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日本の格差対策の一つである同一労働同一賃金を深掘り

格差が広がる日本。教育格差や医療格差など、さまざまな格差の要因となるのが、所得格差です。
「同一労働同一賃金」は、その所得格差の解消を目的として導入されました。本記事では、同一労働同一賃金について掘り下げていきます。

同一労働同一賃金とは何か、同一労働同一賃金のメリット・デメリット、日本の雇用の現状、海外の同一労働同一賃金などについてご紹介します。

同一労働同一賃金は、格差解消のための制度

同一労働同一賃金は、格差解消のための制度

同一労働同一賃金は、その名の通り「同じ仕事をしていれば、同じ賃金を支払う」という考え方です。

正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の、不合理な待遇差を解消するために導入されました。

「待遇」とは、基本給・賞与・手当といった賃金、福利厚生、キャリア形成などです。
「同じ仕事をしているのに、雇用形態が異なるだけで賃金に格差がある」と感じた経験がある人は、多いのではないでしょうか。

日本は、正規雇用労働者と非正規労働者の賃金を含めた待遇の差がとても大きいです。
そのため、学生のみならず多くの人は正規雇用を志望して就職活動を行います。

同じ職場で働く正規雇用労働者と非正規雇用労働者との不合理な待遇差が解消されれば、正規・非正規にこだわらず、それぞれが自由に働き方を選択できるようになります。

なにより、貧困層の多くは非正規雇用労働者であるため、貧困を解決するために一刻も早い待遇改善が必要なのです。

同一労働同一賃金の実現に向けたガイドラインとは

同一労働同一賃金の実現に向けたガイドラインとは

同一労働同一賃金ガイドラインは、「待遇差の不合理」に関する原則となる考え方や具体例を示したものです。

事業主がこのガイドラインに反した場合、罰則はありませんが次のようなリスクがあります。

・裁判となり、損害賠償を請求される
・労働基準法違反となり、処罰される
・人材が流出したり、確保が困難になったりする

また、非正規雇用労働者は正規雇用労働者との間に格差を感じた場合、事業主に説明を求めることができます。
解決に至らない場合、「都道府県労働局雇用環境・均等部(室)」に相談することができます。

参照元:職場でのトラブル解決の援助を求める方へ|厚生労働省

罰則がないため、同一労働同一賃金がスピードをもって進展するのか不安ですが、非正規雇用労働者自身も声をあげることが必要なのかもしれません。

同一労働同一賃金のメリット・デメリット

同一労働同一賃金のメリット・デメリット

同一労働同一賃金は、事業主や労働者にとって具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのかみていきましょう。

事業主側のメリット

非正規雇用労働者の賃金アップによるモチベーション向上や、キャリアアップ支援によるスキル向上の結果、生産性があがる。
雇用形態にかかわらず労働に対し公正な評価による報酬が支払われ、信頼される企業となることで、人材の確保につながる。

労働者側のメリット

非正規雇用労働者の待遇(賃金やキャリアアップなど)が改善される。

事業主側のデメリット

非正規雇用労働者の待遇改善により、人件費が上がる。正規雇用労働者と非正規雇用労働者へ、納得感のある説明が必要となる。

労働者側のデメリット

正規雇用労働者の待遇が悪くなる可能性がある。人件費があがることで、雇用数が減る可能性がある。

日本の雇用|正規と非正規、時給ベースで大きな差

日本の雇用|正規と非正規、時給ベースで大きな差

日本の非正規雇用労働者は労働者全体の37%で、以下のような特徴があります。

・世代があがるごとに非正規雇用労働者の割合が増加
・非正規雇用労働者全体では、パート・アルバイトが70%を超える
・正規雇用労働者と比較して、賃金が低い

賃金は、時給ベースでみると明らかな差があります。

・一般労働者(正社員・正職員)の 平均賃金2,021円
・一般労働者(正社員・正職員以外)の 平均賃金1,337円

世代別にみてみましょう。

以下の表の「正社員・正職員以外」とは非正規雇用労働者を指し、赤線(フルタイム労働)と紫線(短時間労働)で示されています。

非正規雇用労働者は、若いうちは若干の昇給がありますが、30代以降は横ばいです。
その後、年齢があがるごとに正社員・正職員(正規雇用労働者)との差は大きくなり、50代では1,000円以上の差があります。

このような賃金の差が、所得格差の原因となるのです。

引用元:「非正規雇用」の現状と課題|厚生労働省 資料

「職務」を基準とした海外の同一労働同一賃金

「職務」を基準とした海外の同一労働同一賃金

海外にも同様の考え方があり、「同一価値労働同一報酬」といわれています。

「同一価値労働同一報酬」の権利がILO(国際労働事務局)によって承認されたのは、1919年です。
男女間において公平な報酬を達成することを目的として定められました。

日本は雇用形態を基準として賃金が異なる場合が多いですが、国際的な基準は「職務」です。
そのため、職務範囲が明確に定められており、欧米などでは文字通り、同じ仕事をしている場合は同じ賃金が支払われます。

これらの国では、「正規対非正規」という観点ではなく、人種や性別、宗教などによる差別を禁止するという観点で考えられているのが特徴です。

このような観点のみならず、欧米と日本の雇用は全く異なるものです。
日本式の雇用では当たり前となっている、正規雇用労働者に与えられる長期雇用保障や各種手当、定年などは欧米にはありません。

もちろん、日本式の雇用にもメリットはあり、欧米式の雇用にもデメリットはあります。
しかし、日本式の雇用は、非正規雇用労働者と正規雇用労働者の待遇に、あまりにも差があります。

また、いまのような賃金体系は高度成長期につくられたものであり、高度成長期がおわったいま、事業主としても多くの正規雇用労働者の雇用を維持し続けるのは大変な負担です。

非正規雇用労働者の待遇改善だけではなく、正規雇用労働者の手厚い待遇の見直しも必要といえるでしょう。

日本式の雇用と欧米式の雇用、それぞれのメリットをうまく取り入れた新しい雇用方法が生まれれば、所得格差は縮小できるかもしれません。そして、誰もが多様な働き方を選べる社会が実現できるのではないでしょうか。

まとめ

まとめ

同一労働同一賃金についてご紹介しました。日本の正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇格差、特に賃金格差はとても大きいものです。

同一労働同一賃金は、その格差を是正し、貧困に苦しむ人のいない社会を実現するために重要な取り組みです。
それは、雇用形態にこだわらず多様な働き方ができる社会の実現にもつながります。

そのような社会をいち早く実現するために、国や事業主の対応を待つだけではなく、私たちも声をあげることが必要ではないでしょうか。

  • 記事を書いたライター
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三木めぐみ

専業主婦として家族の転勤で各地を転々とする中、転勤や長時間労働など「働き方」に疑問を感じる。育児との両立・働きやすさを考えた末、2020年にライターとして起業。 SDGsの理念「誰ひとり置き去りにしない」に感銘をうけたことが、SDGsの記事を書くきっかけとなった。

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