダーに関心のある方が自由に話せる場所を作る」というコンセプトのもと、活動していきたいです。学外活動では、東京レインボープライドなどの参加以外にも、他団体との交流なども図っていきたいと思います。
また、有志が多く集まれば、立教大学にLGBTQ+の方が過ごしやすい大学づくりについて、トイレの設備の改善や、通称使用制度の改善などを提言したいと思います。
―今回はお話を聞かせていただきありがとうございました。
▼ 今回活動をご紹介した立教大学「Rikkyo Pride」のページはこちら
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