日本で生まれたサステナブルな紙、「バナナペーパー」をご存知でしょうか?
最近では、高校1年生向け英語の教科書の中で、題材として登場した「バナナペーパー」が掲載され話題になりました。
バナナペーパーは、環境や雇用などの問題を解決する救世主として注目されています。
この記事では、バナナペーパーの意味、メリットやデメリットを解説します。
手軽に購入できる商品もまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。
バナナペーパーとは
バナナペーパーとは、オーガニックバナナの茎の繊維に古紙やパルプを混ぜ合わせてつくられた紙のこと。
日本の伝統的な越前和紙の手すき技術を応用して考案されました。
日本で初めてのフェアトレード認証の紙です。
これまでバナナの茎は大量に廃棄されていました。
実は、バナナの果実は同じ木には1度しか実らないのです。
そのため、バナナを収穫した後は次の新たな果実が育つように、古い茎を切らなければなりません。
捨てるしかなかったバナナの茎を原料とし、リサイクルできるとして注目を集めているのです。
現在では、以下のアイテムに使用されています。
・大判紙・カット紙
・名刺
・ポストカード
・ノート
・封筒
・包装紙や紙袋
・卒業証書(東京芸術大学)
・カレンダー(国連ハビタット)
バナナペーパーの作り方
では、バナナペーパーはどのように作られているのでしょうか。
①ザンビア国内のバナナ農家からオーガニックバナナの茎を買い取る。
②その茎から、紙の原料となるバナナ繊維を絞り、取り出す。
③繊維を乾かす。作業工場はアフリカにあります。
④計量、梱包し、和紙の街である越前へ発送。
⑤越前和紙の工場で、バナナ繊維に古紙やFSC®森林認証のパルプと混ぜ合わせる。
⑥バナナペーパーが完成。
以上の工程をへて、和紙の雰囲気が残る質の高い紙ができあがります。
バナナペーパーのメリット
では、バナナペーパーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
実は、SDGsの目標達成に貢献できる紙であると期待されているのです。
詳しいメリットをみていきましょう。
①環境を守る
廃棄物であるバナナの茎を使って紙を製造することは、環境を守ることにつながります。
現在、森林伐採が加速し森林の再生が追いついていないのが問題になっています。
世界の森林は減少を続けており、毎年520万ヘクタールが減少しているといわれているのです。
特に、南アメリカやアフリカなどの熱帯の森林を中心に、大きく減少し続けています。
森林の減少は地球温暖化や土砂災害など、さまざまな環境問題を引き起こすため、森林を残す対策が欠かせません。
一般的に紙の原料となる木は、苗木を植えてから木材として利用するまでに約40年ほどかかります。
一方、バナナは茎を刈り取っても、約1年で新しい茎が生えるので、効率よく原料が得られます。
さらに、廃棄物を活用しているのでより環境負荷が少ないといえるでしょう。
②貧困をなくす
バナナペーパーは、バナナ農家の貧困対策としても期待されています。
バナナペーパーのおかげで、廃棄物でしかなかったバナナの茎が新たな収入源になるからです。
果物とともに茎も販売することで収入が上がり、より安定した収入につながります。
さらに、バナナペーパーの製造という新たな事業が生まれたことで、アフリカに新たな雇用を生み出しました。
このように、バナナペーパーはバナナ農家の新たな収入源とアフリカの雇用創出に大きく貢献しているのです。
③動物の多様性を守る
バナナペーパーは、絶滅危惧種の命を守るとともに、動物の多様性を未来に残すことに繋がっています。
パーム油や木を原料とする紙は、世界中の森林への負担が大きいと懸念されています。
トラやオランウータンの数が減っている原因の一つは、林業による熱帯雨林の減少です。
しかしバナナペーパーならば、野生動物と生息地の森を守りながら紙を生産できます。
また、ゾウやキリンなどの絶滅危惧種の命を落とす原因には、密猟があげられます。
密猟者の多くは、就職や収入に困っている方が多いといわれているそうです。
つまり、バナナペーパーで新たな雇用を生み出すことは、密猟の減少につながります。
結果的に動物の命を守れるのです。
参照元:
・WHO 日本とアフリカの協働|株式会社ワンプラネット・カフェ
・ゾウを守る|株式会社ワンプラネット・カフェ
バナナペーパーのデメリット
では、バナナペーパーにはどんなデメリットがあるのでしょうか。
理解を深めるために、問題点についてもみていきましょう。
インクがのりづらい
バナナペーパーの原料は天然繊維です。
そのため、印刷時にインクがのりづらいことや裏面にインクがうつる場合があります。
しかし今後の開発が進めば、この問題も解決できることが期待できます。
②高い
一般的な用紙と比べると、バナナペーパーは価格も割高です。
例えば、両面カラーの名刺で比べてみましょう。
一般的な用紙で作られる名刺は、100部あたり1300〜2000円ほど。
一方のバナナペーパーの名刺は、100部あたり5000円前後です。
とはいえ、環境や社会にやさしいという価値を知れば納得できる値段といえるでしょう。
③認知度が低い
バナナペーパーは、認知度がまだまだ低いです。
日本で生まれた紙とはいえ、知っている日本人は少数派でしょう。
認知度が低いことは、需要の低さにもつながります。
その結果、値段も割高になってしまうのです。
今後、認知度が上がればニーズが増え、価格も下がるかもしれません。
手軽に購入できる!バナナペーパー商品
最後に、バナナペーパーの商品を紹介します。
手軽に購入できるものに厳選しました。
①山櫻「バナナペーパー名刺」
山櫻では、バナナペーパーで作られた名刺を販売しています。
バナナペーパーで作られたことを証明するエシカルマークも入れられるのが特徴です。
渡す時にやさしい気持ちになったり、営業トークのネタになったりできるのではないでしょうか。
②クラサワ「バナナちよがみ」
バナナちよがみは、日本初のフェアトレード認証紙「バナナペーパー」を使用しています。
柄やカラーも複数展開なのが特徴です。
社会貢献にもつながる折り紙で、親子で遊ぶのも素敵ではないでしょうか。
③rik skog(リークスクーグ®)「バナナハンガー」
rik skogは、バナナペーパーを使ったエシカルなハンガーを販売しています。
紙でできているので、ハンガーにメッセージを書いたりイラストを描いたりできるのが特徴です。
ただ、湿った衣類を掛けることができないのでご注意ください。
【番外編】日本人に馴染みのあるお米で社会課題を解決しようとする紙もある
バナナペーパーのほかにも、環境問題や社会課題を解決する紙として合わせて知っておくべきものに「kome-kami」(コメカミ)があります。
kome-kamiは江戸時代のお米を糊や紙に使う文化にヒントを得て、加工・流通段階や家庭で出る食用に適さないお米、備蓄用アルファ米で廃棄されてしまうものと、FSC認証パルプでアップサイクルした紙素材です。
よくある混抄紙とは違い、ただ混ぜるだけではないのがkome-kamiです。お米の力を引き出し機能性を持たせることで、化学薬品の代替原料として活用。環境負荷低減とCO2削減を実現しています。
さらに、フードバンクを応援することで必要な方に届けるための新しい循環を創り、食品ロス問題と子供の貧困問題に貢献する新しい循環の仕組も造り、広げています。
環境や人にやさしいバナナペーパー!
バナナペーパーは、日本で生まれたフェアトレード認証用紙です。
これまで廃棄されていたバナナの茎を活用したバナナペーパーは、非常に環境負荷が少ないといえます。
大量に紙が使用されるとともに森林破壊が進む現状を改善する役割が期待されているのです。
とはいえ、まだ知名度が低いのが現状です。
バナナペーパーを普及させるためには、バナナペーパーを知り、この魅力をシェアすることが大切といえるでしょう。
持続可能な社会の実現のためにも、今回知ったバナナペーパーの魅力をぜひ誰かに話してみてはいかがでしょうか。