代替肉といえば、近年、海外のセレブやモデルの間で広く人気を博している植物由来の食材のひとつです。
近年は、一般的なスーパーマーケットでも様々な種類がみられるようになりました。
とはいえ、その概要を知らないという人も多いでしょう。
今回は、代替肉とは何か、どのようなメリットがあるのかを詳しく解説していきます。
代替肉とは
代替肉とは、その名の通り肉の代わりになる食材で、植物性原料から作られています。
例えば、豆類や小麦タンパクなどが使われるケースが多く、近年は、技術の発達もあり、まるで本物の肉と見間違うほどです。
実は、代替肉はここ最近登場した食材ではありません。
日本の精進料理において、肉に見立てた食材は数多くみられます。
しかし、近年の流行具合は目を見張るものがあり、実際、市場調査を手がける「株式会社シードプランニング」によって、2030年の世界市場は886億ドルに達すると報告されました。
これは、2020年の8倍に当たる額で、いかに浸透しつつあるかがわかるでしょう。
参照元:株式会社シードプランニング
代替肉が広まった理由
従来は、精進料理など一部の人たちが食していた代替肉ですが、このように広く浸透した理由はなんでしょうか。
続いては、代替肉が広まった理由を解説します。
温室効果ガスの削減
基本的に、肉を生産するためには家畜を飼育しなければなりません。
家畜を育成するにあたっては、飼料を育てる必要もあり、畜産業全体で膨大なエネルギーを消費しています。
さらに、牛や羊から排出されるゲップやおならに含まれるメタンガスも問題視されている点です。
畜産により排出されるメタンガスが、温暖化の要因となっているといわれています。
こうした温室効果ガスを削減するために、注目され始めたのが代替肉です。
健康志向の向上
近年、新型コロナウイルス感染症の蔓延も手伝って、健康面を意識する人が増えています。
家に篭りがちになるため、運動量を増やした人も多いでしょう。
また、生活スタイルや食事を整えたというケースも耳にします。
運動不足の上に、これまでと同じような食事をしていたら、健康を損ねる可能性も否めません。
そのため、肉を代替肉に変えて食べることで、カロリーを抑えて健康管理をする方法が注目されています。
代替肉のメリット・デメリット
代替肉が広まった理由を踏まえると、代替肉のメリットが見えてくるでしょう。
また、メリットだけではなくデメリットがある点も押さえておかなければなりません。
続いては、代替肉をより効果的に活用する上で覚えておきたいメリットとデメリットを解説します。
メリット
代替肉が広まったことからもわかるように、代替肉の活用は地球温暖化削減の一端を担っています。
また、代替肉は大豆やえんどう豆が主原料であり、ほとんどの地域で育成可能です。
さらに、これまでは規格外品とみられていた豆も、代替肉に使えば全く問題ありません。
こうした背景から、持続可能な食糧供給にも貢献する食材といえるでしょう。
デメリット
代替肉は、魅力的な特徴がありますが、反面、ビタミン12不足になる懸念があります。
肉には、ビタミン12が含まれていますが、多くの植物にはほとんど含まれていません。
ベジタリアンの人たちが、ビタミン12をサプリメントで補うように、代替肉を食べる場合も何かしら別のもので補填する必要があります。
そのほか、代替肉であっても、製造方法によっては余分なCO2が発生する可能性も否めません。
例えば、海外で育てた食材を使って日本で代替肉を加工する場合、輸送にかかるコストやCO2が問題となるでしょう。
そのため、完全にCO2を削減し、無駄のない代替肉を作るためには、国内で全てを済ませる必要があります。
代替肉を使った具体例
代替肉の浸透により多くの企業が代替肉製造に加わっています。
以前は、美味しくないといったイメージがありましたが、近年は技術の競争もあり、本物の肉を食べているような感覚に陥る製品も少なくありません。
続いては、代替肉を使った具体例をご紹介します。
Odd Burger
世界初のヴィーガンファーストフードチェーンとして注目されているOdd Burgerでは、ヘルシーでありながら、大胆にかぶりつける代替肉のハンバーガーを開発しました。
パティに使われているのは、ひよこ豆とグルテンミートです。
代替肉のハンバーガーの開発により、多くの人が我慢せずにハンバーガーを食べられるようになりました。
参照元:Odd Burger
ゼロミート
日本の企業も代替肉の開発を進めています。
例えば、大塚食品から提供されている「ゼロミート」は、肉の代わりに大豆を使った食材です。
食べ応えを大切にしながら、植物だけで作られたハンバーグやハムが販売されています。
ただし、ハンバーグには卵が使われているので、完全な菜食主義の人には向いていません。
とはいえ、肉を避けているけれどハンバーグは食べたいという人にとってはありがたい商品でしょう。
参照元:ZEROMEAT(ゼロミート)
代替肉がもたらす影響
一般家庭でも少しずつ使われるようになってきた代替肉ですが、個人や企業にとってどのような影響があるのでしょうか。
まず、個人の場合で見ていくと、代替肉の浸透により、それぞれの個性に合わせた食事ができるようになります。
例えば、肉が食べられない人と肉好きな人とが別々に食事を取らなくても良いといった日常が実現するでしょう。
個性を大切にしながら、周囲の人と同じような食事が食べられることによって、疎外感を感じることもなくなります。
一方、企業においては、代替肉を導入するかどうかという選択をしなければなりません。
この先、代替肉をメインに食べる人が増えてくれば、飲食店や食材を販売する店舗においても、導入せざるを得なくなる時がくるでしょう。
代替食だけを使うようなヴィーガン専門店になるのはハードルが高いとしても、メニューの一つとして代替肉を導入するケースはこれから増えてくることが見込まれます。
代替肉の未来
広く浸透しつつある代替肉ですが、まだ発展途上であることは否めません。
特に、栄養面におけるデメリットは、これから改良していかなければならないポイントのひとつです。
近年は、いわゆる「大豆ミート」だけではなく、牛の細胞を活用した「培養肉」というジャンルの研究も進み始めています。
ヴィーガンという観点からは外れるものの、地球温暖化や持続可能な社会という面でいえば、「培養肉」も大きく期待されている分野です。
実際、2022年3月に、大阪大学が培養肉ステーキを作るための3Dプリンターを研究開発することを発表しました。
とはいえ、始まったばかりの研究であり、この先どのように展開していくかは未知数です。
まとめ
今回は、代替肉について概要やメリット、デメリットなどを解説しました。
従来は、精進料理や一部の菜食主義者の中で使用されていた食材ですが、いつの間にか一般的な食卓でも代替肉が登場しています。
昔と比べて、美味しさや食感、見た目のクオリティなどが格段に上がっており、肉が好きな人でも問題なく食べられるようになりました。
代替肉は、単純に菜食主義に合わせた食材というわけではなく、地球環境にも大きく影響する食材です。
全ての肉食をやめるのではなく、時に代替食を取り入れるだけでも、地球に対する貢献度は上がるのではないでしょうか。
また、飲食店や食材を販売する企業においても、ビジネスチャンスといえる分野です。
これから成長するジャンルであり、参入するにあたってさほどハードルも高くないでしょう。
この機会に、代替肉について考えてみることをおすすめします。