移住労働者とは?日本と世界の現状・問題点をわかりやすく解説
post_id: 1934
original_date: 2021年7月15日
公開日: 2026年3月11日
url: https://mirasus.jp/sdgs/reduced-inqualities/1934
カテゴリースラッグ: sdgs
関連SDGs: 目標8(働きがいも経済成長も)、目標10(人や国の不平等をなくそう)、目標16(平和と公正をすべての人に)
あなたの職場や地域に、海外から来た働き手はいますか。厚生労働省が2025年1月31日に発表したデータによると、
2024年10月末時点の日本の外国人労働者数は230万2,587人と過去最高を更新しました。
日本社会における移住労働者の存在はもはや例外ではなく、30人に1人以上が外国籍という現実があります。しかし、彼らをとりまく権利や労働環境の問題は、十分に知られているとはいえません。この記事では、移住労働者とは何か、国際的な権利保障の枠組み、そして日本で起きている主な課題を整理します。
移住労働者とは何か
移住労働者とは、出生国または国籍国とは異なる国に移り住んで働く人のことです。国際条約上は「国籍を有しない国で、有給の活動に従事する予定であるか、またはこれに従事している者」と定義されています。
世界規模で見ると、
2022年時点で世界の国際移民数は2億8,450万人に上っており、このうち労働力人口は1億6,770万人、就業者は1億5,560万人とされています。
これはILOが2024年12月に発表した報告書「ILO国際移民労働者世界推計(第4版)」によるものです。
移住労働者の権利条約は、10年にわたる交渉を経て1990年に国連総会で採択されました。この条約は、適法・非適法を問わずすべての移住労働者とその家族の権利を保障するとされており、集団での追放禁止、パスポートや労働許可証の不法な破棄の禁止などが定められています。移住先国の労働者と同等の報酬・社会福祉・医療サービスを受ける権利や、労働組合への加入・参加の権利、雇用終了時に所得や貯蓄を送金する権利なども含まれます。
日本における移住労働者の現状
厚生労働省が2025年1月31日に発表した集計によると、2024年10月時点で日本で働く外国人は230万人となり、前年比で25万人(12.4%増)増加しました。増加幅は集計開始の2007年以降で最大です。
国籍別ではベトナムが最多の57万708人(全体の24.8%)で、中国40万8,805人、フィリピン24万5,565人、ネパール18万7,657人、インドネシア16万9,539人が続きます。
少子高齢化が進む日本において経済成長や社会保障制度を維持するためには、外国人労働者も担い手として受け入れる必要があり、行政手続きから生活環境に至るまで受け入れ体制の整備を進めることが欠かせないとされています。
移住労働者が直面する主な問題
不法滞在のリスク
日本に滞在・就労するためには、在留資格の範囲内で活動することが義務付けられています。在留期限を1日でも超えると不法滞在となり、懲役や罰金などの罰則が科せられ、強制送還後は一定期間の再入国ができなくなります。在留資格の更新手続きの複雑さや言語の壁から、意図せず期限を超えてしまうケースもあるとされています。不法滞在は本人にとってはもちろん、雇用する企業側にとっても法的リスクを伴います。
低賃金・賃金不払い問題
日本には最低賃金法があり、移住労働者も適用対象です。
厚生労働省が令和6年8月29日に発表した答申によると、2024年度の地域別最低賃金の全国加重平均額は前年度から51円引き上げられ1,055円となり、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高の引き上げ額となりました。
最低賃金は都道府県によって異なり、
東京都が1,163円で最高、秋田県が951円で最低となっています。
最低賃金法の規定があるにもかかわらず、実態としてはルールを守らない雇用者が存在するとされています。母国と比べ日本の賃金水準を高く感じている移住労働者の中には、自身が最低賃金を下回っていても声を上げにくい人もいます。異国の地で雇用者に賃金の主張をすることは心理的ハードルが高く、解雇を恐れて泣き寝入りするケースもあるという見方があります。
言語の壁
ILOの報告によると、女性移民労働者の80.7%がサービス業に従事しており、移住先国での高齢化などの人口動態の変化によって介護や家事労働に対する需要が高まり、女性移民労働者の主要な就業先となっています。
こうした職場では日常的なコミュニケーション能力が不可欠ですが、日本語は習得難易度が高い言語の一つとされており、意思疎通の問題が業務上のトラブルや解雇につながるケースもあるとされています。
移住労働者が安心して働ける環境を整えるためには、低価格で日本語教育を受けられる制度や、多言語での相談窓口の整備が求められます。雇用者側も、外国語対応マニュアルの作成や通訳サポートの活用など、歩み寄りの姿勢が重要です。
SDGsの観点から移住労働者問題を考える
移住労働者の問題は、SDGsの複数の目標と深く結びついています。目標8「働きがいも経済成長も」のターゲット8.8には、「移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する」という内容が明記されています。また、目標10「人や国の不平等をなくそう」は、国籍や出身国を問わず平等な機会と処遇を求めるものであり、移住労働者の権利保障と直結します。
国際的な外国人労働者の獲得競争が激しくなっている中で、日本は長年の賃上げ停滞や円安傾向を抱えており、受け入れ体制の整備が急務とされています。
移住労働者の問題は日本国内にとどまらず、送り出し国との関係や国際的な労働規範とも密接につながっています。
私たちにできること
移住労働者の問題は、国や企業だけが対処すべきものではありません。私たち一人ひとりにも、できることがあります。
まず、移住労働者が置かれた状況への理解を深めることが出発点です。身近にいる外国人労働者に対し、差別的な扱いや不当な低賃金が行われていると気づいた場合は、最寄りの労働基準監督署や法務省の「外国人在留支援センター(FRESC)」に相談・通報することができます。また、多文化共生を推進している地域のボランティア活動や日本語教室の支援に参加することも、具体的な行動の一つです。
国籍や言語の違いを超えて、すべての働く人が尊厳を持って生活できる社会を、少しずつ共につくっていきましょう。
移住労働者とは?日本と世界の現状・問題点をわかりやすく解説
【学べるポイント】
✅ 日本の外国人労働者は2024年に230万人超で過去最多
✅ 不法滞在・低賃金・言語の壁が主な課題
✅ SDGs目標8・10と深く関連する世界共通の問題

