衣服(衣料)ロスとは、新品にも関わらず焼却処分されてしまう、洋服の余剰在庫のことです。
現在、日本では35億着もの服が供給されていますが、うち15億着は売れ残り処分されると言われています。
また2020年3月、環境省が発表した-ファッションと環境」調査結果-によると、年間約48万トンもの洋服が「家庭」からゴミに出され、焼却・埋め立て処分されているということがわかりました。
これは、一般家庭が一年の間に手放す洋服の量のおよそ6割に該当します。
これらのデータから、衣服ロスはアパレル産業だけでなく、私たち消費者が取り組むべき問題でもあることが見てとれます。
それでは、具体的に私たちができることはなんでしょうか?
本記事では、ご家庭で今すぐできる解決策を7つピックアップし、以下の3つシーンごとにご紹介します。
1.服を買う前
2.服を買った後
3.服を処分するとき
それぞれのフェーズでできることを、ひとつでも実生活に取り入れてみてください。
家庭でできる衣服ロスの解決策7選
服を買う前
30回以上着る機会があるか、自分に聞いてみる
服を買う前に、「この服を30回以上着るか?」と自分に質問してみてください。
ヨーロッパのブランドコンサルタント会社、Eco-Ageの創始者、リヴィア・ファースさんが提唱した「30 wearsチャレンジ」というキャンペーンがあります。
大量消費・大量廃棄にストップをかける試みとして注目を集めており、SNSでは「#30wears」というハッシュタグをつけた洋服の写真が10万近く投稿されています。
欲しい服と出会ったとき、必要か、必要でないかという2択のほか、第3の判断基準として取り入れてみてはいかがでしょうか。
アップサイクル品や、衣服ロス対策をしている会社のアイテムを選ぶ
アップサイクルとは、古い家具や製造過程で余った布地など、廃棄されるはずの材料を使って別の製品に生まれ変わらせることです。
リサイクルとは異なり、本来の価値以上の魅力を持ったモノを新たに生み出すという概念で、クリエイティビティに富んだ商品が開発されています。
ほんの一例ですが、アップサイクル品を販売している企業をご紹介します。
また、焼却処分されるはずだった商品を、ブランドタグを外した上で、再度流通に戻す試みをしている企業があります。
メーカーが在庫を焼却処分する一番の理由は、ブランドの毀損を防ぐためなので、この試みはとても有効だとされています。
各社が運営しているオンラインショッピングを紹介しておきますね。
・Colors (カラーズ)
株式会社ショーイチが運営するセレクトショップです。
関東、関西に実店舗を持っており、その取り組みは大手メディアのほとんどを席巻しました。
日本の他、カンボジアでも実店舗をもち、売上金の一部を現地の小学校に寄付する活動など、衣服ロス以外の社会貢献事業にも積極的です。
参照元:Colors
・Rename(リネーム)
株式会社FINE(ファイン)が運営するブランドサイトです。
ブランドを毀損させず流通に乗せる活動の下、過去150万以上のブランドの在庫をよみがえらせています。
参照元:Rename
服を買ったあと
こまめにメンテナンスし、長持ちさせる
先ほど紹介した30回を目安に、なるべくその服に長く愛着を持てるよう普段からメンテナンスを施しましょう。
洗濯機で洗えないコートやニットは、こまめにブラシでホコリを落としたり、手洗いすることで長く着られます。
ほつれや穴ができたら、修理してみる
もし穴が空いてしまったり、やぶれてしまったりしたら、すぐに捨てずに修理してみませんか?
ダーニングといって、毛糸や刺繍糸でお気に入りの服を補修するイギリスの手芸方法があります。
修理方法を丁寧に掲載した雑誌に、用具一式が付録として一緒に販売されていることも多いので参考にしてみてください。
また、簡単な補修であればクリーニング店に持ち込むと修理してくれる場合があります。
ダウンの穴や、スニーカーの底が剥がれたといった大がかりな修理は、専門の業者に依頼することができます。
LINEで修理箇所を撮影した写真を転送し、見積りを提案してくれるサービスもあるので活用してみてくださいね。
服を処分するとき
購入した店にリサイクルとして持ち込む
いよいよ服を処分するとき、ゴミ箱や廃品回収に出す前に、一度立ち止まってみてください。
先の環境省のデータによれば、家庭からゴミに出された洋服を焼却・埋め立て去れる量は、1日あたりトラック130台分にものぼります。
服を捨てる手段を工夫するだけで、環境への負荷を軽減できるのです。
一部アパレルメーカーでは自社商品に限り、着なくなった服をリサイクル品として回収するシステムを設けています。
有名どころは、ユニクロや無印良品、ユナイテッドアローズなどです。
各社、店頭で行ったリサイクル品の回収率や、途上国のワクチンにどのくらい還元されたなど、毎年CSRの結果として報告が挙げられるので、ちょっとした達成感を感じることができます。
フリマアプリで出品してみる
もし手放す理由が、あなたの好みや流行が廃れてしまったという理由なら、一度フリマアプリで販売してみてはいかがでしょうか。
ちょっとしたお小遣い稼ぎにもなり、お気に入りだった服が誰かの手に渡ってまた着られるようになれば、気分もスッキリするはずです。
寄付してみる
残念ながら、出品しても売れ残ってしまうことはあります。
そんな時は、古着を回収しているNPO法人に寄付してみませんか?
難民キャンプにいる子どもたちにワクチンを届けたり、海外で新しい服として生まれ変わったり、各団体で様々な取り組みをしています。
お住まいの地域によって、団体の回収場所に直接持ち込むことができたり、量が多ければ集荷を頼むこともできます。
家の収納スペースがすっきりする上、社会貢献もできるので、服を処分するときの新しい手段として取り入れてみてください。
代表的な団体を2つご紹介しておきます。
・いいことシップ
集荷料金はかからず、送料のみで発送することができます。また、海外のみならず、各自治体の子育て基金など日本国内にも寄付先を設定しており、自分で選ぶこともできます。
回収場所が全国展開していることからも、寄付をするまでのハードルを低めに設定している団体です。
参照元:いいことシップ
・古着deワクチン
不用品からポリオワクチンを途上国に寄付している団体です。全国一律3300円で、最大100着までの寄付をすることが可能です。
ホームページが見やすく、料金設定もわかりやすいので、一度に大量の寄付をされたい場合におすすめです。
参照元:古着deワクチン
まとめ|衣服ロスの問題に対して続けられることをどれか一つ
いかがでしたでしょうか?
今回は服を買う前、買った後、処分するとき、時系列ごとに衣服ロスに対する解決策についてご紹介しました。
ご家庭ですぐに始められるものから、生活の中に取り入れてみてください。そして一番大事なことは、これら全てを完璧にこなそうとしないことです。
あなたが衣服ロスという問題を知り、それに対してアクションを起こそうとしている。その事実だけで、十分環境問題解決への一歩が踏み出せています。
無理に全てを取り入れるのではなく、どれかひとつまずやってみて、無理なく続けられるものをライフスタイルに落とし込んでみてはいかがでしょうか。