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ジェンダー平等を実現しよう

SDGs の目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは?概要や取り組みをご紹介

「男なんでしょ、しっかりしなさい」「女の子はお行儀良くしなさい」などと言われ、違和感を抱いたことはありませんか?女性が社会から「女らしさ」を求められ、仕事より家事や育児を担うことを求められることで、社会がこれ以上発展できないとしたら、驚く人もいるでしょう。

日本では、台風や豪雨災害も毎年のように起こり、猛暑や熱中警戒情報が出されるたび、異常気象に不安を感じる人も多いのではないでしょうか?

また日本は飽食の国と言われています。食べきれず捨てられる食物の量が多いという問題がある一方で、世界には貧困で満足に食事を取ることさえできない人々もいます。

これらの問題はまったくの無関係のようでいて、実は密接に関係しています。地球環境や経済は大きく変動していて、国や地域ごとの格差や男女の不平等が広がっていると言えます。

世界各国でこの流れを良い方向に変えるための活動が行われています。それがSDGsです。この記事では、SDGsの17の目標のうち、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」について解説します。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の9つのターゲット

SDGs目標5における9つのターゲットを解説します。9つのターゲットを掲げることで、女性や女児への差別、人権侵害を防ぎ、能力を発揮できるような世界を目指します。

1. あらゆる場所におけるすべての女性および女児に対するあらゆる形の差別を撤廃する。
2. 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性および女児に対する、公共・私的空間にかけるあらゆる形の暴力を排除する。
3. 未成年の結婚、早期結婚、強制結婚や女性性器切除など、女性と女児へのあらゆる有害な慣行を撤廃する。
4. 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、並びに各国の状況に応じた世帯・家庭内における責任分担を通じて、報酬のない育児・介護や家事労働を認識して、きちんと評価する。
5. 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全で効果的な女性の参画や平等なリーダーシップの機会を確保する。
6. 女性の性と生殖に関する健康及び権利をいつなん時でも守られるようにする。
7. 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、並びに各国の法律に従って、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革を行う。
8. 女性が能力を発揮できるようにするため、ICTをはじめとする実現技術の活用をすすめていく。
9. ジェンダー平等の促進、並びに全ての女性および女子があらゆるレベルで能力を強化できるよう、適正な政策及び拘束力のある法規を導入する。
参照元:JAPAN SDGs Action Platform | 外務省HP

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は基本的人権の考え方をしている

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は基本的人権の考え方をしている

1948年12月の国連総会において採択された基本的人権を尊重する「世界人権宣言」は、性別に関係することなく、平等に機会を与えられるものだという考え方をしています。
そしてSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」も、この世界人権宣言の考え方に基づいているのです。

ジェンダーとは、社会的または文化的な性別のことを指します。
社会で定義されている男性らしさや女性らしさとも言い表すことができるでしょう。

例をあげるなら、公衆トイレが分かりやすいといえます。
トイレの入口に「赤色のスカートをはいた人のマーク」と「青色のズボンをはいた人のマーク」を見たことはありませんか。

これが社会的に定義されている男性らしさや女性らしさです。
このような日本の社会通念は見えない壁となって、さまざまなかたちでの不平等を生み出しています。

SDGsが掲げている目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、女性差別を完全になくすこと、女性の社会進出や能力の向上、望まない結婚や暴力を排除するということを目標としています。

世界各国の統計データによると、一部地域では今でも宗教上の理由も含めた女性差別が根強く残っているためです。

すべての国や地域においてジェンダー平等が達成されているとはいえない

すべての国や地域においてジェンダー平等が達成されているとはいえない

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられた理由とされる現状をお伝えしましょう。

世界では、まだまだ女性や少女に対しての差別が見られます。具体的には、以下のようなものがあります。

18歳未満の児童婚

減少傾向にあるとは言われているものの、それでもまだ年間1,200万人もの児童が児童婚を強いられているという現状があります。

特に多くの児童婚がみられる地域としては、サハラ以南のアフリカであるサブサハラと南アジアです。
これらの2つの地域においては、貧困状態が蔓延しており、貧困と児童婚には深い関わりがあるとみられています。

経済的な理由によって子育てが困難なため、子どもが安全に生活を送れるように結婚をさせなければいけなくなったり、学校へ通わせることが難しいために学業よりも結婚をさせるという状況になってしまったりするのです。

一見、子どもが救われているように見えますが、児童婚をすることによって女児は発達段階であるにも関わらず妊娠出産をすることになって、死亡してしまうこともあります。

2013年の国連データによると、途上国での18歳未満の女性による出産は年730万件であり、200万件は10歳から14歳の女児です。そして、年7万人の女児が出産後に死亡しています。

女性器切除の慣習

ユニセフによると世界30ヵ国で2億人以上の女性や女児が女性切除を経験しているとのデータがあるのです。

なかでもエチオピア、エジプト、インドネシアが多い傾向がみられます。
また、15歳未満で女性器切除の経験をした女児は4,400万人にのぼり、この割合が多い国は、モーリタニア、インドネシア、ガンビアです。

女性器切除は感染症による死亡を招きやすいだけではなく、不妊の原因にもなります。

また、女児の心にも体にも深い傷を負わせることになり、これは大人になっても影響し続け、苦しみから逃れられない状況を生みます。

人身取引

搾取を目的として暴力などの手段を使って女性や児童が獲得されるという現状があるのです。

これら女性や女児は、家事労働や武装集団の徴用、売春、臓器摘出などという人権が無視された扱いを受けるといわれています。

このような人身取引は水面下で行われるためにデータがとりにくい状況ですが、それでも2016年において人身売買の対象となった人は世界で4,030人とされています。
そして、この中の約25%が子どもなのです。ただ、この数字は氷山の一角だといえるでしょう。

実は、これら人身売買は日本でも行われています。
首相官邸のデータによると、2018年で人身取引者は27人おり、日本人女性が17人、日本人男性が1人、外国人女性が9人とされています。

圧倒的に女性が多く、このなかの5人は18歳未満であり、性風俗や売春、ホステスなどに搾取されていたというデータがでているのです。
ただ、こちらも海外と同様に、水面下で行われている人身取引はさらに多いでしょう。

日本のジェンダー平等は深刻~原因と改善方法について~

それでは、ジェンダー平等がSDGsにおける重要指標の1つであることを前提として、日本のジェンダー平等は世界から見てどのような位置付けなのでしょうか。

一般的には低迷していると評される日本のジェンダー平等の実情とその原因、そして、どうすればジェンダー不平等は解消されるのかについて詳しく見ていきましょう。

日本のジェンダー平等は遅れている

世界的なSDGs志向の潮流のなかで、日本のジェンダー平等の現状は決して褒められる状況ではありません。「世界ジェンダーギャップ指数」によれば、日本は153カ国中120位(世界経済フォーラム公表 2021年12月公表)。他の先進国と比較しても、著しく低調な水準です。

ただし、ジェンダーランキングで上位にランクインすることが人々の生活レベルでの男女平等を実現していることと同義ではない点に注意が必要です。なぜなら、ジェンダーランキングにおいて指標とされるジェンダーギャップの評価ポイントは、あくまでも社会全体における女性の進出具合など、マクロ的な視点で導かれるものだからです。

実際、9位にランクインしているルワンダは政治における女性進出は進んでいるものの、貧困にあえぐ母子家庭の数が多いなどの社会問題をはらんでいるのが実情。ミクロに視点をあてると、男女不平等のしわ寄せを受けて苦しんでいる女性はかなり多いのが実情です。

つまり、日本のジェンダーランキングが低迷していることだけをもって悲観的になるのは適切ではありません。ジェンダーランキングが上位に転換したとしても、ジェンダー不平等が原因で日々困難にぶつかっている人たちの苦しみが和らぐとは限らないからです。

したがって、日本のジェンダー問題を考える際には、ジェンダーランキングに注目することも大切なことではありますが、より実態的な課題をピックアップしていく姿勢こそが重要だと考えられます。

なお、世界における日本のジェンダー平等の推進レベルについては、下記記事で詳しく紹介しています。あわせてご一読ください。

日本のジェンダー平等の実情

確かに、上述のような”18歳未満の児童婚”や”女性器切除の慣習”などのような「わかりやすい」人権侵害はいっけん見受けられません。しかし、綺麗に取り繕われた日本社会の表面をほんの少し引き剝がすだけで、ジェンダー不平等に起因する深刻な問題が顔を覗かせるのが実情です。

たとえば、特に次のような場面で、日本のジェンダー平等は深刻な危機に晒されています。

  • 教育現場:入学選抜段階における不平等
  • 家庭内:家事・育児の負担バランス
  • 政治:女性政治家の圧倒的少なさ
  • 経済:男女の賃金格差
  • 仕事:男女間の雇用契約の不均衡

いずれの場面でも、「女性らしさ」「女性とは社会において〇〇という位置づけであるべき」というステレオタイプの価値観が存在し、未だにそれを払拭しきれていないのが原因です。経済的には先進国に位置付けられる日本という国は、ジェンダー平等という観点では発展途上国。この国で生きる人々がより自分たちの力を発揮して満足感を得ながら人生を歩んでいくためには、今後より一層の努力が必要だといえるでしょう。

なお、日本におけるジェンダー平等の現状・課題については、下記記事で詳しく紹介しています。あわせてご一読ください。

ジェンダー平等を達成するためにできること

ジェンダー平等を達成するためにできること

それでは、日本におけるジェンダー平等を実現するため、少しでも現状を改善するためにはどのような方策を採るべきなのでしょうか。ジェンダー不平等を生み出してしまった日本社会に潜む根本的な問題も念頭に置いたとき、次のポイントが参考になると考えられます。

  • 家族・知人とジェンダー平等について話し合う
  • 寄付やボランティアの機会に積極的に参加する

「男でしょ、しっかりしなさい」「女はおしとやかに」、「男の子だから青色、女の子はピンク」「女だからご飯をつくらないといけない」など、日常生活の中で当たり前のように周りから言われたり、自分でもそう思ってしまったりすることがありますよね。その思い込みがジェンダーギャップの芽なのです。

そして、この芽を摘むにあたって大切なことは、問題が存在することを知り・誰かと共有し・解決に向けた動きを各個人が意識することです。無関心のまま目を背けている状態は、ジェンダー不平等の芽を成長させるだけ。ほんのわずかな意識の変化が集まれば、いつかは社会全体における大きなムーブメントになるはずです。

ジェンダーギャップは、どこか遠くにある問題ではなく、私たち一人一人の心の中にある問題です。自分たちの心の中にある思い込みに気づくことが、ジェンダー平等を達成するための第一歩と言えます。

なお、ジェンダー平等についてできることについては、下記記事で詳しく紹介しています。あわせてご参考ください。

すべての人がエンパワーメントされる世界を目指して

すべての人がエンパワーメントされる世界を目指して

私たちは「男性だから」「女性だから」という理由で自分のやりたいことを制限する必要もないし、他の人にそれを求める必要もありません。

男女平等は、基本的な人権なのです。

特に現在、差別を受けている女性たちがエンパワーメントされ、力を発揮できるよう支援することは、世界がこれからも発展していくために不可欠なのです。

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