公正な貿易として少しずつ浸透し始めているフェアトレードですが、実際どれくらいの認知度があるのでしょうか。
また、「フェアトレード」という言葉だけを知っているのと、実際にフェアトレードを理解して実行しているとでは大きな違いがあります。
とはいえ、まずは「フェアトレード」を知ることが大切であり、フェアトレードを正しく行う上での第一歩ともいえるでしょう。
こちらの記事ではフェアトレードの認知度について紹介します。認知度を知ることで、この先フェアトレードを広めていく上での参考になるでしょう。
日本におけるフェアトレードの認知度
2019年に、一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)が調査したところによると、日本におけるフェアトレード認知度は32.8%という結果が出ました。
この結果は、2015年に行われた同調査と比べると、3.5ポイント上昇しており、少しずつ認知度が上がっていることがわかります。
「フェアトレード」という言葉の認知度
調査で行われた内容の一つに、「フェアトレード」という言葉を単純に見聞きしたことがあるかどうかというものがありました。
これは、フェアトレードがどういったことを指すのかを知らない人も含まれる調査です。
回答した人のうち、53.8%の人がフェアトレードという言葉を聞いたことがあるという結果が出ており、女性の方が男性よりも認知度が高いのが特徴でした。年代別で調査したところ、最も認知度が高かったのが10代で78.4%となっています。
若い世代が憧れとするモデルや女優も、フェアトレードを行なっているといった影響もあり、高校生や大学生の間ではフェアトレードという言葉がごく一般的に使われているようです。
フェアトレードの認知率
FTFJでは、フェアトレードという言葉を知っている人の中で、正しくフェアトレードの意味を理解している人についての調査も行なっています。
正しく答えられた人の割合は61.0%で、2015年の段階よりも6ポイント程度上昇しました。認知度と同じく、こちらの調査においても女性のポイントが高いといった特徴があります。
また、地域別に見ても、近畿や中国、四国地方といった都心から離れたエリアでもフェアトレードを知る人が大幅に増えており、以前は顕著だった地域差が減ってきたことがわかりました。
世界的に見る日本におけるフェアトレードの認知度
FTFJの調査によると、フェアトレードマークの認証ラベルを知っているかどうかというアンケートでは、2015年の段階とそう変わらず、全体の30%弱となっています。
イギリスやフランスなどのヨーロッパ各国では、70〜80%を超える人がフェアトレード認証ラベルを知っているといわれており、日本の認知度がいかに低いかがわかるでしょう。
実際、日本ではフェアトレード商品が日常レベルで販売されていることが少なく、スーパーでも一角にコーナーが設けられている程度です。そのため、関心を持つ以前の問題であり、フェアトレード自体をまるで知らないという人が多いのが実態でしょう。
日本の企業におけるフェアトレード
多くの海外企業は、フェアトレードに関心を持ち、売り上げの一部を支援金として寄付しているところも見られます。
一方で、日本の企業は、会社の規模に限らず、国際協力NGOセンターや途上国の支援などに興味がないところも多いでしょう。
島国ということもあり、なかなか世界に目を向けられない国民性というのも一つの要因でしょう。とはいえ、企業がフェアトレードをしなければ、フェアトレードの商品が流通することはありません。
店頭に並ぶ頻度を上げるためには、企業自体がフェアトレードに意識を向けることも欠かせません。
欧米ではどのように認知度が上がったのか
日本とは異なり、フェアトレードの認知度が高く市場規模が大きい欧米では、どのようにして認知度が上がっていったのでしょうか。そこには、フェアトレードの歴史も大きく関わっています。
そもそも、フェアトレードを初めて行ったのはアメリカです。1947年に、NGOでボランテイアをしていた女性の活動からスタートしたといわれています。彼女は、プエルトリコの女性たちが手作りで制作した工芸品を買い取って、販売していました。
こうした動きは、すぐにヨーロッパのNGOに広がり、フェアトレードの概念も合わせて浸透していきます。
当時は、自立支援という観点ではなくボランティアでしたが、フェアトレードにおいて大きな一歩となりました。
フェアトレードの根本的な仕組みが作られ始めたのは、1960年代のことです。この頃には、フェアトレード専門店や団体も誕生して、市場として拡大し始めます。
このように、欧米ではフェアトレードの土壌が出来上がっており、浸透しやすい環境が整っているともいえます。
まとめ
島国である日本には、欧米のような環境が整っておらず、未だフェアトレードの認知度はお世辞にも高いとはいえません。
しかし、2015年から2019年の間に確実な進歩を遂げているのは確かでしょう。最近は、SNSの普及もあり、海外のフェアトレードに関する情報も得やすくなっています。
こうした後押しもあり、フェアトレードが日本に浸透し当たり前になる時代も、目前といえるでしょう。
とはいえ、一人一人の意識が高まり、企業全体、そして国全体の意識がフェアトレードに向けられることも欠かせません。
そのためにも、まずは自分の行動が大切です。フェアトレードについて知り、商品一つからでも購入してみるところから始めてみましょう。
参照元:一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム|「フェアトレード」の認知率 32.8%に上昇