「カーボンオフセット」「カーボンニュートラル」「カーボンフリー」
これらの意味の違いをご存じでしょうか?
「全部同じような意味じゃないの?」そう考えている人も多いかもしれません。
確かにこの3つの言葉は似たような意味を持ちますが、詳しく知るとその違いが見えてきます。
本記事では、それぞれについて詳しく解説します。
カーボンオフセットについて
カーボンオフセットとは
カーボンオフセットの「オフセット」とは「埋め合わせ、相殺する、補う」という意味をもつ言葉です。
つまりカーボンオフセットとは、排出した二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを以下のような方法で削減・吸収し、「排出量と削減・吸収量を相殺すること」を指します。
- 植林などにより光合成に使われるCO2の量を増やす
- 風・太陽・地熱・水などの再生可能エネルギーを利用する
- 高効率の省エネを実践する
カーボンオフセットにおける「クレジット」とは
上記の方法で削減・吸収された温室効果ガスは、その量を「クレジット」化して売買することができます(オフセット・クレジット(J-VER)制度)。クレジットは1t-CO2を1単位として管理されています。
クレジットを購入することで、事業などで排出した温室効果ガスをオフセット(相殺)できるという仕組みです。
クレジットを活用することでカーボンオフセットを実現できますが、だからといって「温室効果ガスの削減に取り組む必要がない」ことにはなりません。
カーボンオフセットは、「温室効果ガスの排出量をできるかぎり削減する」という考え方が基本となっています。まずは削減に努め、排出した分をクレジットによりオフセットするという手順を心がけましょう。
カーボンニュートラルについて
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは、CO2などの温室効果ガス(※)の排出量と吸収量を均衡させる(差し引きゼロにする)ことです。
※温室効果ガス:二酸化炭素(CO2)・メタン・一酸化二窒素・フロンガスなど
温室効果ガス排出量の削減に取り組み、排出してしまう分は吸収・除去し、全体としてゼロとする考え方です。
カーボンニュートラルは、カーボンオフセットを深化させた取り組みといえます。
日本政府は「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と宣言し、世界の多くの国も同様の目標を掲げています。
なぜ世界中がカーボンニュートラルに取り組むのか
日本を含め、世界120以上の国と地域が具体的な目標を掲げ、カーボンニュートラルに関する取り組みを進めています。
その発端は2015年のパリ協定。「今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること」という合意がなされ、その対象は
途上国を含むすべての参加国です。
また、2020年以降の「温室効果ガス削減・抑制目標」を定め、長期的な「低排出発展戦略」を作成・提出するよう規定されています。
このパリ協定により、世界中が「2050年までのカーボンニュートラルの実現」に向けて歩みを進めているのです。
カーボンフリーについて
カーボンフリーとは
カーボンフリーとは、温室効果ガスを「排出しない」ことを指します。カーボンオフセットやカーボンニュートラルは、温室効果ガスを削減し、排出してしまった分は吸収・除去することで「排出した量を実質的に減らす」という考え方です。
事業においてカーボンフリーを実現するには、再生可能エネルギーを利用するという方法があります。
カーボンフリーの実現をめざすGoogle
Googleは2030年までに24時間365日カーボンフリーのエネルギーで事業を運営すると宣言しました。
同社は、オフセットによりカーボンニュートラルを2007年に達成しました。2017年には年間消費電力量100%にあたる量の再生可能エネルギーによる電力を購入していますが、場所や時間帯によってはカーボンベースの電力を使用しています。
同社が目指すのは、近隣のカーボンフリーエネルギーを活用し、世界各地の同社施設を24時間365日脱炭素運営することです。
同社は、他の企業が後続できるようその先頭に立つとしています。
まとめ
「カーボンオフセット」「カーボンニュートラル」「カーボンフリー」について解説しました。
簡潔にまとめると、以下のようになります。
- カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて排出量を「実質ゼロ」にすることであり、カーボンオフセットを深化させた取り組み。
- カーボンフリーは、温室効果ガスを「排出しない」こと。
カーボンニュートラルやカーボンフリーに取り組むことは、いち消費者には難しく思えてしまうかもしれません。しかし、簡単に生活に取り入れられる取り組みもあります。
「省エネに努める(節電だけではなく、ゴミの削減・分別も省エネにつながる)」「電気や水素自動車を選ぶ」「再生可能エネルギーで発電された電力を選ぶ」など、是非できることから始めてみませんか?