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SOCIETY

ソーシャルプロダクツとは?意味や8つの分野、具体例をわかりやすく解説

近年、環境問題や社会格差などの課題解決に向けて、私たちの日常的な消費行動が大きな力を持つことが明らかになってきました。その中で注目されているのが「ソーシャルプロダクツ」という概念です。単に商品を購入するだけで社会貢献につながるこの仕組みは、持続可能な社会づくりの新しいアプローチとして期待されています。

この記事で学べるポイント

  • ソーシャルプロダクツの基本的な意味と従来商品との違い
  • 8つの分野で展開される具体的な取り組み内容と商品例
  • 日常の買い物を通じて社会課題解決に参加する方法

ソーシャルプロダクツとは何か?基本的な意味と定義

ソーシャルプロダクツとは何か?基本的な意味と定義

ソーシャルプロダクツとは、企業や組織が生活者だけでなく社会全体のことを考えて作り出す商品やサービスのことで、持続可能な社会の実現に貢献するものです。一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会によって正式に定義されており、人や地球、地域社会にやさしい商品・サービスの総称として位置づけられています。

この概念の特徴は、消費者が商品を購入することで自然に社会課題の解決に参加できる点にあります。例えば、環境負荷の少ない洗剤を購入すれば地球環境の保護に、フェアトレード商品を選べば途上国の労働者の生活改善に貢献できます。つまり、特別な活動を行わなくても、日常の買い物を通じて社会貢献が可能になるのです。

持続可能な社会を目指す商品・サービスの総称

ソーシャルプロダクツは、主に8つの分野に分類されます。エコ(環境配慮)、オーガニック、フェアトレード、寄付つき商品、地域活性化、伝統の継承・保存、障がい者支援、復興支援といった幅広い領域で展開されています。

これらの商品に共通するのは、単に機能性や価格だけでなく、「社会にどのような良い影響を与えるか」という視点で開発されていることです。従来の商品開発では主に消費者の利便性や企業の利益が重視されてきましたが、ソーシャルプロダクツでは社会全体の持続可能性が重要な要素として組み込まれています。

従来の商品との違いと「人と人をつなぐ」特徴

ソーシャルプロダクツが従来の商品と大きく異なるのは、その背景にある思想と仕組みです。通常の商品は企業と消費者の間での取引で完結しますが、ソーシャルプロダクツには「人と人をつなぐ」という重要な機能があります。

具体的には、エコ商品は現在の世代と将来の世代を豊かな環境でつなぎ、フェアトレード商品は途上国の生産者と先進国の消費者を適正な貿易でつなぎます。また、地域の伝統工芸品は職人と消費者をつなぎ、障がい者支援商品は支援を必要とする人々と社会をつなぐ役割を果たしています。

このように、ソーシャルプロダクツは単なる商品の売買を超えて、社会のさまざまな立場の人々が協力し合う仕組みを作り出しているのが特徴です。

ソーシャルプロダクツが注目される背景と社会的意義

ソーシャルプロダクツが注目される背景と社会的意義

近年、ソーシャルプロダクツが注目される背景には、社会課題の複雑化と消費者意識の変化があります。地球温暖化、貧困格差の拡大、高齢化社会の進行など、現代社会が直面する課題は、政府や特定の組織だけでは解決が困難になっています。こうした状況において、多くの人々が日常的に行う「消費」という行為に、社会課題解決の大きな可能性が見出されています。

また、企業にとってもソーシャルプロダクツは重要な意味を持ちます。本業と密接に関連した社会的取り組みを通じて、企業やブランドの理念を社会に広く知らせることができ、新たな価値を付加することが可能になります。これは単なる宣伝効果にとどまらず、企業の持続可能な成長にもつながる重要な戦略となっています。

SDGsとの関連性

ソーシャルプロダクツは、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の達成と密接な関係があります。SDGsが掲げる17の目標は、貧困の撲滅から環境保護、ジェンダー平等まで幅広い社会課題を対象としており、これらの課題解決にソーシャルプロダクツが大きな役割を果たしています。

例えば、オーガニック食品は「飢餓をゼロに」や「陸の豊かさも守ろう」といった目標に、フェアトレード商品は「貧困をなくそう」や「働きがいも経済成長も」といった目標に直接貢献しています。このように、ソーシャルプロダクツはSDGsの理念を具体的な商品やサービスとして実現する手段として機能しています。

消費を通じた社会課題解決への参加

従来、社会課題の解決に参加するには、ボランティア活動への参加や寄付といった特別な行動が必要でした。しかし、ソーシャルプロダクツの普及により、日常の買い物という身近な行為を通じて社会貢献が可能になりました。

この仕組みの画期的な点は、消費者にとって負担感が少ないことです。特別な時間や労力を割く必要がなく、必要な商品を購入するという日常行為の延長線上で社会課題の解決に参加できます。また、商品の品質や機能性も従来品と同等かそれ以上のものが多く、社会貢献のために品質を妥協する必要もありません。

さらに、この消費行動は企業に対して「社会的責任を果たす商品を求める」というメッセージを送ることにもなり、市場全体の意識変革を促進する効果も期待されています。

ソーシャルプロダクツの8つの分野と具体的な取り組み

ソーシャルプロダクツの8つの分野と具体的な取り組み

ソーシャルプロダクツは、社会課題の多様性に対応するため、8つの主要分野で展開されています。それぞれの分野には独自の特徴があり、異なるアプローチで社会課題の解決に取り組んでいます。これらの分野を理解することで、自分の関心や価値観に合った商品を選択しやすくなります。

各分野の商品は、単に社会的意義があるだけでなく、品質や機能面でも優れたものが多く開発されています。これは、持続可能な社会の実現には、消費者が継続して購入したいと思える魅力的な商品であることが不可欠だからです。

環境配慮・オーガニック分野の商品例

環境配慮分野では、エネルギー消費を抑えた製品やリサイクル材料を使用した商品が代表的です。例えば、廃棄されるペットボトルから作られたバッグや、従来品より大幅に電力消費を削減した家電製品などがあります。これらの商品は、資源の有効活用と環境負荷の軽減を同時に実現しています。

オーガニック分野では、化学農薬や化学肥料を使用せずに栽培された農産物やそれらを原料とした加工食品が中心です。オーガニックコットンを使用した衣類や、有機栽培の茶葉から作られたお茶なども含まれます。これらの商品は、消費者の健康を守ると同時に、生産過程における環境への負荷を最小限に抑えています。

フェアトレード・寄付分野の商品例

フェアトレード商品は、途上国の生産者に適正な対価を支払うことで、彼らの生活向上を支援する商品です。代表的なものにはコーヒー、チョコレート、バナナなどがあり、これらの商品を購入することで途上国の労働者の労働環境改善や子どもたちの教育機会の拡大に貢献できます。

寄付つき商品は、売上の一部が特定の社会課題解決活動に寄付される仕組みの商品です。例えば、売上の一部が森林保護活動に寄付されるノートや、児童養護施設への支援金となる文房具などがあります。消費者は普通に商品を購入するだけで、自動的に社会貢献活動に参加することができます。

地域活性化・伝統継承分野の商品例

地域活性化分野では、地元の素材を活用した商品や地域の特産品を活かした製品が展開されています。例えば、地域で栽培された果物を使ったジャムや、地元の木材を使用した家具などがあります。これらの商品は、地域経済の活性化と雇用創出に直接貢献します。

伝統継承分野では、伝統的な技術や文化を受け継いだ商品が中心となります。職人が手作りする陶器や織物、古くから伝わる製法で作られた食品などが該当します。これらの商品を購入することで、貴重な伝統技術の継承と職人の生活支援につながります。

障がい者支援・復興支援分野の商品例

障がい者支援分野では、障がいを持つ方々が製造に携わった商品や、彼らの社会参加を促進する商品が展開されています。例えば、障がい者施設で丁寧に作られたパンやクッキー、手工芸品などがあります。これらの商品は、障がい者の就労機会の創出と経済的自立を支援します。

復興支援分野では、災害被災地域の復興を支援する商品が中心です。被災地で生産された農産物や、復興支援の一環として開発された特産品などがあります。東日本大震災以降、特にこの分野の商品が注目され、被災地域の経済復興と地域再生に重要な役割を果たしています。

ソーシャルプロダクツ・アワードと企業の取り組み事例

ソーシャルプロダクツ・アワードと企業の取り組み事例

優れたソーシャルプロダクツを評価し、その普及を促進するために設立されたのがソーシャルプロダクツ・アワード(SPA)です。この表彰制度は、2012年に始まり、社会性と商品性の両面を評価する日本初の取り組みとして注目されています。毎年多くの企業や団体が応募し、厳正な審査を経て優秀な商品・サービスが選出されています。

アワードの意義は、単に優秀な商品を表彰することにとどまらず、ソーシャルプロダクツという概念の社会的認知度を高め、消費者の選択肢を増やすことにあります。また、受賞企業にとっては、自社の取り組みが社会的に評価されたことの証明となり、ブランド価値の向上にもつながっています。

表彰制度の概要と意義

ソーシャルプロダクツ・アワードでは、エコ、オーガニック、フェアトレード、寄付、地域活性化、伝統継承・保存、障がい者支援、復興支援の8分野を対象に、商品性と社会性の両面から評価が行われます。審査では、商品の品質や機能性だけでなく、社会課題解決への具体的な貢献度や持続可能性も重視されます。

受賞商品には「SPAマーク」が付与され、消費者が社会性の高い商品を識別しやすくなっています。このマークは、商品が第三者機関によって社会性と商品性の両面で高く評価されたことを示す信頼の証となっています。また、受賞商品を集めた展示販売会も定期的に開催され、消費者が実際に商品を見て購入できる機会も提供されています。

受賞商品から見る成功事例

過去の受賞商品を見ると、様々な業界で革新的な取り組みが行われていることがわかります。例えば、2025年の大賞を受賞した「ごろごろ果実の能登ブルーベリー」は、能登半島地震の被災地復興支援と地域活性化を両立させた商品として評価されました。この商品は、被災地域の農業復興を支援しながら、高品質な商品として消費者にも喜ばれています。

また、フェアトレード分野では「鎌倉焙煎珈琲 フェアトレードかまくらブレンド」が大賞を受賞し、途上国の生産者支援と高品質なコーヒーの提供を両立させた事例として注目されています。これらの成功事例は、社会課題の解決と商品性の向上が決して相反するものではなく、むしろ相乗効果を生み出すことを示しています。

企業の取り組み事例を見ると、大企業から中小企業、スタートアップまで、規模を問わず様々な組織がソーシャルプロダクツの開発に取り組んでいることがわかります。これは、社会課題の解決が特定の企業だけの責任ではなく、社会全体で取り組むべき課題として認識されていることを示しています。

ソーシャルプロダクツの選び方と私たちにできること

ソーシャルプロダクツの選び方と私たちにできること

ソーシャルプロダクツを選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえることで、より効果的な社会貢献につながります。まず重要なのは、自分が関心を持つ社会課題に対応した商品を選ぶことです。環境問題に関心があるなら環境配慮商品を、途上国支援に興味があるならフェアトレード商品を選ぶといったように、自分の価値観と商品の社会的意義を一致させることで、継続的な購入につながりやすくなります。

また、商品の社会的背景を理解することも大切です。なぜその商品が社会課題の解決につながるのか、どのような仕組みで支援が行われているのかを知ることで、より意味のある消費行動となります。多くのソーシャルプロダクツには、その商品が解決を目指す課題や支援の仕組みが詳しく説明されているため、購入前にこれらの情報を確認することをお勧めします。

購入時のポイントと見分け方

ソーシャルプロダクツを見分ける最も確実な方法は、認証マークやラベルを確認することです。ソーシャルプロダクツ・アワードの「SPAマーク」をはじめ、フェアトレード認証マーク、有機JASマーク、エコマークなど、第三者機関が認定したマークが付いている商品は信頼性が高いといえます。

商品選択の際は、価格だけでなく商品の品質も重視しましょう。ソーシャルプロダクツが持続的に社会課題の解決に貢献するためには、消費者が満足できる品質であることが不可欠です。実際、多くのソーシャルプロダクツは、社会性と品質の両方を兼ね備えており、従来品と比較しても遜色ない、むしろ優れた商品が数多く存在します。

また、企業の取り組み姿勢も重要な判断材料となります。一時的なキャンペーンではなく、継続的に社会課題解決に取り組んでいる企業の商品を選ぶことで、より確実な社会貢献につながります。企業のウェブサイトやパンフレットで、具体的な取り組み内容や成果を確認することができます。

日常生活での社会貢献の実践方法

ソーシャルプロダクツを通じた社会貢献は、特別な活動ではなく日常生活の延長線上で実践できます。まずは、普段購入している商品の中で、ソーシャルプロダクツに置き換えられるものがないか検討してみましょう。食品、日用品、衣類など、多くの商品カテゴリーでソーシャルプロダクツが展開されています。

効果的なアプローチは、一度にすべてを変えようとするのではなく、段階的に取り入れることです。例えば、最初はコーヒーをフェアトレード商品に変更し、次に洗剤を環境配慮商品に切り替えるといったように、無理のない範囲で少しずつ実践していくことが継続の秘訣です。

また、ソーシャルプロダクツの情報を家族や友人と共有することも重要な社会貢献の一つです。商品の社会的意義や使用感を周囲の人に伝えることで、ソーシャルプロダクツの認知度向上と普及促進に貢献できます。SNSでの情報発信も、多くの人にソーシャルプロダクツを知ってもらう効果的な方法です。

ソーシャルプロダクツの今後の展望と課題

ソーシャルプロダクツの今後の展望と課題

ソーシャルプロダクツの市場は着実に拡大しており、今後もさらなる成長が期待されています。SDGsへの関心の高まりや、特に若い世代を中心とした社会課題への意識向上により、社会性を重視した消費行動が広がっています。企業側でも、単なる利益追求だけでなく、社会的価値の創造を重視する経営方針が主流となりつつあります。

技術の進歩により、従来は困難だった社会課題の解決手法も可能になってきています。例えば、デジタル技術を活用した新しいタイプのソーシャルプロダクツも登場しており、より効率的で効果的な社会課題解決が期待されています。また、国際的な連携により、地球規模の課題に対するソリューションも開発されています。

一方で、課題も存在します。最も大きな課題は、ソーシャルプロダクツの認知度向上と情報発信の充実です。優れた商品が開発されても、消費者に知られなければ普及につながりません。また、価格面での課題もあり、社会性を重視した製造過程により、従来品より高価格になる場合があります。しかし、技術の進歩と市場規模の拡大により、この価格差は徐々に縮まってきています。

さらに、ソーシャルプロダクツの効果測定と透明性の確保も重要な課題です。商品を購入することでどの程度社会課題の解決に貢献できたのかを、消費者にわかりやすく伝える仕組みの構築が求められています。

まとめ

まとめソーシャルプロダクツは、私たちの日常的な消費行動を通じて社会課題の解決に参加できる画期的な仕組みです。環境配慮からフェアトレード、地域活性化まで8つの幅広い分野で展開されており、それぞれが異なる社会課題に対してアプローチしています。

重要なのは、ソーシャルプロダクツが社会貢献と商品性を両立させていることです。消費者は品質を犠牲にすることなく、むしろ優れた商品を選択することで社会貢献ができます。ソーシャルプロダクツ・アワードのような表彰制度により、優秀な商品が評価され、消費者の選択もしやすくなっています。

一人ひとりの小さな選択が集まることで大きな社会変革につながるのがソーシャルプロダクツの力です。まずは身近な商品から始めて、自分の価値観に合ったソーシャルプロダクツを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。それが持続可能な社会の実現に向けた確実な一歩となるはずです。

参照元
・一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会(APSP)
https://www.apsp.or.jp/socialproducts/

・近畿経済産業局 ソーシャルプロダクツ創出支援ワークショップ
https://www.kansai.meti.go.jp/2kokusai/SDGS/businessnetwork/sdgs_socialproducts_workshop_211216.html

・ESD活動支援センター ソーシャルプロダクツ・アワード
https://esdcenter.jp/award/socialproductsaward/

  • 記事を書いたライター
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