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サステナブルファッションとは?人や環境に優しいファッションを取り入れよう|日本の現状と今日からの選び方

サステナブルファッションとは?人や環境に優しいファッションを取り入れよう

サステナブルファッションとは、服の原材料の調達から生産、流通、着用、手放したあとの再利用や廃棄までを通じて、環境と社会への負荷を減らし、将来にわたって続けられるようにするファッションのあり方です。人や環境に優しいファッションを取り入れたいと思っても、何から手をつければよいか迷う方は多いでしょう。朝晩が冷え込み、衣替えでクローゼットを開ける今の時期は、自分の服と向き合う良い機会です。この記事では、環境省などの最新データで日本の現状を確かめたうえで、認証ラベルの見方、企業やEUの動き、今日から選べる行動までを整理します。

この記事で学べること

  • 日本で服がどれだけ供給され、手放され、廃棄されているかの最新データ
  • 環境・人権・動物への影響という、サステナブルファッションが求められる3つの背景
  • GOTS・国際フェアトレード・Better Cottonなど、認証ラベルが保証する内容の違い
  • 日本企業の回収の取り組みと、EUで決まった新ルールの概要
  • 衣替えの季節に、手持ちの服から始められる5つの行動
目次

日本の服はどれだけ供給され、手放されているのか|最新の数字で現状を見る

最初に、環境省が公表している数字で日本の現状を確認します。数字は調査の年や集計の範囲によって異なるため、年を添えて紹介します。

衣類の供給は約35億着、購入量は横ばい

環境省のサステナブルファッション紹介ページによると、2024年の衣類の供給量は約35億着です。1990年の約20億着から約1.8倍に増えた一方で、購入量は横ばいとされています。作られる服の数が、実際に買われる数を上回って増えてきたことがうかがえます。

服の値段が下がり、品ぞろえが増えること自体は、暮らしを支える面もあります。ただ、作られた服がすべて着られているわけではない、という点は押さえておきたい事実です。

1年間に1度も着ていない服が、1人あたり約24着

同じページには、1年間に手放す服が1人あたり約11着、リペア(修理)される服は約2着とあります。また、1年間に1度も着ていない服は1人あたり約24着で、持っている服の約45%がクローゼットにしまい込まれているとされています。

衣替えで「着ない服が多い」と感じるのは、珍しいことではありません。責める話ではなく、買い方や持ち方を見直す入口になる数字です。

手放された服の行方

環境省の2022年版マテリアルフローでは、国内に新しく供給された衣類は79.8万トンで、そのうち73.1万トンが事業所と家庭から手放されたと推計されています。手放された衣類の行方は次のとおりです。

  • 廃棄は47.0万トンで、手放された衣類の64.3%
  • リユースは13.3万トン
  • リサイクルは12.7万トン

環境省のサステナブルファッション紹介ページでは、家庭から可燃ごみや不燃ごみとして出される衣類を年間約44万トン、1日あたり大型トラック約130台分としています。さらに、日本全体で服を1年長く着ると、廃棄を約5万トン減らせるという試算も示されています。

なぜ人や環境に優しいファッションが求められるのか|3つの背景

服の問題は、ごみの量だけではありません。作られる過程と、作る人たちの環境にも目を向ける必要があります。ここでは環境・人権・動物の3つの視点で背景を整理します。

環境への負荷は、作る段階に大きい

環境省は、衣類の製造に使われる水の量を年間約83億立方メートルとしており、その約9割は綿花の栽培に使われるとされています。服は着ている間よりも、原料を育て、染め、縫い、運ぶ段階で多くの資源を使います。

そのため、同じ1着でも、長く着るほど「作る段階の負荷」を使い切れることになります。サステナブルファッションで「長く着る」ことが重視されるのは、この理由によります。

ラナ・プラザ崩壊事故が突きつけた人権の問題

2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ近郊で、縫製工場の入った商業ビル「ラナ・プラザ」が崩壊しました。労働組合の国際組織IndustriALLなどによると、死者は1,134人、負傷者は約2,500人にのぼり、犠牲者の多くは女性でした。前日にはビルの大きな亀裂が確認されていましたが、労働者は建物に入るよう圧力をかけられたと報告されています。

この事故をきっかけに、事故の約3週間後には200を超える世界のブランドと労働組合が、工場の建物と火災の安全を守る「バングラデシュ・アコード」を結びました。2021年にはパキスタンにも対象が広がり、国際協定になっています。安価な服の背景に、安全でない労働環境があり得ることを、世界が共有するきっかけになりました。

動物由来の素材をめぐる考え方

ファーやレザー、ダウンなどの動物由来の素材は、動物の飼育や採取の方法が問われてきました。素材を使うかどうかの判断は、ブランドや消費者によって分かれます。

大切なのは、使う場合も使わない場合も、原料の由来を説明できる状態にあるかどうかです。購入の前に、ブランドの公式サイトで素材の調達方針を確かめると、判断の材料になります。

サステナブルファッションで起こりがちな3つの誤解|選び方の分かれ道

関心が高まるほど、「環境に良さそう」という印象だけで選んでしまう場面も増えます。ここでは、特に誤解されやすい3つの点を整理します。

「環境に優しい」と書いてあれば十分とは限らない

「エコ」「地球に優しい」といった言葉だけでは、何がどれだけ良いのかが分かりません。素材の何割が対象か、どの工程が対象か、誰が確かめているのかが示されているかを見ましょう。第三者機関の認証や、数値つきの説明があるものは、判断しやすくなります。

根拠のない「環境に優しい」という表示は、グリーンウォッシュと呼ばれます。疑う前に、「何が」「どのくらい」「誰が確かめたのか」の3点をたずねる習慣が役に立ちます。

回収に出した服が、そのまま新しい服になるとは限らない

リサイクルという言葉から、古い服が新しい服に生まれ変わる姿を思い浮かべる方は多いでしょう。ところが現実はもう少し複雑です。

衣料の回収とケミカルリサイクルを手がけるJEPLANの社長へのインタビュー(WWD JAPAN、2023年2月)によると、2022年に回収した約1,500トンのうち、リユースが75.3%、ポリエステル100%の衣類からポリエステル樹脂を再生したものは7.8%でした。素材が混ざった服や、染料の種類が多い服は、組成を把握しきれず再生しにくいことが課題として語られています。

回収は意味のある取り組みですが、回収に出したから安心とは言えません。そもそも買う量と持つ期間を見直すことが、いちばん確実な負荷の減らし方です。

中古衣料は、海外へ出せば役立つとは限らない

着なくなった服を寄付や回収に出すと、どこかで誰かの役に立つと考えがちです。しかし、EUの新ルールをめぐっては、環境団体から「中古衣料の途上国への輸出を助長する恐れがある」という批判が出ています(FASHIONSNAP、2025年9月)。

送り先の国で処理しきれない服が、ごみとして積み上がる問題も指摘されています。手放す前に、まずは国内で次の持ち主につなぐ方法を選ぶと、行き先の見えやすさが変わります。

国際認証と環境ラベルの見方|GOTS・国際フェアトレード・Better Cotton

ラベルは、サステナブルな服を見分ける手がかりです。ただし、ラベルごとに保証している内容が違います。代表的な3つを比べます。

GOTS(オーガニックテキスタイル世界基準)

GOTSは、オーガニック繊維を使った繊維製品の国際基準です。有機繊維の含有率に基準があり、認証を受けるには最低70%以上の有機繊維が必要とされます。原料から加工、縫製、流通までの各工程が対象で、環境面だけでなく社会面の基準も満たしたうえで、第三者機関が検査します。

「有機繊維が何割入っているか」と「工程全体が確かめられているか」の両方を見られるのが特徴です。

国際フェアトレード認証コットン

国際フェアトレード認証は、綿花を育てる農家の暮らしを守ることに重点を置いた認証です。国際フェアトレード基準にそった取引で作られた綿花であることを証明し、農家には安定した価格と地域の発展のための資金が支払われます。環境面の保証が中心のGOTSとは、見ている場所が違います。

認証の仕組みを詳しく知りたい方は、次の記事も参考になります。

Better Cotton

Better Cottonは、世界最大級の綿花の持続可能性プログラムです。農家に水の使い方や農薬の管理などの農法を指導し、綿花の栽培環境を改善することを目指しています。Better Cotton自身の年次報告によると、2022-23年のシーズンの生産量は547万トンで、世界の綿花生産量の22%にあたります。

農家の栽培方法に着目した仕組みで、オーガニックとは別のものです。ラベルを見るときは、次の3つを確かめると整理しやすくなります。

  • 何を保証しているのか(栽培・工程・取引の公正さのどれか)
  • 誰が確かめているのか(第三者の検査があるか)
  • 製品のどこまでが対象か(素材の何割か、工程全体か)

日本と世界の動き|企業の回収とEUの新ルール

個人の選択だけでなく、企業や国の仕組みも動き始めています。日本の企業の実践と、世界で最も先に進んでいるEUの動きを見ていきます。

日本企業による店頭回収とリサイクル

ユニクロは2006年から全商品リサイクル活動を続け、2020年に「RE.UNIQLO」へ発展させました。店舗の回収ボックスで集めた服のうち、着られるものは難民キャンプや被災地の支援に届けています。リユースできないものは、断熱材や防音材などの素材に活用しています。2024年10月には、回収した衣料を洗浄・染色して再販売する「UNIQLO古着プロジェクト」のトライアル販売も始まりました。

JEPLANは、アパレル各社の店頭やユニフォームの回収を受け、2023年2月時点で199のブランドと取り組み、回収拠点は4,536カ所(スポット開催を含む)に広がっています。1社が全部を担うのではなく、ブランド横断で回収を支える動きが育ってきたと言えます。

国の検討と、EUで決まった生産者の費用負担

日本では、経済産業省の検討会が2023年9月に報告書をまとめ、回収、分別・繊維再生、設計・製造、販売の4分野で課題と方向性を整理しました。服を作る段階から、再生しやすい設計にすることも検討されています。

EUでは、欧州議会が2025年9月、繊維製品の回収・選別・リサイクルの費用を、製品を市場に出す事業者に負担させる指令を最終採択しました。ESG Todayなどの報道によると、EU域内で出る繊維廃棄物は年間1,260万トンです。EU域外の事業者やオンライン販売の事業者も対象になり、加盟国は採択から30か月以内に制度を運用する必要があります。ファストファッションの事業者には、より高い拠出金を課すことが認められています。

日本の事業者でもEU向けに販売する場合は影響を受ける可能性があり、「作った側が手放したあとにも責任を持つ」という考え方は、日本の議論にも影響していくと考えられます。

今日から始める選び方と使い方|衣替えの季節にできる5つの行動

ここからは、読者のみなさんがすぐに試せる行動です。すべてを一度に行う必要はありません。気になる項目を1つ選ぶところから始めてください。

1. 手持ちの服を並べて、持っている数を知る

衣替えの機会に、クローゼットの服をいったん出して眺めてみましょう。1年に1度も着ていない服が何着あるかを知るだけで、次に買うものの基準が変わります。同じような服を重ねて持っていないかも、この時点で分かります。

2. 買う前に「何回着るか」を考える

新しい服が気になったら、手持ちの服と何通り組み合わせられるかを考えます。長く着たいかどうかを自分に問うだけでも、衝動買いは減ります。値段の安さだけでなく、縫製や素材の丈夫さを見て選ぶと、結果的に長く使えます。

3. 素材に合ったケアと、ちょっとした修理

素材に合った洗い方やブラッシングで、服は長持ちします。ボタンの付け直しや裾上げなど、小さな修理を続けるだけで、手放す時期を遅らせられます。環境省の試算では、1年長く着る行動が日本全体で積み重なると、約5万トンの廃棄削減につながります。

4. 古着やリユースを選択肢に入れる

古着は、新しく作る量を増やさずに服を楽しめる選択肢です。若い世代にも広がっており、次の記事で背景を紹介しています。

ただし、古着であれば何を買ってもよいわけではありません。買ったあとに着ないままになっては、負荷は減りません。自分の暮らしで着る場面がはっきり思い浮かぶ服を選びましょう。

5. 手放すときは、行き先を選ぶ

着なくなった服は、まず次の持ち主につなげる方法(フリマアプリ、リユースショップ、知人への譲渡)を検討します。着られない状態の服は、店頭回収や自治体の資源回収を使いましょう。回収後にどう扱われるかは、各社の公式サイトで確認できます。

服だけでなく消費全体の考え方に広げたい方には、次の記事がまとまっています。

まとめ

日本では2024年に約35億着の衣類が供給され、手放された衣類の約6割以上が廃棄されています。服が環境や人に与える負荷は、着る段階よりも、原料を育て、作る段階に大きく表れます。ラナ・プラザの事故が示したとおり、安価な服の裏側には、働く人の安全という課題もありました。

一方で、日本の企業による回収やリサイクル、EUの新ルールなど、仕組みの側も動いています。ただし、回収に出したからといって、すべてが新しい服に生まれ変わるわけではありません。認証ラベルが保証する範囲も、それぞれ異なります。だからこそ、買う前に「何回着るか」を考え、持っている服を長く着ることが、確かな第一歩になります。

まずは今週の衣替えで、1年間着ていない服を1着だけ見つけてみてください。それを着る日を考えるか、次の持ち主を探すかを決めるだけで、十分なスタートです。

  • 日本の衣類供給は年約35億着で、購入量は横ばいのまま供給が増えている
  • 手放された衣類の約64%(2022年)が廃棄され、1年長く着ると約5万トンの削減につながる
  • GOTS・国際フェアトレード・Better Cottonは、保証する内容がそれぞれ違う
  • 回収に出した服がすべて新しい服になるわけではなく、買う量と着る期間の見直しが基本
  • 衣替えの機会に、着ていない服を1着見つけることから始められる

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事

鹿児島県在住のフリーライター。コーヒーをきっかけにSDGsを知り、興味をもつように。普段は、ライフスタイルやSDGsに関する記事を執筆しています。

  1. グリーンリカバリーとは?2026年最新版|日本のGX戦略と欧州の事例、私たちにできること

  2. GOTS認証とは?基準や見分け方、SDGsとの関係性を2026年の最新動向とあわせて紹介

  3. USAコットンとは|サステナブルな理由・SDGsとの関係・選び方まで解説

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