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フランスの格差社会とは?地域格差と学校格差についても解説

世界的に格差社会が広がる昨今ですが、フランスも例外ではありません。
特にフランスでは、地域格差における問題や階級闘争が要因となる格差が深い闇を落としています。

こうしたフランスの格差社会は、経済面から発展して学校格差にも影響しているのが現状です。
2019年にはこうした学校格差について取り上げた映画も誕生するほどで、格差が拡大することにより分断される社会について警鐘を鳴らす人も多く見られます。

今回は、フランスにおける格差社会について解説していきましょう。フランスで格差社会が起こる要因や影響についても紐解いていきます。

階級闘争が要因となるフランスの格差社会

階級闘争が要因となるフランスの格差社会

2018年9月、フランスのマクロン大統領は、生まれ育った家庭が富裕層か貧困層かによって人生が決まってしまう現状を打破するため、貧困撲滅対策を発表しました。

2016年にフランス国立統計経済研究所(INSEE)によると、フランスの貧困率は14%であり、ヨーロッパの中においては低いレベルを維持しています。
しかし、失業率は9.1%に上り、欧州連合(EU)の平均値と比べると高いのが特徴です。

フランスでは、貧困層に生まれたことにより、教育が満足に受けられない子供達が多く見られます。

さらに、就職しにくい環境ということもあり、貧困の連鎖が途切れないのが問題点であり、貧困撲滅対策の目的はこうした難題を改善することです。

参照元:INSEE

貧困層が多いフランスのエリア

貧困層が多いフランスのエリア

実は、フランスの中でも貧困層が多いエリアは、その昔栄えていた工業地帯周辺に集中しています。

例えば、パリの北にあるサンドニや南仏のマルセイユ、ノール県など、ほとんどが、1960年代に経済活動をするために訪れた移民たちが暮らしたエリアです。

こうした工場地帯には、高度経済成長が急速に進んだ時代に多くの労働者が集まりました。
それに伴い、1980年代にはHLMと呼ばれる程家賃住宅が建設されています。

HLMに入居した人のうち、半数は移民とその家族です。
しかし、経済成長期が終わった頃、労働者の家族にとって厳しい時代が訪れます。

景気の低迷が影響し、若者を中心とした失業者が増えました。
特に、移民二世や三世に当たる人たちは、人種差別により仕事を探すことも困難でした。

実際、現在もこうした格差問題は色濃く残っています。

参照元:フランスの地域格差:暴動と郊外問題をキーワードに|独立行政法人 労働政策研究・研修機構

フランスにおける教育格差

フランスの格差社会とは?地域格差と学校格差についても解説

近年、フランスでは国民の大半がバカロレアという高校卒業資格を取得しています。
また、就職をする上でも学歴が重視されており、ここでも格差社会は明らかになっているのが現状です。

貧困層におけるディプロム(資格)取得率は非常に低く、一つも資格を手にしていない人も少なくはありません。

つまり、資格がないことにより仕事に就くことができず、結果的に貧しい生活を強いられているわけです。
そして、こうした状況が次の世代にも連鎖していくというのが現状であり、一度貧困に陥ってしまうとなかなか抜け出せないと言われています。

さらに、貧困層エリアにある学校は、中間層や富裕層の子供達が通う学校と比べてレベルが低い点も大きな問題といえるでしょう。

超学歴差社会が生む格差社会

フランスは、高校生で人生が決まると言っても過言ではないほどの厳然たる超学歴社会が築かれています。
たとえ無事に大学に進学したとしても、若年層の失業率の高さや専攻内容によって職種に制限があることから、簡単に就職ができるわけではありません。

つまり、高校の段階でどのような選考に進むかが大きなポイントとなります。

そのためには、生まれた家の階級が大きく影響し、低所得家庭から這い上がって学歴社会を制することはほぼできないと言っても過言ではありません。

こうした超学歴社会も、フランスの格差社会を強固なものにしています。

教育格差社会への対策

フランスは、2019年9月から3歳からの義務教育をスタートさせています。
これは、ヨーロッパの中でもハンガリーと並ぶ最低年齢からの義務教育です。

義務教育化することをきっかけに、移民や貧困層の子供たちも教育を受けることができます。
実際、この対策が生まれる前は、高校へ進学しない子供の多くが、小学校に上がるまでの段階で学業に対する課題を抱えていました。

フランスでは共働き家庭やひとり親も多く、3歳からの義務教育は教育格差のみならず、働く親にとっても助かる政策となっています。

民間非営利団体の取り組み

民間非営利団体の取り組み

フランスでは、貧困世帯における子供をサポートする民間非営利団体が多くあります。
例えば、ボランティアの家庭がバカンスに行く際に、貧困層の子供も同行させたり、林間学校へ参加させたりするなどのサポートです。

こうして、貧困層以外の世界を知ることにより、将来的なイメージをしやすくなります。

活動資金は、一般人や民間企業からの寄付がメインです。
例えば、チョコレート会社のKinderやサッカーチームのパリ・サンジェルマンなどが挙げられます。

まとめ

まとめ

フランスに対して、きらびやかな印象を持ち、格差や貧困とは縁が遠いように感じる人も多いでしょう。

フランスの格差社会は、歴史的に刻まれた背景もあり一筋縄ではいかないものがあります。
しかし、国の政策や民間非営利団体による対策が進み始めているのも一つの側面です。

こうした貧困に対する取り組みが功を奏して、何世代もに渡る格差や不平等の連鎖を食い止められるかどうかは、これからのフランスにとって大きな課題となるでしょう。

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