公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダー教育とは?海外と日本の取り組みを解説【2026年最新】

ジェンダー教育とは?海外と日本の取り組みを解説!

ジェンダー教育とは、性別にとらわれず、すべての人の人権を尊重する態度を育む教育のことです。ここでいう「ジェンダー」は、生物学的な性別そのものではありません。社会や文化のなかでつくられた「男はこう」「女はこう」という役割や期待を指します。

2026年9月に公表された世界経済フォーラム(WEF)の最新報告で、日本は145カ国中117位でした。主要7か国(G7)では最下位です。この記事では、ジェンダー教育の意味を押さえたうえで、海外と日本の取り組みを比べます。そのうえで、学校や家庭で今日から使える関わり方まで見ていきます。

この記事で学べること

  • ジェンダー教育が「教えること」と「教えないこと」の違い
  • 2026年のジェンダー・ギャップ指数で見た日本の現在地
  • 英国・スウェーデン・ユネスコの学校での取り組み
  • 文部科学省の通知や「生命の安全教育」など日本の制度
  • 家庭ですぐ試せる声かけの言い換えと、学校への質問例

ジェンダー教育が教えること、教えないこと

「ジェンダー教育」と聞くと、男女の違いをなくす教育だと受け取る人もいます。しかし実際の目的は、性別を理由に選択肢が狭まらないようにすることです。まず、よくある誤解を解きながら中身を確認します。

3つのねらい

ジェンダー教育のねらいは、大きく3つに分けられます。

1つ目は、身体のつくりに違いがあっても、人としての価値や権利は平等だと理解することです。2つ目は、性別に関係なく、学びや挑戦の機会が与えられると知ることです。3つ目は、「男だから」「女だから」ではなく、一人ひとりの個性を尊重することです。

これらは特別な授業だけで身につくものではありません。休み時間のやりとり、係や委員の決め方、先生の言葉づかいなど、学校生活の細部を通じて少しずつ形になります。

「らしさ」をすべて否定する教育ではない

よくある誤解が、「男の子らしさ」「女の子らしさ」を禁止する教育だというものです。ジェンダー教育が問題にするのは、「らしさ」を本人の意思と関係なく押しつけることです。

たとえば、青が好きな女の子や、おままごとが好きな男の子がいても構いません。好きなものを選んだ結果が「らしい」かどうかは関係ありません。性別を理由に、選ぶ前から選択肢を外してしまう状況を減らすことが焦点です。

性教育との違い

ジェンダー教育は、性教育と重なる部分もありますが、同じものではありません。性教育が身体の成長や健康、人間関係を扱うのに対し、ジェンダー教育は社会の役割や期待、権利の平等に重点を置きます。

ただし、国際的には両者を切り離さずに扱う流れがあります。この点は海外の取り組みの章で触れます。

日本の現在地|2026年ジェンダー・ギャップ指数は145カ国中117位

ジェンダー教育がなぜ必要なのかは、日本の現状を見るとわかりやすくなります。ここでは最新の国際指標を確認し、数字の読み方も押さえます。

117位という数字をどう読むか

ジェンダー・ギャップ指数(GGI)は、経済・教育・健康・政治の4分野で男女差を測る指標です。0が完全な不平等、1が完全な平等を表します。内閣府男女共同参画局の資料によると、2026年9月16日に公表された日本の順位は145カ国中117位、スコアは0.670でした。

G7の中では、英国が5位、ドイツが9位、フランスが22位、カナダが24位、米国が47位、イタリアが83位でした。日本は100位圏にも入れませんでした。報道によれば、東アジア・太平洋地域でも中国(96位)や韓国(101位)より低い順位です。

分野別では、報道によると政治が121位、経済が119位、教育が68位、健康が49位でした。女性首相の就任があっても、順位が大きく改善するには至りませんでした。家事・育児の負担が女性に偏っていることも、経済・政治分野の低さの背景として指摘されています。

教育分野の指標だけでは見えないこと

ここで疑問が出ます。教育分野は他の分野より高いのに、なぜ「ジェンダー教育」が必要なのでしょうか。

GGIの教育分野は、識字率や初等・中等・高等教育への就学率といった「学校に通えているか」の男女差を見る指標です。女子が学校に通えているかどうかは測れますが、教室で何が起きているかまでは測っていません。教科書の描かれ方、先生の期待、進路指導での声かけ、役割分担の決め方などは数字に表れません。

内閣府の男女共同参画白書(令和7年版)は、女子学生・生徒の理工系分野の選択を促す施策を取り上げています。「夏のリコチャレ」には119団体、228イベントが参加し、6,900名以上の生徒等が参加したと紹介されています。学力と進路選択のあいだにある「見えない壁」は、国も課題として認識しています。

子どもの頃の「決めつけ」が将来の選択に響く

「男の子なんだから泣かないの」「女の子なんだからおとなしくしなさい」といった言葉は、多くの場合、悪意なく発せられます。ただ、こうした声かけが積み重なると、「自分にはできないこと」「向いていないこと」という思い込みにつながるおそれがあります。

だからこそ、思い込みが固まる前の幼児期から青年期にかけての関わりが重要だといわれます。ジェンダー教育は、将来の社会を変えるための準備であると同時に、目の前の子ども一人ひとりの可能性を狭めない関わり方でもあります。

海外の取り組み|英国・スウェーデン・ユネスコ

海外には、法律や国際的な指針としてジェンダー教育を支える枠組みがあります。ここでは英国、スウェーデン、ユネスコの3つを取り上げます。国ごとに仕組みが違うため、「法律で禁止している」と一言でまとめない点に注意が必要です。

英国|2010年平等法が学校を対象に含む

英国では2010年に平等法(Equality Act 2010)が施行されました。それまでの性差別禁止法や人種関係法など、複数の差別禁止法を一つにまとめたものです。性別は、法律が保護する9つの特性の一つに位置づけられています。

この法律は、学校が児童生徒や保護者をどう扱うかも対象にしています。学校は、性別を理由に特定の子どもを不利に扱わないよう求められます。英国教育省や平等人権委員会(EHRC)も、学校向けの手引きを公開しています。

つまり、授業・部活動・指導のあらゆる場面で「性別による不利益な扱い」を避ける責任が、学校側にあるという考え方です。

スウェーデン|学校に「積極的措置」を求める

スウェーデンでは、教育法が、民主主義の価値と人権に基づいて教育を行うことを定めています。さらに2008年の差別禁止法は、学校を含む教育機関に対し、差別を防ぐための「積極的措置」を取り、その内容を記録することを求めています。

日本語の文献では、1998年の教育法改正で、学校に性別によるステレオタイプへの対抗が求められるようになったと紹介されています。個々の先生の善意に任せず、組織として点検し、改善を重ねる仕組みを持っている点が特徴です。

なお、「性別の固定観念を示す指導はすべて違法」と紹介されることがありますが、実際は法律上の義務と学校ごとの計画づくりを組み合わせた運用です。表現を単純にしすぎないことが大切です。

ユネスコ|包括的な学びとして捉え直す

ユネスコ(国連教育科学文化機関)は、2018年に改訂した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」で、性と人間関係の学びを、人権とジェンダー平等の枠組みで捉え直しました。身体や健康だけでなく、尊重、同意、ジェンダーの規範といった内容を、年齢に応じて段階的に学ぶ考え方です。

日本語版も刊行され、日本の学校や研究者の議論でも参照されています。ジェンダー教育と性教育を切り離さず、「自分と相手を大切にする力」としてひと続きに考える流れは、国際的に広がっています。

日本の取り組み|文部科学省の通知から「生命の安全教育」まで

日本にも、学校でジェンダーの課題に向き合うための国の枠組みがあります。ここでは主な3つを紹介します。

2015年の通知と生徒指導提要の改訂

文部科学省は2015年4月30日に、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」を通知しました。自認する性別に合った制服の着用、更衣室として保健室を使うこと、職員トイレや多目的トイレの利用、修学旅行での1人部屋の使用や入浴時間の調整などが、支援の例として挙げられています。

通知は「先入観をもたず、その時々の児童生徒の状況等に応じた支援を行う」ことを求めています。情報共有についても、本人や保護者の意向を確認し、同意を得ることや、本人が周囲に知られたくない場合があることに配慮するよう示しています。「周囲の理解をどう得るか」は個別対応だけでは解決しにくい課題ですが、本人の意思を最優先にする方針は明確です。

2022年12月には、教員向けの手引き「生徒指導提要」が改訂され、性的マイノリティに関する記載も加わりました。

生命の安全教育|2023年度から全国の学校で

「生命(いのち)の安全教育」は、子どもたちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないようにすることを目的にした学びです。文部科学省と内閣府が教材と指導の手引きをつくり、2023年度から全国の学校での推進が本格化しました。

対象は幼児期から高校生等までで、発達段階に応じて内容が変わります。動画教材は「よりよい人間関係」「性的な暴力とは」「被害時の対応方法」「SNS利用時の注意点」といったテーマで構成されています。自分を大切にし、他者との境界線を尊重する学びは、ジェンダー教育の土台でもあります。

理工系に進む女子を後押しする取り組み

進路の分野にも、ジェンダーの偏りが残っています。内閣府の白書によると、国は「夏のリコチャレ」やSTEM Girls Ambassadorsの派遣などを通じて、女子学生・生徒の理工系分野の選択を後押ししています。令和7年版の白書では、17地域にSTEM Girls Ambassadorsが派遣されたと紹介されています。

学力の問題ではなく、「理系は男子向け」という無意識の思い込みが選択を左右する面がある、という前提に立った取り組みです。

学校現場で起きている変化と、残る課題

制度だけでなく、教室の中も少しずつ変わっています。ここでは、小学校でよく見られるようになった工夫を3つ紹介します。学校や自治体によって取り組みには差がある点は、あらかじめ断っておきます。

呼び方を「さん付け」にそろえる

児童の呼び方を、性別に関係なく「さん付け」にそろえる学校が増えています。先生から子どもへの呼びかけだけでなく、子ども同士でも「さん」で呼び合うルールを設ける例もあります。

「○○ちゃん」「○○くん」と呼び分けることには、本来の意味での悪意はありません。それでも、呼び方が性別ごとに分かれていると、「男女は別の集団」という感覚を自然に強めてしまうことがあります。呼称を統一する方法は、特別な教材を使わずに始められる工夫の一つです。

色や持ち物を性別で決めない

ランドセルの色は、かつて男の子が黒系、女の子が赤系というのが一般的でした。現在は、黒、茶、青、赤、紫など、好きな色を選ぶ家庭が増えています。道具箱や学用品でも、赤と青を指定ではなく選択制にする例があります。

中学校や高校では、スラックスとスカートを選べる制服の導入が各地で進んでいます。全国の導入割合を示す最新の統一調査は確認できていませんが、教員1,800人を対象にした民間調査では、「女子のスラックス制服の採用」を支持する声が50.1%で最も多く、学校現場での関心が高いことがうかがえます。

言葉かけと役割分担を見直す

指導の中で「男の子らしく」「女の子らしく」といった言葉を避ける先生も増えています。リーダーや委員長を決めるとき、男子ばかりが選ばれないよう意識する学校もあります。

運動会や学習発表会、修学旅行など、秋の行事が続くこの時期は、役割分担を見直すのに向いています。力仕事は男子、記録や飾りつけは女子といった「無意識の振り分け」が起きていないか、先生も子どもも立ち止まって考えられるからです。

名簿の並べ方や整列のしかたなど、気づきにくい習慣もあります。変化は進んでいますが、学校全体でそろった取り組みになるまでには時間がかかります。

よくある疑問と誤解

ジェンダー教育には、立場によってさまざまな反応があります。ここでは、よく聞かれる疑問を整理し、誤解されやすい点を確認します。

「男の子」にとっても関係のある話

ジェンダー教育は、女子や性的マイノリティの子どもだけの話ではありません。「男の子は泣くな」「男は弱音を吐くな」といった期待は、男の子の感情表現を狭めてしまいます。

悔しさや悲しさを言葉にできないと、不安を周囲に伝えにくくなります。性別による決めつけは、誰にでも窮屈さを生みます。ジェンダー教育は、全員が自分らしく過ごせる環境をつくるための学びです。

当事者の子どもにとっての安心

自認する性別と身体の性別が一致しない子どもにとって、学校は安心できる場であるべきです。2015年の通知が、制服、トイレ、更衣室、宿泊行事といった具体的な場面で配慮を示したのは、日常の小さな不安が通学そのものを難しくしかねないからです。

一方で、支援を受けることを本人が周囲に知られたくない場合もあります。周りに「説明する」ことが目的化しないよう、本人の意思を確認しながら進めることが、通知にも明記されています。

家庭の価値観との向き合い方

保護者の中には、「伝統的な役割を大切にしたい」という考えを持つ人もいます。ジェンダー教育は、家庭の価値観を否定するものではなく、子どもが将来どんな選択をしても、不利益を受けない土台を整えるためのものです。

対話の入口としては、学校の方針や取り組みの意図を丁寧に共有することが有効です。一方的に正しさを伝えるのではなく、子どもの可能性を広げるという共通の目的から話し始めると、受け止められやすくなります。

家庭と地域で今日からできること

制度や学校の変化を待つだけでなく、家庭や地域でも身近にできる行動があります。ここでは、すぐ試せるものを取り上げます。

声かけを少し言い換えてみる

「らしさ」に頼った声かけは、少し言い換えるだけで印象が変わります。次の表現は一例です。

  • 「男の子なんだから泣かないの」→「悔しかったんだね。どうしたい?」
  • 「女の子なのに、がさつね」→「元気いっぱいだね。次はこうしてみようか」
  • 「お手伝いは女の子の役目」→「家族みんなで分担しよう。今日は誰がやる?」
  • 「理系は男の子が得意だよね」→「その問題、どこが面白かった?」

完璧に言い換える必要はありません。「あ、今の言い方は違ったかも」と気づき、言い直すこと自体が、子どもにとって良い見本になります。

家庭内の分担を見せる

子どもは、大人の言葉よりも、日常の行動をよく見ています。料理、洗濯、送り迎え、仕事の話など、家庭内で役割が性別に偏っていないかを振り返ってみてください。

GGIで日本の経済・政治分野の順位が低い背景には、家事・育児の負担が女性に偏っている現実があります。家庭での分担の見直しは、子どもへの教育であると同時に、社会全体の構造を変える一歩でもあります。

学校や園に聞いてみる

学校や園の取り組みを知るために、保護者として次のような質問をしてみるのも一つの方法です。

  • 児童・生徒の呼び方や名簿の並べ方に決まりはありますか
  • 係や委員の決め方で、性別に偏りが出ないよう工夫していますか
  • 「生命の安全教育」はどの学年で、どのように取り入れていますか
  • 制服や持ち物は、本人が選べる仕組みになっていますか

責めるためではなく、知るための質問として投げかけると、学校との対話が始まりやすくなります。

まとめ

ジェンダー教育とは、性別にとらわれず、すべての人の人権を尊重する態度を育てる学びです。日本は2026年のGGIで145カ国中117位となり、G7最下位でした。教育分野の指標が高くても、教科書、言葉かけ、役割分担といった学校生活の細部に、見えにくい偏りが残っていると考えられます。

海外では、英国の平等法、スウェーデンの差別禁止法、ユネスコの国際ガイダンスのように、法律や国際的な指針が学校の取り組みを支えています。日本でも、2015年の文部科学省の通知や、2023年度から全国で進む「生命の安全教育」など、制度の整備が進んでいます。学校ではさん付けの統一や、色の選択制といった具体的な変化も広がっています。

制度が整うのを待つだけでなく、日々の声かけや家庭内の分担も、子どもにとっては大切な学びの場です。まず1つだけ、普段何気なく使っている「らしさ」の言葉を、別の言い方に置き換えてみてください。

  • ジェンダー教育は、「らしさ」の禁止ではなく、性別による選択肢の制限を減らす学び
  • 日本は2026年のGGIで145カ国中117位。学校生活の細部にも見えにくい偏りが残る
  • 英国・スウェーデン・ユネスコは、法律や指針で学校の取り組みを支えている
  • 日本は2015年の通知や「生命の安全教育」など、制度の整備を進めている
  • 家庭での声かけの言い換えと分担の見直しが、今日から始められる一歩

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
MAMI FUJITA

ライター&オンライン講師。小学校教諭歴6年。退職後、社会との繋がりに悩む専業主婦がサステナブルライフと出会って自分らしい生き方を叶える。現在はサステナブルライフ、SDGs、食、教育分野の記事を執筆中。自分・社会・環境を大切にする輪を広げたい。著書『ふだん使いのSDGs:自己肯定感ゼロから解放される!家事BOOK!』

  1. 【保存版】エコな紙を徹底比較!kome-kami、バナナペーパー、ゼロCO2ペーパーのメリットとデメリット

  2. プラスチックが分解されるまでの年数|素材別データと今できる行動

  3. 日本で誕生したバナナペーパーとは?メリットとデメリット、買える商品と選び方を整理

RELATED

PAGE TOP