BAM部は、放置竹林問題を解決し、地方の社会課題に立ち向かうことを目指し、2020年に設立された学生団体です。
早稲田大学を中心とした学生メンバーが、埼玉県本庄市に位置する古民家を拠点に、竹林の管理から竹製品の製造・販売、農業、イベントの開催まで、多岐にわたる活動を展開しています。
今回は、BAM部の設立背景、団体のビジョンとミッション、具体的な活動内容、そして今後の展望について、BAM部代表で早稲田大学4年生の三浦さんと、学生時にBAM部を設立し、現BAM部顧問の大井さんのお二人にMIRASUS編集部がお話を聞きました。
「BAM部」設立の経緯
―団体の設立年、設立目的、立ち上げの経緯を教えてください。
2020年7月7日に設立しました。立ち上げ経緯は、地方の社会課題を学生の手で解決したいと考えていたときに、「放置竹林」に関する問題であれば学生でも取り組むことができそうだと考えたことがきっかけです。
もともとBAM部の設立者である大井が地方出身者で、大学生活を通して地方と東京の格差を痛感していました。その経験から、地方の現状や社会課題について深く学びたいと感じ、2017年に「UNITE」というサークルを立ち上げました。
しかし、様々な課題に学びながらも、具体的にアクションを起こすのが難しいと感じる中で「放置竹林問題」という新たな社会課題を知りました。この課題に対して、学生ならではの視点や行動力で何かできるのではないかとの思いから、「地域の社会課題を持続可能なサイクルで解決する」という目的のもと、2020年に学生団体BAM部を設立しました。
―「BAM部」という団体名の由来を教えてください。
竹の英語名「bamboo(バンブー)」が由来です。
―団体のビジョン・ミッションを教えてください。
私たちの活動理念は「地域の社会課題を持続可能なサイクルで解決する」です。
BAM部は放置竹林問題に焦点を当てて設立されましたが、その根底には地域の様々な社会課題を持続的に解決したいという強い想いがあります。この想いを胸に、現在も様々な分野での活動を積極的に進めています。
具体的な活動内容
―現在の主な活動を教えてください。
私たちの主な活動は放置竹林の竹を切ることから始めています。自分たちが管理している古民家の周りも竹林で取り囲まれており、その他にも本庄市の農家さんや地域の神社の竹林も手入れしています。
切り出した竹を燃やして竹炭にし、それを土壌改良材として使用する形で農業も行っています。私たちの団体で畑を所有していて、そこの畑で竹炭を混ぜ込んで農作物を育てています。
また、切った竹を使って「竹あかり」を製作し、地域の賑わいを作るためのイベントや、学園祭でのワークショップも開催しています。完成品は販売もしており、飲食店のテラス席などで置いてもらっています。
―学生だけで農業をやっているのですか?
団体設立者の大井が大学院を卒業後、農家としての活動を始めました。最初は地域の農業経験者と連携して学びましたが、現在は学生たちが自らで農業を行っています。
―企業との連携について、具体的にはどのような形で行っていますか?
埼玉県本庄市を始めとする行政、大学など様々なところから活動の支援を受けており、その他に本庄市中心の飲食店や温泉施設などの施設に竹製品を展示しています。「竹あかり」の展示によって、月額制などで収益を上げて団体の活動資金として活用しています。現段階ではこちらからの営業活動というよりも、イベントから私たちの活動を知ってくれた企業の方からのご依頼が多いです。
特に、竹に関する知識や技術を持つ老舗の業者からの依頼もあり、竹の皮のような伝統的な素材を現代の発想で活用する提案も行っています。
―イベント活動について、詳しく教えていただけますか?
今年は5月に本庄市の城山稲荷神社で「竹あかりの展示」を行いました。参道に約100mにわたり竹あかりを配置し、神楽殿でも展示しました。このイベントでは点灯式で尺八や琴の演奏、地元の伝統を伝える殺陣の演舞が行われ、本庄第一高校の美術部の生徒がデザインしてくれた竹あかりも展示しました。
大体1000人程度が3日間で来場しました。今年5月が初めてのイベントだったのですが、11月にも同じようなイベントを計画しています。
―現在のメンバー数と組織構成を教えてください。
メンバーは全員で55名です。顧問、代表、副代表、農業部門、商品開発部門、竹林伐採部門があります。約7割が早稲田の学生ですが、他大学の方ももちろん歓迎です。
団体活動の特徴とは?
―BAM部ならではの何かユニークな特徴はありますか?
東京のメンバーが中心の団体でありながら、毎週末、約100km離れた埼玉県本庄市の古民家を拠点に活動を行っているところがユニークなところであると思います。また、ボランティア団体でありながらお金の回るサイクルを作るというビジョンを持っているところも強みであると考えています。
あとは、新しい提案ができる環境で、例えば最近はキッチンカーの事業を新たに始めました。
―活動を行う中でのやりがいや反対に大変なことを教えてください。
行政や企業などとの連携を行うことによって、学生だけでは実施できなかったことも実現できるのがやりがいです。反対に、行政や企業との連携は契約や金銭のやり取りなどがあり、そういった面で苦労することも多いです。
―最後に、今後の活動方針について教えてください。
今後は、学生団体BAM部はそのまま残していきながら、団体とは別に一部で法人化を行ったり、より企業や行政などとの連携を深め、社会課題解決に向けたお金の回る仕組みを構築していきたいと考えています。
正直、まだ収益の部分で身銭を切っている状況もあるので、独自の商品を製作し、販売を通じて安定した収益を得られるようにしたいと考えています。加えて、各学生の特技や能力を最大限に活かし、主体的に活動に関わるメンバーを増やしていきたいです。
放置された竹林の問題は、私たちだけで解決することは難しいと感じています。そのため、私たちの活動を積極的に発信し、同じ問題に取り組む他の団体や企業や行政との連携を強化していきたいと考えています。
―今回はお話を聞かせていただきありがとうございました。
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