9月21日、イングランドサッカー協会は、同国代表ハリー・ケイン氏が、W杯カタール大会(2022ワールドカップ)にて、「あらゆる差別に対して反対」の意を表す「OneLove」の腕章を付けることを発表しました。
包括性を推進するこの活動は、イングランド、オランダ、ベルギー、スイス、ウェールズ、フランス、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、そしてドイツの代表チームによる共同キャンペーンの一環であり、その発起はカタールにおける人権問題を定義する、UEFAワーキンググループです。
活動は今季終了まで継続し、特にカタール大会では、8か国のキャプテンが、虹色のハートが描かれた腕章を巻いてプレーするとされています。
カタールが抱える人権問題とは
このキャンペーンの背景の一つに、ワールドカップに関連する、移民労働者の死亡問題があります。
イギリス紙『ガーディアン』の記事によると、インドやパキスタンからの移民労働者6500人がW杯招致以降カタールで死亡していると、カタールにある各国の大使館から提供された数をもとに伝えました。
さらに、同性愛を禁止しているカタールでは、激しい反LGBT法があり、キャンペーンに賛同しているドイツ代表主将のマヌエル・ノイアー氏は、次の表明を出しています。
「サッカーは、世界中で差別や排除を感じている全ての人たちに対して、寄り添う存在でなくてはならない。各国の主将とともにこのメッセージを伝えられることを誇らしく思う。」
最終地点に虹は掛かるのか
「OneLove」に描かれる7色の虹は、一つのハートの中に描かれています。
これは様々なものが混在する世界の多様性を、一つに纏める活動の、包括性を表しています。虹には始まりがあり、その最終地点がどこなのか、とても曖昧です。そこに人間の視点があるからです。
今回の「OneLove」の活動は、この曖昧な虹の終点を一つのハートに纏めることで、多様性が平等であることを示しています。スポーツと言う一つの視点を持って、終点がどこなのかを見極める、意味のある活動と言えるでしょう。カタール大会は11月20日に開幕します。
参照元:反差別のキャプテンマーク着用へ 欧州勢の主将、カタールW杯で|AFP BB NEWS