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つくる責任 つかう責任

ごみ問題に対する世界の現状や日本の課題点、私たちにできる対策について解説

高度経済成長時の「作る、増やす、捨てる」という習慣により、膨大な量になってしまったごみ。

私たちが毎日の生活から出すごみは分別され、最終的に処理できなくなったものだけが最終処分場で埋め立てられます。
ただし、最終処分場も永久に埋め立てられるわけではありません。地球上の土地には限りがあります。

現時点では、日本の最終処分場の残余年数は2021年3月現在で21.4年とされています。

参照元:一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について|環境省HP

このままの状態を続けていると、日本では約22年後にはごみを埋め立てる場所が無くなってしまうというデータも出ています。
そこで、今回はごみ問題について、日本を含め世界の現状を解説していきます。

ごみが増えると起こる問題

ごみは分別され、多くの物は焼却処分されます。ごみを焼却処分すると、二酸化炭素が多く排出され温室効果ガスが増大し、地球温暖化の原因となります。

また、不法投棄や漂着ごみが増えることによる問題も各地で起こっています。

ごみを不法投棄することは周囲の景観を悪くするだけではありません。化学物質を含むごみは、自然の中で分解されにくいものや蓄積されやすいものも多く存在します。それが一旦生き物の中に入ってしまうと、生態系が崩れたり、食物連鎖にも悪影響を与えます。

また、化学物質を多く含む生活排水などが海に流れ込むと、プランクトンが大量に発生し赤潮の原因にもなります。赤潮が多く発生すると、海中の酸素が不足して海の中の生物が死んでしまいます。実際赤潮の影響で、沖縄を代表とする世界の海のサンゴ礁は日々危険にさらされているのです。

海では、海岸での不法投棄によるビニール袋やストローなどのプラスチックごみが問題になっていますが、更に深刻な問題となっているのが、マイクロプラスチックによる海洋汚染です。

海や川に流れ込んだプラスチックは、やがて小さく砕かれてマイクロプラスチックと呼ばれる小さなかけらとなります。この小さなかけらは、魚の体内などからも発見されており、最終的に、人体に影響を与える可能性もあるのです。

マイクロプラスチックは、生活排水からも海へ流入します。
例えば、アクリルやポリエステルなどの化学繊維を含む洗濯物からも大量に排出されていることが分かっています。

また最近では、米を作るときにまく化学肥料からもマイクロプラスチックが排出されることがわかりました。水田から出たマイクロプラスチックは川に流れ込み、やがて河口から海へと流れ込んでいくのです。

世界のごみの排出量

ごみの排出量は、各国の人口や面積などさまざまなデータに基づいて発表されています。2019年、イギリスのリスク分析会社が発表したデータによると、世界194か国で毎年排出されるごみの量は約21億トンで、そのうちの約16%しかリサイクルされていません。

ごみの排出量世界第1位は中国で、全体の約15.5%を占めています。次いでインド、アメリカとなり、日本は8位で全体の約2%を占めています。

中国とインドは人口の多さとごみの量が比例していますが、アメリカは世界の総人口に対する国民の割合が約4%なのに対し、世界のごみの総排出量の12%ものごみを排出しています。

これは、アメリカの国民一人当たりのごみ排出量が非常に高いことを示しており、世界平均の3倍の量となります。アメリカのごみの量が多い理由は、リサイクルの遅れが原因だとされています。

ゴミ焼却率は日本がダントツで高い

また、非常に不名誉なデータですが、2013年のOECDのデータによると、世界のごみの焼却率は日本がダントツでトップとなります。

1位 日本:77%
2位 ノルウェー:57%
3位 デンマーク:54%
4位 スウェーデン:50%
5位 オランダ・スイス:49%

2021年環境省が発表したデータでは、日本ではごみの処理方法の約79.4%が焼却処分、19.6%がリサイクル、1%が直接埋立となります。

参照元:一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について|環境省HP

では一体なぜ焼却率がこんなにも高いのでしょうか。

その理由の一つは、生ごみです。
日本では、生ごみが資源化されずそのまま焼却処分されている割合が非常に高いのです。

例えばドイツでは60%以上の生ごみがコンポスト(堆肥)に利用されているため、半数以上の生ごみは焼却処分されずに土に返ることになります。ということは、日本でもリサイクルの普及により、この問題が解決されていく余地があるということではないかと考えられます。

また、海洋で問題になっているプラスチックごみは世界で年間800万トン(ジャンボジェット機5万機分)とされています。その内訳は、パッケージングが約半数を占めています。日本はパッケージ用のプラスチックごみ(国民一人当たり)がアメリカに次ぐ世界第2位となります。

参照元:第3章 プラスチックを取り巻く状況と資源循環体制の構築に向けて|環境省HP

ごみ問題への対策

海ではマイクロプラスチックが生態系への影響を及ぼし、赤潮を生み出す生活排水は海の中の生物を消滅の危機にさらしています。

そして、陸では埋立地になる土地が尽きようとし、ごみを焼却処分すれば、二酸化炭素を排出し温室効果ガスが増え、気候にまで影響を及ぼしてしまいます。

この危機的状況を打開するために、世界中がこの問題に対し動き始めています。

日本ではすでに「リデュース、リユース、リサイクル」の3R運動が、小学校中学年の社会科の授業に組み込まれています。そして世界でもさまざまな取り組みが行われています。

世界の対策

1991年にクジラの胃から50枚ものレジ袋が発見されたというショッキングなニュースがありました。そのニュースをきっかけとして、ヨーロッパでは日本よりも一足先にレジ袋の規制が始まりました。それが元となり現在のように世界中でレジ袋の有料化が進んでいったのです。

現在世界の国々では、プラスチックごみを削減する取り組みに力を入れており、使い捨てプラスチック容器の使用禁止や、プラスチック製ストローの使用禁止、またプラスチック製のレジ袋の無料配布禁止などの取り組みをしています。

また、アメリカのサンフランシスコでは、3R運動(リデュース、リユース、リサイクル)に加え、もう一つのRであるRot(ロット)にも力を入れています。
Rotは腐るという意味で、生ごみを肥料として再利用するという取り組みです。

観光立国であるシンガポールでは、街の景観を美しく保つため法律でガムを禁止するほど、ごみのポイ捨てが厳しく規制されています。そのため、ごみのポイ捨てには高額な罰金が科されます。その額は、最高で1,000シンガポールドル(日本円で約8万円)です。

ドイツでは、昔の日本で行っていたビール瓶の返却システムが取り入れられています。利用者が購入するときには瓶代を含めた額で購入し、瓶を返却すれば瓶代が返ってくるシステムです。

循環型経済(サーキュラーエコノミー)の確立

環境先進国の北欧スウェーデンのストックホルムではエコシティー地区が作られており、回収した生ごみや燃えるごみを使って発電し、その電力を市内に供給しています。

また、下水処理からでる汚泥を発酵させたバイオガスの供給も行っており、市民の台所で利用されたり、市内を走る循環バスもこのバイオガスの力で走っています。
さらに、公共交通機関の循環や自転車道路の整備がされており、市民がなるべく自家用車を使わなくて良い環境が整っています。

フランスでは2016年に食品廃棄禁止法が施行され、賞味期限切れ食品などは廃棄することができません。売れ残ってしまった食品は提携している慈善団体に寄付されるか家畜の飼料や肥料として利用されます。

ファッション業界のH&Mを主体とする団体は、着古した服を再加工し新しいものを生み出す技術を取り入れ「100%循環型ファッション業界」を作るという事業を行っています。この事業には、日本の企業や大学なども参画しています。

また、アディダスでは「履き古した靴を捨てるという概念をなくしたい」という試みから、靴底から靴紐まで単一の素材で製造したスニーカーが開発されています。履きつぶした靴を新品なものに再生し、また販売できるシステムを構築しています。

ごみ問題に対して私たちにできること

リデュース

欧米諸国では、さまざまな企業が容器を使わなくても購入できる洗剤や水などの設備を導入し始めています。
自分の家から持参した容器に量り売りした洗剤やセルフケア用品などを入れてもらい中身だけを購入します。ジュースの量り売りなどもありマイタンブラーなどを持参して、やはり中身だけを購入します。

中身だけを購入することで、容器をリデュースしているのですが、よく考えてみると昔の日本では、豆腐を買うときにはお皿を持って街を歩いている豆腐屋さんに声をかけ、中身の豆腐だけを購入していた時代がありました。

リユース

カフェでは飲み物を購入するときに入れてもらったタンブラーを飲み終わった後に回収し、再利用できるという取り組み作りも行われています。

イギリスでは、ウーバーイーツのような食事の配達サービスが、リユースできる容器で配達してくれるサービスも始まっています。食べ終わった後は、容器を回収してくれるという仕組みです。

最近では少なくなりましたが、日本の出前は、注文した食事をお店の容器で運んでもらい、食べ終わったらサッと洗って家の前に置いておくと後で回収してくれるシステムです。考えてみると、これもリユースの一つです。

ドイツでは、リユースされるペットボトルとリサイクルされるペットボトルの2種類があります。リユースされるペットボトルは頑丈で硬いタイプのペットボトルで洗浄されて再び飲料水の容器として利用されます。

また、容器を廃棄する度にデポジットがかかりますが、リユースのペットボトルのほうが安価なデポジットで回収してもらえます。理由は、リサイクルするにはペットボトルを一度溶かして新たに製品を作りなおす手間がかかりますが、リユースされる場合には洗浄のみで再利用可能だからです。

江戸時代のリサイクル文化

世界中でさまざまなかたちのリサイクルが行われていますが、実は江戸時代の日本社会は、物を大切にする世界最先端のリサイクル社会だったのです。その理由は資源の不足と、あまり裕福でない庶民たちの「もったいない」精神です。

着物は、修理を繰り返しながら同じものを着続けていたため、家の奥さんたちの針仕事は必須でした。いよいよボロボロになり着られなくなると、町の再販業者に古着として売りに行きます。そして業者はその古着をパーツ毎にばらし、部品として再販したのです。そのパーツを、針仕事をしている奥さんたちがまた買い取るという流れです。

江戸時代には蝋燭の蝋は垂れた蝋までをかき集めて再利用。商人が帳簿をつけるために使っていた紙は再加工して、厠の紙(トイレットペーパー等)に再利用。そして傘は古くなると骨だけを専門に買い取る業者が買い集め、新しい傘に作り直して再販しました。

鍋や釜は、江戸時代には高級品だったため新品を買うことはできませんでしたので、壊れた部分を修理する業者が存在し、穴やひびを塞いでくれたのです。

このように、今でいうサーキュラーエコノミーのようなものが当時の日本には当たり前のようにあったのです。

自然や物を大切にする時代へ

現在では、リサイクルという言葉が浸透し、若い人達がかっこよく古着を着こなしたり、マイボトルやマイ箸などをおしゃれに持ち歩いたりしている姿が見かけられます。

若くておしゃれな人達がすすんでリサイクル商品を使っていたり、エコな生活ぶりを公開したりすることで、工夫してリサイクルしたり、物を大事にしたりすることがとても素敵な事だということを再認識することができます。

現代社会は、ファーストフードと使い捨ての時代から、自然や物を大切にする丁寧な暮らしを好む時代へとシフトしてきているのではないでしょうか。

かつて、日本には物を大切にする文化が根付いていました。私たちは、今一度その文化に立ち戻ろうとしているように感じます。

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