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日本の教育格差とは?原因・現状・私たちにできる対策をわかりやすく解説

日本の教育格差・その原因と対策

日本の教育格差とは?原因・現状・私たちにできる対策をわかりやすく解説

post_id: 1389
original_date: 2021年6月22日
公開日: 2026年3月11日
url: https://mirasus.jp/sdgs/quality-education/1389
カテゴリースラッグ: sdgs
関連SDGs: 目標4(質の高い教育をみんなに)、目標10(人や国の不平等をなくそう)、目標1(貧困をなくそう)

「どの学校に行けるかは、子どもの努力よりも親の収入で決まる」——そんな現実が、先進国・日本の教育の現場で起きているとしたら、どう感じますか。義務教育の整備や高い識字率が誇られる一方で、日本の子どもたちが直面する「教育格差」の問題は、今も解消されていません。この記事では、日本の教育格差の実態・原因・対策をわかりやすく解説します。

日本の教育の現状|進学率は過去最高でも格差は残る

日本には小・中学校の義務教育制度が整備されており、識字率はほぼ100%とされています。
文部科学省が2024年12月18日に公表した令和6年度学校基本調査(確定値)によると、高等教育機関(大学・短大・専門学校など)への進学率は87.3%で、前年度より3.3ポイント上昇し、過去最高を記録しました。
同調査では、大学(学部)への進学率も59.1%と過去最高を更新し、高校を卒業した人の過半数が大学へ進学する状況となっています。

数字だけを見れば、日本の教育は十分に行き届いているように見えます。しかし、平均値の裏側には、世帯収入・地域・性別による大きな格差が潜んでいます。

教育格差が生まれる背景

中学受験と「親の経済力」による早期選別

東京大学が実施した2018年度「学生生活実態調査」によると、東大生の実家の世帯年収の約60%が年収950万円を超えています。同年の厚生労働省「国民生活基礎調査」では、年収900万円以上の世帯は全国でわずか16.1%にすぎません。
この格差は偶然の産物ではなく、教育への投資機会の差が積み重なった結果と考えられています。

かつて子どもの進路の振り分けは高校受験・大学受験が中心でしたが、近年は中学受験がその役割を担うようになっています。高校受験(15歳)・大学受験(18歳)であれば本人の意志や努力が反映されやすいですが、中学受験は12歳時点で行われるため、「どの塾に通うか」「費用を捻出できるか」「親が情報を収集・判断できるか」といった親側の条件が、子どもの教育機会を大きく左右します。

日本の教育格差の3つの原因

地域による格差

日本では、家庭の経済格差などの家庭環境によって子どもの教育格差が生まれています。四年制大学進学率を世帯収入別に見ると、世帯収入の多寡によって34.6ポイントもの差が生じているというデータもあります。

地域による格差も無視できません。
文部科学省の2024年度学校基本調査をもとにした分析によると、大学進学率は都道府県によって大きく異なり、トップの東京都では約8割近くが大学に進学している一方、流出率(県外への進学率)が80%を超える県も存在します。
大学・進学校が集中する都市部と、そうでない地方とでは、子どもが目にする「進学が当たり前の環境」そのものが異なります。
実際、地方から東大に進学した人が「塾や予備校が近場にないと、情報格差だけで受験競争に負けてしまう」と語るケースも知られており、地域格差は単なる距離の問題ではなく、文化資本や情報へのアクセス格差とも深く結びついています。

ジェンダーによる格差

日本の教育にはジェンダー間の格差も存在します。
文部科学省中央教育審議会大学分科会に提出された資料(2024年12月)によると、四年制大学の進学率はこの10年間で男性が54.0%から60.7%へ(+6.7ポイント)、女性が45.6%から54.5%へ(+8.9ポイント)と上昇しており、女性の伸びが顕著です。
一方で、かつては医大の入試における男女別合格点の問題や、都立高校・私立高校での男女別定員制度など、制度的なジェンダー格差が問題になってきた経緯もあります。進学率の数値は改善傾向にあるものの、構造的な意識の格差は依然として残っているという見方があります。

世帯収入による格差

文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」によると、家庭が自己負担する教育支出のうち、約6〜7割が学校外活動費(学習塾や習い事等の費用)となっています。また、世帯収入200万円未満の世帯と1,500万円以上の世帯では、学校外教育支出に約3倍もの格差が生じています。
厚生労働省の2021年国民生活基礎調査データによると、日本の子どもの11.5%(約9人に1人)が貧困状態にあります。特にひとり親家庭の貧困率は44.5〜48.1%と依然として高水準で、先進国の中でも厳しい水準にあるとされています。
厚生労働省が公表した国民生活基礎調査によると、子どもの相対的貧困率は2018年の14.0%から2021年には11.5%へと改善傾向にあります。ただし、計算方法の変更もあるため単純比較には留意が必要です。
貧困が続く家庭の子どもは、塾や受験準備の費用を確保することが難しく、進学への意欲そのものが削がれるリスクがあります。
国立教育政策研究所が2023年3月に公表した報告書によると、高等教育の修学支援新制度が導入されてから3年が経過しても、世帯収入や子どもの数による高校卒業後の進路の差異は縮小していないことが明らかになっています。

日本の教育格差への対策

教育格差の解消は本来、政策で取り組むべき課題です。授業料等の支援制度はあるものの、入学前の準備段階(塾・受験費用など)をカバーするには不十分な面もあります。

そのため、
NPOや民間団体が、経済的に困難な家庭の子どもたちに対して学習塾や習い事などで利用できるクーポンを提供するなど、学習・体験機会の格差解消に取り組む動きも広がっています。

また、オンライン教育の普及も格差解消の一助になるとされています。
内閣府がまとめた資料では、地域間・公立私立間でのオンライン教育へのアクセス格差が課題として指摘されており、GIGAスクール構想などを通じた環境整備の着実な推進が求められています。
ただし、インターネット接続環境や端末の有無が新たな格差の温床になりうる点には継続的な注意が必要です。

まとめ|教育格差を「自分ごと」として考えるために

日本の教育格差は、子どもの努力だけでは埋めにくい「生まれ育った環境の差」から生じています。地域・ジェンダー・世帯収入という複数の要因が絡み合い、12歳という早い段階から子どもの可能性が狭められているのが現状です。

私たちにできることは、まずこの問題を「知る」ことから始まります。教育格差の解消を目指すNPOへの寄付・ボランティア参加、地域の学習支援活動への関与、そして選挙での政策選択など、身近なところから関心を行動に変えることが大切です。「生まれた環境で未来が決まらない社会」をつくるのは、一人ひとりの関心と意志から始まります。

日本の教育格差とは?原因と対策を解説

【学べるポイント】
✅ 子どもの9人に1人が貧困状態(厚労省2021年データ)
✅ 大学進学率は世帯収入で最大34.6ポイントの差
✅ 地域・収入・ジェンダーが教育機会を左右する

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