人や国の不平等をなくそう

日本の経済格差とは?原因と対策について

新型コロナウイルスの影響で、日本中が経済的に厳しい状況に追い込まれていると思いきや、富裕層はますます豊かになっています。

日本銀行が発表するマネーストックは約1519兆円と過去最高に達し、株価も3万円台に突入しました。
市場にはお金があふれ、高級車の売上は右肩上がりです。

このような格差はなぜ生じたのでしょうか?その原因と対策について考えてみましょう。

戦後最大に広がる日本の経済格差

戦後最大に広がる日本の経済格差

現在、日本は戦後初めてともいえる富裕・貧困の二極化に直面しています。
富裕層はその資産をますます増やすいっぽうで、団塊ジュニア世代以降の非正規雇用の人たちは貯金ゼロであることも珍しくありません。

コロナの影響もあって、失業者が9万人弱にも達しています。

最近では「親ガチャ」「出生ガチャ」という言葉も一般化してきました。
生まれる家と育つ環境が良くないと、努力だけでは上には行けないという意味です。

日本においても格差が固定しつつあることを示しています。

日本の経済格差の原因

日本の経済格差の原因

経済格差が生まれる要因はさまざまですが、代表的な原因を取り上げてみましょう。

バブル崩壊による団塊ジュニア世代の就職難

日本で格差社会という言葉が生まれ始めたのは、高度経済成長期以降のこと。
それまでは、高卒あるいは大卒で一律に就職し、終身雇用制度で賃金も業界ごとに決まっていたため、格差が生まれづらい状況にありました。

その後、1980年代末期にはバブル経済が到来します。
企業はこぞって大掛かりな設備投資をおこない、事業を拡大しました。
一方、投資や不動産で巨額の富を得る人が現れます。

しかし、好景気は長続きしません。
1990年代に入りバブルがはじけると大手金融機関も巨額の不良債権を抱えて破綻するところが現れました。
また、倒産する企業も続出。
残った企業も生き残りをかけてリストラや採用の凍結をおこないます。

ちょうどこのころ就職活動が重なったのが、人口ボリュームの多い団塊ジュニア世代です。
ここから就職氷河期世代が始まります。

氷河期はリーマンショックの時にも再来。
新卒で就職し、年次と共に給料が上がるという、正社員として収入を得るルートが途絶えたことから、少子高齢化へと繋がっていくことになります。

労働者派遣法による非正規雇用の増加

企業にとって正社員を抱えることは、社会保険料や将来の給与・退職金なども含めるととてもコストがかかります。
経済のグローバル化に伴い、企業は国際競争力を強めようと人件費を切り詰める方策を取りはじめました。

これまでは終身雇用で給与も年次ごとで同一だったところに、実力主義、能力主義を取り入れ、同じ企業内でも給与格差が生じるようになります。

さらに、2004年から労働者派遣法が施行されたことにともない、就職難だった人々が非正規雇用になだれ込みました。

非正規社員は正社員と比べて収入が低いだけでなく、雇用の保証もされていません。
正社員になれる人が少なくなったことは、格差を助長しました。

日本は失業率が低いと言われますが、雇用の「調整弁」にされやすい非正規労働者の存在があってこそです。
コロナ禍の中では職を失う非正規労働者が増え、2020年7月以降、その数は130万人以上ともいわれています。

少子高齢化

日本の出生率低下による少子高齢化も、格差を生む原因です。

本来であれば、人口ボリュームの多い団塊ジュニア世代以降が出生率を押し上げる予定でした。
しかし、安定した仕事に就けず、いわゆるブラック企業で働いていることも少なくありません。
多くの氷河期世代が結婚や出産を諦めました。

若い世代が少なくなる一方で、年金を貰ったり医療費にかかるお金が高い高齢者が増えています。
財源確保が難しくなり、社会保険料は右肩上がり。
正社員の職に就き家庭を築いていても、将来を考えるとそう多くの子供をもうけることは難しいです。

対して高齢者は、利率の高い時期に貯金をし、退職金を受領、これまで収めてきた年金を満額受領する層と、蓄えもなく仕事もなく困窮する層に別れて分断が強まっています。

産業構造の変化

技術革新によって産業構造が変化したことも、格差に拍車をかけています。

近年の急激なデジタル化による産業構造の変化は、社会の経済格差を大きくしたといわれています。
その便利さからデジタル産業の規模はどんどん大きくなり、IT人材の需要も、その賃金も高くなります。

これまで主流だったのは肉体労働でしたが、デジタル化によってITの専門的な知識を持った人材が重宝されるようになりました。
企業活動のデジタル化による効率化は良いことのように言われますが、その分、雇用は増えにくいです。

相対的に肉体労働や単純労働を主としていた産業は規模の縮小や賃金の低下を余儀なくされ、格差が生まれてしまいました。
いわゆる情報格差の一つといえるでしょう。

日本の経済格差是正のためにどんな対策がおこなわれているか

日本の経済格差是正のためにどんな対策がおこなわれているか

日本では、経済格差是正のためにどのような対策が行っているのでしょうか。

具体的に行われたことを見ていきましょう。

働き方改革

日本における所得の格差、特に正社員と非正規雇用の人たちの間の不平等を是正するためにおこなわれているのが「働き方改革」です。

日本では、残業代も支給されずに長時間労働に従事する「ワーキングプア」と呼ばれる人も多いです。

働き方改革では、働く人たちの就労状況改善だけでなく「同一労働同一賃金」など、非正規雇用による格差を是正も盛り込まれています。

「同一労働同一賃金」は、同一企業内で、正規雇用の労働者と非正規雇用の労働者との間に、基本給、昇給、ボーナス(賞与)、各種手当といった賃金にとどまらず、教育訓練や福利厚生等あらゆる待遇において、不合理な待遇差を設けることを禁止しています。

3つの教育無償化

3つの教育無償化とは、(1)幼児教育の無償化、(2)私立高校の無償化、(3)大学などの高等教育の無償化のことです。

世帯年収が低くて子どもに十分な教育を受けさせられないことは、未来の格差につながります。
教育費の心配をなくすための施策です。

(1)幼児教育の無償化

年齢区分によって所得制限があります。

・0歳から2歳までは住民税非課税世帯が対象
・3歳から5歳までは原則、全世帯が対象

対象となるサービスは、幼稚園(月額2.57万円まで)、認可保育園、認定こども園、障がい児の発達支援です。

保育の必要がある場合には、認可外保育施設と幼稚園の預かり保育も含まれます。

(2)私立高校無償化

公立高校に加えて、2020年4月からは私立高校においても無償化がスタートしました。

対象となるのは、公立・私立ともに年収910万円未満の世帯です。
公立では授業料の一部として11.88万円が授業料の一部として支援されています。

私立高校では、11.88万円が授業料の一部として支援されていますが、所得によって支援額は異なり、実質無償化となるのは、年収590万円未満の世帯です。

(3)大学などの高等教育の無償化

高等教育でも、授業料や入学金の免除または減額と、給付型奨学金の支援がはじまっています。

対象となるのは、大学、短期大学、高等専門学校(4年・5年)、専門学校です。
すべての学校や世帯が対象ではありません。

支援の対象となるには、以下の要件を満たす必要があります。

・世帯収入や資産の要件を満たしていること
・進学先で学ぶ意欲がある学生であること

まとめ

まとめ

日本の格差は、諸外国のように莫大な富を持つ所得上位層が増えたことではなく、本来普通の暮らしを遅れるはずの人たちが低所得者層に落ち込んだことから生じています。

低所得者が国民全体に占める割合を示す「相対的貧困率」は80年代から上昇し、先進国の中でも高水準です。

格差が全く生じない社会はありません。
しかし、貧富の差を縮めて、より多くの中間層を形成することが日本経済の活性化につながるカギといえるでしょう。

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