日本でも徐々に広がりつつあるフェアトレードファッション。
「フェアトレードファッションって具体的にどんなファッション?」
「どこで買えるの?」
そう思ったことはありませんか?
本記事では、フェアトレードファッションの「いろは」や、サステナブルな最新化学繊維をご紹介します。
また記事の後半では、フェアトレード商品を扱うブランドやショップをご紹介します。
フェアトレードファッションにご興味を持たれている方は、ぜひご一読ください。
「フェアトレードファッション」とは適正な価格で取引された衣料品のこと
フェアトレード(公正な貿易)は、発展途上国でつくられた作物や製品を適正な価格で取引することです。
「発展途上国の生産者」と「先進国の企業」の立場はあまりにも差があり、前者は社会的・経済的弱者となりやすく、低賃金や劣悪な環境での労働が問題となっています。
フェアトレードは、適正な価格での取引や労働環境の改善を通じて、生産者の生活向上を図ることが目的です。
フェアトレードファッションは、衣類の原料や製品自体がフェアトレードされたものであり、私たちがそれを選ぶことで生産者の生活を支援することができるのです。
企業のあり方が問われた最悪の事故「ラナ・プラザ崩落事故」
2013年にバングラデシュで起きた悲劇をご存じでしょうか。
「ラナ・プラザ」という商業ビルが崩落し、死者1,134名・負傷者2,500名以上という最悪の結果となりました。
このビルには、商店の他に有名ファッションブランドの縫製工場も入居していました。
崩落事故の前日、ビルの壁や柱にひびが確認され、警察により退去命令が出されていました。
しかし、工場の関係者は従業員に対し、仕事に戻るよう促します。
翌日、解雇を恐れた従業員は普段通り出勤し、事故に巻き込まれました。
この事故がきっかけとなり、従業員が低賃金で劣悪な環境で働いていたことが明るみとなりました。
有名ファッションブランドが、低コストで商品を生産していたのです。
しかし、貿易が国際的な規模となったことで、ブランドは自社製品がそのような環境で作られていることを把握していませんでした。
「ラナ・プラザ崩落事故」をきっかけに、アパレル産業は大きな批判を受け、企業のあり方を問われることとなりました。
二つのフェアトレード
主な二つのフェアトレードをご紹介します。
国際フェアトレード認証ラベル
製品の原料の生産から輸出入・加工・製造まで、国際フェアトレードラベル機構が定めた基準が守られていることを示すラベル。
世界フェアトレード連盟(WFTO)マーク
WFTOに加盟し、生産者の労働条件や労働環境などに関する基準を満たした団体が取得できるマーク。
このマークを取得した団体が扱う商品は、フェアトレードのものであるといえます。
フェアトレードに関連がある「エシカル消費」
エシカル消費とは、人や環境、社会に配慮した消費行動を指します。
フェアトレードファッションやフェアトレード認証ラベルがついた商品を選ぶことも、エシカル消費です。
他にも、こんな行動がエシカル消費となります。
・必要なものを必要な分だけ購入する
・エコ商品を選ぶ
・売り上げが寄付につながる商品を選ぶ
・被災地の特産品を購入する(被災地支援) など
何かを購入するとき、一度手をとめて「エシカル消費」を意識してみてください。
私たち消費者の行動が、環境保護や誰かを支援することにつながります。
アパレル業界に革新をもたらす「リサイクルナイロン」
リサイクルナイロンとは、文字通り再利用されたナイロンのことです。
各社により原料はさまざまですが、「ECONYL®」というリサイクルナイロンは、埋め立て地のプラスチックや、海洋プラスチックで問題となっている漁網などが原料となっています。
リサイクルナイロンは、超軽量・高強度・高吸水性・速乾性・伸縮性など多様な特長をもちます。
また、再びリサイクルでき、まさに持続可能な化学繊維といえます。
パタゴニアなどサステナビリティを推進するブランドを中心に採用されており、リサイクルナイロンはアパレル産業に少しずつ広がりをみせています。
衣料品は、リユース・リサイクルを検討しよう
ファストファッションや低価格で高品質な衣料品の増加で、消費者は気軽にさまざまな服を手にすることができるようになりました。
しかし、その裏では児童労働や強制労働、大量の廃棄物など多くの課題があります。
SDGsのひとつに「つくる責任、つかう責任」という目標があります。
企業の責任はもちろんですが、私たち消費者も何を選ぶのか、どのように使うのかという責任があります。
例えば、
・古着を購入する
・まだ状態の良い服は寄付もしくはリサイクルショップで買取してもらう(リユース)
・資源ゴミに出す(ウエス原料や反毛原料としてリサイクル)
消費者が消費行動を改めることは、企業の事業方針を変えることにもつながります。
まずは、手元にある服を大切にすることから始めてみませんか。
フェアトレードブランドやショップ
ここではフェアトレードブランドやショップをご紹介します。
People Tree(ピープルツリー)
フェアトレードカンパニー株式会社のフェアトレード専門ブランド。
エシカル、サステナブルなファッションを約30年に渡ってつくり続けています。
生産国だけではなく生産者の顔や村の歴史など、かなり詳細な情報まで確認することができます。
ピープルツリーは、基準を満たした団体であることを証明する「世界フェアトレード連盟(WFTO)マーク」も取得しています。
あつかう商品はすべてフェアトレードのものであるため、フェアトレードにこだわって買い物をしたい場合、安心して選ぶことができます。
Patagonia(パタゴニア)
2014年よりフェアトレード認証済み衣類を提供。
フェアトレード・サーティファイド縫製ラベルの付いた1製品ごとに賞与(プレミアム)を支払うシステムにより、労働者の生活を支えています。
Nudie Jeans(ヌーディージーンズ)
フェアトレードされたオーガニックコットンを使用した商品などを販売。
ジーンズは生涯無料のリペア保障がついており、安心して長く愛用できます。
また、不要になったNudie Jeansのジーンズは下取りが可能で、新しいものを購入する際に20%割引になるシステムもあります。
Enter the E(エンター・ジ・イー)
独自の基準で選定したブランドの商品を販売。
「スローファッション」を掲げ、アパレル産業の衣類ロスの問題に対する取り組みを行っています。
「破棄率0%、消化率100%」を目指し、在庫を持たず必要なものを必要な分だけ仕入れるという方式を採用。
購入者は注文後、作り手が手配もしくは制作するまで待つシステムです。
まとめ
フェアトレードファッションに関する情報をご紹介しました。
ファッションは、私たちに幸せや活力を与えてくれます。
すてきな服や新しい服に身を包むと、明るい気持ちになったり、やる気がわいてきたりします。
しかし、その服の製造にかかわった人たちが、児童労働や低賃金労働などの状況にある可能性を、消費者は忘れてはいけません。
フェアトレードファッションや古着を選ぶ。長く愛用する。リユース、リサイクルする。
自分にできることから、「つかう責任」を果たしてみませんか。