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SOCIETY

エシカル消費とは?意味や具体例をわかりやすく解説

私たちは毎日、食べ物や衣服、日用品など様々なものを購入しています。その際、価格や品質、デザインを重視することが多いでしょう。しかし近年、これらに加えて「その商品がどのように作られたか」「購入することで社会にどんな影響を与えるか」を考慮する消費スタイルが注目されています。それが「エシカル消費」です。

エシカル消費は、単なる買い物の仕方を変えるだけでなく、私たち一人ひとりが社会問題の解決に参加できる身近な方法として期待されています。環境問題や労働問題、地域経済の活性化など、現代社会が直面する様々な課題に対して、日々の消費行動を通じてアプローチできるのです。

エシカル消費とは何か?基本的な意味と定義

エシカル消費とは何か?基本的な意味と定義エシカル消費について正しく理解するために、まずはその基本的な意味と定義を確認しましょう。

エシカル消費の定義

エシカル(ethical)とは「倫理的」「道徳的」という意味の英語です。消費者庁では、エシカル消費を「地域の活性化や雇用なども含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動」と定義しています。

具体的には、消費者それぞれが社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うことを指します。つまり、自分の利益だけでなく、より広い視点で「誰かのため」「社会のため」「環境のため」になる選択をする消費行動なのです。

例えば、コーヒーを買う際に、単に味や価格だけでなく、生産者が適正な対価を得られているフェアトレード商品を選ぶことや、環境に配慮した栽培方法で作られたオーガニック商品を選ぶことがエシカル消費にあたります。

従来の消費行動との違い

これまでの消費行動では、主に「価格」「品質」「デザイン」という3つの要素が重視されてきました。しかし、エシカル消費では、これらに加えて「社会性」という第4の要素が加わります。

従来の消費では、より安く、より良いものを求めることが一般的でした。一方、エシカル消費では、たとえ価格が少し高くても、その商品を購入することで社会問題の解決に貢献できるなら、そちらを選択するという考え方をします。

また、従来の消費が「個人の満足」を重視していたのに対し、エシカル消費は「社会全体の幸福」を重視する点も大きな違いです。商品の購入を通じて、労働者の権利保護、環境保全、地域経済の活性化など、様々な社会的価値を創造することを目指しています。

エシカル消費が注目される背景と必要性

エシカル消費が注目される背景と必要性なぜ今、エシカル消費が世界中で注目されているのでしょうか。その背景には、現代社会が抱える深刻な問題があります。

SDGsとの関係

エシカル消費が注目される大きな理由の一つが、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)との関連性です。SDGsは2030年までに達成すべき17の国際目標を定めたもので、「誰一人取り残さない」持続可能な社会の実現を目指しています。

特に、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」は、エシカル消費と直接的に関係しています。この目標では、持続可能な生産・消費形態の確保が掲げられており、私たち消費者にも「責任ある消費」が求められています。

エシカル消費を実践することで、SDGsの他の目標、例えば「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」などの達成にも貢献できます。つまり、日々の買い物が国際的な課題解決に直結しているのです。

現代社会が抱える問題

私たちが普段何気なく購入している商品の多くは、世界各地で生産されています。しかし、その生産過程では様々な問題が潜んでいることがあります。

発展途上国では、児童労働や労働者への不当に低い賃金といった労働問題が深刻化しています。私たちが安価な商品を求めることで、知らず知らずのうちにこうした問題を助長している可能性があるのです。

また、大量生産・大量消費・大量廃棄という現代の経済システムは、地球環境に大きな負荷をかけています。気候変動、海洋汚染、森林破壊などの環境問題は、私たちの消費行動と密接に関係しています。

さらに、グローバル化が進む中で、地域の伝統産業や小規模生産者が競争に巻き込まれ、地域経済の衰退が問題となっています。エシカル消費は、こうした様々な社会問題に対して、消費者が主体的に解決に参加できる重要な手段として位置づけられているのです。

エシカル消費の3つの分野と具体例

エシカル消費の3つの分野と具体例エシカル消費は、配慮する対象によって大きく3つの分野に分類されます。それぞれの分野について、具体的な取り組み例とともに詳しく見ていきましょう。

人・社会への配慮

人・社会への配慮とは、労働者の権利保護や社会的弱者への支援を重視した消費行動のことです。この分野では、商品がどのような労働環境で作られているか、生産者が適正な対価を得られているかが重要なポイントとなります。

代表的な例がフェアトレード商品の購入です。フェアトレードとは、発展途上国の生産者から適正な価格で商品を購入する貿易の仕組みで、生産者の生活向上と労働環境の改善を目指しています。コーヒー、チョコレート、バナナなどの食品から、衣類やアクセサリーまで、様々なフェアトレード認証商品が販売されています。

また、障がい者の就労支援につながる商品の購入も、人・社会への配慮に該当します。福祉作業所で作られたお菓子や手工芸品を購入することで、障がい者の自立支援に貢献できます。被災地支援商品の購入も同様に、困難な状況にある人々への支援となります。

環境への配慮

環境への配慮では、地球環境への負荷を減らし、持続可能な生産・消費を実現することを目指します。気候変動や海洋汚染、資源の枯渇など、様々な環境問題の解決に向けた消費行動が求められます。

具体的には、リサイクル素材を使用した商品や、再生可能エネルギーで生産された商品の購入が挙げられます。プラスチック製品の代わりに竹や木材などの天然素材で作られた商品を選ぶことも環境配慮の一例です。

また、オーガニック商品の購入も重要な取り組みです。化学肥料や農薬を使わずに栽培された農産物は、土壌や水質の汚染を防ぎ、生物多様性の保護にもつながります。さらに、省エネ家電の購入や、長く使える質の良い商品を選ぶことで、エネルギー消費量や廃棄物の削減に貢献できます。

地域への配慮

地域への配慮とは、地域経済の活性化や地域文化の保護・継承を支援する消費行動のことです。グローバル化が進む中で、地域の独自性や多様性を守ることの重要性が高まっています。

最も身近な例が地産地消です。地元で生産された農産物や加工品を購入することで、輸送に伴う環境負荷を削減できるだけでなく、地域の農業や食文化を支えることができます。旬の食材を味わうことで、季節感のある豊かな食生活も実現できます。

地域の伝統工芸品や特産品の購入も、地域への配慮にあたります。職人の技術継承や地域ブランドの維持に貢献し、地域の文化的価値を守ることができます。また、地域の小規模事業者や商店街での買い物を心がけることで、地域経済の循環を促進し、コミュニティの活性化にもつながります。

日常生活で実践できるエシカル消費

日常生活で実践できるエシカル消費エシカル消費は特別なことではなく、日常の買い物の中で簡単に実践できます。小さな心がけから始めて、徐々に取り組みを広げていきましょう。

買い物で心がけること

まず、買い物前に「本当にそれが必要か」を考えることから始めましょう。衝動的な購入を避け、計画的に買い物をすることで、無駄な消費を減らせます。必要な分だけ購入することで、食品ロスの削減にも貢献できます。

商品を選ぶ際は、価格だけでなく「どこで」「誰が」「どのように」作られたかを意識してみてください。商品の裏側にあるストーリーを知ることで、より良い選択ができるようになります。

具体的な行動として、マイバッグの持参、リユース・リサイクル商品の積極的な利用、地元産品の優先購入などが挙げられます。また、長く使える質の良い商品を選ぶことで、結果的に経済的にも環境的にもメリットが生まれます。

認証マークの活用方法

エシカル商品を見分ける際に役立つのが、各種認証マークです。これらのマークは、第三者機関が一定の基準を満たした商品に付与するもので、消費者が安心して選択できる目印となります。

主な認証マークには、フェアトレード認証、有機JAS認証、FSC認証(持続可能な森林管理)、レインフォレスト・アライアンス認証などがあります。例えば、コーヒーや紅茶を購入する際にフェアトレード認証マークがついた商品を選ぶことで、生産者の生活向上に貢献できます。

ただし、認証マークがない商品でもエシカルな取り組みをしている企業や商品は多数存在します。企業のウェブサイトやパッケージの情報を確認したり、店舗スタッフに尋ねたりして、商品の背景を知る努力も大切です。認証マークを一つの参考にしながら、総合的に判断することが重要です。

エシカル消費の現状と課題

エシカル消費の現状と課題エシカル消費の重要性が世界的に認識される一方で、日本での普及にはまだ課題が残されています。現状を正しく把握し、今後の展望を考えてみましょう。

日本での認知度と実践状況

消費者庁が2019年に実施した調査によると、「エシカル消費」という言葉の認知度は約12.2%となっており、2016年の調査(6.0%)から倍増したものの、まだ一般的に広く知られているとは言えない状況です。

一方で、「エコ」や「ロハス」「オーガニック」といった関連する概念については、多くの人が認知しており、実際に環境に配慮した行動を取っている人も少なくありません。これは、エシカル消費の考え方自体は受け入れられやすいものの、「エシカル消費」という言葉の浸透が追いついていないことを示しています。

実際の購買行動を見ると、エシカル商品への関心は年代によって差があります。50代・60代の消費者が最も積極的で、次に30代が続いています。関心があっても実際の購入に至らない理由として、「価格が高い」「本当にエシカルかどうか分からない」といった声が多く聞かれます。

また、エシカル消費に対するイメージは全体的にポジティブで、約半数の人がエシカル消費者に好印象を持っています。約40%の人がエシカル消費に関心を示しており、潜在的な需要は高いと考えられます。

普及に向けた取り組み

エシカル消費の普及に向けて、政府や自治体、企業、市民団体が様々な取り組みを行っています。

消費者庁では、2015年から「倫理的消費調査研究会」を開催し、エシカル消費の普及・啓発活動を積極的に推進しています。学校教育での消費者教育教材の作成や、一般向けのリーフレット配布、動画作成など、多角的なアプローチで情報発信を行っています。

企業レベルでは、サステナブルな商品開発や、サプライチェーンの透明性向上に取り組む企業が増えています。消費者に分かりやすい形で社会的・環境的取り組みを伝える企業も多く、認証マークの取得や詳細な情報開示が進んでいます。

自治体でも、地産地消の推進や環境配慮商品の普及啓発など、地域の特性を活かした取り組みが展開されています。また、市民団体やNPOが主催するイベントやワークショップを通じて、草の根レベルでの意識向上が図られています。

今後は、エシカル商品の価格面での課題解決や、消費者が簡単に情報を得られる仕組みづくり、若い世代への啓発強化などが重要になってくると考えられます。

まとめ

まとめ:エシカル消費とは?意味や具体例をわかりやすく解説エシカル消費は、私たち一人ひとりが日常の買い物を通じて社会問題の解決に参加できる重要な取り組みです。人・社会、環境、地域への配慮という3つの視点から、より良い未来を創造することができます。

完璧を目指す必要はありません。まずは身近なところから、例えばマイバッグの持参や地元産品の購入など、できることから始めてみましょう。小さな一歩の積み重ねが、持続可能な社会の実現につながります。

価格や品質だけでなく、「その商品を買うことで何を支援できるか」という視点を持つことで、買い物がより意味のある行動に変わります。エシカル消費を通じて、私たちの消費行動が世界を変える力を持っていることを実感していただければと思います。

参照元
・消費者庁 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/about
・エシカル消費特設サイト(消費者庁) https://www.ethical.caa.go.jp/ethical-consumption.html
・東京くらしWEB(東京都) https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/manabitai/ethical/start1.html
・取手市 https://www.city.toride.ibaraki.jp/sanshin-shohi/kurashi/shohisekatsu/shohi/ethical.html

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