ジェンダーレスやジェンダーフリーという言葉。
最近ではよく耳にするようになりました。
似たような言葉ですが、その意味はそれぞれ異なります。
ジェンダーレスやジェンダーフリーは、単なる『おしゃれ』や『流行り』ではなく、人権問題や男女格差の解消のためにも社会的意義の深い言葉なのです。
本記事では、ジェンダーレスとジェンダーフリーの違いをわかりやすく比較するとともに、それぞれの意味や重要性について解説していきます。
なお、ジェンダーレスについてのより詳しい解説は下記の記事をご覧ください。
ジェンダーレスとジェンダーフリーの違いを比較
ジェンダーレスとジェンダーフリーの違いをわかりやすい一覧表にまとめました。
この違いはわかりにくく、混乱しがちになるかもしれません。
あなたの身近な生活や出来事と対比しながら、ジェンダーレスとジェンダーフリーの違いを考えてみてください。
ジェンダーレス (男女の区別をなくす) | ジェンダーフリー (男女の差別をなくす) | |
職場 | 誰でも育児休暇が取れるようにする | 寿退社をなくしたり、女性は制服という決まりをなくす |
家庭 | 家事を分担する | 家事や育児を母親だけに押し付けない |
学校 | 男子は黒や青、女子はピンクや赤といった色分けをやめる | 女子にスカートやブルマーの着用を義務付けない |
地域社会 | 野球やサッカーにも女の子が参加できるようにする | 男性に力仕事を与える、女性に細かい作業を与える |
男女の区別をなくすのがジェンダーレス。
男女の差別をなくすのがジェンダーフリーです。
『男なのに』『女だから』という意識をなくすことが、多様性ある豊かな社会づくりには必要なのです。
そのためには、男女を区別するという意識から変えなければいけません。
ジェンダーフリー(男女の差別をなくす)には、ジェンダーレス(男女の区別をなくすこと)が大切です。
ジェンダーレスとジェンダーフリーの違いについて、お分かりいただけましたでしょうか?
それぞれの違いをイメージしやすくするために、ジェンダーとジェンダーレスの違い、そしてジェンダーフリーについて改めて確認していきましょう。
もし途中でジェンダーレスとジェンダーフリーの違いについてわからなくなってきたら、先ほどの比較表に戻ってみてください。
ジェンダーとは?ジェンダーレスとは?
男女には肉体的な違いがあります。
もっともわかりやすいのは、性器の違いです。
これは生物学的な性差であり、男女を生物学的に区別するのが性別(sex)です。
一方、ジェンダーは社会的・文化的な性差を言います。
例えば、『男性は会社に行き働くもの、女性は家庭に入り家事や育児をするもの。』そんな役割分担をしている家庭も多いことでしょう。
この役割分担自体には問題はありません。
それは各家庭で家族の同意のもと決めれば良いことだからです。
ですが、この区別を『常識』や『当たり前』と考えるならいかがでしょうか?
本当は女性も外で働きたいのに、『常識』や『当たり前』だから家事や育児をしているのだとしたら?
また、本当は会社をもっと休んで育児に参加したいと考える男性がいたらどうでしょうか?
なのに、それが本人の意思とは関係なく、実現できない、あるいは実現しにくい状況があったら?
家庭内や親戚付き合いで、隣近所、会社や学校などで、『常識』や『当たり前』が理由で個人の自由や考えが否定されたり、認められない場合もあるのではないでしょうか。
これが男女における社会的・文化的な性差が問題になるケースです。
こうした『常識』や『当たり前』の区別をなくしていこうという考え方が『ジェンダーレス』です。
ジェンダーレスが広まれば、男性も女性ももっと自分らしく生きることができます。
誰もが自分らしく振舞えることによって、多様性のある先進的な社会が実現できます。
ジェンダーフリーとは?
一方、ジェンダーフリーとは男女の差別をなくしていこうという考え方です。
世界には、女性の参政権や教育を認めない国や文化があります。
世界中で多くの女性が差別を受けたり、貧困や暴力におびえながら暮らしている現状があります。
また、日本においても、女性だからという理由で進学や就職が不利になるケースや、昇給や昇進においても男性と差別が行われるケースがあります。
結婚や出産を機に退職をすることが慣例になっていたり、育児や介護を『嫁がやるもの』と決めつける風習もあります。
これらは社会的・文化的な区別を超えた『差別』であり、自由と男女平等が認められた日本においてはあってはならないことです。
また、男性が育児や介護に参加しにくい社会構造も問題です。
育児や介護があるために、長期の有給休暇や休職を申し出たとして、昇進や昇給にまったく影響のない会社がどれほどあるでしょうか?
会社や上司からは『当たり前』のように、『奥さんに頼めないのか?』という疑問を突き付けられることでしょう。
そして、それを拒否して長期休暇を取れば、『常識』がないという評価を受けることでしょう。
こうしたジェンダー(社会的・文化的性差)は、男女の『区別』をすることによって、結果的には男女の『差別』を生んでいます。
ジェンダーレス(社会的・文化的性差による区別をなくすこと)は、ジェンダーフリー(男女差別をなくすこと)を実現するための有効な手段なのです。
まとめ
男女は生物学的な差があり、力の強さの違いや男女の違いによる得手不得手はあるでしょう。
古来からの男らしさや女らしさを理想として、自分はそうありたい願う人も大勢います。
しかし、他人や社会から性別により『〇〇であるべき』と決めつけられることはあってはいけません。
個人は自由であり、男女は平等だからです。
これまでの『常識』や『当たり前』は、多くの男女差別や格差を生んできました。
それによって、個人の自由や多様性ある社会の形成が阻まれてきました。
ジェンダーレスやジェンダーフリーを実現することで、もっと自由で個人が輝ける社会を作ることができます。
人口減少社会である日本においては、女性の社会進出や男性の育児・介護の参加が欠かせません。
男女の分け隔てなく、みんなが助け合い、生産性の高い社会を実現することが大切なのです。