カーボンフットプリントは、なかなか聞きなれない言葉ですね。
カーボンニュートラルやカーボンオフセットなど似たような言葉もたくさんあり、「違いがわからない…」という人も多いのではないでしょうか?
この記事では、カーボンフットプリントについてご紹介します。
企業での取り組みも合わせてご紹介するので、お店で見かけた時はこの記事を思い出してみてくださいね。
カーボンフットプリントとは?
カーボンフットプリントを英語で書くと「Carbon Footprint of Products」といい、略して「CFP」ともいわれています。
日本語に訳すと、「炭素の足跡」です。
炭素の足跡とはつまり、商品ができてから消費者に届き、廃棄されるまでに排出されるCO2のこと。
商品を生産するには多くのエネルギーを必要とします。
原材料の調達から始まり、
商品を運ぶ
商品を販売する
商品を使用する
商品を捨てる・リサイクルする
など、すべての過程でCO2が排出されます。
各過程で排出されるCO2を換算し、数値化し表示することを「カーボンフットプリント」といいます。
カーボンフットプリントの目的と必要性
カーボンフットプリントの目的は、CO2を見える化し、商品に表示することで事業者と消費者の間でCO2排出量削減行動に「気づき」を共有することです。
そしてCO2を削減する目的は、地球温暖化を食い止めるため。
日本では「2030年までにCO2排出量を、2013年と比べて46%削減する」と目標を掲げています。
より多くの人にCO2削減に協力してもらうためのツールとして、カーボンフットプリントは生まれました。
調達から製造・販売・消費などの流れの中で企業ではさらなるCO2排出量削減。
また消費者は生活の中で、CO2排出量を意識したライフスタイルに改めて行くことが求められています。
カーボンフットプリントのメリット
カーボンフットプリントによるメリットは、事業者側と消費者側の両方にあります。
事業者側
・企業イメージが向上する
・自社製品が環境に与える影響に気づくことができる
・環境負荷に対する意識や倫理観の向上につながる
・どうしてもCO2を削減できない分に関してオフセットが可能(クレジットを購入できる)
・株主や経営者・従業員など企業経営の格つけにつながる
など、上記以外にも多くのメリットがあります。
近年、SDGsの取り組みが企業にとって重要事項となっています。
カーボンフットプリントを導入することは、企業にとって会社のイメージの向上に大きくつながり、今後の会社の存続にも関わってくる可能性もあるでしょう。
消費者側
・購入時に捨てる時に係る環境負荷を意識できる
・買い物で環境に配慮できるようになる
・エコなライフスタイルに移行でき、無駄のない生活を送れるようになる
消費者側には、環境に配慮した取り組みを行動に移すのがむずかしく感じている人もいます。
商品の表示を見て、CO2排出量を意識するだけでも環境に対する取り組みの大きな一歩となるでしょう。
カーボンフットプリントのマーク
CO2を見える化を推進し、消費者に浸透させるために2009年10月から食品や食材、文房具などにカーボンフットプリントのマークが貼り付けられています。
現在約300もの事業者がカーボンフットプリント制度試行事業に参加しており、CFPマークの使用を許諾されている認定製品は1,708件あります。(2022年7月現在)
今後も認定製品は増えていくでしょう。
カーボンフットプリントの日本企業の取り組み事例
日本では2009年頃から経済産業省、環境省など4省庁の主導により「カーボンフットプリント制度試行事業」がスタートしています。
製品の工程を細分化し、工程ごとにCO2排出量を算出します。
そうすることで、どの工程でCO2をたくさん排出しているか把握することができます。
CO2を多く排出しているポイントがわかることで、削減の対策に取り組むことができます。
現在、カーボンフットプリントを登録し情報を公開している日本の企業をご紹介します。
日本ハム(株)
日本ハム(株)は、国内で高いシェアを誇るハム・ソーセージの会社です。
「食べる喜び」をテーマに、さまざまなサスティナビリティな取り組みをしています。
日本ハム(株)でカーボンフットプリント・マークが表示されているのが、「森の香りシリーズ®あらびきウィンナー・ロース・ハーフベーコン」です。
日本ハム(株)では、環境に負荷がかかっている箇所を洗い出し、パッケージの変更などでCO2削減に取り組んでいます。
コクヨ
文房具で有名なコクヨでは、「チューブファイル」や「ローパーティション フレクセル」などにカーボンフットプリントのマークが表示されています。
「チューブファイル」に使用されているのは間伐材。
間伐材とは木と木の間を広げ、森林の育成を促すために行われる伐採された木のこと。
またコクヨには「フラットファイル」という環境に配慮された、プラスチックを使わない紙でできたファイルもあります。
参照元:商品CO2の見える化|コクヨ
シチズン
時計ブランドのシチズンでは、16種類もの時計にカーボンンフットプリントが表示されています。
時計でカーボンフットプリント認証を受けたのはシチズンが初めてです。
また、太陽光や室内のわずかな光を電気に換えて時計を動かし、さらに余った電池を二次電池として蓄える時計として「エコ・ドライブ」シリーズは、エコマーク商品として認証されています。
イオン
イオンでは2009年からカーボンフットプリントの表示に参加しており、多くの商品にマークが表示されています。
またイオンでは2025年までに、すべてのイオンモールの使用電力を100%再生エネルギーに変更するなど、脱炭素に向けて取り組んでいます。
さらに、「より良いくらし」のために消費者とともに地域全体でサスティナブルな活動に力を入れています。
参照元:脱炭素ビジョン|イオン
Panasonic
パナソニックのデザインスタジオ「FUTURE LIFE FACTORY」が、「Carbon Pay構想」を発表しました。
「Carbon Pay構想」は自分が出したCO2排出量がわかるシステムです。
身の回りのCO2排出量を数値化することで、排出しすぎた分を何かで補うための行動を起こせる仕組みになっています。
「Carbon Payアプリ」も構想し制作されています。
自分の年間のカーボンフットプリントが表示され、2030年、2040年のカーボンフットプリントの目標値も表示されます。
数値化されることで自分がどう行動を起こせばいいのか、ヒントをくれる仕組みを提案してくれる「Carbon Pay構想」。
実現すればわたしたちの未来が大きく変化するでしょう。
わたしたちにできること
「カーボンフットプリント」は、企業からわたしたち消費者への「CO2削減に一緒に取り組もう」というメッセージです。
企業が発信するだけではCO2削減に限界があり、ひとりひとりの行動により持続可能なみらいが訪れるはず。
わたしたちにできることは、
・カーボンフットプリントの表示を参考に商品を選ぶ
・電気の無駄使いをしない
・水を大切に使う
・長く愛用できるものを買いゴミを出さない
・有機食品を選択し、地球環境の負荷を減らす
・地産地消の食材を選び、運送時にかかるCO2を削減
・リユース・リサイクル・リデュースを意識する
など、CO2削減のために出来ることがたくさんあります。
自分たちにできる、小さな一歩を一緒に踏み出しましょう。