公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
SOCIETY

フェアトレードとは?意味と仕組みをわかりやすく解説

スーパーやコンビニで「フェアトレード」のマークが付いたチョコレートやコーヒーを見かけたことはありませんか?なんとなく良いものだと感じながらも、具体的にどのような意味があるのか知らない方も多いでしょう。

フェアトレードは、開発途上国の生産者と私たち消費者をつなぐ重要な仕組みです。適正な価格での取引を通じて、生産者の生活改善を支援し、持続可能な社会の実現を目指しています。

この記事では、フェアトレードの基本的な意味から具体的な仕組み、身近な商品の選び方まで、分かりやすく解説します。あなたの日々の買い物が、世界にどのような変化をもたらすのかを知ることで、より意識的な消費選択ができるようになるでしょう。

フェアトレードとは何か?基本的な意味と定義

フェアトレードとは何か?基本的な意味と定義

フェアトレードについて正しく理解するために、まずはその定義と従来の貿易との違いを見ていきましょう。

フェアトレードの定義

フェアトレード(Fair Trade)とは、直訳すると「公平・公正な貿易」を意味します。具体的には、開発途上国で生産された農作物や製品を、適正な価格で継続的に取引することにより、立場の弱い生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組みです。

この取り組みでは、単に商品を安く買うのではなく、生産者が生活できる十分な収入を得られるよう配慮した価格設定を行います。また、商品代金とは別に「プレミアム(奨励金)」と呼ばれる追加資金を支払い、生産地域の学校建設や医療施設の整備など、社会開発にも貢献しています。

国際的には、開発途上国70カ国で200万人以上の生産者・労働者と、消費国30カ国のメンバーが参加する大規模なネットワーク組織として運営されています。

従来の貿易との違い

一般的な貿易では、多くの中間業者が関わることで、最終的に生産者が受け取る金額が少なくなりがちです。特に開発途上国の小規模農家は、市場の情報を得る手段が限られ、不利な条件での取引を余儀なくされることが少なくありません。

一方、フェアトレードでは中間業者を減らし、生産者により多くの利益が届くよう配慮されています。また、市場価格が下落した場合でも「フェアトレード最低価格」が保証されるため、生産者は安定した収入を得ることができます。

さらに、長期的な取引関係を重視し、生産計画が立てやすい環境を提供することで、生産者の経済的自立を支援しています。

フェアトレードが必要な理由と背景

フェアトレードが必要な理由と背景フェアトレードが世界的に注目される背景には、深刻な社会問題があります。その歴史的経緯と現在の課題を理解しましょう。

発展途上国が抱える貿易の問題

現在の国際貿易システムでは、開発途上国の生産者が不公平な立場に置かれることが多々あります。コーヒー豆を例に挙げると、豆の買い取り価格はニューヨークやロンドンの国際市場で決まりますが、多くの小規模農家は市場情報を直接得る手段を持たず、中間業者に依存せざるを得ません。

この結果、農家は本来の価値よりもはるかに安い価格で作物を売らざるを得ず、生活に必要な十分な収入を得られません。また、価格が安定しないため、将来の収入予測も困難で、子どもの教育費や医療費を確保することも難しい状況にあります。

さらに深刻なのは、生産性向上のために過度な農薬使用や森林伐採が行われ、環境破壊や健康被害を引き起こしていることです。また、経済的困窮により、本来学校に通うべき子どもたちが労働を強いられる児童労働の問題も存在します。

フェアトレード誕生の歴史

フェアトレードの歴史は1947年にさかのぼります。アメリカの国際協力NGOが、プエルトリコの女性たちが作った手工芸品を仕入れ、販売したことが始まりとされています。当初は「オルタナティブ・トレード(もう一つの貿易の形)」と呼ばれ、慈善活動の側面が強いものでした。

1960年代になると、ヨーロッパを中心に運動が本格化し、発展途上国の人々を支援する具体的なプログラムが各地で実施されるようになりました。1970年代には「公正な価格で輸入しよう」という意味から「フェアトレード」という言葉が定着していきます。

1988年にオランダで世界初のフェアトレードラベル制度が始まり、1997年には国際フェアトレードラベル機構が設立されました。現在では、世界131カ国で3万5千点以上の認証製品が販売され、グローバルな社会運動として発展しています。

フェアトレードの仕組みと基準

フェアトレードの仕組みと基準

フェアトレードが真に「公正な貿易」として機能するためには、明確な基準と認証システムが不可欠です。国際的に統一された仕組みを詳しく見てみましょう。

3つの基準(経済・社会・環境)

フェアトレードでは、持続可能な取引を実現するために3つの分野で厳格な基準を設けています。

経済的基準では、生産者組合に対して「フェアトレード最低価格」の保証を義務付けています。たとえば、アラビカコーヒーの場合、1ポンド(約454g)あたり140USセント(約153円)以上での買い取りが保証されています。市場価格がこれを下回っても、この最低価格は維持されるため、生産者は安定した収入を得ることができます。

さらに、商品代金とは別に「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」の支払いも定められています。コーヒー豆の場合、1ポンドあたり20USセント(約22円)のプレミアムが生産者組合に支払われ、地域の社会開発に活用されます。

社会的基準では、労働者の権利保護を重視しています。安全な労働環境の確保、民主的な組織運営、性別や人種による差別の禁止、そして児童労働や強制労働の完全な禁止が定められています。これにより、生産現場で働く人々の尊厳と権利が守られています。

環境基準では、持続可能な農業の実践を求めています。農薬や化学肥料の使用削減、有機栽培の奨励、土壌・水源・生物多様性の保全、遺伝子組み換え品の禁止などが含まれます。これらの取り組みにより、将来の世代にも豊かな自然環境を残すことができます。

認証システムの流れ

フェアトレード製品が消費者の手に届くまでには、厳格な認証プロセスを経る必要があります。まず、生産者組合が国際フェアトレード基準を満たしているかを第三者認証機関が審査します。基準をクリアした生産者のみが、フェアトレード製品として販売する権利を得られます。

次に、輸入業者や加工業者、販売業者も同様の審査を受けます。原料の調達から最終製品の販売まで、すべての工程でフェアトレード基準が守られていることが確認されて初めて、製品にフェアトレード認証ラベルを貼ることができます。

この認証システムは継続的な監査も含んでおり、基準の遵守状況を定期的にチェックしています。違反が発見された場合は認証が取り消されるため、関係者全員が責任を持って基準を守る仕組みになっています。

フェアトレード認証ラベルの種類と見分け方

フェアトレード認証ラベルの種類と見分け方フェアトレード製品を選ぶ際に重要なのが認証ラベルの理解です。複数の認証機関が存在するため、それぞれの特徴を知っておきましょう。

国際フェアトレード認証ラベル

最も広く知られているのが、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が発行する認証ラベルです。日本では「フェアトレード・ジャパン」がライセンス事業を担当しており、青と緑の円形デザインが特徴的です。

このラベルには複数の種類があります。「国際フェアトレード認証ラベル」は、すべての原料がフェアトレード認証を受けた製品に使用されます。一方、「ミックス認証ラベル」は、フェアトレード認証原料を含むが非認証原料も使用している製品に貼られ、右側に矢印のマークが付いています。

また、「FSI(Fairtrade Sourcing Ingredients)ラベル」は、特定の原材料のみがフェアトレード認証を受けている場合に使用されます。ラベルの右側のタブ部分に「COCOA」「SUGAR」などと記載されており、その原料のみがフェアトレード認証されていることを示します。

その他の認証マーク

国際フェアトレードラベル機構以外にも、複数の認証機関が存在します。「WFTO(世界フェアトレード機構)認証ラベル」は、組織全体の活動がフェアトレード基準を満たしていることを証明するもので、手工芸品や衣料品などに多く見られます。

「Fair For Life認証」は、スイスに本部を置く認証機関が発行するもので、原材料の80%以上がフェアトレードである製品に使用されます。「Fair Trade Certified」は、アメリカを中心に展開される認証で、乳製品やシーフードなど、他の認証では扱わない幅広い商品カテゴリーをカバーしています。

消費者がフェアトレード製品を選ぶ際は、これらの認証ラベルを目印にすることで、確実にフェアトレード基準を満たした商品を購入することができます。各認証機関は独自の基準を持ちながらも、生産者の生活改善と持続可能な取引という共通の目標に向かって活動しています。

身近なフェアトレード商品と選び方

身近なフェアトレード商品と選び方フェアトレード製品は、私たちの日常生活に身近な商品として数多く販売されています。どのような商品があり、どのように選べばよいのでしょうか。

主要な商品カテゴリー

最も代表的なフェアトレード商品はコーヒーです。世界のコーヒー消費大国である日本では、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、大手コーヒーチェーンでもフェアトレードコーヒーを購入することができます。ブラジルやエチオピア、グアテマラなどの生産地から、品質の高いコーヒー豆が適正価格で取引されています。

チョコレートも人気の高いフェアトレード商品です。カカオ農園では児童労働の問題が深刻ですが、フェアトレードチョコレートを選ぶことで、子どもたちが学校に通える環境づくりを支援できます。ガーナやコートジボワールなどのカカオ生産国の農家を直接支援することにつながります。

その他にも、紅茶、バナナ、コットン製品、スパイス類、ナッツ類、ワインなど、多岐にわたる商品でフェアトレード認証を受けたものが販売されています。近年では、手工芸品やアクセサリー、インテリア用品なども増えており、選択肢は着実に広がっています。

商品選択のポイント

フェアトレード商品を選ぶ際の最も重要なポイントは、認証ラベルの確認です。パッケージに国際フェアトレード認証ラベルやWFTO認証ラベルなどが表示されているかを必ずチェックしましょう。単に「フェアトレード」と書かれているだけでは、第三者機関による認証を受けていない可能性があります。

購入場所も重要な要素です。専門店や生協、オンラインショップのほか、最近では一般のスーパーマーケットでも取り扱いが増えています。大手小売チェーンでは、フェアトレード商品コーナーを設けている店舗もあります。

また、価格についても理解しておくことが大切です。フェアトレード商品は一般的な商品より価格が高めに設定されていることがありますが、これは生産者への適正な対価とプレミアムの支払いが含まれているためです。この価格差が、生産地域の持続可能な発展に直接貢献していることを理解して購入しましょう。

フェアトレードのメリットと今後の課題

フェアトレードのメリットと今後の課題フェアトレードは多方面にわたってメリットをもたらす一方で、さらなる普及に向けて解決すべき課題も存在します。

生産者・消費者・社会へのメリット

生産者にとってのメリットは明確です。安定した収入の確保により、子どもの教育費や医療費を賄うことができ、生活の質が向上します。プレミアムを活用した学校や病院の建設により、地域社会全体の発展にもつながります。また、環境に配慮した農業技術の習得により、持続可能な生産が可能になります。

消費者にとっては、自分の購買行動が社会貢献に直結するという満足感を得られます。また、フェアトレード商品は品質管理も徹底されており、安全で美味しい商品を購入できるメリットもあります。環境に配慮した製品を選ぶことで、地球環境の保護にも貢献できます。

社会全体へのメリットとしては、貧困問題の解決、児童労働の削減、環境保護、地域の治安改善などが挙げられます。これらは国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも大きく貢献しています。

普及に向けた課題と展望

日本におけるフェアトレードの市場規模は、2022年時点で約196億円と前年比24%増となっていますが、欧米諸国と比較するとまだ17分の1程度の規模にとどまっています。認知度の向上が最大の課題といえるでしょう。

価格面での課題も無視できません。フェアトレード商品が一般商品より高価格であることが、購入をためらう要因となっています。しかし、この価格差の意味を正しく理解し、社会的価値を評価する消費者が増えることで、この課題は徐々に解決されると期待されます。

また、グリーンウォッシュ(環境や社会への配慮があるように見せかけること)への対策も重要です。消費者が確実にフェアトレード商品を選択できるよう、認証ラベルの普及と信頼性の向上が求められています。

今後は、企業の調達方針にフェアトレードが組み込まれることや、教育現場での啓発活動の拡充により、さらなる普及が期待されます。一人ひとりの意識的な選択が、世界をより公正で持続可能な社会に変えていく力となります。

まとめ

まとめ:フェアトレードとは?意味と仕組みをわかりやすく解説フェアトレードは、私たちの日常的な買い物を通じて世界の課題解決に参加できる身近な社会貢献の方法です。コーヒーやチョコレートを選ぶ際に認証ラベルを確認する小さな行動が、遠く離れた生産地の人々の生活を支え、持続可能な未来の実現につながります。

まずは身近なフェアトレード商品から始めて、公正で平等な世界の実現に向けた一歩を踏み出してみませんか。あなたの選択が、世界を変える力となります。

参照元
・フェアトレード・ジャパン公式サイト https://www.fairtrade-jp.org/about_fairtrade/
・フェアトレード・ジャパン フェアトレードの定義 https://fairtrade-jp.org/about_fairtrade/definition.php
・一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会 https://jsl.life/learning/fairtrade/
・愛知県 認証ラベル・マーク https://www.pref.aichi.jp/kenmin/ethical/about/mark.html
・千葉商科大学 MIRAI Times https://www.cuc.ac.jp/om_miraitimes/column/u0h4tu0000002cxc.html

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
MIRASUS

MIRASUS編集部。地球と人に優しい未来をつくるサステナビリティな事例をご紹介。誰にでもわかりやすくSDGsに関する情報は発信していきます。

  1. 自然関連財務情報開示(TNFD)とは?企業への影響をわかりやすく解説

  2. ゼロエミッションとは?意味や企業の取り組み事例をわかりやすく解説

  3. ゼロエミッションビルとは?ZEBの仕組みとメリットをわかりやすく解説

RELATED

PAGE TOP