日本では、カーボンニュートラルを2050年までに実現させることを宣言しています。
今現在の日本は、以前から地球温暖化対策として低炭素社会を実現させてきましたが、今後は世界的に脱炭素社会を目指す必要性があると言われています。
ただ、本当に2050年までにカーボンニュートラルを実現させることはできるのでしょうか?
それでは今回は、本当にカーボンニュートラルは2050年までに実現させることはできるのかについて考えていきます。
カーボンニュートラルの概要については下記の記事をご参照ください。
なぜ2050年なのか?
当時の総理大臣だった菅総理大臣は、2020年10月にカーボンニュートラルを2050年までに実現させることを宣言しました。
しかし、なぜ2050年までに実現する必要性があるのか気になる人も多いのではないでしょうか?
これまで世界中で地球温暖化に伴う気候変動に対して危機感を感じてきた人は、各地で意識的に温室効果ガスを排出させないための動きを行っていました。
しかし、パリ協定では、世界の気温上昇を産業革命以前より1.5℃に抑えることを目指しています。
つまり、世界全体のCO2の正味排出量を2030年までに2010年水準から約45%減少し、2050年前後に正味ゼロにしなければなりません。
このことから、政府は2021年4月に、2030年度の新たな温室効果ガス削減目標について2013年度から46%削減することを目指し、さらに50%の高みを目指すと宣言しています。
このように2030年度、2050年度を節目にカーボンニュートラルの実現を目指しています。
今や温室効果ガスには二酸化炭素、メタンガス、一酸化二窒素、フロンガスが含まれており、いずれも問題視されているので早急な対策が必要です。
2018年に行われた国立環境研究所の温室効果ガスインベントリオフィス「日本の温室効果ガス排出量データ」によると、日本のGHG排出量12.4億トンに対し、エネルギー起源のCO2の割合は全体の85%もあることが分かりました。
2050年までに85%もの温室効果ガス排出量を差し引きゼロにしなければならないため、企業だけが実践するにはあまりにもハードルが高いと言えるでしょう。
2021年1月20日までに、日本を含む124ヶ国と1地域が2050年までにカーボンニュートラルを実現すると表明しており、これらの国の世界全体のCO2排出量に占める割合は37.7%となっています。
このことから、数多くの国でカーボンニュートラルの実現に向けて活動していると言えるでしょう。
カーボンニュートラルの実現のために期待されている14の分野
カーボンニュートラルを2050年までに実現させるためには、様々な分野が一つの目標に向かって行動する必要性があります。
そんな中で期待されているのが、以下の14の分野です。
• 洋上風力発電・太陽光・地熱
• 水素・燃料アンモニア
• 次世代熱エネルギー
• 原子力発電
• 自動車・蓄電地
• 半導体・情報通信
• 船舶
• 物流・人流・土木インフラ
• 食料・農林水産業
• 航空機
• カーボンリサイクル・マテリアル
• 住宅・建築物・次世代電力マネジメント
• 資源循環関連
• ライフスタイル関連
主に以上の14の分野が、今後カーボンニュートラルの実現のために政府も期待していると言えるでしょう。
2050年を見据えた2030年に向けた政策対応とは?
2050年を見据えた2030年まで10年を切っている以上、残りの年数で目標が達成できるのか気になる人もいるでしょう。
政府は以前から、以下のような政策対応を行っています。
• 再生可能エネルギー
• 原子力発電
• 火力発電
• 水素・アンモニア
それでは、それぞれの政策対応についてご説明しましょう。
再生可能エネルギー
再生可能エネルギーとは、いわゆる省エネのことです。
政策対応における省エネとは、主力電源化を徹底した上で最優先の原則で取り組み、私たちへの負担と地域の共生を計り通最大限の導入を促します。
現時点ではZEHを初めとする設備導入コストが高いため、いかにしてコストを低減させられるかが大きな課題となっています。
そのためにも省エネが必要になっていることへの理解を深め、適正な事業実施の確保などが必要です。
原子力発電
原子力発電に対して懐疑的な人も多くいる以上、何よりも安全性の確保を最優先とし、国民の疑問や不安、懸念を全て払しょくすることに全力を注いでいます。
原子力抑制委員会によって新規制事業に適合することが認められる場合、その判断にもとづいて原子力発電所を再稼働させます。
火力発電
火力発電は日本の約7割の電力を賄っており、非常に重要な発電所となっています。
電力を安定して供給するために、太陽光や風力の出力変動に対応して需給バランスの調整を行い、ブラックアウトの可能性を低減するなど、様々な取り組みが行われています。
ただ、それではカーボンニュートラルの実現に貢献するのは難しいため、安定供給を崩さずに電源構成に占める割合を引き下げていきます。
非効率的な火力発電をフェードアウトさせ、脱炭素社会に切り替えていく方針です。
水素・アンモニア
カーボンニュートラルを実現させるために既存の燃料に頼り切るのではなく、水素やアンモニアを新たな資源として活用する方法を社会的に実装することを目指します。
馴染みがない水素やアンモニアを資源として活用するために、長期的かつ安定的に大量に供給できるサプライチェーンを作り上げることが急務です。
今後、水素やアンモニアの資源活用が広く普及すれば、効率良くカーボンニュートラルの実現を促進させてくれるでしょう。
まとめ
カーボンニュートラルを2050年までに実現させるためには、省エネや原子力発電、火力発電など、様々な観点から脱炭素社会を目指す必要性があります。
ただ、2050年を見据えた2030年まで10年を切っている以上、残りの年数で目標を達成するには、企業だけでなく一人一人の意識的な行動が必要です。
一人一人が意識的に行動していれば、2050年にカーボンニュートラルの実現が達成できるのも夢ではないでしょう。
自分の生活を見渡してみて、環境活動に貢献できそうなことがあったら積極的に行うのがおすすめです。