気候変動や人権問題、貧困など世界が抱える課題は複雑化しています。これらを解決するには、膨大な資金が必要です。そこで注目されているのが「サステナブル金融」です。環境や社会に配慮した投資を通じて、持続可能な社会の実現を目指す取り組みで、私たちの生活にも大きく関わっています。
サステナブル金融とは
サステナブル金融とは、持続可能な社会を実現するための金融と定義されています。(金融庁「サステナブルファイナンス有識者会議報告書」)
より具体的には、金融機関が投資を行う際に環境や社会、企業の運営方針(ガバナンス)を考慮して持続可能なプロジェクトに長期的に資金を支援することです。
つまり、お金の流れを変えることで、環境に優しい企業や社会課題の解決に取り組む企業を応援する仕組みといえます。
なぜ今、サステナブル金融が必要なのか
2030年までに国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するには、現在の投資の流れを倍にし、毎年5兆~7兆USドルの資金が必要と言われています。
特に脱炭素化では、国際エネルギー機関(IEA)は、2050年までに脱炭素を達成するためには、年間1兆ドルの投資を2030年までに4兆ドルにまで増やす必要があるとしています。
民間企業だけでは対応できない規模の課題です。だからこそ、金融機関が環境・社会課題に配慮した融資や投資を促進することが不可欠なのです。
サステナブル金融の具体例
金融庁が示す定義には、金融の意思決定にESG要素を統合すること、持続可能な経済・社会・環境開発を促進する金融、持続可能な雇用、退職後の資金調達、技術革新、インフラ建設、気候変動緩和などの長期的な教育、経済、社会、環境問題に取り組む安定した金融システムが含まれます。
実際には、以下のような形で実現されています。グリーンボンドは太陽光発電や風力発電といった環境に優しいプロジェクトへの資金を調達するために企業が発行する債券です。トランジション・ファイナンスは、脱炭素に向けて産業転換を進める企業を支援する融資や投資を指します。インパクト投資は、企業活動が環境・社会・経済に及ぼす影響を包括的に評価し、ポジティブな影響を生み出す活動を資金面で支援します。
日本での動き
日本政府も積極的に取り組んでいます。金融庁は「サステナブルファイナンス有識者会議」を開催し、市場制度の整備、分野別の投資環境整備等の諸施策に取り組んでいます。
環境省も「ESG金融ハイレベル・パネル」を設置し、金融機関と連携してサステナブル金融の推進を支援しています。
私たちにできること
サステナブル金融は、大企業や金融機関だけの課題ではありません。銀行口座を開く際に、環境配慮に力を入れている金融機関を選ぶ、投資信託やESG投資を検討する、環境配慮企業の商品やサービスを利用するといった個人レベルでのアクションも、世の中の資金の流れを変えることにつながります。
お金をどこに流すかは、私たち一人ひとりの選択でもあるのです。持続可能な社会づくりに貢献する金融の活動が広がれば、環境問題の解決や社会課題の改善も加速していくでしょう。

