海の豊かさを守ろう

海洋汚染の現状を知ろう!原因や対策もあわせて紹介

近年、環境問題の中でも、とくに問題視されているものが海洋汚染です。

地球は約3/4を海で覆われています。
そのため人々は、昔から海を食料の供給源や交通・輸送路などとして利用してきました。

その人々にとってなくてはならない海が、今私たちの手によって汚染されているのです。

美しい海を取り戻すためには、1人ひとりが海洋汚染の現状を知り行動することが鍵となります。

最近では、環境のためにマイバックやマイボトルを持ち歩く人が増えてきました。
過剰包装やプラスチック製品の購入を控える人も見られます。

しかし、まだまだ習慣化されているとは言い難いのが現状です。

本記事では、海洋汚染の現状や原因、私たち個人ができる取り組みをまとめました。

まずは海洋汚染とは何かを見ていきましょう。

海洋汚染とは

海洋汚染とは

海洋汚染とは、その名の通り海が汚れている状態です。
ごみのポイ捨てや排水の放出など、私たちが何も考えずに行ってきたことが積み重なり、引き起こした問題と言えます。
そして、その被害を1番に受けているのは海洋生物です。

海洋ごみや化学物質によって海は汚染され、海洋生物の減少につながります。
最悪の場合、絶滅する可能性もないとは言いきれません。
人が起こした身勝手な行動によって、何も悪くない海洋生物たちが犠牲になっているのです。

そして海洋汚染は人間にも被害を与えます。

漁業関係者は、漁獲量が減り職を失う可能性もでてきました。
化学物質をエサと間違えて食べた魚を、人間が食べる危険性も考えられます。

私たちは、環境や海の生態系、人間に大きな被害を与える海洋汚染の悪化を止めなければいけません。
そのためには、汚染の原因を知る必要があります。

次は、海洋汚染の原因について詳しく見ていきます。

海洋汚染の原因は?

海洋汚染の原因は?

海が汚染される原因はさまざまですが、ほとんどの原因に私たち人間が関係しています。
なかには直接関わっていないため、気づきにくい原因もありますが、私たちが快適に暮らす陰で海洋汚染が進んでいるのです。

私たちの生活の中で、原因となっているものに次の5つが挙げられます。

工場や家庭・農地から出る排水

工場や工業団地からは、主に産業廃棄物が流されています。
産業廃棄物には、水銀や鉛・カドミウムなどの貴金属の微粒子が含まれており、これらの貴金属は生き物にとって良くない存在です。

昔、日本の水俣市では、工場から大量に排出されたメチル水銀が問題になりました。
何十人もの人が亡くなり、何百人もの人が重い後遺症に悩まされたのです。
今もなお、後遺症に苦しんでいる人がいます。

現在は有毒性のある工場排水の放出は禁止されていますが、完全になくなったわけではありません。

生活排水も世界では、そのまま海へ流している国がいまだにあります。
急性腸炎の原因であるコレラの細菌を含んでいることも多いため、改善しなければならない問題です。

農地から海へ排出される水は硝酸塩を豊富に含んでおり、海藻や植物性プランクトンの異常発生の原因になる可能性もあります。

参考文献:海をさぐる3 海の利用 |トレーバー・デイ著 P51

農薬などの化学物質

農薬は、土の中の微生物や太陽光などによって多くが分解されます。
しかし、分解されずに残ってしまった農薬は、雨によって洗い流され河川に混じり最終的に海にたどり着くのです。
なかには、農地への散布時や地面の水分と一緒に蒸発した農薬が大気中に広がり、再び雨と一緒に降る場合もあります。

農薬は、雑草・昆虫・微生物を駆除するために開発されました。
この力に影響を受けるのは、海の生き物たちも例外ではありません。

命を落とすこともあれば、骨などに異常がでることもあります。

参照元:農薬による水質汚染と水生生物への影響|金沢 純著

ごみの不法投棄

不法投棄は、法律で禁止されているにもかかわらず後が絶えません。
「処分するためにお金がかかる」「ごみを持ち帰るのが手間だ」などという、身勝手な理由から不法投棄をする人もいます。

海岸付近では、

・ペットボトルなどのプラスチック製品
・釣り具や漁業用の網
・建築資材や家財
・古タイヤ
・家電やバッテリー

などが捨てられています。

海岸に不法投棄されたごみは、波にさらわれ海を漂い、海洋ごみになるものも多いです。

バッテリーなどは劣化が進むと中の液が漏れ出し、海に流れる可能性もあります。

不法投棄は、直接海に捨てなくても海洋環境を悪化させる原因となることを覚えておき

ましょう。

参照元:美しい川と海を取り戻そう|国土交通省

事故による石油の流出

石油関係の事故には、パイプラインの石油漏出などがあります。
そのなかでも、1度発生すると海洋環境や生態系に大きな被害をもたらすものが、タンカーの座礁事故です。

タンカーが事故を起こしてしまうと、大量の石油が海へ流れ出ることになります。
流れ出た石油は海面に広がり、やがて厚い層に変化します。

海水の汚染はもちろんですが、海で暮らす生物たちは下記のような被害を受けるでしょう。

・海鳥の羽や魚のエラが油で固まる
・アザラシなどの海洋哺乳動物の毛や肺に油が入り込む
・動植物プランクトンや魚の卵が死んでしまう

海中に生息する微生物や菌類が石油を分解できますが、回復するまでに数ヶ月から数年と長い時間が必要になります。

そして、意図的に廃油や石油を海に捨てている船も存在します。

この場合は、人工衛星を利用した遠隔監視で犯人を見つけることも不可能ではありません。
しかし、よほど悪質な違反者でない限り告発しないそうです。

参考文献:海をさぐる3 海の利用 |トレーバー・デイ著 P50~51

海洋ごみのプラスチック問題

海洋ごみは、海洋汚染の主な原因とされています。
そのなかでも海洋プラスチックごみの問題は深刻で、以前から専門家を中心に議論されてきました。

私たちにとって、プラスチックは身近な存在です。
包装材や日用品、衣類など、あらゆる所で使われています。
丈夫で軽く水にも強い性質を持ち、安価で大量生産できる、まさに「夢の素材」です。

しかし、この特性が環境にさまざまな影響をもたらしていきます。
水に溶けず腐らないプラスチックは、時間とともに劣化しない限り存在し続けるのです。
その多くは、海底に蓄積するか海中を漂うことになります。

劣化後も砕けて小さな破片になりますが、完全になくなるわけではありません。
5mm以下の大きさになると「マイクロプラスチック」と呼ばれます。
肉眼で確認することが難しく、海の生き物たちが食べてしまうことも少なくありません。

この深刻化するプラスチックの汚染問題を、国連環境計画(UNEP)は「プラスチック・スープ」と名づけました。

参考文献:プラスチック・スープの地球 汚染される「水の惑星」|ミヒル・ロスカム・アビング著

日本の海洋汚染の現状を知ろう

日本の海洋汚染の現状を知ろう

海洋汚染は、さまざまな原因が積み重なり悪化していることが分かりました。

実際に日本では、どのような影響がでているのでしょうか。

ここからは、日本の海洋汚染の現状を解説していきます。

前年よりも増加した海洋汚染の確認件数

令和3年に海上保安庁が発表した、海洋汚染の確認件数は453件でした。
前年よりも21件増えています。

前年よりも増加した海洋汚染の確認件数

参照元:令和2年の海洋汚染の現状について|海上保安庁

汚染の原因としては、

・油 286件
・廃棄物 158件
・有害液体物質 1件
・その他 8件

です。

また、油による海洋汚染のうち167件が船舶からの排出となっており、続いて不適切なタンク計測、船の設備の取り扱い不注意となっています。

廃棄物による海洋汚染は、市民による不法投棄が95件、漁業関係者による漁具などの不法投棄が58件でした。

漁業関係者による船舶からの排出や不注意による汚染は、海上保安庁が実際に講習会の開催や訪船・訪問指導を行うことになっています。

問題は不法投棄です。
「少しだけなら捨てても大丈夫だろう」という、不法投棄を行った人の意識を変えない限りなくなりません。

そういった人を1人でも減らすために、「不法投棄を絶対にしない」雰囲気づくりが大切になってくるのではないでしょうか。

日本の海洋ごみの現状

平成30年に環境省が行った海洋ごみ調査では、下記のような結果になりました。

【漂着ごみのモニタリング調査(個数)】
【漂着ごみのモニタリング調査(個数)】

参照元:平成30年度海洋ごみ調査の結果について|環境省

左の図を見ると、どの場所も人工物の漂着ごみが多いことが分かります。
そして、人工物の中でもプラスチック製品の漂着物が目立つ結果となりました。

落ちていた主なプラスチック製品は、

・ペットボトルのキャップ
・ロープ
・ストロー
・マドラー等

です。

また、漂着したペットボトルの言語も地域によって分かれました。

【漂着ごみのモニタリング調査(ペットボトルの言語表記)】
【漂着ごみのモニタリング調査(ペットボトルの言語表記)】

参照元:平成30年度海洋ごみ調査の結果について|環境省

八丈と松江は外国語が6割以上ですが、そのほかの地域は日本語が6割以上です。
この図から、日本で多くのペットボトルがポイ捨てされていることが分かります。
残念ながら日本では、そういった行動をとる人が多いということです。

海洋ごみの中でも、プラスチック製品が大半を占める理由も理解できたのではないでしょうか。
しかし、このまま何もせずにいると海洋汚染は深刻化するばかりです。

これ以上の悪化を防ぐために、日本は動き出しました。

これ以上の悪化を防ぐために日本が行っている対策は?

これ以上の悪化を防ぐために日本が行っている対策は?

ここからは日本が海洋汚染の悪化を防ぐために、実際に行っている対策や取り組み事例を見ていきます。

みんなで行う「海ごみゼロウィーク」一斉清掃

2019年より、5月30日(ごみゼロの日)から6月5日(世界海洋デー)を「海ごみゼロウィーク」と定めました。
海洋汚染の大きな原因となっている海洋ごみを減らすために、日本財団と環境省が共同で開催する一斉清掃活動です。
地域住民も参加して行われます。

この清掃活動は浜辺だけでなく、街中でも行われている所が特徴です。
約8割の海洋ごみは、陸から川をつたい流れてきます。

そのため根本的な原因である、陸上のごみも減らす必要があるのです。

参照元:海ごみゼロウィーク|全国一斉清掃!海ごみをなくそう!|日本財団

レジ袋の有料化

2020年7月からレジ袋の有料化が始まっています。
この制度の目的は環境問題だけでなく、プラスチック製品との付き合い方を変えるきっかけとなるように制度化されました。

まだまだ完全に定着したとは言えませんが、最近では多くの人がマイバックを持参する姿を目にします。

またこの制度は、すべてのレジ袋を有料化するのではなく、環境に優しいと認められた下記のレジ袋は利用可能です。

レジ袋の有料化

このように日本政府や財団を中心に、海洋汚染の悪化を防ぐ取り組みが誕生しています。

誕生の理由としては、現状に危機を感じていることはもちろんですが、もう1つの理由としてSDGsが関係しているのです。

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SDGsの目標14を通して海洋汚染の問題を考える

SDGsの目標14を通して海洋汚染の問題を考える

SDGsは海に関する目標も設定されています。
それが目標14「海の豊かさを守ろう」です。

ここからは目標14がどのような内容で、海洋汚染とどのように関係するのか見ていきましょう。
まずはSDGsについて説明します。

SDGsについて説明

SDGsとは「Sustainable Development Goals」のことです。
日本語で「持続可能な開発目標」と略されます。

2015年に開催された国連総会にて、193の全加盟国一致により決定しました。
2030年までに達成しなければならない17の目標と、目標達成を目指す年や数値を具体的に示した169のターゲットが決められています。

目標は「環境」「社会」「経済」の課題を解決するために、貧困や教育、ジェンダーなど幅広く設定されました。
しかし目標やターゲットを見ると、数字や方向性は明確に示されていますが、「これをしてくださいね!」などといった、達成するための方法は決められていません。

SDGsは全世界共通のゴールに、それぞれの方法で辿り着かなければいけないのです。
そして、誰一人取り残されない世界を目指すために、地球上のすべての人々が協力する必要があります。

個人では達成できない課題も、誰かと協力することによって達成できるでしょう。

協力の重要性では、海洋汚染の問題にも同じことが言えます。

ここからは海洋汚染の問題と関りの深い、目標14について踏み込んでいきます。

目標14「海の豊かさを守ろう」とは?

目標14では、

・海洋環境
・生態系
・海洋資源

など、海に関するすべての課題の解決を目指します。

また目標14を通して海洋汚染を改善すると、その他の目標の改善にもつながるのです。

例えば、

・海洋汚染を改善することで海洋環境や生態系が守られる
・魚などの海産物が増えると同時に、漁獲量も安定する
・漁業関係者の所得が安定するため、貧困の問題が改善される
・獲れた魚は化学化合物などを、ほぼ蓄積していないため、食べた人の健康増進にもつながる

上記のように貧困や健康問題なども改善されるため、目標1「貧困をなくそう」目標3「すべての人に健康と福祉を」などの達成に貢献しているでしょう。

さらに海洋汚染の問題は、目標14のターゲットにも下記のように記載されています。

【14.1】 2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
【14.2】 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
【14.5】 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。

参照元:SDGsの目標とターゲット|農林水産省

これまで日本政府は目標14の達成と海洋汚染を改善するために、さまざまな方法を考え、取り組みを行ってきました。

では私たち個人は、何をすればよいのでしょうか。

次は海洋汚染の改善のために、個人ができる取り組みを紹介します。

参照元:SDGs(持続可能な開発目標)|蟹江憲史著

[sitecard subtitle=関連記事 url=https://mirasus.jp/sdgs/oceans/1888]

海のために私たちができる取り組みは何だろう?

海のために私たちができる取り組みは何だろう?

私たち個人にもできる取り組みはたくさんあります。
そして、1人ひとりが無理のない範囲で続けることに意味があるのです。

海洋汚染の悪化を防ぎ、美しい海を取り戻すために、下記のようなことから始めましょう。

・マイボトルやマイバックなどを持参する
・プラスチック製品の購入を控える
・ごみのポイ捨てをしない
・油を拭き取り、洗剤で洗う
・料理で利用した油は直接流さない
・「海のエコラベル(MSC認証マーク)」がついた製品を選ぶ

取り組み内容を見て「普段からやっているよ!」と思った人もいるのではないでしょうか。

すでに取り組んでいる人は、そのまま継続してください。
そして、何かまた新しい取り組みに挑戦してみましょう。
清掃活動に参加するなど、ステップアップするのも良いかもしれません。

今までしていなかった人は、今日から始めてみましょう。
いきなりすべてを取り入れるのではなく、1つずつ取り入れていくことがポイントです。
「習慣化」することで、ストレスなく続けられます。

最終的には、自分が心地よく続けている習慣が、海洋汚染の改善につながるような状況を目指しましょう。

まとめ

まとめ

本記事では、海洋汚染の現状や原因、日本の取り組み、SDGsとの関係性などを解説しました。

私たちは、海から食や資源など多くの恩恵を受けています。
しかし排水や海洋ごみなど人間の身勝手な行動が原因で、海洋環境や生態系が汚染されているのが現状です。

これ以上の悪化を防ぎ美しい海を取り戻すために、日本政府もさまざまな取り組みを行っています。
しかし、政府だけが努力しても意味はありません。
国民1人ひとりが現状に目を向け、暮らしを少し変える必要があります。

プラスチック製品の購入を控え、食器を洗う際は油汚れを拭き取り洗剤を使うなど、少しずつ変えていきましょう。

あなたの行動と日々の積み重ねが、海洋汚染の改善につながります。

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