公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
学生団体

「好き×防災」で変える未来 ─ 学生たちが創る新たな防災のカタチ

日本各地で災害が相次ぐなか、防災意識の重要性はますます高まっています。しかし、一方で「防災は難しそう」「訓練や講習が形だけで終わっている」といった声も少なくありません。そんな中、”防災を誰よりも楽しく、誰よりも真剣に”と活動するのが、防災普及学生団体Genkaiです。「好き×防災」を掲げ、メンバー一人ひとりの得意や夢を防災に結びつけることで、斬新なアイデアと行動力を生み出し、地域や学校での啓発活動、被災地支援など多岐にわたる取り組みを展開しています。現在、約60名の高校生・大学生が集うコミュニティとなった彼らは、一体どのようなビジョンを持ち、どんな活動を行っているのでしょうか。今回は、Genkai創設者で代表、國學院大學1年生の橋本玄さんにお話を伺いました。

「防災普及学生団体Genkai」設立の経緯

―団体の設立年、設立目的、立ち上げの経緯を教えてください。

2008年の東日本大震災が起きた当時、自分はまだ幼稚園児で、当時の記憶はそれほど鮮明ではないのですが、ただ、父親が医療関係の仕事で被災地へ支援に行っていたことが、後々の自分にとって“防災を意識する”最初の大きな出来事だったと思います。

学校での防災訓練が「事務的」「パターン化」されていると感じ、「どうしたらもっと身近で有意義な防災を広められるか」を考えるようになりました。そこで、2021年、当時中学3年生のときにに、まずは2人から団体を立ち上げたのが始まりです。

団体名の由来を教えてください。

元々は2人で始まった団体なので、自分の名前の「玄」そして、当時共同代表であった「海人」から「海」を一字ずつ取り、「玄海」という団体名でスタートしました。今ではメンバー数が増えたため、2024年4月より「防災普及学生団体Genkai」としています。

団体のビジョン・ミッションを教えてください。

「好き×防災」をテーマに掲げ、誰よりも楽しく・真剣に防災に取り組むことをミッションとしています。ビジョンとしては、「救われる人から救う人へ」という姿勢で、災害時に“助ける人”を増やすことや、防災教育を“自分ごと”として捉えられるようにすることで地域力を高め、被災時に迅速な共助を可能にすることを目指しています。また、多くの人に防災の重要性を理解・体現してもらうためにも、私たち自身が防災を実践しながら啓発を続ける姿勢を大切にしています。

さらに、団体のバリューとしては「夢を叶えるプラットフォーム」であり続けることを掲げ、一人ひとりの「やりたい」「得意」をカタチにしていく取り組みを推進しています。「学生が学生の視点で発信」することで、固定化されがちな防災教育に新しい風を吹き込み、楽しみながら学べる防災を広めていこうと考えています。

具体的な活動内容

現在の主な活動を教えてください。 

まず「防災を知る・伝える」活動で、小学校や地域イベントで防災講習を行い、防災運動会や防災アドベンチャーといったユニークなプログラムを取り入れています。また、東日本大震災を経験した被災地との交流を通じて、そこで得た学びや記憶を災害の少ない地域(いわゆる“未災地”)へと繋ぐよう力を入れています。

もう一つは「自分を知る・伝える」活動で、今の社会では夢や得意をカタチにする機会が限られているという問題意識が出発点になっています。そこで、メンバー一人ひとりが持つ“好き”や“得意”を防災と組み合わせて、発信活動を行っています。

「SNSをやってみたい」「映像を作りたい」「教員を目指しているから子ども向けの防災教育に興味がある」など、防災活動が未経験の学生でも自分の“好き”を活かして活動参加できる仕組みづくりを重視していて、活動するうちに自然と防災知識・意識が高まっていくのがGenkaiメンバーとして活動する強みかと思います。

―防災課題となると行政機関との連携もありますか?

はい、鎌倉市とは協定を結び、行政と協力して防災に関する伴走支援を実施し、各地域・商店街などからの要望を受けて危険箇所の対策や防災訓練の企画にも携わっています。2023年1月に起きた能登半島の地震では、防災士資格を持つメンバーが現地入りするとともに、鎌倉市内で街頭募金を実施し、短期間で集まった支援金を被災地の具体的な物資や支援活動に役立てたりしました。

―防災講習で参加者の方には特にどんなメッセージを伝えていますか?

 「今日・明日から始められる防災」を伝えるために、3つの勇気をよく話しています。

1つ目が”生きる勇気”です。どんな状況でも「絶対に生き抜く」と覚悟すること。2つ目が”信じる勇気”。災害時に大切な家族や友人も同じように生き抜こうとしているはずだ、と信じることです。そして最後に”求める勇気”困った時にSOSを出すこと。

避難所などでの生活であっても「寒い」「食糧が足りない」「トイレが詰まっている」など、声を上げる人がいないと改善も支援も届きにくいです。自分の命や健康を守るための声を上げる“勇気”が必要です。また、施設や防潮堤などの設備などハード面は大きな時間とコストがかかりますが、こうした“意識・マインド”は、考え方次第ですぐに身につけることができますので、そこを強く伝えるようにしています。

団体活動の特徴とは?

―他団体と違う何かユニークな特徴があれば教えてください。

特に挙げられるのは、メンバーの年齢層が幅広いことです。高校生から大学生までが一緒に活動し、さらに地域の大人とも連携を図ることで“縦の繋がり”を“横の繋がり”に変え、フラットなコミュニティを作ろうとしています。それに加えて、「夢や得意を防災と結びつける」という姿勢を貫いている点も特徴的です。単に“防災を学びましょう”ではなく、先ほど述べたように、一人ひとりが持っている個性やスキルを掛け合わせ、防災の形を自分たちで創っていくスタイルを大切にしています。

活動を行う中でのやりがいや、反対に大変なことを教えてください。

やりがいとしては、メンバー自身の成長を実感できるのはもちろんですが、防災講習やイベントを通じて参加者が「やってみよう」という前向きな気持ちになってくれた瞬間に大きな手応えを感じます。一方で大変なことは、学生メンバーそれぞれが忙しい日々を送りながら活動時間をやりくりしている点です。多世代・多様なメンバーが集まるからこそ得られる発想や学びがある反面、全員のスケジュールや意思をきちんとすり合わせて活動を続けていくのは簡単ではありません。

現在のメンバー数と組織構成を教えてください。

メンバーは合計で59名ほど在籍し、主に高校生や大学生が中心です。拠点は神奈川県鎌倉市で、メンバーの9割は神奈川県民、そのうち6割が鎌倉市民です。幅広い学生が関わることで、多様な視点やスキルを持ち寄りながら活動を進めています。

団体に加入するのはどんな動機が多いですか? 

一見すると防災に強い関心を持っていそうな印象がありますが、実際はメンバーの約9割が「防災意識ゼロ」の状態で入団してきます。自分の得意や将来の夢を“防災”と組み合わせられる点に魅力を感じる学生が多いです。その得意分野を存分に活かしながら活動するうちに、自然と防災の知識や意識が高まっていきます。

―最後に、今後の活動方針について教えてください。

 一言で表すなら「とにかく、人と防災をつなげる」ということに尽きます。これからも学校や地域イベントなど、あらゆる場面で防災を楽しく・身近に感じてもらう取り組みを続け、より多くの人に「自分にもできることがある」「自分が誰かを助けられる」という実感を持ってもらいたいと考えています。

―今回はお話を聞かせていただきありがとうございました。

▼今回活動をご紹介した「防災普及学生団体Genkai」のページはこちら
ホームページ:https://genkaikamakura.wixsite.com/website
Instagram:https://www.instagram.com/genkai.kamakura/

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
MIRASUS

MIRASUS編集部。地球と人に優しい未来をつくるサステナビリティな事例をご紹介。誰にでもわかりやすくSDGsに関する情報は発信していきます。

  1. 「好き×防災」で変える未来 ─ 学生たちが創る新たな防災のカタチ

  2. 若者世代の消費行動に変革を。「あらとぅ」が描く未来のファッションと地球への配慮

  3. 「狩猟と地域おこしボランティア」―命と向き合う早稲田大学の実習授業

公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加

RANKING

DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

RELATED

PAGE TOP