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海面上昇はどうして起こる?原因や地球に与える影響を解説|2024年以降の最新データと日本への影響

海面上昇はどうして起こる?原因や地球に与える影響を解説

海面上昇とは、地球温暖化によって海面の高さが長い期間にわたって上がり続ける現象です。原因は大きく2つあります。陸の上にある氷が融けて海に流れ込むことと、温まった海水が膨らむことです。「海の水が少し増えるだけ」と思われがちですが、実際には高潮や浸水の被害を大きくし、島国の暮らしや沿岸の生態系にまで影響が広がります。この記事では、海面上昇が起こる仕組みを押さえたうえで、2024年以降の最新データ、日本沿岸で何が起きているのか、そして私たちが今日からできる備えを整理します。

この記事で学べること

  • 海面上昇が起こる2つの原因(氷の融解と海水の熱膨張)の仕組み
  • NASAやWMOが示す、近年の海面上昇のスピードと2024年の異例の上昇
  • 日本沿岸の海面は上がっているのか、気象庁のデータからわかること
  • 島国・サンゴ礁・沿岸の暮らしへの影響と、よくある誤解
  • 台風シーズンの今から始められる備えと、原因を減らす行動

海面上昇が起きる2つの仕組み

海面上昇の原因は、突き詰めると「海に加わる水が増えること」と「海水そのものが膨らむこと」の2つです。気象庁もIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告をもとに、氷の減少と海洋温暖化による熱膨張が主な要因だと説明しています。ここでは、それぞれの仕組みを順に見ていきます。

陸の氷が融けて海に流れ込む

グリーンランドや南極の氷床、世界各地の山岳氷河は、陸の上に積み重なった氷です。気温が上がってこれらが融けると、これまで陸にとどまっていた水が海に流れ込み、海水の総量が増えます。グリーンランド氷床がすべて融けた場合は、およそ7mの海面上昇に相当するとされています。ただし、融けきるには非常に長い時間がかかると考えられており、今世紀中にそこまで進むわけではありません。

温まった海水が膨らむ(熱膨張)

水は温められると体積が増えます。これを熱膨張といいます。地球温暖化で余った熱の大部分は海に蓄えられているとされ、海水は少しずつ温まって膨らみ、その分だけ水位が上がります。氷が融けなくても、海が温まるだけで海面は上がるのです。

海に浮かぶ氷が融けても水位は上がらない

注意したいのは、融ける氷の「場所」です。北極海に浮かぶ海氷のように、すでに海に浮いている氷が融けても、海面はほとんど変わりません。コップに浮かべた氷が融けても水があふれないのと同じ理屈です。海面を押し上げるのは、グリーンランドや南極のように陸の上にある氷が融けた水です。

最新データでみる海面上昇のスピード

海面上昇は「いつか起きる未来の話」ではなく、すでに観測されている現象です。ここでは、国際機関と研究機関が公表している最近の数値を確認します。

100年あまりで約20cm上がった

IPCC第6次評価報告書によると、世界平均の海面水位は1901年から2018年のあいだに0.20m(0.15〜0.25m)上昇しました。1900年代前半は上昇の勢いがゆるやかでしたが、その後、少しずつ速度が上がっています。

上昇のペースはおよそ2倍になった

WMO(世界気象機関)が2025年11月に公表した発表では、人工衛星による観測が始まった1993年から2002年の上昇率は年2.1mmでした。これが2016年から2025年には年4.1mmとなり、ほぼ2倍に増えています。1年あたりでは小さな差に見えても、積み重なれば沿岸の高潮や浸水のリスクを確実に押し上げます。

2024年は予測を上回る上昇だった

NASAが主導した分析では、観測史上もっとも暑かった2024年の海面上昇は年0.59cmで、予想されていた0.43cmを上回りました。注目されたのは内訳の変化です。ここ数年は上昇の約3分の2が氷の融解による水の追加、約3分の1が熱膨張でした。ところが2024年はこれが逆転し、3分の2が熱膨張によるものでした。NASAの研究者は、上昇が予想より大きかったと述べています。衛星観測が始まった1993年以降、世界の海面は約10cm上がり、上昇の速度は2倍以上になっています。

日本の海面は上がっているのか

「日本は海面上昇の被害が少ない国」という見方を耳にすることがあります。実際のデータはどうなっているのでしょうか。気象庁の観測をもとに見ていきます。

気象庁の観測データが示すこと

気象庁の解析では、日本沿岸の海面水位は1906年から2023年の全期間でみると、明確な上昇傾向は見られません。これは、10〜20年周期の自然な変動が大きく、地球温暖化による上昇を隠してきたためと考えられています。一方、1980年代後半以降は上昇傾向がはっきり現れています。地盤の上下変動を補正したデータでは、2004年から2023年の平均で年3.5mm(2.5〜4.5mm)の上昇です。この値は世界平均と同じ水準です。2023年の日本沿岸の海面水位は平年値(1991〜2020年平均)より72mm高く、統計を開始した1906年以降でもっとも高い値でした。

将来はどこまで上がると見込まれているか

IPCC第6次評価報告書は、2100年ごろ(2081〜2100年平均)の世界平均海面水位について、1995〜2014年と比べて、温室効果ガスを大きく減らすシナリオ(SSP1-2.6)で0.32〜0.62m、排出が非常に多いシナリオ(SSP5-8.5)で0.63〜1.01mの上昇を示しています。日本についても『日本の気候変動2020』は、21世紀末に2℃上昇シナリオで約0.39m、4℃上昇シナリオで約0.71mの海面上昇を予測しています。排出をどれだけ減らせるかで、将来の水位に大きな差が出ることがわかります。

国は「気候変動を織り込んだ海岸づくり」へ転換している

日本では2020年11月に海岸保全基本方針が変更され、これまでの過去のデータに基づく海岸づくりから、気候変動の影響を明示的に考える方向へ転換しました。堤防や護岸などの高さを決める際に、将来の海面上昇や台風の強まりを見込む考え方です。日本の沿岸には、東京・名古屋・大阪など、海面より低い土地に広がる都市部もあります。海面上昇は、遠い国だけの問題ではありません。

海面上昇が暮らしと自然に与える影響

海面の高さが数十cm変わるだけで、なぜ大きな問題になるのでしょうか。影響は、高潮、島国、サンゴ礁の3つの角度から見ると整理しやすくなります。

高潮や浸水、塩害が起きやすくなる

平均の海面が上がると、台風や低気圧がもたらす高潮の水位も、その分だけ底上げされます。これまで堤防で防げていた高潮が、同じ規模の台風でも越えてくる可能性が高まります。さらに、海水が川をさかのぼったり地下水に混ざったりして、田畑や井戸に塩分が入り込む塩害も起きます。農作物が育たなくなったり、飲み水が確保しにくくなったりして、暮らしの基盤そのものに影響が及びます。

国土そのものが危うくなる島国がある

太平洋の島国ツバルでは、標高の低い国土が海面上昇の影響を強く受けています。こうした状況を受け、ツバルとオーストラリアは2023年に「ファレピリ連合条約」に署名し、条約は2024年8月28日に発効しました。オーストラリア政府(外務貿易省)によると、条約は海面上昇があってもツバルの国家としての地位と主権が続くことを法的拘束力のある条約で初めて認めるもので、ツバルの人々に年間最大280人分の永住ビザを提供する仕組みも含みます。故郷にとどまる選択と、移り住む選択の両方を支える制度づくりが、国同士で始まっています。

海面上昇によって国土の存続が危ぶまれる国々の現状や、そこで連鎖する問題については、次の記事で具体的に紹介しています。

サンゴ礁は「水温」の影響を強く受ける

サンゴ礁は、多くの海の生き物のすみかになり、波のエネルギーをやわらげて海岸を守る役割も持っています。ただし、サンゴが白くなる白化現象の主な引き金は、海面上昇そのものではなく、海水温の上昇です。海面上昇と海水温の上昇は同じ地球温暖化から生じるため、同時に進みやすく、サンゴ礁の生態系には二重の負担になります。日本でも、サンゴの移植やモニタリング調査、海洋保護区の設置などが行われています。

海面上昇についてよくある誤解

海面上昇は、仕組みが少し複雑なぶん、誤解も生まれやすいテーマです。ここでは、特に混同されやすい点を3つ取り上げます。

「温暖化が止まれば、海面も元に戻る」わけではない

海は温まりにくく冷めにくいため、大気の気温が落ち着いても、深い海まで熱が伝わって膨張が続きます。氷床の融解にも時間差があります。IPCCは、海面水位は今世紀を通じて上昇を続け、その後も数百年から数千年にわたって高い水準にとどまると評価しています。だからこそ、排出削減による「上昇を小さくする努力」と、「すでに避けられない上昇に備える努力」の両方が必要です。

海面は世界中で同じ高さだけ上がるわけではない

世界平均が上がっても、地域ごとの上がり方は同じではありません。海流や風、地盤の動きによって差が出ます。埋め立て地や地下水のくみ上げで地面が沈んでいる場所では、海面から見た相対的な水位は、さらに高く感じられます。身近な地域のリスクは、世界平均の数字だけでは判断できません。

「日本は大丈夫」とも「日本はすぐ沈む」とも言い切れない

先ほど見たとおり、日本沿岸の水位は1980年代後半以降は上昇傾向にあり、2023年には観測史上最高を記録しました。一方で、数十年の自然変動が大きい海域でもあり、1年1年の変動だけで将来を断言することはできません。大切なのは、極端な見方に寄るのではなく、公的な観測データと自分の地域のハザード情報を照らし合わせて判断することです。

私たちにできること

個人の行動だけで海面上昇を止められるわけではありません。それでも、原因を減らす行動、備える行動、選ぶ行動のそれぞれに意味があります。まずは、負担が小さいものから選んでください。

原因を減らす暮らしの見直し

海面上昇を抑える根本は、温室効果ガスの排出を減らすことです。家庭では、冷暖房の設定温度を見直す、使っていない部屋の照明や待機電力を減らす、近い距離は徒歩や自転車にするなど、電気や燃料の使用量を減らす行動が基本になります。節約にもつながるため、続けやすいのも利点です。

台風シーズンの今、住まいのリスクを確かめる

日本では秋は台風と高潮の季節です。まずは、お住まいの地域と職場、通学先の浸水想定をハザードマップで確かめてください。国土交通省の「重ねるハザードマップ」では、洪水・高潮・津波などのリスクを地図上で確認できます。避難先と避難経路、持ち出し品をあわせて家族で話しておくと、いざというときに動きやすくなります。

電力や商品を「選ぶ」ことで後押しする

電力会社のプランを再生可能エネルギー中心のものに切り替える、省エネ性能の高い家電を選ぶ、環境配慮を公開している企業の商品を選ぶといった選択は、社会全体の排出を減らす流れを後押しします。そのとき、根拠のない「環境にやさしい」という表示だけで判断せず、第三者認証や企業の公開データを確認する習慣をつけると、見極める力がつきます。

まとめ

海面上昇は、陸の上にある氷が融けて海に水が加わることと、温まった海水が膨らむことの2つが重なって起こります。WMOによると、上昇率は1993〜2002年の年2.1mmから2016〜2025年の年4.1mmへ、ほぼ2倍になりました。NASAは、2024年の上昇が予想を上回り、その3分の2が熱膨張によるものだったと報告しています。

日本沿岸でも、1980年代後半以降は上昇傾向が続き、2023年の水位は観測史上最高でした。海面上昇は、高潮や塩害、島国の存続、サンゴ礁などの生態系にまで影響を及ぼします。しかも、排出が止まった後も長く続く性質を持つため、排出削減と備えの両方が欠かせません。

まずは、いま住んでいる地域のハザードマップを1度開いてみてください。それだけでも、海面上昇を自分の暮らしの問題として捉え直すきっかけになります。

  • 海面上昇の原因は、陸の氷の融解と海水の熱膨張の2つ
  • 上昇のペースはこの30年ほどでほぼ2倍になり、2024年は予想を上回った
  • 日本沿岸の水位は1980年代後半以降上昇し、2023年は観測史上最高だった
  • 温暖化が止まった後も上昇は長く続くため、排出削減と備えの両方が必要
  • 台風シーズンの今、ハザードマップの確認から始められる

参考文献

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事

鹿児島県在住のフリーライター。コーヒーをきっかけにSDGsを知り、興味をもつように。普段は、ライフスタイルやSDGsに関する記事を執筆しています。

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