二ワトリにストレスを与えない「平飼い卵」への注目が高まっています。
とはいうものの、「平飼い卵とは?」「値段は高いけど何か違うの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、平飼い卵の特徴や違いを解説します。
さらに、スーパーや通販で買えるものを厳選しました。
平飼い卵が何かがよくわかる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
平飼い卵とは
「平飼い」とは、簡単にいうと決められたエリア内での放し飼いです。
ニワトリを鶏舎内または屋外へおいて、床面または地面を自由に運動できるようにして飼養します。
開放的な空間で、自由にたくさん動き回れるため、ニワトリへ与えるストレスを軽減できます。
その結果、健康で病気にかかりにくいニワトリに育つといわれているのです。
最近では、動物福祉や家畜福祉の意味をもつ「アニマルウェルフェア」の視点からも注目を集めはじめました。
国際獣疫事務局(OIE)の勧告において、アニマルウェルフェアとは「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」と定義されます。
自由で快適な環境で飼養することによって、家畜のストレスや疾病の軽減を目指しているのが考え方の特徴です。
ヨーロッパでは2012年以降、規定された採卵鶏1羽当たりの面積を満たさないケージの使用は禁止されています。
それだけアニマルウェルフェアの考え方は世界で浸透しており、向上に向けた動きが活発化しているのです。
日本ではあまり浸透してませんが、農林水産省もアニマルウェルフェアを踏まえた飼養管理の普及に努めています。
平飼い卵の拡大は、今後さらに期待されるのではないでしょうか。
平飼い卵とケージ卵の違い
とはいうものの、現在の日本の飼養の方法としてはケージが主流です。
では、平飼い卵とケージ卵にはどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの特徴を以下にまとめました。
平飼い卵の特徴
・ニワトリの行動が制約されない
・動きが多様化するため、ケンカが生じやすい
・健康状態や産卵状況の確認など、個体管理を行うことが難しい
・卵が割れたり、汚れたりする可能性があり、品質管理に留意する必要がある
ケージ卵の特徴
・ケージ内で飼養するため、ニワトリの行動が制約される
・柵や吸水器などによるケガへの注意が必要
・健康状態や産卵状況の確認など、個体管理がしやすい
・土地・施設の有効活用して、効率よく飼養することが可能となる
生産性で考えるとケージ卵で、ニワトリのストレス軽減で考えると平飼い卵の方が向いているといえるでしょう。
平飼い卵の3大メリット
では、平飼い卵には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
①味と品質がよくなる
自由に動き回れるため、健康状態がよくなり、味や品質もアップします。
さらに、「卵に生臭さがない」「殻が固い」「白身がぷっくりと盛り上がる」「コクがある味わいになる」などの特徴があります。
②安心・安全性の保証
運動量が増え、ストレスも軽減させるため、病気にかかりにくいニワトリを育てられます。
そのため、消費者へ安心・安全な卵を届けることができるのです。
③アニマルウェルフェアの向上
平飼い卵が普及することは、国内全体におけるアニマルウェルフェアの向上につながります。
家畜の生活環境が整備されることは、ニワトリにとってのメリットが多いといえるのではないでしょうか。
平飼い卵の3大デメリット
次は、デメリットについてもみていきましょう。
3つの問題点について、くわしく解説します。
①値段が高い
平飼い卵には、ケージ卵と比べて値段が高いという問題があります。
個体管理に手間と時間がかかり、また生産効率が悪いため、どうしても価格が上がってしまうのです。
けれども、その分「味」「品質」「安全性」「ニワトリにとっての快適な環境」は保証されています。
値段が高い理由を理解すれば、納得して購入できるのではないでしょうか。
②手に入りづらい
平飼い卵は、なかなか手に入りづらいのも問題の一つ。
実は、国内における養鶏の9割が「ケージ方式」で育てられています。
けれども、消費者のニーズや養鶏場の在り方の変化に伴って、平飼い卵の生産が増える可能性が十分にあるといえるでしょう。
③ニワトリがケガをしやすい
平飼いのニワトリは、動きが多様化するためケガが多いです。
例えば、社会的地位を争うためにケンカをすることで、負傷することもあります。
また、地面を歩き回るため、ニワトリの足や産んだ卵が汚れやすくなります。
ニワトリへのストレスは軽減されますが、養鶏場側の負担は非常に大きくなるといえるでしょう。
スーパーで買える平飼い卵
国内では手に入りづらい平飼い卵ですが、スーパーで買えることができます。
手軽に購入できるものを厳選しました。
①イオン
イオンのプライベートブランド「トップバリュ」では、平飼い卵を販売しています。
・グリーンアイオーガニック オーガニック平飼い卵6個入
・グリーンアイナチュラル 平飼い卵6個入
・(近畿・中四国地区にて発売)平飼い卵 6個入
・(九州地区にて販売)平飼い卵 6個入
一部取り扱いのない店舗もありますが、ネットスーパーでも購入可能です。
気になる方は、公式サイトをチェックしてください
②生協
生協では、開放型鶏舎で平飼いした国産鶏種「もみじ」の卵を販売しています。
卵パックは紙製のため、プラスチック削減になり環境にもやさしいです。
公式サイトからインターネット注文も受け付けていました。
平飼い卵が買える通販サイト
続いては、平飼い卵が買える通販サイトを紹介します。
①食べチョク
食べチョクでは、平飼い卵の産地直送を行っています。
産地直送のため、鮮度もアップ。
さらに「どこで、どんな方の元で育てられたのか」が分かるので、安心して購入できます。
どれにしようか迷ったら、自分の住んでいる都道府県が産地の卵を選んで、地産地消に貢献してみてはいかがでしょうか。
②まつもと卵
まつもと卵では、平飼い卵のお取り寄せを行っています。
飼育環境だけではなく、飼料にもこだわった安心安全な卵が購入可能です。
緑茶のカテキンを加えた独自の発酵飼料のおかげで、コレステロールが低く、ビタミンEも豊富な卵が生まれるそうです。
参照元:まつもと卵公式サイト
これからのアニマルウェルフェア向上を支える平飼い卵
平飼い卵とは、ニワトリを鶏舎内または屋外へおいて、床面または地面を自由に運動できるようにして飼養されたものです。
ケージ方式とは違って、平飼いされたニワトリは自由に歩き回れます。
そのため、病気になりにくく健康に育ちます。またストレスも少ないため、ニワトリにとっても快適な環境といえるのです。
一方で、生産性が低く、値段が高いというデメリットがあるのは事実です。
しかし、それだけ味と品質は保証されています。
さらに養鶏場の方の手間を考えると、価格設定にも納得できるのではないでしょうか。
平飼い卵の普及は、アニマルウェルフェアの向上にもつながります。
平飼い卵を選択することは、アニマルウェルフェアの向上や平飼い卵の生産者を支援することにもなるのです。
平飼い卵の価値を知ったことで、日々の卵の選び方の意識も少し変わるかもしれません。
今回紹介したポイントを参考にしながら、買い物や食事にぜひ生かしてみてください。