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移民が増えると犯罪が増える?データで読み解く移民と犯罪の関係

移民の犯罪について、移民が増えると犯罪が増えるというのは本当?

「外国人が増えれば治安が悪化する」という声は、選挙のたびに話題になります。しかし、そのイメージは統計データに裏づけられているのでしょうか。出入国在留管理庁や法務省の公式データを使って、移民と犯罪の実態を冷静に見ていきましょう。

日本に暮らす外国人はどのくらい増えているか

出入国在留管理庁が2025年3月14日に発表した統計によると、
2024年末時点の在留外国人数は376万8,977人で前年末比10.5%増となり、過去最高を更新しました。
国籍別では中国が873,286人で最多、次いでベトナムが634,361人、韓国が409,238人と続きます。在留資格別では永住者が918,116人で最も多く、技能実習が456,595人、技術・人文知識・国際業務が418,706人と続いています。
こうした増加の背景には、日本人労働力の減少に伴い産業界で外国人材への需要が高まったことがあります。政府は2018年に入管法を改正し、新たな在留資格「特定技能」を創設するなど、歴史的な受け入れ政策の転換を図りました。

このように在留外国人の数が着実に増えるなかで、「治安が悪化するのではないか」という声もしばしば聞かれます。次章ではデータを使ってその問いに向き合います。

統計データで見る外国人犯罪の実態

検挙件数のピークは2005年

法務省が公刊している犯罪白書をもとに長期的な推移を確認すると、
2024年版「犯罪白書」によれば、外国人による刑法犯の検挙件数・検挙人員数はいずれも2005年をピークに減少傾向にあります。
外国人による刑法犯の検挙件数は2005年に43,622件でピークを迎えましたが、その後減少が続き、2024年には15,541件と約64%も減少しました。一方、近年は在留外国人数そのものが急増しているため、件数は再び増加傾向にあります。

犯罪率を比較すると

2024年末時点の在留外国人数は約376万人で、同年の外国人による刑法犯の検挙人員は15,541人でした。単純計算で外国人の犯罪率は人口の約0.41%程度となります。一方、2024年の日本人(約1億2,000万人)の刑法犯検挙人員はおよそ26万9千人程度で、日本人の犯罪率は約0.22%と算出されます。確かにこの数字だけ見ると外国人の方がやや高い割合にはなっていますが、この差は0.2%程度であり、決して外国人だけ突出して高いわけではありません。

年齢構成の違いを考慮すると差はさらに縮まる

単純な数字の比較には注意が必要です。
犯罪の発生率は日本人の間でも年齢によって大きく異なり、特に20代で高い傾向があります。外国人の人口構成は日本人よりも20〜30代の若年層に集中しているため、総人口に対する比率を見るだけではこういった年齢構造を反映した犯罪率の違いを把握することができません。
外国人全体の犯罪率を年齢調整の試算値に基づき日本人の1.3倍と仮定した場合、1,000人あたり1.93人となり、日本人の30〜39歳の1.94人とほぼ等しくなります。

つまり、在留外国人は若年層の割合が高いという人口構成の違いを考慮すると、犯罪率の差はごくわずかな水準に収まるという見方があります。

外国人が増えた地域で犯罪は増えたか

法務省がまとめた「犯罪白書」によると、刑法犯で検挙された外国人は2004年の14,766人から2023年は9,726人と34%減っています。約2,000人ほどの外国人が住むとされる埼玉県川口市では、外国人人口が2004年の14,679人から2024年に43,128人とほぼ3倍に増えた一方、市内の刑法犯認知件数は2004年の16,314件から2024年は4,529件へと大幅に減少しています。
外国人犯罪の大半は窃盗など比較的軽微な犯罪が占め、凶悪犯罪に占める割合は極めて低いです。「外国人が増えると犯罪も増えて治安が悪化する」というイメージはあくまでもイメージであり、両者に直接的な因果関係は見られません。

なぜ「移民=犯罪」というイメージが広がるのか

SNSやインターネットを通じて犯罪関連の報道や情報が過剰に拡散される現代では、全国的にはごく稀な事件であっても瞬時に大量拡散されるため、あたかも身近で頻繁に凶悪犯罪が起きているかのような錯覚を抱きやすいという側面があります。

また、報道のあり方も影響していると考えられます。日本人による犯罪は単に事件の内容が伝えられるだけであることが多いのに対して、外国人による犯罪では国籍や外国人であることが強調されやすく、「外国人だから犯罪を起こした」という印象につながりやすいという指摘があります。

背景に目を向けると、犯罪の動機として大きいとされているのが経済的な困窮です。適切な賃金が支払われず、社会的なサポートも乏しい状況に置かれれば、国籍を問わず犯罪リスクは高まります。外国人だから犯罪を起こすのではなく、社会的・経済的な環境が犯罪発生に深く関わっているという見方が研究者の間では広く共有されています。

共生社会の実現に向けた制度的な動き

移民・外国人労働者の増加に対応するため、日本では制度整備も進んでいます。

日本語教育については、
2019年6月に「日本語教育の推進に関する法律」(日本語教育推進法)が施行され、国や企業に対して外国人が日本語を習得できるよう支援する義務と方針の策定が定められました。

さらに、
2024年4月には「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」が施行され、一定の要件を満たす日本語教育機関を「認定日本語教育機関」として認定する制度と、「登録日本語教員」の資格制度が創設されました。

こうした制度の整備は、外国人が日本社会に適応するための土台となり得ます。しかし法律が存在するだけでは不十分で、予算の確保や地域単位での実施体制の充実が課題として残っているとされています。

多文化共生のために私たちにできること

統計が示すのは、「移民が増えれば犯罪が増える」という単純な因果関係は確認できないという事実です。一部のニュースや情報だけを根拠に偏見を持つことは、社会の分断につながります。

私たちが日常的にできることとして、次のことが挙げられます。

情報を一次ソースで確認することが出発点です。法務省・警察庁・出入国在留管理庁などの公式統計に直接あたり、数字の文脈(年齢構成や在留人数の変化)を踏まえて判断する習慣が重要です。

地域の多文化共生活動に関わることも一つの方法です。各自治体が実施する日本語ボランティアや国際交流イベントへの参加を通じて、外国人住民と直接関わることで、メディアのイメージとは異なる等身大の関係を築くことができます。

外国人労働者の労働環境に関心を持つことも重要です。適正な賃金・労働環境が保たれることは、外国人住民の社会適応を促し、結果として地域の安定にもつながります。消費者・有権者としての行動が、企業や政策の変化を促す力になります。

多様な背景を持つ人々が共に暮らす社会は、一人ひとりの意識と行動の積み重ねによって形づくられます。データを正しく読み、偏見に流されない姿勢を持つことが、多文化共生社会の実現への第一歩となるでしょう。

移民が増えると犯罪が増える?データで読み解く実態

【学べるポイント】
✅ 外国人の犯罪率は日本人と0.2%差。年齢構成を考慮するとさらに縮まる
✅ 外国人が増えた地域でも犯罪は増えていないことが統計で確認できる
✅ 犯罪の背景は国籍でなく経済・環境要因が大きい

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