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プラスチックとCO2排出の関係|日本の現状データと今日からできる削減術

プラスチックによる二酸化炭素排出量への影響?削減する取り組み

レジ袋やペットボトル、食品トレーなど、プラスチックは私たちの暮らしの隅々に入り込んでいます。便利さの裏側で、原料の採掘から製造、そして焼却に至るまでの各段階で二酸化炭素(CO2)が排出されている実態は、意外と知られていません。この記事では、プラスチックがどの段階でCO2を出しているのか、日本の生産・廃棄の現状はどうなっているのか、そして企業や制度が進めている削減策を踏まえたうえで、今日から実践できる選び方までを順番に見ていきます。

プラスチックはどこから来てなぜCO2を出すのか|原料から廃棄までの排出構造

プラスチックの原料は石油です。日本は原油のほぼ全量を輸入に依存しており、財務省の貿易統計では中東地域からの輸入割合が高い状況が続いてきました。地下から採掘された原油はタンカーで運ばれ、製油所で加熱されることでガソリンや灯油、軽油などとともに「ナフサ」が作られます。このナフサをさらに分解してエチレンやプロピレンといった基礎化学品を作り、それらの分子をつなぎ合わせることでポリエチレンやポリプロピレンなど、私たちが普段目にするプラスチック原料が完成します。

原料の採掘・輸送段階で生まれるCO2

原油を採掘し、タンカーで日本まで運び、精製・分解してプラスチック原料に加工するまでの一連の工程には、燃料の燃焼や設備稼働に伴うエネルギー消費が発生します。これがプラスチックのライフサイクル排出量の出発点です。採掘国から日本までの輸送距離が長いほど、輸送に伴うエネルギー消費も増える構造にあります。

製造・廃棄段階まで含めた排出の積み重なり

プラスチック製品の製造には加熱・成形工程でのエネルギー消費が伴い、さらに使用後の廃棄段階、特に焼却処理の際には、プラスチックそのものが炭素を含む石油由来の素材であるためCO2が直接発生します。採掘から廃棄までのすべての段階が積み重なることで、プラスチック1キログラムあたり数キログラムのCO2が排出されると報告されています。東京都環境局の資料でも、家庭やオフィスから出る廃プラスチックの多くが焼却処理を経てCO2排出につながっている実態が指摘されています。

日本のプラスチック生産・廃棄量の実態|世界の中でどの位置にあるのか

世界では年間で数億トン規模のプラスチックが生産されており、OECDの分析では今後も生産量が増加基調にあると指摘されています。日本国内でも年間で900万トン前後の生産に加え、海外からの輸入分も上乗せされ、最終的に消費者や企業が使用するプラスチック量は1000万トン規模にのぼるとされています。使用後に廃プラスチックとなる量も、生産量とほぼ同水準で発生している状況が続いてきました。

国連環境計画(UNEP)が2018年に公表した報告では、1人当たりのプラスチック包装廃棄量についてアメリカに次いで日本が世界で2番目に多いと指摘されました。国土や人口規模を考えると、この数値の重みは軽視できません。

試算してみる、1人当たりの廃プラスチック量

公表されている廃プラスチック排出量と日本の総人口(約1億2000万人)を単純に割り算すると、1人当たり年間およそ70キログラム前後のプラスチックごみを出している計算になります。500ミリリットルのペットボトル(本体重量約30グラム)に置き換えると、1人が年間2000本以上に相当する重さのプラスチックを廃棄している計算です。もちろんこれは家庭ごみだけでなく企業由来の廃プラスチックも含めた数字ですが、自分ひとりの消費が積み重なった先にこの規模があると考えると、日々の選択の意味が変わってきます。

焼却によるCO2排出の実態|サーマルリサイクルの落とし穴

日本のプラスチックリサイクルには大きく3つの方式があります。プラスチックを溶かして再び製品原料にする「マテリアルリサイクル」、化学的に分解して別の原料に作り替える「ケミカルリサイクル」、そして焼却時の熱を発電や温水に利用する「サーマルリサイクル(熱回収)」です。日本では廃プラスチックの相当量がサーマルリサイクルという形で処理されており、これは焼却によってエネルギーを取り出す方法である以上、CO2の発生そのものを避けられるわけではありません。

国際的な基準では、焼却による熱回収は「リサイクル」ではなく「エネルギー回収」に分類されることが一般的で、日本の高いリサイクル率という数字の内訳を見るときには、この分類の違いを踏まえておく必要があります。焼却由来の熱を発電や冷暖房に活用すること自体は埋め立てや単純焼却よりも資源効率の面で意味がありますが、根本的なCO2排出削減にはつながらない点は押さえておきたいポイントです。

海洋プラスチックごみの問題とCO2排出の問題は別の課題に見えて、実は「使い捨てプラスチックをどう減らすか」という同じ根っこにつながっています。

日本企業に見るプラスチック代替とCO2削減の取り組み

プラスチック由来のCO2排出を減らす動きは、消費者だけでなく企業の側でも広がっています。飲料メーカー各社は、ペットボトルの原料を植物由来素材やリサイクル素材に切り替える方針を掲げ、将来的に自社ブランド飲料のペットボトルを100%サステナブル素材にする目標を打ち出す企業が出てきました。小売業界でも、レジ袋の有料化をきっかけに、プライベートブランド商品の容器包装で使用するプラスチック量そのものを削減する目標を掲げる動きが広がっています。

日用品メーカーの間では、以前から詰め替え・付け替えパックの普及が進められてきました。詰め替え用の容器はボトル本体を新たに作り直す必要がないため、プラスチック使用量と輸送に伴うエネルギー消費の両方を抑える効果があるとされています。化学メーカーの中には、廃プラスチックを化学的に分解して新たな原料に戻すケミカルリサイクル技術の実用化を進める企業もあり、焼却に頼らない資源循環のルートを広げる取り組みが少しずつ形になりつつあります。

こうした企業の取り組みは、単独の一社だけで完結するものではなく、素材メーカー・メーカー・小売・自治体の分別収集が連動して初めて機能します。企業のサステナビリティ経営全体を俯瞰する視点も合わせて持っておくと、個々の取り組みの意味がつかみやすくなります。

プラスチック資源循環戦略の目標と日本の到達点

日本では2019年に環境省が中心となって「プラスチック資源循環戦略」を策定し、その後2022年4月には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されました。この法律により、事業者にはプラスチック製品の設計段階からの減量やリサイクルしやすい設計への配慮が求められるようになり、飲食店で提供される使い捨てスプーンやストローなどの提供方法も見直しの対象となっています。

戦略で掲げられた主な数値目標には、次のようなものがあります。

  • 2030年までにワンウェイプラスチックの排出を累積で25%抑制する
  • 2025年までにプラスチック製容器包装をリユース・リサイクル可能なデザインにする
  • 2030年までに容器包装の6割をリユースまたはリサイクルする
  • 2035年までに使用済みプラスチックをリユース・リサイクル等により100%有効活用する
  • 2030年までにバイオマスプラスチックの導入をおよそ200万トンまで拡大する

また、2019年のG20大阪サミットでは「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」として、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにするという国際的な方針も共有されています。制度としての枠組みは整いつつありますが、目標年次に対して実際の削減ペースが追いついているかどうかは、今後の点検状況を継続して確認していく必要がある段階です。数値目標を掲げるだけでなく、事業者と消費者の双方が行動を変えて初めて達成に近づくものだといえます。

今日からできる実践|プラスチック起因のCO2を減らす選び方

制度や企業の取り組みが進んでも、実際に手を動かすのは私たち一人ひとりです。買い物のときにどう選ぶかで、プラスチック起因のCO2排出量は変わってきます。

詰め替え・付け替え商品を優先する

シャンプーや洗剤など、詰め替え用が用意されている商品はそちらを選ぶことで、容器本体を毎回作り直す必要がなくなります。容器の製造・輸送にかかるエネルギー消費を抑える、身近で取り入れやすい選択です。

マイボトル・マイバッグを持ち歩く

ペットボトル飲料やレジ袋を毎回購入する代わりに、繰り返し使えるボトルやバッグを持ち歩くことで、使い捨てプラスチックの消費量そのものを減らせます。継続すると1年間で数十本、数十枚単位の削減につながります。

「安いから買う」ではなく「必要だから買う」で選ぶ

過剰包装の商品や使い切れない量のまとめ買いは、結果的に廃棄されるプラスチックを増やす要因になります。購入前に本当に必要かどうかを一呼吸おいて考えるだけでも、家庭から出るプラスチックごみの量は変わってきます。

暮らしの中の小さな選択を積み重ねる考え方は、プラスチック以外の消費行動にも応用できます。

まとめ

プラスチックによるCO2排出は、原料の採掘から輸送、製造、そして焼却に至るまでのすべての段階で発生しています。日本は生産量・廃棄量ともに世界の中で大きな位置を占めており、焼却によるサーマルリサイクルに依存する構造が根本的な排出削減の壁になっている面もあります。企業側の代替素材開発や制度整備が進む一方で、消費者側の選び方が変わらなければ数字は動きません。まずは詰め替え商品を1つ選ぶ、マイボトルを1本持ち歩く、そんな小さな行動から試してみてください。

  • プラスチックはナフサから作られ、採掘から廃棄まで全段階でCO2を排出している
  • 日本はプラスチック廃棄量・1人当たり包装廃棄量ともに世界で上位に位置している
  • サーマルリサイクル(熱回収)は資源の有効活用にはなるがCO2排出そのものはなくならない
  • 詰め替え商品の選択やマイボトル・マイバッグの持参が今日からできる実践になる

本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。

参考文献

  • 環境省「プラスチック資源循環戦略」(2019年・https://www.env.go.jp/)
  • 一般社団法人プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基礎知識」(https://www.pwmi.or.jp/)
  • 国連環境計画(UNEP)「Our planet is choking on plastic」(https://www.unep.org/)
  • 記事を書いたライター
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