「奴隷」と聴くと、大抵はアフリカ大陸から連れてこられた黒人のイメージがあるでしょう。あるいは、戦争によって統治下におかれた国に起こる、侵略の歴史の中にあることかもしれません。
しかし、現代でも奴隷制度は世界各地に残っており、「奴隷」として生きている人たちがいます。
その数はなんと約5000万人。2022年9月に国連(UN)は、世界中で約5000万人が強制労働や強制結婚をさせられていると発表しました。
主に強制労働や強制結婚の犠牲者であり、特に2016年から2021年の間に、1000万人も増えたとされています。
「現代奴隷制」の現状
現在、「奴隷制」の法的な定義は存在しません。
しかし、概念としての奴隷制は、脅威や暴力、強要、欺瞞、権力乱用といった外的圧力に対して、拒絶や、離脱すると言うことができない、「搾取された状態」であることを示しています。
強制労働として代表的なものを挙げるとすれば、搾取工場と呼ばれるものです。
この工場では、劣悪な労働環境や条件の中で強制労働させており、さらに児童労働、セクハラ、パワハラ、低賃金、長時間労働など、労働法規に違反しています。
また、強制結婚に関しては年齢を考慮しないため、児童婚の問題も深刻化しています。
向き合うべき問題は何か
「現代奴隷制」が抱える問題は、もとをたどれば貧困問題にあります。
また「子は親を助けるべき」と言う、道義や風習が守られている風土や、女性差別がある国などでは、児童婚や児童労働も無くなりません。
更に「現代奴隷制」は、既に発展途上国だけの問題ではなく、その国や地域に工場を置く先進国の企業にも問題があります。
今や根強い国際的問題である「現代奴隷制」を解決するためには、雇い主である企業や、受け入れている国も積極的に取り組まなければなりません。
現代奴隷制は、世界各地で問題視されており、国際的な取り組みも行われ始めています。
日本でもANAホールディングスが日本初の「人権報告書」を発行するなど、世界からも高い評価を得ています。SDGsの目標に関連していることでもある、さらなる国際的な取り組みも期待されています。